『いつでもいっしょ、いつまでもいっしょ』
「ルシード!ルシードってば!!いい加減起きてよっ!!」
ゆさゆさとルシードの肩をゆすりながら、ビセットは困ったようにため息をつく。
さっきからずっとこの調子で、叩いても揺すっても全然起きてくれない。
もう冷蔵庫の中が空だから、今日こそは買出しに行かないとまずいのに・・・。
ビセットはため息をつき、頬を膨らませながらルシードの額をべしっと叩いた。
何しろ今日は大晦日。もういくつ寝なくても明日は新年である。
冬休みに入り、大体の寮生は実家に帰省するため寮の食堂は休業中。この時期寮に
残っている者はみんな自炊を強いられている。近くにコンビニがあることにはあるが、
二週間とはいえずっとコンビニ飯生活をしていたらあっという間に貧乏人だ。
それに年始は安売りのスーパーなどが軒並み休業するので、コンビニさえも品薄に
なる。食料品を買い込んでおくなら、今日のうちしかない。
今年は課題が溜まっているため帰れないそうだが、いつも大体休みの度に実家に
戻っているルシードにはあんまりそういう危機感はないようだ。だが、年末だろうと
年始だろうと両親が留守であることが多かったビセットは、それがどんなに重大な
ことか身に染みてわかっている。
「も〜・・・起きないんだったらオレ一人で行っちゃうからね!!」
拗ねた様にそう呟き、ビセットはベッドの中から抜け出した。体はだるいけれど、
だからといってルシードみたいにお気楽に寝ているわけにはいかない。
着替えは持ってきていないので、とりあえず昨日着ていた服を着る。・・・上着は
皺になっている上汚れているため、ズボンだけはいて借りたパジャマのままその上に
コートを羽織る。どうせ部屋は隣だし、これで十分だ。
間に合わせの身支度を終え、ふとベッドの上のルシードを覗き込む。
・・・相変わらずよく眠っているようだ。いつもは大体ルシードの方が先に起きる
から寝顔なんてめったに見れるものじゃないし、それは嬉しいけれど・・・よく考え
たら、昨日から自分ばっかり苦労している気がする。
そもそも本当は昨日ここに泊まる予定なんかなかった。だから着替えも持ってきて
ないし、猫にも朝の分まで余分に餌をやってないし、暖房だってつけっ放しだ。
何でこんなことになったかといえば、食堂で開かれる毎年恒例の居残り寮生忘年会
に行ったことが原因だ。もっとも、行ったこと自体が原因ではなく、問題は・・・。
「・・・オレには偉そうに『ダメだ!』とか言ってたくせに、自分はちゃっかり
酒飲んでんだもんな〜!おまけに・・・」
そこまで呟いて・・・思わず昨夜のことを思い出し、顔が赤くなる。
「・・・あんだけ好き放題やれば気持ちよく眠れるはずだよ、まったく!!」
そう言って、ビセットは口を尖らせながらもう一発ルシードを「叩く」ではなく
「殴」った。ついつい力が入ってしまうのは不可抗力・・・だが力が入れば入る
だけ痛いわけで、そうすれば必然的にルシードが目を覚ます確率は高くなる。
ついでに、不機嫌になる確率も・・・。
「・・・痛ってぇな〜・・・」
気がついて後悔した時にはもう遅い。殴られた所を押さえながらルシードはやはり
不機嫌丸出しで呟き、うるさそうに目を開けた。そのままゆっくりと上体を起こし・・・
やばい!と顔を引きつらせているビセットに目を留めた。
「てめぇ・・・いっつも散々迷惑かけまくってるこの俺を殴り起こすなんざ、
いい度胸じゃねえか・・・!」
「そ、そんなこと言ったって、声かけても揺すっても起きないんだからしょうがない
じゃんか!オレ、何度も何度も起こしたんだからね!!もう食べるモンないから今日
こそは買物に行こうって言ったじゃん!それなのにもうこんな時間だし!!」
殴られた痛みと無理矢理起こされた不機嫌さの相乗効果の迫力に怯みつつも、
ビセットは負けじと言い返す。・・・確かに殴ったことは悪いと思うけれど、でも今回
ばかりは黙って怒られてやる筋合いはない。
「買物だ?・・・そういやそんなこと言ってたな。・・・って、まだ2時じゃねえか!」
時計を見ながら眉を潜めるルシードにちっちっちっと指を振り、ビセットは
ゆっくりと首を振る。
「夕方に行けば間に合うとか思ってるんでしょ?甘いよ、ルシード!ただでさえ年末
で人が多いのに、夕方なんかに買物に行ったら死にに行くようなもんなんだから!
・・・タイムサービス狙いのオバチャンたちは怖いんだからな!」
「死にに行くって・・・んな大げさな」
「大げさなんかじゃないってば!ルシード、夕方のスーパーに買物に行ったこと
ないんだろ!もういいよ!とにかく、オレは行くからね!ルシードは寝てれば!?」
言ってるうちにだんだん腹が立ってきて、ビセットはぷいっと顔を背けてそのまま
部屋を出て行こうと足を踏み出した。
「おい、待てよ」
歩き出そうとした途端、ルシードに腕を掴まれる。
「なんだよっ!・・・言っとくけど、ルシードの分まで買ってこないからね!」
むっとしながら振り返ると、ルシードはばつが悪そうに頭をかいた。
「んなこたわかってる。・・・俺も一緒に行くから待てっつってんだよ」
そう言って、ルシードは面倒くさそうにベッドの下に足を降ろす。ビセットの腕は
逃げられることを警戒してか掴んだままだったが。
何だか妙にすんなり引き下がったなと少し意外な気分で見ていると、ルシードは
苦虫を噛み潰したような表情で、
「・・・んだよ。俺の顔に何かついてるか?」
「ううん、別に?・・・ずいぶんアッサリその気になったな〜って思って」
何で?と聞くと、ルシードはまた更に言い難そうに目を逸らす。
「まぁ・・・そりゃあ、その・・・昨日のこともあるし、お前体キツいだろ?
・・・あんまりよく覚えてねーけど」
「覚えてないぃ!?」
呆れるやら腹立たしいわで、思わず大声を上げてしまう。
・・・意識は割とはっきりして足取りも確かだったけど、結構な量を飲んでいたし
かなり酔ってるなとは思っていた。百歩譲って部屋に連れ込んでそのまま帰してくれ
なかったのも(なしくずしに泊まること自体はそんなに珍しくないし)許してもいい。
おかげで寝坊してしまったのも、まだ取り返せるからいいとしよう。
・・・でも、昨夜したことを覚えてないなんて・・・!!
「・・・最っ低!!信じらんない!!あんだけ人に好き勝手しといて『覚えてない』
なんてよく言えるね!!・・・も〜怒った!ルシードなんか知らないっ!!」
今度こそ本当に頭に来て、ルシードの手を振り払い大股に歩き出す。
「まっ、待て!俺が悪かった!今回はマジで・・・ってコラ!待てっつの!」
思い切り取り乱しながら、ルシードは部屋を出ようとするビセットを慌てて追いか
け、今度は逃げられないように後ろから捕まって暴れる体をぎゅうっと抱きしめた。
「・・・ルシード、痛い」
「あ、わ、悪い・・・」
むすっとしたまま呟くと、ルシードが慌てて腕の力を緩める。思わず力が入りすぎ
ていたことに、気づいていなかったらしい。
まだ怒ってはいるけれど・・・ルシードにしては珍しい狼狽っぷりに、少しだけ
怒りが和らいだ。暴れていた腕を止め、ため息をつく。
「・・・本当に悪いと思ってる?」
「・・・思ってる」
「・・・じゃ、もう記憶が飛ぶほど酒飲まないって約束する?」
「う・・・わ、わかった、約束する」
しぶしぶといった調子で返ってきた答えに満足そうに頷き、ビセットは悪戯っぽい
笑みを浮かべながら顔だけルシードの方に向けた。
「・・・じゃ、許してあげる。ついでに朝ご飯はルシードのオゴリでよろしく♪」
その小悪魔のような笑顔としたたかな返答にがくっと脱力し、ルシードは肩を
落として心底諦め果てたように呟く。
「わかったよ・・・もう勝手にしてくれ・・・」
「な〜に言ってんの、自業自得だろ!?」
むっとして睨み付けると、ルシードは苦笑しながらわかってると呟いた。
「だから余計に情けなくなんだよ。・・・にしても・・・」
ルシードは疲れきったようには〜っと息を吐き出して、真剣な表情でまじまじと
ビセットを見た。
「な、なんだよぉ・・・」
「・・・いや・・・何つーか・・・」
ルシードは頭を押さえ言葉を選んでいるような、何かを言いあぐねている様な複雑
そうな顔で視線をさまよわせた。歯の奥に物が詰まっているようなはっきりしない
言い方に、ビセットは唇を歪めた。
「ハッキリしないなあ!いったい何なの!?」
「いや、だから・・・お前、何か感じないか?今のやり取りに」
「何かって、何が?」
いきなりそんなことを言われてもと、ビセットは首を傾げる。何しろ途中から頭に
血が上ってしまってほとんど勢いで喋っていたのだ。大体のことは覚えてい
るが、細かいことは思い出そうとしても思い出せない。
でも、そんなに妙なことは言ってないと思うけど・・・?
「いや、何にも感じねえなら別にそれでもいいんだけどな・・・」
本格的に考え込み始めたビセットの頭をぽんぽん撫で、ルシードはふと時計を見る。
つられたようにビセットもその方向に視線を向け・・・あっと息を呑む。
「やばっ!もうこんな時間だよ!早く買物行かなくちゃ!」
「おう。じゃ、着替え終わったらそっち行くわ」
「うん!」
頷いて、ビセットは玄関へと急ぐ。・・・だがドアの目の前まで行ったところで、
何を思ったのかくるりとターンして戻ってきた。
「どうした?忘れモンか?」
「うん、まあそんなトコかな」
にっこりという笑顔に、何か企んでいそうな予感を感じる。
そして、案の定・・・ビセットは走ってくるやいなや飛びつくような勢いで
ルシードに抱きついて、呆気に取られている唇に背伸びをしてキスをする。
「おはようのキス、忘れてたよね?」
上目遣いにルシードの反応を見、いたずらが成功した子どものように嬉しそうな
笑顔を浮かべて、ビセットは何事もなかったようにぱっと体を離した。
「じゃ、また後でね〜!」
そう言い残し、あたふたと自分の部屋に戻っていく。その後ろ姿を見ながら、
ルシードは複雑そうにため息をついた。
(・・・あいつ、本当に何とも思ってねえのかよ?)
ピーク時のちょっと手前といった混雑の中、何だかんだで4、5日分の食糧を買い
込んで、二人は両手に大きなビニール袋をぶら下げて帰路についていた。
「も〜、い〜くつね〜る〜と〜、おしょ〜お〜がぁつ〜♪」
心配したほど混んでおらず、満足のいく収穫にビセットは上機嫌で歌を口ずさんで
いる。だがその軽い足取りとは対照的に、ルシードは慣れない混雑に疲れきっていた。
大学生という自由な身分も手伝ってあの手の混雑とは程遠い生活を送っている身に
は、ピーク時ではないとはいえちょっとばかり辛い場所だった。
だから余計に、元気なビセットが信じられない。
「・・・お前、元気だな」
呆れた声で呟くと、ビセットは苦笑しながら荷物を持ち直す。何しろ量が多いので、
頻繁に持ち直さないとずり落ちそうになるのだ。
「そういうルシードは元気ないね。やっぱりあーゆートコ慣れてないんでしょ?」
「お前が慣れすぎなんだよ・・・」
得意げに笑うビセットに、ルシードは思わずため息をつく。
「・・・お前、やっぱ・・・」
「え?やっぱ・・・なんだよ?」
ビセットに怪訝そうに聞き返され、ルシードは一瞬言葉に詰まった。・・・さっき
部屋でもごまかしたし、何か言わないと変に勘ぐられるのは目に見えている。
そう思って、慎重に言葉を選んだ末に躊躇いがちに呟いた。
「いや、何つーか・・・今すぐにでも嫁に行けそうだな、と・・・」
は?・・・とでも言いたげに、ビセットの目が丸くなる。ぽかんとした顔のまま2、
3回まばたきし、何か思い当たったようにはっとして薄っすらと頬を染めた。
「何それ・・・どういう意味?」
「い、いや別に、それほど深い意味はないんだけどな・・・」
「深い意味はないって・・・じゃあルシード、オレが誰かに貰われちゃってもいいの?」
しどろもどろに言い訳すると、ビセットは急にしゅんと肩を落とした。
「なっ、そういう意味じゃねえよ!!」
「じゃあ、どういう意味?・・・なんで急にそんなこと言い出すわけ?」
慌てて否定すると、ビセットはすかさず顔を上げて切り替えしてくる。
じとっとした目で睨まれて、ルシードは仕方なく覚悟を決めた。
「あ〜・・・さっきも聞いただろ?何か感じ・・・いや、思うことはないかって」
「聞いてたけど・・・でも、別に何にも変わったことなんてないと思うけど?」
そう言って首を傾げるビセットを見て、ルシードは少し苦い顔をして答えた。
「・・・お前がそう言うから、あんまり言いたくなかったんだけどな・・・。
休み入ってから、何だかんだでお前とずっと一緒にいるだろ?メシ作ったり、
今みたいに一緒に買物行ったり・・・ついでに掃除とか洗濯とかやってもらったり」
「うん。・・・寝るのも大体一緒だしね。それがどうかした?」
ビセットの全然わからないといった表情を見、ルシードは更に苦い顔をする。
「・・・俺は寮暮らしっつっても今まで休みは大体実家に戻ってたし、お前はお前で
一人暮らしに慣れてんだろ?俺は寮にいてもあんま自炊とか、マメに買出しとか
しねえし・・・なんて言うか・・・お前って結構しっかりしてんなぁとか思ったんだよ」
一人暮らしと聞いて、首を傾げていたビセットが僅かに口を尖らせる。
「別に慣れたくて慣れたわけじゃないよ。ずっと一人でいたらこれくらい普通だと
思うけど?・・・で、何でそれがあの発言につながるわけ?」
「だから・・・!俺一人で残ってたら食事は絶対コンビニので済ますだろうし、多分
掃除とかもいちいちやってたら課題片付かねえから、部屋もすごい状態になってたと
思う。・・・その上酒飲んで酔っ払って説教食らうし・・・。
ここんとこずっとお前に面倒かけっぱなしだと思っちゃいたんだが・・・。そんで
さっき、部屋で怒ったお前引き止めてる時な・・・何となく『女房に逃げられるダメ
亭主ってこんな感じか?』なんて思っちまったんだよ・・・!」
まだわからないかとじれったそうに・・・でも思い切り照れくさそうに、
ルシードはぼそぼそとらしくない喋り方で言い、急に早足で歩き出した。
・・・ビセットの方もビセットの方で、驚いてもいるがそれよりも恥ずかしいよう
な嬉しいようなで顔を真っ赤にして、すっかり足が止まってしまっている。
「こら、何呆けてんだよ!!とっとと帰るぞ!」
ビセットがついてきていないことに気づき、ルシードは後ろを振り返って大声で
怒鳴った。・・・まるで照れ隠しのように。
「う、うん、ごめん!」
その声で我に返ったビセットも、慌てて小走りに後を追う。
ルシードが気を使ってくれてビセットの方が荷物は少ないので、走って追いつくの
はそう難しいことじゃない。苦労することなく追いついて、二人で並んで歩く。
あんなことを言われたせいか、何だか変に意識してしまう。きっと周りから見れば、
仲のいい先輩と後輩が一緒に買出しに行ったようにしか見えないだろうけど・・・。
「ね〜、ルシード?」
「・・・何だよ?」
ぶっきらぼうな答えはまだ照れている証拠だ。何だかおかしくなって、ビセットは
思わず笑ってしまう。
「・・・何がおかしい?」
「ご、ごめんごめん!それよりさ・・・もし、もしだよ?もしオレが女だったら、
ちゃんと『嫁』に貰ってくれる?」
凄みを利かせるルシードにビセットは笑いを押し殺しながら首を振り、ごまかす
ように話題を変えた。試すような質問に、ルシードはあからさまに眉を潜める。
怒ったかな?と思って、頭の中が言い訳を考え出す。でも、返ってきた言葉は
予想していたものとは全然違ったものだった。
「・・・心配しなくても、今のままでもしっかり貰うつもりだから安心しろ。
お前が男だろうが女だろうが・・・他の奴に渡す気なんかねえからな」
睨むような目をしながら、ルシードははっきりそう言い切った。口調は予想通り
怒っていたけれど、それは真剣に考えてくれた証拠。
話題を振ったのは自分だし、嬉しいけど・・・何だかこっちの方が照れてしまう。
「・・・ほ、本気にしていいの?あとで後悔したって知らないよ?」
「それはこっちのセリフだ。・・・お前こそ、覚悟しとけよ?」
「・・・うん」
優しく笑いかけられ、ビセットは頬を紅潮させ恥ずかしそうに・・・でも神妙な
表情で頷いた。言った方のルシードも満足そうに頷いて、小さく息をつく。
・・・実はこの時、二人とも同じことを考えていた。 両手に膨れ上がった買物袋が握
られてさえいなかったら、絶対手を繋いでいたのに。
こんなことなら、横着しないでマメに買出しに行っておくべきだった・・・。
二人同時にため息をつき、そしてまた全く同じタイミングで顔を見合わせる。
口に出さなくても理由がわかって、二人はまた同時にぷっと吹き出した。
「な〜んか、同じこと考えてたみたいだね」
ひとしきり笑った後、ビセットがさもおかしそうに呟く。
「ああ、そうみてえだな。・・・今度はなくなる前に買出しに行くか」
まったく同じ気持ちのルシードも、苦笑まじりに頷いた。
「うん!・・・あ、そうだ!ルシード、寮に帰ったら一緒にお昼寝しよ!」
「昼寝!?」
いきなり突拍子もないことを言い出すビセットに、ルシードが呆れたように聞き返
す。昼まで寝ていたにもかかわらず(もしかしたらビセットは自分より多少は早く
起きていたのかもしれないが)まだ昼寝をするなんて、普通は考えもしないだろう。
「うん、買物で結構疲れたでしょ?・・・でね、今のうちに寝といてさ、除夜の鐘
聞いたら初詣に行こうよ!ついでにがんばって初日の出も見に行きたいな〜、なんて」
「・・・初日の出ねえ・・・あんなの見に行ったって寒いだけだぞ?」
「でも、オレ1回も見たことないんだもん!初詣も・・・いっつも大体年明ける前に
寝ちゃってたし、起きてても一人じゃつまんないし!・・・それに今まで一緒に見に
行きたいって思う人、いなかったから・・・だからいいでしょ!?行こーよー!!」
浮かない顔のルシードに、ビセットはさらに言い募る。
・・・その一言で、ルシードの気持ちはぐらっと大きく揺れ動く。
そして、結局・・・。
「・・・しょうがねえな・・・。わかった、付き合ってやるよ」
「やった!ありがと〜!ルシード、大好き!!」
もし荷物がなかったら、絶対に飛びついてきていたに違いない。満面の笑みを
浮かべて口癖のような『大好き』を言うビセットに、ルシードは苦笑しながら
心の中でため息をつく。
何だか、うまく乗せられたような気がする。もっともビセットにはその気はなく、
無意識にやっていることなのだろうとは思うが・・・でもそれがわかっていてつい
乗ってしまう自分の甘さに、ちょっとばかり呆れてきたのだ。
・・・本当に、ビセットに対してだけはとことん甘い。
自分にとってそれがどんなに都合の悪い約束で、それでどんなに苦労することに
なっても、結局最後には頷いてしまうのだから。
「今度はちゃんと寝坊しないように目覚ましかけとかないとね!ちゃんと最後まで
紅白見て、除夜の鐘聞いて、年越しソバ食べて・・・それから初詣に初日の出!
なんか大晦日のフルコースって感じだよね!う〜、楽しみ〜!」
うきうきと荷物を持ったまま指折りして数えて、ビセットは本当に嬉しそうに笑う。
どんなに苦労して、どんなに振り回されたとしても・・・この笑顔を見てしまうと、
それですべてを帳消しに出来てしまうのだから始末に負えない。
そして・・・それでいいと思っている自分自身も。
「・・・ああ、そうだな」
苦笑しながら頷いて、ルシードは小さくため息をついた。
「・・・?ルシード、どうかした?」
ため息に気づいたビセットが、不安げに顔を上げる。多分、ため息の意味を勘違い
したのだろう。ルシードはビセットを安心させるように笑って、首を振った。
「何でもねえよ」
言いながら視線を前に戻せば、いつのまにか寮はもうすぐそこまで迫っていた。
・・・ごーん・・・ごーん・・・。
テレビのスピーカーからはっきりと、そして街の遠くの方から微かに、低くて重い
鐘の音が響いてくる。
数は数えてはいないが、もうそろそろ終わりに近づいてきたんじゃないだろうか?
年越しそばのつゆを啜りながら、ビセットは壁時計に目を向けた。
・・・12時50分。あと十分で『今年』が終わる。
膝の上で、大人しく眠っていた子猫がもぞもぞと動き出した。どうやらテレビの鐘
の音に驚いて目を覚ましたらしい。
「・・・除夜の鐘を108回鳴らすのって、それが人間の煩悩の数だからなんだよね?」
コタツの上にどんぶりを置いて猫を抱き上げながら、ビセットは昔聞いた話を思い
出し、向かいに座ったルシードに聞いてみた。
ちなみに、ここはビセットの部屋だ。・・・寒がりな彼の部屋にはコタツがあるが
ルシードの部屋にはエアコンしかないので、今日のように冷え込む夜はいつもこっちの
部屋で過ごすのが習慣となっている。(ついでにいえば、ルシードの部屋には机以外に
テーブルになるようなものがないため、食事をするのも大体ビセットの部屋でだ)
とっくにそばを食べ終わり、ぼ〜っとテレビを見ながらみかんを食べていた
ルシードは、いきなりの質問に首をひねった。
「・・・確か誰かがそんなことを言ってたような気もするが、それがどうかしたか?」
「う〜ん・・・本当に人間の煩悩って108つもあんのかなって思ってさ・・・。
考えてみたけど、そんなに思いつかないし。煩悩の数って、みんな一緒なのかな?
数に個人差とかありそうだと思わない?」
「んなこと聞かれてもな・・・」
そんなこと気にしたこともないとでも言いたげに、ルシードがため息をつく。
何だか馬鹿にされたような気がして、ビセットは猫を目線と同じところまで
抱き上げて、お返しとばかりにわざとらしくため息をついた。
「・・・ルシードは108個ぐらい軽くありそうだもんね、煩悩」
「あ?・・・どういう意味だよ!?」
「どういう意味って・・・聞かなくたってわかるだろ?」
ね〜っと猫に同意を求めながら、ビセットは悪戯っぽく微笑んだ。
「大丈夫だよ?ルシードが煩悩のカタマリでもちゃんと好きだから」
「・・・そりゃど〜も、ありがとよ・・・」
苦虫を噛み潰したような顔で、ルシードはコタツの上のみかんを手に取った。
どうやらビセットは昨夜のことを覚えてないのを相当根に持っているらしい。
・・・いったいあいつに何をやった?昨日の俺・・・。
正確にいえばまだ「今日」の出来事なのだが、意識的にはもう「昨日」のことだ。
起きた時のビセットの様子といい、大まかになら何をしたのか想像はつくが・・・
みかんの皮を剥きながら、ルシードは覚束ない記憶の糸を懸命に探る。
「ルシード、一個ちょーだい」
みかんの皮を剥き終わった瞬間、ビセットはにかっと笑って口を開けた。
・・・お前だって人のこと言えねえんじゃねえか?と思いつつ、筋をきれいに取り
二房ぐらいを口の中に放り込んでやっている自分が笑える。
「・・・そろそろだね」
時計を見ながら、貰ったみかんを飲み込んだビセットがうきうきした声で呟く。
「神社混むだろーし、もう行く用意した方がいいかな?」
「・・・年明けてからで十分だろ。どうせ日の出までには時間があるしな」
そわそわしているビセットとは対照的に、ルシードは落ち着いた様子でみかんを
口に放り込む。飼い主の腕から抜け出した猫がコタツの上のみかんにいたずらし始め
たので、食べたいのかと思って一房取り目の前にちらつかせてみたが、どうやら
ご執心なのは皮付きの丸いみかんだけのようだ。
「コラ!ダメだろ、いたずらしちゃ!」
爪でみかんを引っ掻きだした猫を、ビセットが慌てて抱き寄せる。猫は不満そうに
にゃあと泣いて抗議するが、大好きなご主人様に爪を立てるようなことはしない。
何故か理由はわからないが、この猫は拾われた時からビセットに懐ききっている。
ルシードを引っ掻くことはあっても、ビセットを引っ掻いたことは一度もない。
・・・基本的に大人しいので、そんなに被害を被ることはないが。
「あ、ルシード!もうすぐだよ!」
ビセットの声と被って、テレビの中でカウントダウンが開始されたのが聞こえた。
・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・!
『あけましておめでと〜ございま〜す!!』
またもやテレビの音声と、満面の笑みを浮かべたビセットの声が被った。
「ああ、おめでとう。・・・今年もよろしくな、ビセット」
「うん、こっちこそよろしくね、ルシード!」
へへへ、と頬を染めながら頷くビセットの腕の中で、猫が自分の存在を主張するか
のように暴れ出した。
「わかったわかった!お前のことも忘れてないってば!」
おめでとな〜と言いながら、ビセットは猫に頬を擦り付けた。
「・・・じゃ、そろそろ行くか?」
立ち上がりながらそう言うと、ビセットは顔を輝かせて頷いた。
「うん!・・・じゃ、悪いけど、いい子で留守番しててくれよ?」
もう一度頬ずりして、ビセットは愛猫をコタツ布団の上に降ろした。
置いていかれることがわかるのか、猫は寂しげに主人を見上げている。
「・・・心配すんな。今日はちゃんとこっちに連れ帰るから」
先に身支度を終えたルシードは、寂しげな猫の頭を申し訳なさそうに撫でた。
「そうそう!今日はこっちで寝るんでしょ?ルシード」
「ああ。・・・で、支度できたか?」
「うん、ばっちり!」
そう言ってVサインを帰してくるビセットは確かに『ばっちり』、コートに
マフラー、帽子に手袋とまさに完全防備といった感じだった。
「・・・暑くないか?お前・・・」
「え〜、これでも寒いもんは寒いよぉ!・・・それより、早く行こ!!」
「そうだな。・・・じゃ、悪戯しないで待ってろよ」
もう一度猫の頭を撫でて、ルシードは先に玄関に向かったビセットの後を追った。
ビセットが手袋をはめたまま持ちにくそうに鍵をガチャガチャやっているのを見て、
ルシードは無言で鍵を取り上げた。もちろん、代わりにやってやるためだ。
「あ、ありがとルシード」
「これくらい横着すんなよな・・・ほれ」
言いながら、鍵を返そうとしたが・・・その手がふと止まった。
「?」
「・・・やっぱり俺が持っててやる。行くぞ」
そう言うなり、ルシードは鍵をポケットに突っ込んでそのままさっさと歩き出して
しまう。ビセットはわけがわからずぽかんとしていたが、鍵を渡すのを止めた理由に
気づいてはっとした。
「あーーー!!ルシード、オレがまた鍵落とすとか思ったな!!?」
後を追いながら叫ぶように声を張り上げると、ルシードは足を止めて振り返った。
「よくわかってんじゃねえか。・・・こんなクソ寒い日になくされたら堪らねーからな」
「もうそんなことしないってば!!・・・あ、その顔!信用してないな!!?」
追いかけてきたビセットがそこまで追いつくと、ルシードはまた何も言わずに
並んで歩き始める。
「当たり前だ!今年・・・いやもう去年か。お前、何回『鍵なくした!』っつって
俺んとこに駆け込んできた?」
「え・・・え〜と、5回くらい?」
「10回少ねえ!15回だ!」
「・・・ルシード、よくそんな細かいこと覚えてるね。でも、結局鞄とかポケットの
奥の方とかに入ってて、なくしたわけじゃないじゃん!」
「ふざけんな!その度にありもしない鍵を探すの手伝わされただろうが!!」
「あ・・・そ、そーだね、あはははははは・・・あ、ルシード!星が綺麗!」
「ごまかしてんじゃねーよ、ったく・・・」
「・・・いーじゃん、もしなくしちゃっても取りあえずルシードの部屋に避難して
次の日鍵探せば!」
「ほーう・・・で?初詣客がごった返す神社の中であるかどうかもわからねえ鍵探し
しろってのか??」
「・・・オレが悪かったです・・・」
そんなことを話しているうちに、神社のすぐ側まで来ていた。この辺までくると
人影もまばらで静かだった街中とは違い、ざわざわという喧騒が聞こえてくる。
「あれ?あそこにいるのアルベルトさんじゃない?」
前を歩く人の中に見知った後姿を見つけ、ビセットはルシードの服を引っ張った。
「ん?・・・確かにあの馬鹿デカいのはアルベルトみてえだな。・・・ってことは
隣にいるのは・・・」
「クレアさんでしょ?・・・それ以外の女の子連れてるわけないじゃん」
「・・・だな」
本人に聞かれたら怒りそうな会話をしていると、話し声に気づいたのか不意に
クレアが後ろを振り返った。
「まぁ、ルシード様にビセット様!あけましておめでとうございます!」
「お、おめでとうございます・・・」
笑みが引きつるビセットに、クレアはにっこりと笑った。
・・・どうやら聞かれていなかったらしいと、ビセットはほっと胸を撫で下ろす。
「おう、お前らか!あけましておめでとう!」
アルベルトの方も気がついて、足を止めて振り返る。
「ああ。そっちも初詣か?」
「まぁな。・・・ってことはお前らもか?新年早々男同士で初詣なんて、寂しい奴ら
だな、お前ら!」
「・・・そういうそっちは妹とじゃん」
からかうようなアルベルトの言葉に、ビセットが頬を膨らませながらぼそっと呟く。
そんなビセットの頭を宥めるように撫でながら、ルシードは不敵な笑み浮かべた。
「ほっとけよ。・・・そういえば今日はセトも一緒じゃないんだな?」
その名前を聞いた途端、アルベルトの顔色が変わった。
・・・セトというのは教育学部2年の学生で、アルベルトが尊敬しているリカルド
先生以外に唯一「アル」という愛称で呼ぶことを許している青年の名である。
本人曰く、彼は親友ということだが・・・。
「なっ・・・べ、別にオレはそんなにしょっちゅうアイツといるわけじゃ・・・!」
「それが、セト様もお誘いしようと思ったのですがお仕事が忙しいようで・・・」
兄の言葉を遮って、クレアが残念そうに説明する。
「なるほど。・・・振られたのか」
「振られてねぇ!!・・・ったく、行くぞクレア!」
「はい、兄様。それではお二人とも、失礼致します」
「おう。気をつけろよ」
足早に去っていくアルベルトのあとを、クレアは慣れているのか慌てる様子もなく
追いかけていった。
「・・・クレアさん、動じないね・・・」
「兄貴の扱いにゃ慣れてんだろ。・・・俺たちも行くぞ」
そう言ってルシードたちもまた歩き出し、お参りの列の最後尾に並ぶ。アルベルト
とクレアは、ちょっと先の方にいるようだ。
「・・・ルシード、アルベルトさんってもしかして、セトさんのこと・・・」
ゆっくりと進む順番を待つ間、思い出したようにビセットが呟く。
「ん?お前、知らなかったのか?」
「うん・・・じゃ、俺たちの勝ちじゃん!」
だって両想いだもんねと小さな声で呟いて、ビセットはルシードの腕にぎゅっと
抱きついた。その嬉しそうな顔に、ルシードは思わず笑みを浮かべた。
・・・が、背後に何か不吉な気配を感じ、はっとする。
「あけましておめでとうございます、センパ〜イ・・・」
「わわっ!・・・フ、フローネ?!」
「あ、ビセット君もおめでとう〜・・・今年もいろいろとよろしくね〜・・・」
弱々しく間延びした聞き覚えのある声に、ビセットは反射的にルシードの腕を放し
た。・・・彼女はいつもこういう時ばっかり現れるので、体が覚えてしまっている。
「・・・フローネ、お前なんか随分弱ってねえか!?」
暗くてよくわからなかったが、よくよく見れば彼女の目の下にはくっきりとクマが
できていた。
「いえ・・・ちょっと読書に夢中になりすぎちゃって・・・」
「ま、まさか年越しで本読んでたの!?」
「ええ、まぁ・・・それもあるんだけど、それよりむしろストーブの換気を忘れたこ
との方が原因かしら・・・?で、新鮮な空気を吸いがてらお参りに・・・」
弱々しく微笑むフローネは、今にも倒れそうだった。そんな体でこんな人の多い所
にいたら倒れるんじゃないかと、ルシードもビセットも口には出さないが心配になっ
た。・・・もっとも、呆れている気持ちの方が強かったが。
そうこうしているうちに参拝の順番が回ってきたので、とりあえず賽銭を投げて鐘
を鳴らしてお参りをする。後ろの人に場所を譲り、そういえばフローネはどうしたと
思って辺りを見回してみたが、彼女はいつの間にかどこかに消えていた。
たぶん寮に戻ったのだろうとは思うが・・・彼女のことだからどこかに隠れて
こちらを見ているかもしれない。
「ルシード、これからどうしよっか?」
ビセットに袖を引かれ、ルシードは気を取り直して腕時計を見る。
「そうだな・・・まだ全然時間あるし、一度寮に戻るとすっか」
「そっか・・・そうだね、寒いもんね。う〜・・・何か暖かいものが飲みたいよ〜!」
手袋をした手を擦り合わせながら震えているビセットに、ルシードは思わず
苦笑する。あれだけ着込んでおいて、まだ寒いというのだろうか?
「暖かいモンか・・・おっ、あそこでタダで甘酒配ってるぞ」
「えっ、甘酒?」
震えていたビセットがぱっと顔を上げる。ルシードがその場所を指差すと、本当だ!
と呟いて小躍りする。
「やった!・・・確か甘酒って未成年でも飲んでいいお酒だよね!貰ってこよっと!
・・・あ、ルシードは飲んじゃダメだからね!」
また酔っ払われると困るからと笑って、ビセットは小走りにその場所へ走っていく。
「・・・甘酒は酒じゃねーよ、バカ」
呆れたように呟いて、ルシードも後を追う。すると、意外な人物が甘酒配りをやっ
ているのが目に映った。
「・・・ルーに、セト・・・?」
何でこんな所にとは思ったが、その組み合わせ自体は珍しくない。何故か性格に
一癖ある人間に(異性同性問わず)モテてしまうセトは、アルベルトだけでなく
ルーにまで目をつけられている。・・・本人は全然気づいていないが。
「あ、ルシードこっちこっち!!」
お目当ての甘酒のカップを片手に、ビセットは上機嫌でぶんぶんと手を振る。
「あ、ルシードも来てたのか。あけましておめでとう」
「・・・ビセットがいるからいるだろうとは思っていたが・・・やはりな」
笑顔で挨拶するセトとは対照的に、ルーは明らかに迷惑そうな顔をしている。
「・・・お前こそ、随分似合わねーバイトしてんじゃねーか。・・・得意の占いは
『年末のバイトで恋愛運が上がる』とでも書いてあったのか?」
「・・・新年早々鼻の下を伸ばしているお前よりマシだ」
「ほ〜う?誰の鼻の下が伸びってるって?人のこと言えんのか?」
「・・・二人とも、ケンカなら離れた所でやってくれ・・・」
次第に険悪になっていくルシードとルーの間に、セトが割って入った。
「そうそう、二人ともみっともない、みっともなーい!」
上機嫌というよりテンションの上がったビセットが、それに加勢する。
急にバカらしさがこみ上げてきて、ルシードはため息をついた。
「・・・そうだ、ケンカで思い出した。さっきアルベルトとクレアに会ったんだが、
ここに来たか?」
「アル?いいや、来てないけど?」
無反応で首を振るセトの隣で、ルーはあからさまに眉を歪めた。
「・・・アイツも来てるのか・・・?」
「ああ・・・っつーことで一応気をつけろよ。血を見ないように」
「そんな猛獣みたいに・・・」
うんうんと頷きあう二人に、セトはそこまでいわなくてもと苦笑した。
「・・・ところでルシード、ビセット君大丈夫か?熱でもあるんじゃ・・・」
「あ?」
セトに言われて見てみると、ビセットは顔を赤くし、ぽ〜っとした表情で視線を
さまよわせている。
「・・・おいビセット、どうした?」
怪訝に思いながら肩を揺すると、ビセット一瞬はっとした表情になったが、すぐに
にま〜っとしまりのない笑みを浮かべた。
「どうしたって、何が〜?オレは全然おかしくないよ〜だ!」
明らかにいつもと違う舌ったらずな・・・いや、むしろ呂律が回っていないという
べきか、とにかくビセットは普通じゃなかった。その状態が一般的になんと呼ばれる
状態かは一目瞭然だが、それはこの状況からは信じられない状態だ。
「・・・もしかして、酔ってる・・・?」
確かめるようなセトの言葉に、ビセットは笑いながら首を振る。
「やだな〜!これくらいでようわけないじゃーん!!あは、ははは〜!」
・・・言うまでもないが、その口調は完璧に酔っ払いそのものだ。
「ちょっと待て、これ甘酒だろ!?甘酒で酔った奴の話なんて聞いたことねえぞ!?」
信じられない事態に動揺を隠せないルシードがそう呟けば、一見冷静そうなルーが、
「まさか、プラシーボ効果か・・・?」
・・・などと、(わけのわからない)もっともらしい理由をつける。
「ちょ、ちょっと・・・それはいくらなんでも無理があるんじゃ・・・?」
セトの控えめな反論は、ルーの咳払いにかき消される。
三人がぼそぼそ囁きあっている間も、ビセットは甘酒を掬う柄杓を勝手に借りて
自分のカップに甘酒を注ぎ足し、上機嫌で笑っている。
・・・どうやら笑い上戸らしい。
「おい・・・プラシーボ効果って何だよ?」
「プラシーボというのは偽薬のことだ。全然効果のない薬も、万能薬だと信じ込んで
飲めば病気が治ることもある・・・要するに思い込みによってあるはずのない効果が
もたらされるということだな。だからただの水も酒だと強く信じて飲めば酔っ払える」
「・・・そんな極端な症例聞いたことないけど・・・」
セトの呟きをかき消すように、ルーは再びこほんとわざと大きな咳払いをした。
「とにかく、ビセットが酔っ払っていることは確かだ。・・・さっさと連れて帰れ」
厄介払いをするように、ルーはしっしっと手を振った。
「だ〜か〜ら〜・・・酔っ払ってなんかないってばぁ・・・!」
「わかたわかった!もう十分に甘酒堪能しただろ!さっさと帰るぞ!」
考えるのも面倒になって、とにかくこれ以上飲ますのはマズいと判断した
ルシードは、ビセットの腕を掴んでその場から離れようとしたが・・・
「ちょっとルシード、引っ張んないでよぉ・・・って、あれぇ?」
・・・しかし、すでにビセットは足元も覚束ない様子だった。
思い込みだけでここまで酔っ払えるのか!?
何かおかしいと思いながら、ルシードはとにかくここから離れるのが先と
ビセットの前にしゃがみ込んだ。
「ほら、おぶってってやるからとっとと乗れ」
「え〜、いいの〜?」
口では遠慮するようなことを言いつつ、ビセットはすぐに背中に身を預けてくる。
腕が首に回されたのを確認し、立ち上がる。軽いのでそんなに苦にはならないが、
やはり周りの目が痛い。
ルシードはルーとセトに別れも告げず、足早にその場を立ち去った。
「・・・ルー、もしかして・・・」
ルシードたちを見送った後、セトは睨むような目でルーを見た。
あの舌戦の最中、よく見てはいなかったけれど・・・ルーは何度かビセットの
カップに甘酒を注ぎ足していた。その時にまさか本物の酒を・・・?
「何だ?俺は何もやっていないぞ?」
「・・・そんなこと、まだ聞いてないよ?」
予感が的中したことを確信し、セトは呆れてため息をついた。
大急ぎで部屋に戻ると、物音を聞きつけた猫が玄関まで来て出迎えてくれた。
「・・・おう、ただいま。心配しなくても、お前の飼い主はちゃんと連れてきたぞ」
主人恋しさににゃあにゃあ鳴く猫に、ルシードはため息まじりに笑いかける。
寮に入るちょっと前まで、ビセットは『と〜しのは〜じめ〜の、はぁ〜つしぃごぉ
と〜ってうた、あったよねぇ?』とか何とかわけのわからないことを喋っていたの
だが、階段を上がっているうちにいつの間にか眠ってしまっていた。
・・・やはり鍵を預かっていたのは正解だったらしい。
ため息をつきながら、ルシードはとりあえずビセットをベッドの上に降ろした。
まず帽子やマフラーなどの小物を外してから、コートとその下に着ていたフリース
のパーカーを脱がせる。・・・もっと着込んでいると思ったが、その下はTシャツしか
着ていなかった。
これならこのまま寝ても大丈夫だろうと、ルシードは一息ついて自分のコートを
脱いでハンガーにかけた。ビセットの隣には、いつの間にか猫が自分の場所を確保し
て一緒に眠りについている。
・・・この調子だと、ビセットはもう朝まで目を覚まさないだろう。初日の出を楽
しみにしていたようだが、起こすのも可哀想な気がする。もともと体も本調子ではな
かったし、買物のあとも疲れていたようでよく眠っていたし・・・日頃の疲れもある
だろうし、ゆっくり寝かしておいてやりたい気がした。
「う・・・ん・・・」
ベッドの中でビセットが微かにうめいた。いきなり薄着になったので寒いのだろう
か、シーツの上で何かを探すように腕を動かしている。
そういえば布団を掛け忘れていたのに気づいて、ルシードはベッドの方に戻った。
・・・いつも思うことだが、ビセットの寝顔は可愛い。おかしな気を起こす前にと、
ルシードは苦笑しながら布団をかけて立ち上がった。
「・・・ルシード・・・」
背を向けたと途端にいきなり名前を呼ばれて、心臓が跳ね上がる。ただ呼ばれただ
けならこうはならないが、あんなに切なげな声で呼ばれてドキッとしないわけがない。
恐る恐る振り返って見れば、ビセットの手はまだ何かを探すようにシーツの上を
さまよっている。一応、もう暖かくなったはずなのに・・・。
多分、間違いなく、あの手が探しているのは自分。・・・ビセットは隣にルシードが
いないことを不安がっているのだ。
最近、本当に毎日一緒だったからな・・・。
苦笑いを浮かべながら、ルシードはそっとビセットの頬に触れた。・・・原因は
わからないが本当に酔っ払っているのは確かなようで、赤く火照った頬が熱い。
ルシードの温もりを感じて安心したのか、ビセットの表情が安らいだ。触れた手に
擦り寄るように体を動かすビセットを見ていて、ルシードの頭の中に『据え膳食わぬ
は男の恥』という言い訳じみた単語が回りだす。
・・・ちょっと待て自分。覚えはないが昨日もこいつに無理させてんだぞ!?
そんなことを言っている理性は、だんだん頭の片隅に追いやられていく。
「・・・ルシード・・・」
もう一度名前を呼ばれた時には、もう押さえきれなくなっていた。
眠ったままのビセットに、覆い被さるようにしてキスをする。口を塞がれた息苦し
さに顎が上向いたのを契機に、ルシードは舌で唇をこじ開けて更に深く口づけた。
思う存分口の中を蹂躙したあと、Tシャツの裾を捲し上げる。冷え切った指先が
冷たいらしく、ビセットはびくりと身を縮めた。
「・・・あ・・・なに・・・?」
寝ぼけたような声が降ってきたが、ルシードは気にせず愛撫を続ける。既に硬くな
り始めている胸の突起に舌を這わせば、一際高い声が上がる。
「あんっ・・・な・・・に・・・ルシード・・・?」
「・・・どうかしたか?」
酔っ払っている上に寝起きで、ビセットはまだ状況が把握しきれていないらしい。
それをわかっていて、ルシードはわざとはぐらかすような答えを返した。
「なん・・・か・・・からだ・・・あつい・・・」
「ああ、気持ちいいだろ?・・・こっちもか?」
言いながらズボンの下に手を差し入れると、ビセットの体がびくんと跳ねる。
「やっ・・・つめたっ・・・あっ!」
熱を持ち始めた中心を愛撫しながら、さっきとは反対側の突起に舌を這わせて吸い
上げる。ビセットは堪らないといった様子で首を振り、シーツを掴もうと顔の横に
伸びた手が隣で寝ていた猫に当たった。
猫が目を覚まし、にゃあと非難の声を上げる。ルシードはドキッとして思わず手を
止めたが、だが猫はルシードを引っ掻きもせず大人しくコタツに移動していった。
・・・こういう時、邪魔をすると(ルシードを引っ掻けばもっと)怒られることを、
ちゃんと知っているらしい。
「・・・ルシード・・・」
手を止めたことを不思議に思ったのか、ビセットがルシードの名を呼んだ。
「やめちゃやだ・・・もっと・・・」
次に続く言葉を聞いて、ルシードの頭の中は真っ白になる。
・・・今、何て言った・・・?
熱で潤んだ瞳に責めるように見つめられ、ルシードは思い切りうろたえた。
・・・マジかよ、おい・・・!
「ルシード・・・お願い・・・きもちよくして・・・」 半ば硬直状態にあるルシードに
焦れたのか、ビセットがゆっくりと体を起こした。
そして首に手を回し、自分から唇を合わせる。しかも、舌を入れた深いキスを。
多分酔っているせいだとは思うが・・・それがわかっていても体が熱くなるのは
止まらない。
深く口づけたままビセットを押し倒し、ズボンに差し入れた手が愛撫を再開する。
ビセットの細身の体ががまたぴくっと震え、過ぎる快感に身を捩る。
喉の奥の喘ぎさえも奪うような深い口づけから解放しズボンから手を抜くと、
ビセットは不安げに小さくあっと声を上げた。
「・・・焦んなくても、ちゃんとしてやるよ」
耳元でそう囁いて、ルシードはズボンと下着を引き降ろしにかかった。
そして、開かせた足の中心に顔を埋める。
「あんっ・・・んっ・・・あぁっ・・・」
硬くなった中心を舐め上げられ、ビセットは切なげな声を上げた。
そのまま舌は奥の蕾の方まで這わされ、濡れそぼった中心は空いた手で先を
磨り潰すように弄られる。
「あ・・・はっ・・・ん・・・あぁんっ・・・」
生暖かい舌で硬く閉まっていた蕾が解きほぐされていく。
感じていることを隠そうともせず、むしろ自分からその波に身を任せるように、
ビセットは与えられる快楽に素直に反応し、蕩けるような表情を浮かべている。
「あ・・・も、もうダメ・・・ルシード・・・!」
そんなビセットに、ルシードもまた熱を煽られていく。滅多に見れないその表情に、
自分でも余裕がなくなっているのを感じる。
切なげな声に答えるように、ルシードは硬く張り詰めているビセット自身を口に
含み、解放に導いてやった。
「んぁっ・・・ああぁぁっ・・・!!」
焦らされた体はあっけなく登り詰め、ビセットは肩を上下させながら大きく息を
ついた。だが、呼吸を整える暇さえ与えず、ルシードは濡れた指をビセットの中に侵入
させる。
「あぁんっ・・・!は・・・んぁっ・・・ああっ・・・!」
休むまもなく与えられる快感に、ビセットは指が白くなるほどシーツを握り締める。
だが乱暴に内側を蹂躙していた指が、唐突に引き抜かれた。
「やっ・・・ルシード、まだ・・・いっちゃイヤ・・・」
ビセットの声に答えずに、ルシードは代わりに涙に濡れた瞳にキスを落とす。
それだけでどうするか伝わったらしく、ビセットは潤んだ目を閉じた。
そして、再び唇が重ね合わされる。
「・・・ルシード・・・きて・・・」
唇を離したあとにビセットは小さく呟き、受け入れやすいようにできるだけ体の力
を抜き、足を開いた。ルシードはもう一度唇にキスを落とし、それからゆっくりと
自身を中に挿入し始めた。
「ああっつ・・・んぁ・・・ああんっ・・・!」
待ちわびていた感覚が、体の中を突き抜ける。
「ビセット・・・悪ぃ、動くぞ・・・!」
熱い内壁に締め付けられ、ルシードも限界に近い。
「あんっ・・・ひっ・・・ああぁっ・・・!」
細い体を折れんばかりに抱きしめて、ルシードは何度も強く腰を打ち付ける。息を
つく間もないほどに激しく攻め立てられ、ビセットの口から悲鳴に近い声がもれた。
「ビセット・・・っ」
「る・・・るしー・・・ど・・・あ・・・あああぁっ!!」
体の中に熱い欲望が吐き出され、ビセットも熱を解放する。
覆い被さってくる体を受け止めて、肩で息をしながらその首に腕を回す。
「・・・ビセット・・・?」
「ルシード・・・大好き・・・」
耳元に囁かれた掠れた声に、ルシードは笑いながら僅かに身を起こしてビセットの
顔を見つめる。・・・繋がった部分が動いて、ビセットが小さく声を上げる。
「んっ・・・ルシード・・・?」
「・・・ビセット・・・」
呟いて、ルシードは腕の中のビセットの体をぎゅっと抱き締めた。
「・・・お前は・・・ずっと、俺の側にいろよ・・・これからも、ずっと・・・」
「うん・・・オレ、ずっとルシードの側にいる。次の年も、その次の年も、ずっと・・・」
二人は幸せそうに見つめあい、また唇を合わせた。
それからしばらくそうやって、そのままずっと抱き合っていた・・・。
・・・顔に当たる日が眩しくて、ビセットは重たい瞼をこじ開けた。
「ん・・・朝・・・?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・朝?
反射的がばっと跳ね起き・・・そして「ずきっ」と「くらっ」と「ずしっ」という
痛みに同時に襲われて、また布団の中に埋没した。
隣で寝ていた猫が、何事かとびっくりしてビセットに擦り寄ってくる。
だが、何事かと聞きたいのはこっちの方だった。
腰は痛いし体はだるいし・・・この辺はまだ原因が想像つくけれど、頭が痛いのと
胃がむかむかして気持ち悪いのは一体どうしたのだろう?
頭痛といっても熱いが出た時とかに感じる痛みではなく、全く異質の・・・感じた
ことのない頭痛だ。
「・・・ん?やっと起きたか?」
どんぶりの乗ったお盆を片手に、キッチンの方からルシードが歩いてきた。
「ルシード・・・おはよ」
聞きたいことはたくさんあるのだが、とりあえず出てきたのはその言葉だけだった。
昨夜・・・といっても日にち的には今日なのだが、ルシードと一緒に初詣に行って、
アルベルトとクレアとフローネとルーとセトにあって、甘酒を飲んだところまでは
覚えている。ルシードとルーが何か言い争いを始めて・・・それで・・・?
「気分はどうだ?・・・って、その顔じゃ聞くまでもねえな。水飲むか?」
ルシードにコップを差し出され、ビセットは始めて自分の喉が渇いていることに
気がついた。悲鳴をあげる体に鞭打って上体を起こし、コップを受け取りあっという
間に飲み干して一息つくと、やっと少し落ち着いた。
「あのさ、ルシード・・・」
「・・・お前、俺の前以外じゃ酒は飲むなよ。俺がいない所じゃ一口、いや一滴も
口にすんじゃねえ。飲まされそうになっても逃げろ。・・・わかったな?」
尋ねる前に真剣な表情で言い聞かされ、ビセットは顔からさ〜っと血が引いていく
のを感じた。
「オレ・・・昨日、酔っ払った・・・の?」
「ああ。これ以上ないくらい思いっきり酔っ払った。・・・詳しく聞きてえか?」
「・・・遠慮しとく・・・」
聞かなくたって体の異常が昨夜何があったか雄弁に語っている。
・・・合わせる顔もない、ということはまさにこういうことを言うのだろう。
昨日偉そうに説教した自分が、今日は酔っ払って起こられる側に立っている。
居たたまれなくなって、ビセットはばふっと枕に顔を押し付けた。
「・・・おい、大丈夫か?」
「・・・あんまり平気じゃない・・・」
精神的にもだが、冗談抜きに肉体的にもかなり辛かった。
「・・・一応、二日酔いの薬があるが、飲んでみるか?」
「うん・・・そうする。ごめんねルシード・・・」
「お互い様だろ、今回は。・・・お互い、酒に飲まれねえように注意しねえとな」
苦笑しながらそう言って、ルシードはコップに水を注ぎ足し錠剤と取り出した。
「ほれ、飲めるか?」
「い、いいよ自分で・・・痛っ」
起き上がろうとして腰に激痛が走り、ビセットはまたベッドに沈んだ。
「無理すんなって・・・ただでさえ連チャンだったんだし。ほら、口開けろ」
ビセットは涙目になりながら、諦めたように目を閉じて口を開けた。開いた口に
錠剤を放り込んで、ルシードはコップの水を口に含む。
口移しに水を貰って、ビセットの喉が水と一緒に錠剤を飲み込む。口の端からこぼ
れた水が顎を伝ってパジャマを濡らした。
「・・・どうしてこういうことしたがるかな・・・口移しじゃなくて、ちゃんと
コップ使ったって飲ませれられるだろ〜?」
「まぁな。でもこっちの方が確実だろが。・・・それにお前だってちゃんと目、閉じて
待ってたじゃねえか」
からかうように言って、ルシードはベッドの脇に座りビセットの顔を覗き込んだ。
「それはルシードがいっつもそうするからでしょ!!?・・・って、いててて・・・」
自分自身の声に刺すような激痛を感じ、ビセットは頭を押さえてのたうった。
「・・・アホか、お前は」
「ほっといてよ・・・」
そう言って、ビセットは深いため息をつく。
「はぁ・・・結局、初日の出見に行けなかった・・・」
ものすごく残念そうに、ビセットは枕を抱き締めた。
「気にすんな。また来年見に行きゃすむことだ」
さらりと答えるルシードに、でも・・・とビセットはまたため息をつく。
「でもルシード・・・課題溜まってなったら実家帰るんじゃないの?」
「あのな・・・お前、俺がそれだけの理由で帰んのやめたって、本気で思ってるのか?」
「え・・・それじゃ・・・」
そう言って顔を輝かせるビセットに、ルシードは笑ってキスをした。
「・・・お前は、ずっと俺の側にいろ。これからも、ずっと・・・ずっとだ」
優しい声で言われて、ビセットは耳まで赤くして何度も何度も頷いた。
「ね、ねぇ・・・じゃあ学校卒業したら?」
「そしたらどっかに部屋借りて・・・どうせだから俺が大学卒業したら、
お前も寮出るか?」
「あ、それいいかも!・・・でも、ペット可のトコね!」
「黙って飼えばわかんねーよ。今だってそうだろうが」
「そういえばそうだっけ。あははははは!」
楽しそうに笑って、ビセットは頬に添えられた手に顔を擦り付けた。
しばらくそうやって目を閉じていたが・・・ふと思い出したように顔を上げる。
「・・・そういえばルシード、オレ聞きたいことがあったんだ」
「聞きたいこと?・・・なんだよ、いったい?」
「うん、去年の年末にゼファー先生に年越しソバ奢ってもらったって話しただろ?
その時に『来年の暮れにルシードが寮にいたら聞いてみろ』っていわれてた言葉が
あるの、今思い出したんだけどさ・・・」
「・・・そういや去年の寮監あいつだったっけな・・・で、なんだって?」
「うん、あのさ・・・」
ビセットは首を傾げながら、わけがわからないといった調子でこう言った。
「・・・『姫初め』って・・・なに?」
それを聞いた途端、ルシードの頭の中が真っ白になる。
・・・読んでたのか?ゼファー・・・!?
厳密にいえば違うような気もするが、ルシードはその問いに答えることが
できなかった。
・・・今年も、トラブルだらけの一年になりそうだ。
さざえのたわごと
え〜、これは陛下のキリリク貢物『組曲でお正月』ネタでございます。毎日の生活
だけでも十分恥さらしてるのに、その上また更に恥をかこう企画第2弾のつもりで
書きましたが、まーた別方向の恥をさらしているような気がします。
これを書いている時は20世紀でしたが、もう21世紀なんですねぇ・・・
書き終わった時点でもう私の2000年は終わってる感じがしてましたが、
HPに載せる頃にはお正月が終わっているという、なんともまぁ笑えない結果に・・・。
・・・ごめんね、陛下(死)ラブラブは外すとただのギャグ・・・それを肝に銘じて
書いたのに、怖気づいてギャグで落としちゃった(死)
でも、酒に弱い受けはわりと書くけど、酒で怒られた攻めを書いたのは初めてよ(笑)
つーか、どうでもいいけどいい加減長いっつーの!!(自爆)
・・・では、ここで書かなくていい恥をもう一つ。
時間に追われ、鬼のようにキー叩きながら、ふと我に帰って弟に一言。
「ねえ、ひな祭りに飲む子どもも飲んでいいお酒って甘酒だよね?」
「・・・姉さん、それは『白酒』。甘酒は酒じゃないっつの」
「え!?じゃあ飲んでも酔っ払わないの!?」
気づいたときには既に遅し。差し替えるネタもなく、苦肉の策としてルーに一枚
噛んでもらったというわけです。(ゼファー「先生」にバイトさせらんないし)
ついでに他のも出したら、結構賑やかになっちゃいました。セトくんってのは
悠久2の主人公君の名前で、苗字は海・・・(カードで首を掻き切られた)
ちなみに、甘酒ただで配るのは某田舎の神社の風習(?)です。ホントはみかんと
お札らしい紙切れつきの笹も一緒に配ってます。某少年漫画では御神酒配ってました
けど・・・田舎だけに予算がないようです(大笑)それとも、子供向けに甘酒用意して
たんでしょか・・・???最近行ってないんでわかりません(死)
とまぁ・・・年が明けてもこんなノリですが、今年もよろしくお願いします(苦笑)
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