『雨の日に思うこと』
・・・その日は昼から雨だった。
朝方は晴れていたのに、昼から急に雲行きが怪しくなり出して・・・そして授業が終わ
る頃にはどしゃ降りになっていた。もっとも、今日がそういう天気だということは天気予
報でちゃんと予想されていたことなので、カサを持って来ている人は案外多いようだった。
・・・もちろん、傘の持ち合わせも置きガサもない者も少なからずいた。
日が落ちるのもかなり早くなり、日に日に寒さが増してきたこの時期にどしゃ降りの雨
に打たれればどうなるかは考えなくたってわかる。
・・・だが、そういう時は誰かのカサに入れてもらえばいいだけのこと。
ビセットは大学部の構内をきょろきょろと見回しながら歩いていた。
雨のため外を使う運動部は軒並み自主トレになっている。部活は好きだが他にもやりた
いことがたくさんあるビセットには、こういう思いがけない余暇は嬉しいものだった。
しかし、いつも天気予報なんて気にせずに部屋を出るビセットはカサを持っていない。
濡れて帰るのは嫌だし、いつもカサに入れてくれる人物を探しにきたのだが・・・部活
は自主トレになっているはずなのに、構内のどこにも姿が見当たらない。
(ここにもいないや・・・どこ行っちゃったんだろ、ルシード)
・・・ルシードが居そうな場所は、中等部も高等部も職員棟も・・・どこもかしこも
全部探しつくした。あとはこの講義棟ぐらいなのだが・・・。
今日みたいな急な雨の日はいつも一緒に帰るのに。いや、雨のない日だっていつも一緒
で・・・どちらかに部活があったってお互い絶対に待っている。
だって、そう約束したのだから。・・・絶対に一人で置いて行ったりしないって。
だから信じている。ルシードは自分を置いて先に帰るなんてこと絶対しない。そう信じ
てはいるけれど・・・やっぱりどこを探してもルシードの声も姿も見つけられない。
いい加減疲れて、一休みしようと思って自動販売機のある休憩スペースにもう一度行っ
てみると、さっきまで居なかった人物が椅子に座って本を読んでいた。
「あ、ルーじゃん!」
助かったと思うのが、声の調子にまで表れる。
ルシードとルーは学部が一緒・・・つまり同じ授業を取っていることも多い。
本人たちに言うと怒るが・・・保健室にたまっている似た者同士で結構仲がいいし、
何か知っているかもしれない。
ルーの方もビセットに気づき、本から顔を上げた。
「なにか用か?・・・ルシードなら居ないぞ」
用件を言う前に聞きたいことをずばりと言われる。迷惑そうな口調だが、これでもルー
にしては愛想がいい方だということは知っているので、その辺は気にしていないが・・・
「え!?もうルシード居ないのっ!?何で!?」
信じられないという表情で大声をあげるビセットを、ルーは意外そうに見ながら、
「いや・・・『もう』も何も、今日は来ていないと思ったが。講義は休講だし、
この雨では射撃部の方も休みだろうから、あいつが学園に来る必要性がない」
「え、休講・・・?」
ルーに言われて、ビセットは今朝のことを思い出す。
今日はルシードのとっている講義が午後からの3時限目だけなので、朝は一緒に行けな
かった。これはいつも通りのことで、だからビセットはいつものように飼い猫をルシード
に預けに行って、それから寮を出た・・・
(あれ?そう言えば・・・)
・・・言われてみれば。確かあの時・・・。
『今日は俺、講義が休講だから学校行かねえからな。・・・さっさと帰ってこいよ』
・・・とか言っていたような。しかも・・・。
『そういや、さっき午後から雨だっていってたな。俺をアテにできねえんだから、
今日はちゃんと自分でカサ持ってけよ』
・・・と、言われた気もする。今の今まで、ものの見事に忘れていたが。
「その顔を見る限り・・・忘れていただけのようだな」
言いながら、ルーは意地悪く笑う。
「大方、居ない人間を探して走り回っていた、と言うところか。ケンカでもしたのかと
思ったが・・・そうではないらしいな。相変わらず仲のいいことだ」
「あったり前だろ!オレとルシードがケンカなんてするわけないじゃん!」
「・・・そうだったな」
呆れ半分のため息をつき、ルーは窓の外に目を向けた。
「何にせよ、わかったのなら早く帰ることだ。・・・この調子だと、
時間がたてばたつほど雨足が強くなるぞ」
「う、うん・・・ありがと、ルー」
カサがないからルシードを探していたとはさすがに言えず、ビセットは曖昧な笑みを
浮かべた。ルーの言葉が本当ならなおさら、急がなくてはならない。
「じゃ、オレ行くね!また明日な〜!」
「ああ。・・・気をつけて帰れよ」
ビセットはルーに手を振り、足早に歩き出した。
その後ろ姿を見送りながら、ルーはふと首を傾げる。
「そういえばあいつ、カサを持っていなかったな。・・・どうやって帰る気だ?」
「ああ・・・やっぱり遅かった・・・」
・・・誰かのカサに入れてもらう場合、一番重要なのはタイミングだ。
ルシードを探して学園中を探し回っていた間に、下校時刻のピークはもうとっくに
過ぎてしまったようだった。昇降口は全く人気がなく、閑散としている。
誰かのカサに入れてもらって帰ろうにも、その入れてくれる人が誰もいないのでは話に
ならない。完全にそのタイミングを逃してしまったビセットは、ため息をつきながら靴を
履き替えた。
そして、とりあえず屋根の下まで行って空を仰ぐ。
・・・ルーの言葉通り、さっきより心なしか雨足が強くなっている気がする。
(どうしよ・・・もう濡れて帰るしかないのかな・・・)
雨のせいか、外気は日中よりだいぶ下がって予想以上に寒い。どんなに走ったって寮に
帰るまでに頭から足の先までずぶ濡れになるだろうし、そうなれば絶対風邪をひいて
しまう。・・・前にも経験があるだけに、それは避けたいところだ。
ビセットは昔から天気なんてあまり気にしない方で、カサを忘れて人にいれてもらう
ことなんてしょっちゅうだった。ルシードと帰るようになってから前以上に・・・カサを
持って登校した日なんて、それこそ指を折って数えられる程しかない気がする。
面倒くさがりというか用意がいいというのか、ルシードはいつも射撃部の部室にカサだ
の着替えだの、一通りのものを置きっぱなしにしていることをビセットはよく知っている。
だから別に自分がカサを持たなくたって濡れる心配はない訳だし、どうせ一緒に帰るな
ら相合い傘で帰りたい・・・そう思って、わざとカサを持っていかないようにしていた。
朝っぱらから雨が降っていたって、カサが壊れたとかなくしたとかあれこれ理由をつけ
て、朝から一緒に同じカサで登校してるぐらいだし。
さすがに大学生だけあって毎日朝から講義というわけではないから、そういう日はさす
がに自分のカサをさして登校するけれど。それ以外はカサなんて持たないし、置きガサだっ
てしない。それが今回、仇となった訳だが。
(ルシード・・・電話したら、迎えにきてくれるかな・・・)
ふと思い付き、カバンの中をごそごそと引っかき回す。だが、携帯電話らしきものには
全然触れられない。さ〜っと血の気が退く思いがして・・・教科書なんて入っていない軽
いカバンの中身をひっくり返すが、目当ての物は見つからない。
(しまったぁ!そういや昨日充電してたんだった!!)
一番話したい人とはしょっちゅう一緒に居るし・・・授業中にメールを送るとあとで怒
られるわで普段あまり使わないので、すっかり忘れていた。
しょうがないので、ビセットは校内の公衆電話に走った。
十円玉を入れ、おぼろげな記憶を頼りにダイヤルをプッシュする。
・・・ルシードとは部屋が隣同士なので、やろうと思えば大声で壁越しに会話をするこ
とだってできるし、電話するより部屋に押しかけたほうがはるかに早いし電話代もかから
ない。電話をかけるのなんて、本当に久しぶりの気がする。
どうにか繋がったようだが・・・十数回のコール音の後、電話は留守電に切り変わった。
『ただ今留守にしています。用件のある方は・・・』
応答メッセージは電話機そのものに登録されているコンピューター音声のもので、確信
は持てないが・・・多分ルシードの部屋のだろう。
(げげ、留守かよ・・・)
こんな雨の中いったいどこに行ってるんだと悪態をつきながら電話を切り、今度は携帯
の方にかけようと、もう一枚十円玉を取り出した。
そこでふと、大事なことを忘れていることに気がつく。
(・・・やば、携帯ないとルシードの携帯の番号わかんないじゃん!)
それにルシードは『うっとおしい』とか言っていつも電源をオフにしている。番号がわ
かったとしても、繋がったかどうかわからない。それじゃいったい何のための携帯電話な
んだかとビセットは常々疑問に思っているのだが・・・ビセットの方も持ってても充電し
忘れたり部屋に忘れたりで全然活用していないので、あまり人のことは言えなかった。
打つ手のなくなったビセットは、ため息をつきながら再び受話器をフックに戻した。
十円玉が落ちた音が、静まり返った校内に虚しく響いた。
(あ〜あ、どうしよっかな・・・やっぱゴミ袋かぶって帰るしかないかなぁ・・・?)
十円玉をポケットにしまいながら、ビセットはとぼとぼと歩き出した。行き先は昇降口
ではなく、近くの教室に向かってだ。多分掃除用具入れの中にゴミ用の大きなビニール袋
があるはずで、それをかぶって帰ればとりあえずはずぶ濡れにならずにすむ。
本当はこんな惨めなことやりたくないが、いつまでも学校に残っているわけには
行かないし、背に腹は代えられない。
・・・雨に打たれてひく風邪は最悪だ。忘れようとしていた記憶を・・・孤独を思い出
させる。カサを持って迎えにきてくれる人も居なければ、熱を出して寝こんでも看病して
くれる人も居ない。泣いても叫んでも誰も答えてくれない、独りっきりの、寒い部屋。
・・・もう、あんな思いはしたくない。
手近な教室の用具入れからゴミ袋を引っ張り出しながら、ビセットは思わず身震いした。
この学園に来る前から、雨は大嫌いだった。雨が降るとわかると一日中憂鬱になるので
天気予報も嫌いだったし、カサも雨を連想するから嫌いだった。
でも雨が降ったって迎えにきてくれる人は居ない。いつもいつも、一緒に雨宿りしてい
た友達たちがカサを持って迎えにきてくれた母親に連れられて帰っていくのをただ見送る
ばかりで・・・たまに『一緒に帰ろう?』と誘ってくれるお母さんもいたが、これ以上
惨めな気持ちになりたくなくて断わっていた。
・・・どうして来てくれないの?お母さん・・・!
仕方ないことだとわかっていても辛かった。でも一人で打たれる雨は冷たくて、冷たく
て・・・とても冷たくて、身も心も凍りついてしまいそうだった。
(・・・そんなの、ずっと忘れてたや・・・)
ビセットは改めてゴミ袋に視線を落とした。この学園で使っている袋は透明なものなの
で、昔みたいに視界を確保するための穴は空けなくてもよさそうだ。
『・・・お前、そんなモン持っていったい何する気だ?』
唐突に思い出したのはもう一年以上昔の・・・この学園に来たばかりの頃の出来事。
あの日も下校時間のピークに乗り遅れて、誰も居ない昇降口で一人途方に暮れていた。
『カサ持ってないのか?・・・しゃあねえな、入れてってやるよ。二人じゃちっと狭いが
ゴミ袋よりゃマシだろ。ただし、寄り道はなしだからな』
ただの怖い先輩だったルシードが、神様に見えた。
他にもいろいろ、助けられた思い出はたくさんあるけれど・・・思えばあれがルシード
に興味を持った、最初のきっかけだったのかもしれない。
思い出して、ビセットは少しくすぐったいような気分になった。
(そっか、ルシードが忘れさせてくれたんだ)
雨の冷たさも、孤独の寂しさも。いつもルシードが側に居てくれたから。一人にしないっ
て約束してくれたから・・・一人だった辛さも忘れてしまえた。
・・・そう、今なら例え熱を出して寝こんだって大丈夫、一人じゃない。一人で寒さに
震えなくたっていい。寒くても身を寄せあい、暖め合える人が居る・・・。
だから大丈夫。きっと雨だってそんなに冷たく感じない。
よし!と気合いを入れて、ビセットは昇降口に向かって走り出した。
「ビセット!」
昇降口に入った途端いきなり声をかけられて、ビセットは心臓が飛び出るほど驚いた。
・・・靴箱の前に、私服姿のルシードが不機嫌そうな顔で立っている。
「る、ルシード!何でここにいるんだよ!?」
慌てて駆け寄りながら信じられないという気持ちでビセットが言うと、
ルシードはさらに目を吊り上げ、
「何でじゃねえよ!こんな時間までいったい何してやがったんだ、お前は!」
「な、何って・・・」
ルシードを探していたなんて事は言えず、ビセットは思わず返答に詰まる。だが、
ルシードの方はビセットの手に持っている物を見て大体の事情を察したようだった。
「・・・お前、またカサ忘れたのか。朝ちゃんと持ってけって言っただろーが」
「う、うん・・・ごめん」
ビセットが素直に謝ると、ルシードは呆れたようにため息をついた。
「いつまでたっても帰ってこねえから、そんなこったろーとは思ったが・・・携帯まで
忘れやがって。これじゃあ携帯の料金の払い損だな」
「そ、それはルシードだって同じだろ!?いっつも電源切ってるくせに!」
反論するビセットの目の前に、ルシードはポケットから取り出した物を押しつける。
「・・・?」
手に取って見てみると、それはルシードの使っている携帯電話で・・・電源は
ちゃんとオンになっている状態だった。
「そういうことは電話してから言え。・・・ったく、ゴミ袋かぶるぐらいなら
電話するぐらいの知恵回せっての」
「・・・携帯忘れたから、番号わかんなかったんだよ」
「・・・どっちにしろマヌケじゃねえか」
「で、でも部屋には電話したんだぞ!でも留守電になってて・・・」
言いながら、ビセットはふと気づいた。
さっきルシードの部屋に電話してから、まだそんなにたっていない。
それなのにルシードがここにいるということは、つまり・・・
「・・・ルシード、もしかしてオレのこと迎えに来てくれたの!?」
ぱっと顔を輝かせるビセットに、呆れたような照れたような表情でルシードが答える。
「あのな・・・他に何しに来たように見えんだよ?お前、本当によくカサ忘れやがるし・・
・誰かのカサに入れてもらって、そのままそいつんちに居座ってんのかとも思ったんだが、
念のためにな。・・・ホントにまだ学校に残ってたとは思わなかったが・・・」
ルシードの言葉の後半部分は、ビセットの耳に届いていなかった。ルシードが自分を
心配して迎えにきてくれたのが嬉しくて嬉しくてたまらなくて・・・ビセットは我慢でき
ずにルシードに抱きついた。
「わっ!な、何だいきなり!」
「・・・だって嬉しいんだもん!迎えに来てもらうの初めてだし・・・しかもそれが
ルシードだったんだから、もう嬉しくて嬉しくて死んじゃいそうだよ〜・・・!」
本当に嬉しくてしょうがなくて、涙まで出てきた。
「・・・その程度で死ぬな、バカ」
ルシードは呆れたような口調で呟き、ぽんぽんとビセットの頭をあやすように叩いた。
「・・・あのね、ルシード。さっきオレ、思い出したんだ」
「あ?」
「オレね、昔はすっげえ雨嫌いだったんだ。・・・でも、今はそうでもなくなった。
雨が降っても気にならなくなったの、ルシードのおかげなんだ・・・」
そこで言葉を切り、ビセットは顔を上げルシードを見つめた。
「だから・・・ありがと、ルシード。大好きだよ」
そう言って、ビセットはにっこり微笑んだ。普段の嬉しい笑顔とは少し違う・・・安心
感と幸福感の入り交じった笑みを。こんな表情はルシードの前でしかできないという
ことを、彼は知っているだろうか?
「・・・俺としては、もうこういうのはゴメンだがな。つーか、ちゃんと携帯ぐらい
持ってけ。・・・連絡よこせば、ちゃんと迎えに行ってやるから」
「うん。ルシードもちゃんと電源入れておいてよ?」
「言われなくても、お前が側にいない時は電源入れてるから安心しろ。
・・・ほら、そろそろ離れろ。さっさと帰らねえと雨が酷くなる」
「・・・ヤだ」
嬉しそうにそう言って、ビセットは抱きついている腕にさらに力を込めた。
「お前な・・・」
「じゃあ、ルシードがちゅーしてくれたら離れる〜」
にかっと笑い、ビセットはルシードを見上げ・・・そして、目を閉じた。
・・・ルシードがため息をつくのが聞こえた。
でも、顔が近づいてくるのは気配でわかる。
・・・・・・・・・・が。
「・・・いって〜!な、何すんだよぉ!」
鼻を噛まれて、ビセットは涙目で抗議する。
「調子に乗るからだ、アホ。少しは反省しろ」
言いながら、ルシードはさっさと玄関の方へ歩いていく。
「・・・も〜!ルシードのケチ!」
恨み言を吐きながら、ビセットは急いで靴を履き替え後を追う。そして、カサを持った
ルシードの腕に、自分の腕を絡めた。
「・・・ビセット・・・」
「いいじゃん、腕組むぐらい。くっつかないと濡れるじゃんか」
「そうじゃなくて、お前そんなに俺にくっついてたいのか?」
確かに言うことは正論なのだが、カサを支える腕にくっつかれるのは結構疲れる。
歩き出してもいっこうに離れようとしないビセットの強情さにルシードは思わず
ため息をつき、呆れて言った。
「もっちろん!だってルシードのこと好きだもん!」
何の臆面もなく言い切るビセットに、ルシードはやはり照れたような呆れたような
表情をしていたが・・・何か思いついたらしく、急に意地の悪い笑みを浮かべる。
「・・・そんなに言うなら、寮についたら思う存分抱きつかせてやるよ。
それこそ、嫌になるくらいにな」
ビセットは一瞬その言葉の意味を理解できずにいたが・・・『嫌になるくらい』の
意味に思い当たり、顔を真っ赤に染めた。
「な、何言ってんだよ!そういう意味で言ったんじゃ・・・」
「そういえばキスもしたがってたよな?そっちも忘れてないから安心しろ」
「だからそういう意味じゃないってば〜!!」
真っ赤になって抗議するビセットを見て、ルシードがくっくっと笑う。
「笑うな〜!」
「・・・何だよ、嫌なのか?」
「う・・・」
面と向かってそう言われると、嫌とは言えないビセットだった。・・・それを知ってて
ルシードがわざと言ってるとをわかっていてもだ。
「ま、今日はいろいろ心配かけられたことだし・・・これくらいの役得があったって
いいよなぁ、ビセット?」
「・・・あ、跡つけないようにしてよ?明日、体育あるんだから・・・!」
「ふ〜ん・・・じゃあ、諦めて休め」
赤い顔をさらに赤くして答えるビセットに、ルシードはさらに意地悪そうに言う。
「・・・ルシード!」
責めるような口調で抗議しても、ルシードは全然涼しい顔をしている。
だめだ聞いてないと、ビセットは思わずため息をついた。
・・・降り続く雨はいっそう激しさを増している。この分じゃ明日もグランドは使えな
いだろうし、部活が休みになることは目に見えている。体育も今は女子が体育館を使用
していて、男子は外だから教室で自習になりそうな気はするが・・・。
「・・・どうせなら、学校も休みになっちゃえばいいのにな・・・」
「ん?何か言ったか?」
「なな、なんでもないっ!」
ルシードに問われ、ビセットは慌てて首を振る。学校が休みになればいいなんて、
今のルシードに聞かれたら本気で休まざるを得ない状態にされかねない。
(・・・まぁ、そうなったらちゃんとルシードは一日中側についてくれるだろうけど)
それも悪くはないかなと思いつつ、ビセットはルシードの腕に頬を寄せる。
「ね〜、ルシード」
「何だ?」
「オレのこと、好き?」
「んだよいきなり・・・当たり前だろ」
照れながらのルシードの答えに、ビセットは口を尖らせる。
「ちゃんと好きって言ってくんなきゃヤだ。・・・オレのこと、好き?」
「・・・好きだよ」
むすっとした声だけど、それが照れているせいなのは顔を見なくてもわかる。
・・・本当は、聞かなくたってわかっているけど。
でも、ちゃんとルシードの声で言われるともっと嬉しくなるから。
「へへへ〜・・・じゃあ、いいや」
・・・好きな人と一緒にいる時間が、何より幸せだから。
雨の冷たさも気にならないぐらい・・・ね?
さざえのたわごと
一部の身内にツッコミ入れられる前に自分で白状します。私は雨に濡れた小犬(子猫?)
のような美少年に大変弱いです。・・・某天才(美)少年剣士くんの影響で。
よく考えたらビセ子と彼、性格正反対だけど同い年じゃん(苦笑)
もともと違うジャンルので考えてたお迎えネタ・・・半分実体験ですが(ゴミ袋は
被ってません)待ち惚けの切なさってーのが少しでも伝わったなら成功です!(何が)
一応ラブラブ目指したつもりだけど、どんなもんでしょね?
どっちにしろ、わたしゃビセ子泣かすのが好きらしい。いろんな意味で(鬼)
さざえをよりよく知るための用語解説(笑)
『某天才(美)少年剣士』
某RPGに出てきた喋る剣を持った薄幸の美少年。さざえの永遠のハニ〜であることは
身内ではめっさ有名。最近ビセ子もそうなりつつあるけど(苦笑)
『違うジャンル』
某少年誌にて連載中のアゴが外れるほど同人人気の高い忍者漫画。
学校にてかごめ氏がそれの原稿を描いてるのを見てこのネタを思いついたんよ、実は。
・・・そっちで書かずにルシビセで書くとは、我ながらいい根性してるよ。
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