『ラブ・ハイポーション』

・・・ルシードは思っても見なかったこの状況に、非常に困惑していた。
朝からずっとくっついて離れないビセット。
自分たち以外の人間は全員外に出払ってしまって、嘘のように静まり返った事務所。
何に気兼ねすることもなく、好きなようにできる絶好の機会と言えばそれまでだが・・・
釈然としないのは、ビセットがこんな状態なのは本人の意志によるものではなく、ゼファー
の調合した怪しげな薬のせいだということだ。
その薬の名は、ゼファー曰く『試作型惚れ薬改』・・・らしい。
『改』とつくからにはその前があったわけで、しかもその実験をしたから『改』が出来
たのだろう。いったい誰でその実験をしたんだとツッコミたいところだが、生憎そんな
悠長なことをしている場合じゃなかった。
いつ飲ませたのか知らないがその効果はそんなに長くないらしいし、惚れ薬と言っても
誰彼構わず手当しだいに付きまとって離れないわけではなく、対象はあくまでルシード
1人だ。だからすでにもう『恋人』であるルシードにとっては、いつもより余計にくっつ
かれているぐらいのものでしかないのだが・・・ただ人の目を気にせずというところが問
題だった。場所も考えずいきなりキスはするわ、他のメンバーに嫉妬して暴れるわ・・・
もう既に二人の関係を知っているバーシアやフローネならともかく、何も知らない
メルフィやルーティやティセに見られたら厄介なことになる。
・・・と、いうことで気をきかせたバーシアたちが薬の症状が落ち着くまで、他のメン
バーを引き連れて外に買い出しの旅(?)に出てくれたのまではよかったのだが・・・。
「・・・ビセット」
名前を呼んで手でそっと頬に触れると、ビセットは甘えるようにその手に擦り寄ってく
る。顔がほんのり赤く見えるのは薬のせいなのだろうが・・・表情も仕種もこの上なく
扇情的で・・・ルシードは頭を抱えたくなった。
こんな調子で、しかも四六時中くっつかれたままでまともに理性が保っていられるわけ
もなく・・・それでも手を出しあぐねているのは、ただ単にどうもゼファーに踊らされて
いるような感じがするのと、ビセットが薬のせいでこんな状態であるというのが気に入ら
ないからだ。それに・・・この状況で手を出したら、『薬が切れるまでもたなかったのか』
と、あとで何を言われるかわからない。
絶対手を出さないという決意が揺るがないよう、自室ではなく談話室のソファにいるの
だが・・・それもいつまでもつやら。
「・・・ルシード、どうしたの?」
苦虫を噛み潰したような顔をしているルシードを、ビセットは心配そうに見上げた。
「いや・・・何でもねえよ」
「・・・オレがこうやってくっついてんの・・・迷惑?」
確信があるらしく、沈んだ声で言うビセットの目は少し潤んでいる。彼はいつも、
こういう妙なところで異様に鋭い。
「・・・迷惑じゃねえが・・・何でそんなにくっつきたがるのか聞いてもいいか?」
苦笑いを浮かべながら、ルシードは前々から思っていた疑問を尋ねる。・・・今日は
異常だが、普段からビセットは何かにつけてくっつきたがる。くっつくとまでいかなくて
も服の裾や髪を掴んでいたり、とにかく側を離れようとしない。
そのことを常々疑問に思っていたのだが・・・いつもなら言葉を詰まらせるであろう質
問に、これも薬のせいなのかビセットは何の迷いもためらいもなく、きっぱりと即答した。
「くっつくの好きだし、それに不安だから。そんなこともわかんないの?」
「不安?・・・何でだよ?別に俺はどこにも行かねーぞ?」
思いもよらない返答にルシードが眉を潜めると、ビセットは少し怒ったように
強い口調で言い返す。
「そんなこと言われたって不安だよ。ルシード自身がどっか行っちゃわなくても、
気持ちが誰か別の人のとこに行ちゃうかもしれないし」
そうは言われても、ルシードにはいったい何でそういう考えが生まれるのかさっぱり
わからない。それが表情に出ていたのか、ビセットはため息をつき・・・そして腕を首に
回してきた。しかも、ルシードの足をまたいで覆い被さるような体勢で・・・
「お、おい、ビセット・・・」
慌てるルシードの言葉を遮って、ビセットは話を続ける。
「・・・だってルシード、自分のこととか悩みごととかあんまり話してくれないじゃん。
だいたい、オレがしつこく聞かないと『好き』って言ってくれないし。本当にオレの
こと好きでいてくれてるのか・・・嫌いになってないか、いつも不安なんだよ?」
いつになくすらすらと語られる言葉は、きっとビセットの本心なのだろう。語られるこ
と自体は薬のせいでも、言葉の中身はまぎれもない・・・ビセット自身の想い。
 言葉の最後の方は涙声になっていた。
・・・自分のせいでこんなにビセットが不安になっていたなんて思っていなかった。
何も答えられないルシードに、ビセットは自分から唇を重ねる。
薬のせいだ、とはわかっていても・・・普段のビセットではあまり期待できない行為に、
体が熱くなるのを感じる。
最後の理性が音を立てて崩れていくのを感じながら、ルシードはビセットの腰に手を
回し抱き寄せた。・・・もう、あとのことなんてどうでもいい。
残ったのは切ないくらいの愛しさだけだ。
「ビセット・・・」
呟いて、離れていった唇に今度はルシードの方から口づける。
・・・先程の唇を合わせるだけのものではない、深い深い口づけ。舌を絡めると、
ビセットはびくりと震え、首にさらに強くしがみついてくる。
口づけの合間に甘い吐息が漏れる。
再び唇を離したときには、ビセットの体からはすっかり力が抜け切っていた。
「・・・ルシード・・・」
掠れた声で呟かれ、ルシードは答えの代わりに潤んだ目もとに唇を落とす。
「・・・ルシード・・・オレのこと、ちゃんとまだ好きでいてくれてる・・・?」
まだそんなことを言っているのが可愛くて、ルシードは思わず苦笑する。
すっかり自分に身を預け、潤んだ瞳で見上げてくるビセットを安心させるため、耳朶を
噛むようにして密やかに囁く。
「当たり前だ。・・・好きでもない奴にこんなことするかよ」
そのまま首筋に唇を落とし、さらに手はビセットの服を脱がしにかかる。
ビセットの体が、またびくんと大きく震えた。
「あっ・・・る、ルシードっ・・・!」
「好きだ・・・ビセット・・・」
不安を打ち消すためにもう一度囁けば、ビセットはくすぐったそうに身を捩る。
首筋に赤い跡を残し、唇ははだけさせた胸元へと落ちてゆく。唇が肌を滑る度、
ビセットの口から甘い喘ぎが漏れる。
心なしかいつもより敏感になっているように感じるのは、やはり薬のせいだろうか?
のけ反る体を片腕で支え、空いた方の手は下肢へと伸びる。膝立ち状態のビセットから
器用にズボンと下着を脱がせ、既に濡れ始めたその中心に触れた。
「あんっ・・・!」
「やっぱりいつもより敏感になってるみてえだな・・・」
媚薬まで入ってたのかと、ルシードは思わずため息をつく。
「・・・?」
どうかしたのかと、ビセットが不思議そうにルシードの顔を覗き込んだ。
「何でもない・・・お前が気にすることじゃねえよ」
ルシードは笑って首を振り、また唇を合わせた。さっきはされるがままだった
ビセットも、今度は自分の方から舌を絡めてくる。
・・・しばらく中心を弄んだあと、指は奥へ侵入する。
その途端、ビセットはルシードの首にしがみつき身を強張らせた。
「や・・・だめっ・・・まだ・・・っ」
「さすがにこれじゃキツイか・・・なら」
ルシードが口もとに指を持っていくと、意図を察したのかビセットは自分から指を口に
含んだ。くわえた手に両手を添えて懸命に舌を使う姿はいつも以上に幼く見え・・・
それだけで体を熱くする。
「・・・ビセット、もういい」
言いながら、もう片方の腕でビセットの体を抱き寄せる。ビセットもルシードの首に
きゅっと抱きつき、受入れやすいように足を開いた。
いつもより積極的なのは嬉しいが、それも薬のせいかと思うと少し複雑な気分だ。
・・・ルシードが苦笑いを浮かべたのは、ビセットには見えなかったが。
「あっ・・・んぁっ・・・・!」
十分に濡れた指で、ビセットの最奥を探る。押し寄せる快感に耐え切れず、
ビセットはしきりに頭を振る。
「ルシ・・・ド・・・もうっ・・・」
ルシードの耳朶を、ビセットの甘い声が刺激した。
「わかってる・・・」
指を引き抜き、ビセットの腰を支えてやりながらゆっくりと自身を挿入する。
「ああっ・・・!」
「・・・大丈夫か?」
震えるビセットの体を抱きしめ、ルシードが気づかうように尋ねる。
ここでだめだと言われても止められそうにもなかったが・・・それはビセットの方も
同じらしく、ルシードの肩に顔を埋めたままこくこくと頷いた。
「だ・・・だい・・・じょうぶ・・・だから・・・っ」
必死に言葉を紡ごうとするビセットが愛しくて、ルシードは何度目かのキスを贈る。
ゆっくりと動き始めると、ビセットの方もそれに合わせるかのように
無意識に腰を動かしてきた。
「・・・自分で動いてみるか?」
今なら拒むまいと思い尋ねると、案の定ビセットはこくりと頷いた。
「あっ・・・ああっ・・・!」
腰が揺れる度、快感に酔ったビセットの甘い声が漏れる。
だが絶頂が近いためか、ビセットはすぐに動けなくなってしまう。
「・・・どうした?もう終わりか?」
からかうように呟いて、ルシードは耳朶を噛む。
「あっ・・・あんっ・・・!」
足が震え、もう自分の体重も支えられなくなったビセットの首筋に舌を這わせ
強く吸うと、ルシードは今度は自分の方から腰を打ちつけた。
「ル・・・ルシード・・・好き・・・!」
快感に蕩けてゆくビセットの顔を眺めながら、ルシードは限界が近いのを感じていた。
「ああ・・・俺も好きだよ、ビセット・・・愛してる・・・」
ビセットが絶頂に達し、きつく締めつけられてルシードもその熱を開放する。
ぐったりと倒れ込んでくるビセットを本当に愛しそうに抱きしめ、
ルシードは閉じた瞳にキスを落とす。
・・・荒い息が整うのを待って、ルシードはソファにビセットを横たわらせた。
「るし・・・ど・・・」
着替えが必要になった服を見ながらため息をついていると、ほとんど意識を
飛ばしかけていたビセットが眠たそうに目を擦る。
「眠いなら寝ていいぞ。ちゃんとベッドまで連れてってやるから」
言いながら頬に触れると、ビセットは安心したように微笑んで目を閉じた。
「うん・・・ありがと・・・」
「ああ、おやすみ」
短い髪を梳きながら、ルシードはビセットの額にそっとキスをした。


ビセットをベッドに連れて行ったあと、着替えやら掃除やら洗濯やら・・・いろいろと
後始末を済ませ、ルシードは再び部屋に戻った。
目を覚ましたときに自分の姿が見えないと不安になるだろうと思って急いだのだが、
ビセットはぐっすり眠っていて目を覚ます気配はない。
ベッドの端に腰をかけて髪を撫でれば、自然に笑みが浮かぶ。しばらくそうやって寝顔
を眺めていたが、ふと約束を思い出し、ルシードはおもむろに通信機のスイッチを入れた。
・・・落ち着いたら連絡を入れる。バーシアたちとはそういう約束をしていたのだ。
数瞬後、通信がつながり雑音が消えた。
「ゼファー!・・・おいゼファー!返事しやがれ!」
「何だルシード、そっちはもうカタはついたのか?」
 通信機から返ってきた飄々とした声に、ルシードの怒りがさらに煽られる。
 ・・・連絡の前に、こいつには文句を言ってやらないと気がすまない。
「カタはついたのか、じゃねえ!媚薬まで混ぜやがっていったい何考えてんだ!?
これで対象が俺だけじゃなかったら、撃ち殺して海に沈めてたぞお前!」
怒りに任せて、ルシードは一気にまくし立てるように怒鳴った。・・・もし本当に
対象が自分ではなかったら、冗談でもはったりでもなく本気でそうしていただろう。
しかし対するゼファーの答えは冷静そのものだった。
「・・・心配しなくても俺の『ラブ・ハイポーション』はそんな無節操な薬じゃない」
「あ?なんだその怪しい名前は!?」
聞き慣れない怪しい単語に、ルシードは思わず眉を潜める。
「ビセットの飲ませた『試作型惚れ薬改』の正式名称だ。あの薬はあくまで服用者の
恋愛感情を増幅する薬だ。恋愛に対して少々自分の心に素直になるだけで、
不特定多数の人間に恋愛感情を抱くというような効果はない。
・・・媚薬の効果があったとは予想していなかったがな。メモしておかなくては」
「メモなんか取るな!・・・ったく、何怪しい研究してんのかと思ったらそんなもんを・・
・そういう妙な実験は所長辺りでやれよ!人を巻き込むな、人を!!」
「所長では人間に使用した場合の正確なデータが取れないだろう?それでは特許を取れん」
「そんなモンで特許を取るんじゃねえ!!」
「・・・やかましいぞ、ルシード。隣でビセットが寝てるんじゃないのか?」
三度怒鳴り声をあげられ、ゼファーはさすがにうんざりしたように言う。
こちらの様子を見透かしたような言葉に、ルシードは思わず辺りを見回した。
「なっ・・・て、てめえ、今どこにいやがんだ!?」
「心配しなくても事務所の中にはいない。・・・効果が切れれば眠るということは、
前回の実験で確認済みだからな。・・・ところで」
急に声のトーンを落とし、ゼファーはこほんと咳払いをした。
「その調子なら大丈夫だとは思うが・・・ちゃんと聞いたんだろうな?」
「あ?・・・な、何をだよ?」
思い当たる節がありすぎて、思わず声がどもる。
「ビセットの不安の原因を、だ。最近何か悩んでいたようだったからな。相談に乗ると
言っても話そうとしないから、お前に解決してもらうのが一番だろうと思ったのだが・・・」
どうやら解決したようだなと、ゼファーは一人で勝手に満足しているようだ。
「・・・それであの薬を飲ませたってのか?」
何か釈然としないものを感じたルシードが尋ねると、ゼファーは案の定、
「その通りだ。素直になっただろう?」
と自慢げに答える。確かにとは思いつつ、ルシードは頭を抱えた。
「素直になりすぎだ!あれじゃ惚れ薬っつーより自白剤だろが!
・・・とにかく、お前はビセットのためを思って薬を飲ませたって言いてえんだな?」
「もちろんだ」
念を押して聞くと、何を今更と言ったように答えが返ってくる。
「・・・薬の実験のためってのと、どっちがウエイト大きいんだ?」
ぶちっ。
いきなり通信機が切れた。
「おい、ゼファー!逃げんじゃねえよ、おい!!」
何を叫んでも、通信機は反応しない。・・・電源を切ったようだ。
ルシードはため息をつき、通信機を机に放り投げる。
一応連絡はしたから、そのうち戻ってくるだろう。
・・・そうしたら室長命令でゼファーは実験室立ち入り禁止にしてやる。
「ん・・・」
後ろで、ビセットが身じろぎするのがわかった。
 大声ばかり出していたので起こしてしまったのだろうか。
「・・・ルシー・・・ド・・・?」
ビセットは眠たげに、まだ焦点の合わない目でまばたきをくり返す。
 思わず笑みを浮かべながら、ルシードは詫びるようにビセットの頭を撫でた。
「・・・悪い、起こしちまったな」
「・・・オレ・・・何で・・・?なんか、だるい・・・」
言いながら起き上がろうとしたビセットの体が、再びベッドへ沈む。
寝ぼけているわけでも何でもなく不思議そうな顔をしているビセットを見て、
ルシードは嫌な予感を感じた。
「お前まさか・・・覚えてないのか!?」
「覚えてないって、何を?・・・げ、嘘だろ、もうこんな時間なの!?」
枕元の時計を見ながら本気で驚いているビセットを見て、ルシードは頭を抱える。
・・・予感は的中したようだ。
「それに服、いつの間に着替えて・・・って、ええ!?」
ビセットは緩慢な動作で起き上がりながら改めて自分を見つめ・・・自分に何が
起こったのか大体悟ったのだろう、顔がみるみる紅潮していく。無意識に自分の体を
抱きしめるようにして、ルシードに非難の眼差しを向けてくる。
「本当に何にも覚えてねえんだな・・・言っとくが、誘ったのはお前の方だからな」
それも薬のせいだがと心の中で付け加え、ルシードは信じられないといった表情で
固まっているビセットを抱き寄せた。
効果の範囲が限られているとはいえ・・・記憶まで操作するなんて、何て薬だ。
「じゃあ自分で言ったことも、俺が何を言ったのかも全然覚えてないんだな?」
腕の中で、ビセットはこくこくと力一杯頷いた。
「全然も何も、朝のミーティングの後からさっぱり記憶がないよ!
いつの間にか眠ってて、起きたらルシードがいて・・・それだけしか覚えてない」
そこまで言って、ビセットはふと首を傾げる。
「あれ?・・・そう言えば、前にもこんなことがあったよーな・・・」
「何だって!?そりゃいつの話だ?」
「ほら、ルシードがウチ来てからまだあんまりたってない頃の日曜日。
魔法登録行った後、どういうわけか二人して港の倉庫街で眠ってたの、覚えてない?
あれの時みたく、ぜんっぜん起きる前の記憶がないんだよね〜・・・」
何でだろうとビセットは首を傾げたが・・・ルシードには原因の見当がついた。
どうやら、前の惚れ薬の実験も被験体はビセット(と自分)だったらしい。
・・・帰ってきたら絶対に射撃の的にしてやると、ルシードは心に決めた。
「・・・ルシード?どしたの?」
仕返しの方法を考えて穏やかでない表情をするルシードを、
ビセットは不思議そうな顔で見上げてくる。
無意識にか故意にかはわからないが、ルシードの服をしっかりと握りしめて。
『くっつくの好きだし、それに不安だから。そんなこともわかんないの?』
先刻のビセットの言葉が耳の奥で反響している。
『・・・オレがしつこく聞かないと『好き』って言ってくれないし。本当にオレのこと
好きでいてくれてるのか・・・嫌いになってないか、いつも不安なんだよ?』
涙まじりに語られた、ビセットの本心。切なさと、そして愛しさが蘇ってくる。
・・・引き寄せられるように、ルシードはビセットの唇に自分のそれを重ねる。
ビセットは少し驚いて・・・だが静かに目を閉じてそれを受け止めた。
・・・これだけで思いは伝わるような気がする、けれど。
「・・・好きだ」
唇を離し、ビセットの体をぎゅっと抱きしめながら呟く。
ぴくりと、腕の中の体が戸惑うように微かに震えた。
「え・・・ど、どしたのルシード、急に・・・?」
驚きながらも、ビセットの顔には嬉しそうな表情が浮かんでいる。
 それが可愛くて、思わず抱きしめる腕に力が入った。
微かな不安が頭をよぎる。 ・・・このまま離したくない。
「別に。急に言いたくなっただけだ・・・お前が好きだって」
本当のことは言わずに、ルシードは真っ赤になったビセットにまたキスをする。
「・・・迷惑か?」
心の中の不安を紛らわすために意地悪く問えば、ビセットは慌てて首を横に振る。
「そんなことない!・・・っていうかむしろ、すっごく嬉しい・・・」
予想通りの反応にルシードは満足げに微笑み、ビセットの少しクセのある髪を撫でる。 ビセットは赤く火照った顔をルシードの胸に埋め、されるがままにされていた。
その手はまだ、服を掴んだままだ。
・・・でもこれは、きっと『好きだから』の方だろう。
「ルシード・・・大好き」
ビセットの呟きに、ルシードは毎度の如く苦笑いを浮かべる。
・・・やっぱり、まだ面と向かって愛しているとは言えないか?
手を出しておいて何だが・・・まだ『大好き』だし。
こっちは言いたいんだけどなと、心の中でため息をつく。




それを告げるには、もう少し待たなくては。
夢から覚めて、その言葉が重荷にならないように。
これが夢ではないと、確信が持てるまで。




・・・本当に不安なのは、どっち?








さざえのたわごと
最初っからヤマなしオチなしイミなしじゃヤバかろうといろいろ頑張ってみましたが、
見事に砕け散ってるかも、その志。志のバラバラ死体って感じ。
 ・・・どうでもいいけど似合わないなぁ、ルシードに「愛してる」(爆)
 一人でワープロ打ちながら笑い死ぬ女・・・うわ、不気味!
うちの場合、どーもルシードの方がベタボレ度高いみたいです。・・・っていうか、
ビセットが幼すぎんだよおいこらいい加減にしろこんちきしょう(異世界通信)
ちなみにルシードが撃ち殺す発言をしてるのは組曲の影響とさざえが銃好きのため(死)
・・・とりあえず、ネタ提供してくれたかごめ氏に捧げます(要らんわ!)
タイトルもホレ、あのとーり(大笑)何だよハイポーションって・・・(笑)
いろいろ書いてたけど、何げに本番書くのは飽きっぽい私が唯一1年続いた
あのジャンル以来だったりする・・・自分でも意外だ(死)


さざえをよりよく知るための用語解説
『銃好き』
某ゾンビ打ちまくりゲームの影響。ただしさざえは見てるだけの謎解き担当(苦笑)
弟曰く私はサバイバル特性が高いらしい。・・・どういう意味だオイ。
『ハイポーション』
ビビ〜、まいらーぶ、そ〜すぃ〜♪(←いとしのエリーのノリで。解説になっとらんわ)
『唯一1年以上続いたジャンル』
某ミニ四駒アニメ。一年もカップリングのマイブームが続いたのは、私にとっては初の
快挙(汗)ハマっていたカップリングの攻の方が石田さん、受の方が三木さんが声を担当
してらしたため、さざえはいまだにそれを引きずっている。
・・・要するにゼファルシ恐怖症(死)この二人でやるなら(苦笑)逆と言い切る私は
まだ病気か!?(自爆)私にこの話題をふると爆発するので注意(死)

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