プライバシーに関する問題例
(例題1)プライバシーに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1.言論、表現等の自由の保障とプライバシーの保障は、前者が一般的に
優先するので、公共の秩序、利害に直接関係のある事柄の場合や、社会
的に著名な存在である場合には、一定の合理的な範囲内で私生活の報道
や論評が許される。
2.個人の前科は、公開の法廷において確定した刑罰をすでに受けている
という公知の事実であるので、弁護士会から照会があった場合は、市区
町村長はこれに回答しなければならない。
3.プライバシーの侵害は自然人についてだけ問題となるものではなく、
国防上又は外交上の秘密という国に専属の管轄のある情報を外部に漏
らした場合は、国家のプライバシーを侵害したことになる。
4.本人の承諾なしに、みだりにその容貌などを撮影されない自由は、警
察権などの国家権力の行使に対しても保障されるが、無制限に保護され
るわけではなく、公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受
ける。
5.プライバシー侵害の救済については、損害賠償等の事後救済によるこ
ととされており、事実公表を制限される者の受ける不利益を考慮して、
裁判所による事前差止めは認められていない。
(地上全国H9)
→解答 4.
(例題2)憲法に定める幸福追求権に関する記述として、妥当なのはどれか。
1.幸福追求権の性格については、人格的生存に必要不可欠な権利自由を包摂
する包括的な権利であり、個別的人権との関係では一般法と特別法の関係に
立つと解されている。
2.幸福追求権が保障する権利の範囲については、散歩、自動車の運転などの
あらゆる生活領域における行為の自由を保障していると解するのが通説であ
る。
3.幸福追求権から導き出される人権として、最高裁判所の判例が認めたもの
には、プライバシー権のほかに、環境権、アクセス権、自己決定権がある。
4.京都府学連事件で最高裁判所は、国家権力に対して保護されるべき私生活
上の自由の一つとして、何人もその承諾なしにみだりに容貌等を撮影されな
い自由を有し、この自由は、公共の福祉の要請によっても制限されないと判
示した。
5.ノンフィクション「逆転」事件で。最高裁判所は、前科等にかかわる事実
を公表されないことはプライバシーの権利であると認め、さらに表現の自由
との関係では、プライバシー権が当然に表現の自由に優越すると判示した。
(地上全国H14)
→解答 1.
(例題3)正誤判断
☆弁護士会からの照会に応じて地方公共団体が前科等について解答したために
解雇された個人が、プライバシーの権利を侵害されたとして、当該地方公共
団体に損害賠償を求めた事件に関し、判例は、前科等は人の名誉・信用に直
接かかわる事項であり、地方公共団体がこれをみだりに公表することは違法
であると判断した。一方、ノンフィクション作品により前科等の事実を公表
された個人が、プライバシーの権利を侵害されたとして損害賠償を求めた事
件に関しては、判例は、前科等は社会的・公共的事業であるから、私人によ
って公表されない法的利益は認められないとした。
(国家一種H13)
→×
後半について、意義・必要性あわせて判断し、前科等にかかわる事実を公表
されない法的利益がこれを公表する理由に優越する場合には、その公表によ
ってこうむった精神的苦痛の賠償を求めることができるとしている。
back