2「登校」
班長のオレと、隣に住んでいる幼馴染、山崎 奈々香(やまざき ななか)の副班長とで、
近場の低学年を引き連れて登校する。
「翔君はいつも、朝は機嫌がいいんだネ。」
「・・・そうか?」
別に朝が好きというわけではない。
午後になると、ねーちゃんに会えないので機嫌が悪くなるだけだ。
学校に行ってしまうと、夕方までねーちゃんの声が聞けなくなる。
電話はお互い持ってるけど、学校の授業の休み時間がずれているので、
昼休みに10分間しか電話できないのだ。
だんだん不機嫌顔になっていくのが自分でもわかる。
「翔君はそうだヨ。奈々香、毎日顔見てるからわかるモン。」
奈々香は、胸をはって得意げに言う。
どーでもいいが、同じ歳のくせにその変な喋り方はどうにかならないのだろうか?
「えへへ〜。」
人の顔を見つめて笑う。実に気持ちが悪い。
「なんだよ。気持ち悪いな。」
「だって、翔君が嬉しそうな顔してると、ななかも嬉しい顔になっちゃうノ。」
あの顔は、嬉しい顔だったのか・・・バカにしてる顔かと思ったよ。
「へー。よかったね。」
オレは、適当に返事をした。
「うん、よかったノ。」
いいか?
「おいおい、朝から見せつけてくれんぜ新婚さん。」
班の小学1年生の、鉄朗(てつろう)が、茶茶をいれてきた。
こいつは、いつもオレと奈々香をくっつけたいのか新婚扱いなのだ。
小1のくせに、こいつも変な喋り方をする。
昔はいちいち訂正してたのだが、もうツッコミをいれるのも面倒。
無視だ。無視。
「えへへ〜。」
こいつはこいつで、まだ、人の顔をみながらへらへら笑って歩いている。
前を見ないで歩くと危ないぞ。
「きゃっ!」
ななかは、電柱に頭をぶつけた。
「バカ。」
おもわず、オレは本音を呟いてしまった。
「バカじゃないモン!電柱に頭ぶつけただけだモン。」
・・・オレは、充分バカだと思うぞ。

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