4「校門前の戦い」
先輩としゃべりながら校門へ向かう。
ふと、私は校門前の人影に気がつく。弟の翔だ。
うっかり忘れていた。
弟の翔は、よく校門の前で待っているのだ。
しかし、今日はまずい。
翔に内緒にアップルパイを作ろうと思っていたので、
本の事は内緒にしたい。
本当なら今ごろ、本をカバンに詰めこんであった予定だったのに、
今私のカバンの中にはそれは無い。
「アレは、キミの弟君じゃないか?」
先輩も翔を見つけたようだ。
なんとなく、カバンで顔を隠してみたり無駄な抵抗を試みる。
「結ねーちゃん!」
もちろん、あっさりバレた。
トテテと近づいてくる。
「ねーちゃん?」
表情が怒っている。隠れようとしたせいだろうか?
弟はちらちらと先輩を見ている。先輩が恐いのだろうか?
先輩は見た目華奢なタイプなので、あまり恐がられる事はないのだが・・・
弟が鋭い目で交互に私達を見ている。
それだけで、私は内緒にしている事がバレるしまうような気がする。
翔にはすぐ嘘がばれる事が多い。私が嘘をつくのが苦手なのかもしれない。
だからこそ、今回の「内緒でアップルパイを作っちゃおう大作戦」は、
なんとか成功させて驚かせたい。
「あはははー。どうしたの翔こんなところで〜。」
「何言ってるんだよ。いつも校門前で待ってるだろ」
うん。知ってる。セリフの選択間違いだ。
ならば、今度は直球で勝負だ。
「ごめん。翔今日は一人で帰ってくれる?」
「な!?なんで?」
だめか。理由も考えないと・・・
「先輩の家に英語のノート借りに行くの。」
弟の目が座ってきた。かなーり疑っている。
「先輩って事は、学年違うじゃん。ノート借りても内容違うよ?」
う・・・その通り。またセリフの選択間違いだ。
「弟君、ノートといってもボクが1年生の時のノートのことなんだよ。」
「そうそう!」
先輩は気を聞かせて話を合わせてくれた。ありがとう。
「ふーん」
翔はまだ納得してない様子だったが、しぶしぶ一人で校門を出ていった。
翔が校門を曲がって見えくなった。
ここで、やっとホッと息を吐いた。
「ありがとー、先輩。」
すると、先輩はニッコリ笑ってくれた。
「弟君にはアップルパイの事は内緒なんだね?」
「そうなの、翔を驚かせてやりたいのよ。」