まえがき


これは3月最後の更新作業を終えた次の日に勢いで書いちゃったものです
勢いということは予定外ということで
この話は月森創作計画に組み込まれていないものでした

それをなんで書いちゃったかというと こういう理由がありました

私は月森役の谷山紀章さんが大好きで
毎週土曜日の彼が出ているラジオを楽しく聞いておりまして
この日はそれが最終回ということもあり 大変熱心に耳を傾けておったのです

で それも終わってしまい これからはネットラジオになるとのこと
でもそんなものは聞いたことがないし 私の環境はいまだにダイヤルアップだし
重たくて多分聞けないだろうと しゅ〜んとなっていたのです

ああ 谷山さんの声がもっと聞きたい……

そんなことをパソ前でぼんやり思う夜中の2時半
ものは試しと谷山さんが出ている別のネットラジオをクリックしてみたのです

ちゃんと聞けるじゃん!!

苦もなくマイPCから谷山ボイスが流れてきました
なんやねん 初めっから諦めたらあかんやないか

などとエセ関西弁で自分を罵りました アホかほんまに

で うっとりとヘッドホンで聞いているうちに
指が勝手に書き出しちゃったのがこれです
「お前は夜中にナニを考えてるんだ」と思ってください
ほんとにその通りだと思います

なので 前回の「輝く音色」と同様
この話もレッツ谷山ボイスで読むと 私と同じ気分が味わえますv

あ でもそんなことしなくてもいいので(当たり前ですよ強制はだめですよ)
是非とも読んでいただけると嬉しゅうございます


妄想に彩られすぎたために 軽くえっちくさくなってます
制限かけるほどではないとは思いますが 苦手な方は申し訳ありませんがご遠慮くださいませ





甘い敗北


「ね、えっちな声出してみて?」

私の突然のお願いに月森の顔が固まった

…そして ゆっくりと瞳が見開かれた

「突然、何を言うんだ」

ほんとにびっくりしてる

もしかしたら酷く怒るかもしれないって思ったけど
もしかして1回言ったくらいじゃ聞き取ってもらえないかもしれないって思ったけど

「だって聞きたいんだもん」

もしかしていけるかも って下からちろっと見上げる
おねだりする時ってどうしてこんな可愛いいふりしちゃうんだろ
こんなの 付き合ってる男の子の前でしかしない
というより 思わずこんなふうにふるまっちゃうんだ

「…………ダメ?」

なんて 言っちゃったりして
ああ こんな私 友だちに見られたらすっごいヒカれそう

それよりなにより 月森がさっきから微動だにしないんだけど
えっと… やっぱりダメなのかなあ

そう思っている間にみるみる彼の表情が難しげに変化していった
眉が寄せられ 口元がきりきりと噛みしめられてる

けど 全然怖くない

だってそれは怒っている顔じゃなかった
困った顔だ

月森の困った顔 この人本当に困ってる

……面白い

「ねえ」

袖をきゅっきゅっと2回ほど引っぱった
ますます眉が寄せられた

「なぜそんなこと……いきなり言うんだ」

振り絞るようになんだかやっとの思いでって感じで月森が口にした

「だって聞きたいから」

さっきと同じことを繰り返す


今日の私はちょっと意地悪かもしれない
でもでも いつも私が月森の一挙一動に振り回されてるんだから
たまにはいいじゃない?

好きだって言ってくれないなら 意表をつくやり方で
月森の思考が及ぶ範囲外のことで私のこの溜まった鬱憤を晴らさせてよ

私ばっかりなんて ズルい


「その…えっ………………」

月森はここで一度ため息をついた

「その、君の言うそれは、所謂そういう意味の…だろうか」
「うん」

ためらいつつのその質問に私ははっきり頷き返す
彼はもう私を見ずに さっきから下を向いたままだ

私の部屋のテーブルについている両肘
うな垂れたように組んだ手の上に額を置いてしまった

少しして

「…………いつも聞いているだろう」

聞き取れるか取れないかのかすかな声がした
もちろん 全神経を月森に集中していた私にはちゃんと聞こえた

ふと見ると
さらりと落ちた髪の隙間 耳の淵が赤いのがわかる

なんて可愛いんだろう
やっぱりこういう話になると私は優位に立てる
多少なりとも経験があって良かったなんて思っちゃう


最初は私のそういう部分を嫌がられるかなって心配したけど
ある意味彼は純粋だった
初めてした日のことは 今でも思い出すと体中に熱が駆け回る

私の手で導いたそこに触れる彼の指が そおっと撫でていくあの感触

「どうすればいい…?」

と聞いてきた時のすがるような声

彼は 私が今まで付き合ってきた男の子たちとは全然違うタイプだった

比べるのはあまりよくないことだとは思うけど
今までの子はみんなけっこう自分勝手だった気がする
変に自信持ってたり よく知らないのに知ってるふりをしたり

それを その時はそれほど嫌だとは思わなかったけど


こうして月森と接していると 表向き彼はプライドが高いように見えるのに
実はけっこう謙虚なんだなって思う
私のことをまず気遣ってくれるし
知らないことは知らないと言える潔さがある

それは彼の根っこに確かな自信があるからかもしれない
固い殻に覆われているようで
でもその中に一旦入ってしまうと 柔らかいクッションが私を心地よく迎えてくれた

彼の持つ自信の源はヴァイオリン
それひとつで彼は立っている
だからこそ危なっかしい気もするし だからこそ彼は安定している


私は手を伸ばして月森の小指をつっついた

「普通の時にそういう声聞くから嬉しいんじゃない」
「できない」

相変わらず下を向いたまま
けれども今度は間髪入れずはっきりと月森が抗議してきた
もうちょっと粘ってもいいんだけど
やりすぎてへそを曲げられても嫌だから 言うことを変えた

「じゃあさ、ちょっと譲歩してあげる」

ちろりと瞳が上げられた

「香穂子って言って」
「……たまに言ってるだろ?」

そりゃあたまに そういうときだけね

「でも今聞きたいの。それくらいいいでしょ…?」
「わかった」

組まれた手をほどき 月森が息を吸い込んだ

「ちょっと待って」

手のひらでストップをかける
なぜだ? とその目が訴えてる

「私の耳に直接言って?」

私は立ち上がっていそいそと月森の隣に正座し
髪の毛を耳にかけて 「はい」と突き出した

月森はその勢いにおされていたみたいだけど
やがてそっと顔を近づけてきた

「香穂子。…………これでいいか?」
「……不合格」
「なぜだ?」
「だってえっちな声でって最初に言ったじゃない」

また瞳が見開いた 心なしかちょっと鼻も膨らんでる?

「それはなしになったんじゃないのか?」
「言ってないよ。譲歩するって言っただけだよ」
「…………」
「別に『あんv』とか言ってってお願いしてるわけじゃないし」

ほんとに面白いほど固まって このまま石像にして側に置いておきたいくらい

「えっちな声が無理だったら……私の言うとおりにして? それで許してあげる」
「なぜ俺が許されなきゃならないんだ」
「いいから、お願い…」

しゅんとしてみせると 仕方なくといったふうに「わかった」と声がした


私は左手で月森の袖を掴み 右手で彼の左耳にかかる髪の毛をそっとよけた

月森の 耳

全体的に薄くできてて上品な形してる
色も白くて 綺麗だなあってちょっと見とれて

本当は さっきよりもっと耳の側で囁いてもらおうとしただけなんだけど
気が付いたら違うことしてた

「こうして…耳を噛んで……噛みながら、言って…? …………蓮」

そっと傷つけないように でも ほんの少しだけ痕が残るように……


……すごい
みみが真っ赤っか

でも 私のみみもすごく熱い ヤケドしそうに熱い

思いつきでやっちゃったけど これ けっこうすごいかも
噛みながらって難しいし しゃべるとき舌が耳の淵にかかっちゃった

「わ、私にもやって!」

勢いで言った

なにが「優位」よ 「経験がある」よ
今の声 はっきり震えちゃってるじゃない
声だけじゃなくて 手も足も震えてて 顔までひきつっちゃって
それを誤魔化すように振り切るように
私は バッ と前を向いて待ち姿勢をとっていた
もう耳を突き出す余裕なんてない

ダメだ もうなんでもいいから早く来て…!


月森の手が肩にかかった
指が耳に触れて 体が勝手にびくっとした
そのまま優しく私の髪を耳にかけてくれる

近づいてきた
私は目をつぶった


ぺろっ


「やっ」

思わず声が出て 上半身が後ずさった
耳たぶを舐められてしまった

「言われたとおりにしてもつまらないだろう?」

月森が言った
ズルい

でも なぜか従順に 言われたとおりに元の姿勢に戻っちゃうのはなんで…?



月森はもう一度近づくと 私の耳たぶを口に含んだ


舐めたり吸ったりする音がやけに大きく耳の中に響いてくる

時折噛まれると体中に電気が走る

体の芯を駆け抜ける強い電流に脳天が痺れる

それが指先やつま先まで枝分かれして広がる


いつの間にか私は月森にしなだれかかる格好になっていた


そうやって散々私の耳を弄んで なのにまだあのひとことを言ってくれない

「ねえ、もういいからっ………言って…っ」

やっとのことで訴えると かりっと耳の淵を噛まれた さっき私がやったみたいに

これで解放される と思ったら

「しよう?」

なんでここでそのひとことなのよ……
もう 月森の バカったれ……

「香穂子って、言ってから」

最後の抵抗
月森はあっさり突き崩した

「…香穂子。……香穂子」


そのままラグの上に押し倒され 唇が月森の唇と合わさる

ああ これじゃいつもとおんなじだ
私はただ ちょっとえっちっぽく名前を呼んでもらって
恥ずかしそうにする月森を見て優越感に浸ろうと思ってただけなのに

月森の背中に腕をまわしながら 私は「やられた…」と心の中でつぶやいていた










あとがき


ていうか「やられた」って自分が悪いんじゃないかと思うんですが香穂子さん


さて 書き終わって 何度も修正しながら何度も読むわけですが
思いますね フェチなんだなと 私の好みってこういうのなんだなって
まったくにしてあらためて思います

私の書く文章をいくつか読んでくださってるありがたいお方は
きっと「またこういうの書いてる」って思ってるんだろうなあと
ほんとワンパターンですみません

ええ 私はワンパターンを繰り返すのが大好きなのです!(開き直ったよこの人は)

最近話題の脳力的に考えると
ワンパターンなのは脳的にはいけないらしいですが
そんなことは知ったこっちゃないです
おんなじことを繰り返すのもフェチのうちなんです
ほんと これに付き合ってくれるかた ありがとうありがとう 感謝のソシアルダンス


ちなみに次回の月森創作の題名は「キスそしてキス」の予定です
(結局一緒に第1話だけアップしてしまいましたが)
またこんなフェチ全開なものを書いてさ…

現在 創作は更新休止中なので 続きをいつ書くかなんとも言えませんが
よろしければ読んでやってください




アンジェ以外も万歳