光よ
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……光の渦に 巻き込まれる…… 瞼の裏が 黄色い……なんだ この眩しさは…… 目が覚めた 昼でも真っ暗にしてあるはずの自室に光が漏れている その光が顔の上に直接当たっていて うるさいことこの上なかった (……そうか、昨夜は……) 光の守護聖と共にいたのだった 隣は既にもぬけの空だったが 「行ってしまったか……」 つぶやくと ただでさえこの胸のうちの空洞を埋めるのに苦慮するのに 更に追い討ちをかけるようで やりきれなかった 光の守護聖は 光を好む 当たり前のようだが こんな朝は 強く強く 「わからされて」しまう なぜ あの者は 私を起こそうとするのか 私は できることなら 闇の中で永遠に眠っていたいのだ 何も見えず 何も聞こえず 自己の存在さえもわからず ただひたすら 無 であることを追い求めている私を そして 今日のように無理矢理起こされて 目覚めてみたところ これだ あの者は 私にこんな思いをさせるために わざわざ起こすのか どうせなら 最後まで 責任をとってもらいたいものだ そう思ったところで結局 あれ は私の目を毎日覚まさせる 幼い頃からずっと 私に 生活をせよ とがなりたてる 「もう構わないでくれ」と 何度言っただろうか 言ったところで 聞きはしないのだ 長き時を共にして やっとそのことがわかった あれは 只の頑固者だ そして 私も同じくらい 仕方なく 出仕の支度をして 私邸を出た 太陽がさんさんと照っている さぞや あれ は元気に執務をこなしていることだろう 「フッ……」 忙しく働いているジュリアスを想像したら 思わず口から笑いが漏れた 私が執務室に到着した途端 あの者は やって来るだろう そしてお決まりのセリフを言うのだ 必ず…… 「今何時だと思っているのだ。そなたの職務怠慢ぶりにはあきれて物も言えぬ!」 そしてひと通り説教をすると すっきりした顔で帰っていくのだ それはまるで 私が職務熱心になろうがなるまいが 関係ないとでもいうように (あれ、はストレスが溜まっているのかも知れぬ。私のせいか……) 気の毒だ なぜ私に関わるのだ しかしもう 後戻りはできない なぜなら 私は あの者なしでは 生き続けることは不可能だから あの者の導きなしには 光溢れるこの世界で 一歩も前に進めない これからジュリアスに会う それを思うと心の錘が少し軽くなるような気がするが それでも やはり 夜が待ち遠しい 私の時間…… 光の守護聖の執務室の前を通る 厳めしい作りの大きな扉を前にして 急にいたずら心が出た 今日はジュリアスを驚かせてみよう 自分からは滅多に入ったことのないこの部屋に入ってみよう そして 付き添いの文官の前でジュリアスに耳打ちするのはどうだろうか 「……今夜、私の部屋へ夜這いに来い」 あの堅物は どんな顔を見せてくれるだろう 私は ジュリアスに通ずる目の前のドアノブに手をかけた |