エルとるいの日記

パート4


日記−16 SIDE:エル

昨日は単なる平穏な平日の筈であった
だが・・・一体あれは何だったのだろう
舞い上がった姉に、あの女にプレゼントを買ってくる様にと言われた
望遠鏡の礼をしろと言う。あれは家庭教師代であるので、現時点で
辻褄が合っているのでは無いかと述べると、いいから行けと言う
ああなった姉に何を言っても無駄であるので、仕方なく行く事にした

大体が只でさえあれから家庭教師をしてくれという依頼が増えて困っているのである
女性ばかりなのは、女性の方が向上心があるという事だろうか?
それはそれで良い事であるが、私にも自分の生活というものがあるのは考慮してもらいたい所だ

・・・しかし何が良いのであろう
つらつらと歩いていると、電気街に出た
店頭で「新生活セール」というものがやっている
その中に”超強力目覚まし”というものがあった
店員に聞くと、これで目が覚めない奴は死んでいるとの事
ぴったりであろう。多少予算オーバーの感が無きにしもあらずだが、これにする事にする

家に帰ると、何やら姉が張り切って料理を作っていた
ケーキ作りを手伝えと言う。何故というのはもう問わない事にした

やがてあの女がやってきて、大層な宴会となった
あのクソ担任のカツラが何故校内中に知れ渡っているのかと思ったら
どうやらこの女の仕業らしい。その辺りは中々やるでは無いかと思った次第

姉が渡すものがあるだろうと言ったので、すっかり忘れていたそれを渡す
「これでもう大丈夫ですよね」と、笑顔と共に渡しておいた
一瞬場の空気が止まった気がしたが、きっと気のせいであると思う

一通り宴会も終わり、姉がカラオケに行くというので私は遠慮しておいた
当然あの女は引きずって行かれた
一瞬頭に「ドナドナ」の歌が流れた気がしたが何故だろう



日記−16 SIDE:るい

は〜るがき〜た〜は〜るがき〜た〜♪

春! 春なのよ!!
なんか今年の冬はぜ〜んぜん寒くなかったねー。
ちゃんとした雪が一回も降らなかったもん。
寒いのはやだけど、全然寒くないのもなんかあ。

ま いいや。
とにかく春なのよ!
もう 幸せいっぱい夢いっぱいなのよ!!
エルンストさんがくれた目覚ましが私を幸せのワンダーランドに運ぶのよ。

はあ・・・
私、こんなに幸せでいいのかな・・・

ぐふ。ぐふふふふふふふふふふふふふふふふふ。

幸せの鐘が聞こえてくるわ。
リンゴンリンゴン鳴ってるわ。

まあ、実際は
ジリリリリリリリリリリ
なんだけどね。

でも毎朝エルンストさんに起こされるなんて
なんてなんてパラダイスなんでしょ。
思わず目覚ましエル様を抱きしめちゃう私。

でも、どうせならエルンストさんの素敵な声で目覚めたいわ。

「るいさん、朝ですよ、起きなさい」

なんちゃってー!!!!!
んでね、1回それを止めたら5分後にはね

「るい! いい加減起きないと遅刻しますよ!!」

呼び捨てよ。うふ。
でね、でね、それでも起きなかったら次はね

「こらー!! るい! 起きろーーー!!!」

いやあん

こんな目覚ましだったら、絶対毎日3回聞いちゃうな。
最後のセリフなんてを感じるわよねー。
・・・ってそんなふうに思うのは私だけかしら。

でもね、あのエルンストさんが
絶対声を荒げないだろうあのエルンストさんが
私のためだけに叫んでくれるっていうのがいいのよう。

ま、そんなことまだお願いできる関係じゃないけどさ
そのうち、そのうち・・・

とにかくさ、今回は私のためにあの目覚ましを買ってきてくれたんだよね。
私がいつも遅刻するからなんだよね。
ちゃ〜んと私のこと考えてくれたんだよね。
うれしい・・・

実はさ、私、学校にあの目覚まし時計を持ってきてるんだよね。
だって、離れがたいんだもん。
愛しい愛しい目覚し時計。

エルンストさんが他の女の子と話してるのを横目で見ながら
私にはこれがあるんだもんって、カバンの上から感触を確かめる私。
これを渡してくれたときのエルンストさんの笑顔を思い出すんだ。
あの時は腰が抜けちゃったわ。

エルンストさん、好き

キャーーーーー!!

なんて恥ずかしい私。
こんなの書いて、後で読んだらきっと速攻で捨てたくなるんだろうな。
わかってるのに、消さないんだけどさ。

ああ、でも、ますますエルンストさんのことが好きになっていくんだけど、どうしよう。
それに、3年になったらクラス替えだし、離れ離れになったらイヤだよー。
部活では一緒だけど、やっぱり同じクラスになりたい!

そうそう、この前、エルンストさんのお姉さんとカラオケに行った時
クラス替えがやだってことを言ったら

「じゃあ、家に来ればいいじゃない。なんならあいつがいる時に呼んであげようか」

って言ってくれたんだけど

「それってちょっとうれしすぎだけどずうずうしすぎなような気がしてでも
やっぱりお願いしようかなと思ったりなんだりでまあうにゃうにゃうにゃ。」

ってもごもご言ってたら

「つか、来い。呼んだらダッシュで来い。あいつがいなくても来い。あなたに選択権はなくってよv」

って言われちゃって、どうなることやらあはははお姉さん強引です。
でもきっと私のこと考えてくれてるんだろうなあって思うんだけどどうなんだろう?

あの時はなんだかんだ言って二人で6時間も歌いっぱなしで
間奏も後奏もカットで、カラオケってこんなふうに楽しみものだったっけと
思ったんだけど、世間はどうなんだろう? とふと疑問に思ったり。

ああでも、お姉さんといると楽しいなあ。
こんなふうにエルンストさんとも一緒に遊べるといいのにな。

とにかく新学期。
神様。どうかエルンストさんと同じクラスになれますように。



日記−17 SIDE:エル

新学期である

新しい部長も決まり、新入部員も無事入った

そして新しいクラスとなり、心機一転。清清しい気分である
あのクソ教師はどこぞの2年生のクラスを担任する様だが
あれからというもの、ビクビクと過ごしており爽快である

そうしてあの女は隣のクラス
しかし、遅刻して来る様が廊下側の窓から見えてしまう
あれだけの目覚ましで何故起きられないのであろう
もう関係無い事だし、気にしない様にしようと思う

最近は夜も暖かいので、天体観測が楽である
確かにあの天体望遠鏡は良く出来ている
本日の夜は晴れそうだ。日課の観測に出かける事としよう

姉が何やら楽しそうだと思ったら
どうも年中あの女が来ているらしい
先日の夜、家を出る時にすれ違ったのはそう言う訳であったか

新部長から、GW中に一泊で観測合宿をしたいと持ちかけられた
もう部長は彼女なのだから、自分に相談する事は無いと返した

それにしても、合宿か
あの女は・・・やはり来るのであろうな



日記−17 SIDE:るい

あ〜あ、新学期か〜。

エルンストさんとクラスが離れちゃったからつまんない。
あ〜あ。

今までなにかっていうとエルンストさんに話しかけることができたのに
4月になってからというもの、言葉を交わすことができたのって数えるほど。

部活では会うことができるけど、エルンストさん忙しそうで声かけられなくて
それに私まだ、エルンストさんと対等に話すことができないし
もっと星の話、空の話、したいな・・・

私はね、どっちかっていうと昼間の空の方が好きなんだ。
青くて、白くて、赤くて、そして時々虹色の空。
エルンストさんは夜の空の方が好きみたいだけど。


なんかね、気がついてはいたんだけどね
エルンストさんって、私がいなくてもいいんだなぁって
むしろ、いない方が嬉しそうだなぁって
思う。

きっと、邪魔されたくないんだろうな。
自分ひとりでやりたいこと、いっぱいあるんだろうな。


ちょっと前、エルンストさんのお姉さんに呼ばれて家に行ったとき
家の前でエルンストさんに会ったんだ。
「どこ行くの?」って聞いたら
「散歩です」って言ってたの。
いつもの私なら「付いていく」って言ってたかもしれないんだけど
その時はなんかそう言える雰囲気じゃなかった。

で、私、いけないと思いつつ後をつけちゃったんだ
エルンストさんね、どんどん暗い道に入って行っちゃって
どうしよう、って思ってたんだけど、そのうち突然広いところに出て

私はそこに出ては行けないから、手前に隠れてエルンストさんを見てたの。
彼、しばらく上を見上げてた。
私もつられて目を上に向けてみたら、綺麗に星が見えてて

たった一人で、こんな広い場所の真ん中でぽつんと立って
あの空に彼は何を見ているんだろうなあって思った。
もちろん、星を見てるんだろうけど、そうじゃなくてさ

その後すぐ、私は家に帰って、お姉さんとこに電話を入れて
(怒られるかと思ったらすごく心配されてびっくりした)
適当に言い訳を言って嘘ついて。
すごく後ろめたかったけど、本当のことなんて絶対に言えないから。
(まあ当たり前だけど、あれじゃあストーカーだし)

次の日、学校が終わってすぐ、その場所に行ってみた。
あの時エルンストさんが見てた景色を見たくって。
本当は夜がいいんだろうけど、一人じゃ危ないし。

大きく広がる空を見ていたら、ちょっと悲しくなってきちゃった。
なんか、切ないっていうのかなあ、こういうの。
こういう景色だけがエルンストさんの中に入ることができるのかなって思った。


あと、それからね
今日、部活で、部長とエルンストさんが話してたのを見て、唐突に思ったんだけど
なんか、あの二人ってお似合いだなあなんてさ。
ちょっと、ううん、かなり弱気になっちゃった。

つくづく思ったよ。私の元気の素ってエルンストさんなんだよね。
話してないと元気が出ないんだよ、ほんと。
何が好き、とかどこが好き、とかわかんないけど
とにかく好き。好き好き好き。

なに書いてんだろ、私。


ゴールデンウィークに、今度こそ部活の合宿があるっていうから
そのときは少しでもエルンストさんの側に行けるかな。
行けるといいな。



日記−18 SIDE:エル

何のかのと4月は慌ただしく、あっという間にGWである
最近何かにつけて新部長が、私の元へと相談に来る
色々と不安である気持ちは解らなくも無いが、これでは部員に示しが着かない
私よりも、副部長と相談して決める様にと告げておいた

そしてどうやら、5月4日が合宿日に決まった
何の彼の言っても、我が校の展望施設は充実している
晴れる事を祈ろう

しかし部活の顧問が産休に入ってしまい、あのクソ教師が顧問になってしまった
まあ、人が変わった様にオドオドとしているので、からかってやるのも一興かと思う

そういえば、この間あの女が後を付けて来ていた
観測場所は、中々の穴場で本来は人に教えたく無い所だが
まあ、興味が出たなら良い事だろうと放っておいた
それにしても星は良いものだ
闇の中の光
それは遙か昔の光が時を越えて地球に届いている訳だ
そう思うと、この場に居ながらも自分も時空を越えている気にさせてくれる



日記−18 SIDE:るい

はあ〜、ただいまーっと。
合宿終わったよ。ほとんど徹夜だったから疲れたー。
家に帰ってからすぐに寝ちゃった。

でね、エルンストさんにはね、会えたの。
「おはよう」って言ったら
「来たんですか」なんて、ちょっと失礼なこと言われたけど。

まったく、最近のエルンストさんって私に冷たいような気がすると思わない?
もうそれにも慣れつつあるのが、いいのか悪いのかわかんないけど。
でも、私は会えただけで、挨拶ができただけで嬉しかったからいいやって思った。
私も謙虚になったものだよ。

で、相変わらずエルンストさんは部長のれいちゃんと仲が良くて、
なかなか話しかけるきっかけがつかめなかったんだよね。

その代わり、今までちゃんと話したことのなかった人とか、後輩たちとかとは
いっぱい話せたから良かったかな。
私ったらエルンストさんのことばかり見てたから、名前すらちゃんと覚えてなくて
誤魔化すのに大変だったよ。


星はね、ちょっと曇っててよく見えたーとは言いがたかったんだ。
でも、エルンストさん、嬉しそうだった。隣にはまたれいちゃんがいたけど。
あーあ、れいちゃんいいなあー。いっつもエルンストさんと二人きりなんだもん。

なんか、後輩の子にもさ「あの二人いい感じっすね」なんて言われちゃうし。
もう、私の身にもなってもらいたいもんだよ。

しかもさ、夜も段々遅くなってくると、ドームのあちこちに即席カップルが陣取るし
みんなまったりしちゃってさ。
いったいなんなのよーって感じ。

もひとつおまけにあの失礼な後輩の子があぶれた私に向かって
「先輩一人っすか、さみしいっすね」
だってさ。大きなお世話だよ。
しばらくその子が付き合ってくれたからまあまあ楽しかったけどさ。

で、その子が眠いって言って出て行ってから
あっちこっち話しかけに行ったり、邪魔してやったりしてたらやっとチャンス到来!
エルンストさんが一人になってるとこ発見!
これを逃したら絶対話しなんかできないって思って即座に行動


で、思い切って話しかけてよかったよー。
エルンストさんってほんとすごい。すごくいろんなこと知ってるんだなって。
空の色がどうして青いのかとか、虹のできかたとか
私も本たくさん読んである程度知ってたけど、エルンストさんはもっと知ってて
トリプルレインボーも見たことあるんだって!
めったに見られないないんだよねー3重だよ、3重の虹。

でもそんなエルンストさんもグリーンフラッシュは見たことないって言ってた。
グリーンフラッシュっていうのは太陽が沈んだり登ったりする間際に
一瞬だけグリーンに光る現象のことをいうんだよね。
水平線が見えるとこじゃないと見れないし、条件も厳しいから
かなりがんばんないと無理らしいんだけど。

一度でいいから見てみたいなー。
なんといってもグリーンはエルンストさんの瞳の色。
見ることができたら、エルンストさんにぐんと近づくことができそうだよね。

それにしても、今までエルンストさんとこんな落ち着いて話できたことってなかった気がする。
もっと話ができるといいのに。もっともっと。

このとき夜の3時で、空が晴れてきたから登ってきた月がすごく綺麗だった。
黙って二人で見てるとすっごくいいムード・・・なハズなんだけど。
エルンストさんの目は月に釘付け。
ときおり説明してくれるから、無視されてるわけじゃないらしい。
でも、まあ、月に照らされたエルンストさんの横顔はすごくかっこよかったし
気を許してくれてると思えばうれしいし。


と、いろいろ思ってたけど、一夜明けてみたら昨日と状況は全然変わってないのよね。
はあ〜。
2日目はほとんど側にも寄れなかった。
はあ〜。

家に帰ってきたらちょうどエルンストさんのお姉さんから電話があって

「どうだった? あいつとうまいことやってきた?」
「や、やってきたって・・・」
「ヤってきたか? って聞いてんのよ」

んもう・・・そんなことしに行ったんじゃないんだってば。
それに、それどころの話じゃないんだってば。
それ以前の以前の以前の以前なんだってば。
ひとごとだと思って面白がっちゃってさ。

あ〜あ。ため息がいっぱい。
どうしたらエルンストさんにふりむいてもらえるんだろう。

・・・考えてもわかんないや。
れいちゃんの真似して首をかしげてかわいらしくしてみるとか。
うーん・・・ダメだな。似合わない。
それに、普通に可愛い子ってどうすればなれるのかわかんない。

エルンストさん、れいちゃんのこと好きなのかなあ・・・
だったらどうしようかな・・・

わかんないや。
もうやめやめ!
今日は勉強してもう寝よ。今度の期末で順位が落ちたらエルンストさんに悪いもんね。



日記−19 SIDE:エル

5月6日は大変充実していた
5日の最終便で沖縄に発ち、6日の五惑星天体ショーを見たものである
特に金星、土星、火星がほぼ正三角形に並ぶ様は素晴らしい
次に観測出来るのは2040年。沖縄に行くのは当然と言えよう
翌日、空港から学校に直行するのも苦にはならないというものである

部室に行くと、何人かがその話をしていた
その中にあの女が居たのは意外であったが
写真も撮って来たので、そのうち部活にでも持って行こうかと思う

それにしても、あの2年生の男子部員は最近更に賑やかである
合宿の時もやたらとうろちょろしていた
しかし、聞けば学年で成績は一番だと言う
人は見かけに寄らないという、典型的な例であると言えよう



日記−19 SIDE:るい

今日はね、エルンストさんといっぱ〜いしゃべっちゃったv

・・・といっても、私はエルンストさんの説明をうんうん頷きながら
ただひたすら聞いてただけなんだけど。

ちらっとね、あの、なんか五惑星が同じ方向に見えたあれのことを
口に出しただけなんだけどね、
ほら、エルンストさん、こういう話なら喜んでしてくれると思ってさ。

でも・・・それから延々1時間。
ず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと、この話。
一通り説明されて、15分。
そして、おもむろにシャキーン! と写真の束を取り出して
(どっから出したんだろ? こんな大量の写真)
と思う間もなく、一枚一枚解説つきで更に45分。

いや、もう、エルンストさんってすごいよ、ほんと。
何がすごいってさ、私、昼休みに階段の踊り場ですれ違ったエルンストさんに
ちょっと声をかけただけなんだよね。
なんとなく機嫌がよさそうだったからなんだけどね、
それがこんなことになるなんて。

気がついたら5時間目終わってたよ。
まあ・・・エルンストさんにみとれてた私も私なんだけどさ・・・
でも、サボっちゃったのはエルンストさんのせいだもんね。
それを言ったらさ

「いつも遅刻してるんだからこれくらいなんてことないでしょう?」

って、ニヤリって感じで笑うんだよ。全然悪いことしたーってのがないのよね。
んで、それとこれとは別だって抗議したら
エルンストさんがくれたあの目覚し時計のことを持ち出してきて
いまだに遅刻する私に説教を始めたから、自分から逃げてきちゃった。

「ちゃんと話は最後まで・・・」

そんなセリフを後ろに聞きながら。
授業サボったくせに今更真面目になっても説得力ないよね。


でも、なんか最近思うんだけど、エルンストさんってもしかしておもしろい人なのかな。
最初、かっこよくて、頭も良くて、優しくて、こんな素敵な人いないって思ってた。
なのに、話してるうちにちょっとずつイメージが変わってきて
相変わらずかっこいいんだけど、他の部分がちょっと違うベクトルのような。
あの、星に対する情熱はもう、只者じゃないし(今日のでよくわかった)
それに、けして「優しい」わけじゃないし(少なくとも私には)

なのにやっぱり前よりもずっと 好きになっちゃってることに気づくんだよね。
そこがまあ・・・自分でもよくわかんないとこなんだけど。
今はとりあえず、楽しいからいいかなってとこ。


あ、そだそだ!
今日おもしろいことがあったんだよね。

部活の帰りに駅前で洋服買おうと思ってお店に入ったんだよね。
そしたら奥のほうでコギャルな会話が聞こえてきて。

「もう、超イケてないって感じ〜」
「イマドキそんな言葉使う〜?」
「ヤダ、サイテー」
「キャハハー」

こんな感じ。
うわ〜って思ってちょっと覗いてみたら
女の子3人組の真ん中に、地学部で後輩のれいちゃんの姿が!

いつも小首傾げて花しょって、儚げな風情で微笑むれいちゃんが、
誰よりも大口開けてバカ笑い。めちゃめちゃ楽しそう。
その後も、いわゆるコギャル語が炸裂してるれいちゃん。

私がじーっと見てたから、れいちゃんもさすがに気づいたみたい。
「セセセセセンパイ!」って言いながら慌ててこっちに来た。

「みみみみ見ました?」
「見た。バッチリ」
「誰かに言う?」
「言いふらす」
「ウソー! ヤメテください! お願いv」

今更かわいく両手を合わせても遅いっつの。
でも、やっぱりかわいいから許すことにした。

「わかったよ。私は性格がいいから黙っててあげる」
「ありがとうございますぅ。特にエルンストセンパイにはこのこと言わないでくださいね」

なんで? って思ってよく聞いたら、コギャルなことがバレたら嫌われるからだってさ。
うわー、やっぱこの子はライバルだったのか。
それにしてもれいちゃん迂闊過ぎ。
とりあえず注意してみた。

「こんな近所でそんなしゃべりしてたらそのうちバレるよ?」
「大丈夫ですって。そんなことないように細心の注意を払って・・・」
「バレてるじゃん。私に」

このときのれいちゃんの顔、おもしろかったなあ。
あの子はいじめ甲斐がありそう・・・
それに、今のうちに蹴落とさないとね・・・

あ、なんかこういうとこってエルンストさんのお姉さんにちょっと似てきたような気がする。
まあいっか。

ふふふ、明日から楽しみだなあ。ふふふふふふ。



日記番外編 SIDE:後輩R

この間の合宿はとっても充実していたな
るいさんとも、れいちゃんとも沢山話せたしさ
しかしあれだよね。るいさんは何だか変なとこが可愛いっていうかさー見てて飽きないっていうか
入ったばっかの頃は、やっぱ心細かったのか部長のエルンストさんにばっかひっついてたけど
この間の合宿では皆と話していて、いい傾向だと思ったよ。うん

るいさんにはさ「先輩一人っすか、さみしいっすね」とかって得意のモノマネで話しかけたら
「大きなお世話よ」とか言われちゃって素直じゃないよね。あはは
それで、誰のモノマネなのかって聞かれたから、俺が入った時に卒業した先輩のって答えたら
「そんなの知る訳ないじゃん」って。そりゃそうか。あはは
でも我ながらすごい似てると思うんだけどな

まあそれは良いんだけど、るいさんてエルンストさんに家庭教師してもらったらすごい成績上がったらしい
やっぱ、エルンストさんてすごいよな!すげえ尊敬!
その話をしてる時は、るいさん偉く嬉しそうだった。やっぱ成績上がったのが嬉しかったんだろうな
今代理顧問をしてる教師が担任だったみたいだし、っていうか今の俺の担任でもあるけどさ
すげえやなヤツだけど、前はもっとだったみたいだな。なのに部室に来るとやけにビクビクしてるし
今回の合宿も、何かヤツが言う度に矛盾点をエルンストさんが指摘していて、その度に固まってた
なのに「続きをどうぞ」ってにっこり促すんだから、エルンストさんて人間が出来てるよなー

れいちゃんは最初ずっとエルンストさんと一緒に居たんだよな、
多分部長になりたてで不安なんだろう。解る気もするな
新旧部長が並ぶとやっぱいい感じだよな。地学部って良い部長に恵まれてると思うよ
れいちゃんとは途中廊下ですれ違った時
「また学年トップだったのね。おめでとう」
とか言われたけど、そうだっけ?大体何処で発表されてるのか知らないや
そう言ったら、一瞬顔が引き攣ってた気がするけど、きっと気のせいだよな

『ハリーポッチャリ』が好き何だってさ、何だかれいちゃんらしいよな
俺も実は好きなんだよね。
あっちで出た最新刊を取り寄せたのをもうすぐ読み終わるから貸そうかって言ったら
またちょっと顔が引き攣ってた気がするけど、やっぱり気のせいだよな
ほらさ、翻訳だと好みと違う訳だったりするから、やっぱ原書で読むのは良いよな。最新刊もすぐ読めるし
それにしても、れいちゃんはやっぱ可愛いくて頭良くて全く困るよ

それで今日は、下校途中にるいさんに会ったんだけどさ
暇そうだったから、「茶でも飲まないっすか?」って声かけたら
「お前かよ」って言われてさ。最初そんな暇ないって言うから
「暇そうじゃないですか。奢りますよ!」
って言ったら、「奢りなら行ってやるよ」って。全く素直じゃ無いよね。あはは
で、「るいさん」って呼んだら「何で、お前にるいさん何て呼ばれなきゃいけないんだ」って
困っちゃったよねえ、でも一応先輩だしさ、やっぱ「るいちゃん」って呼ぶのはさぁ
そう言ったら何だか崩れ落ちてたけど、どうしたんだろうな?

そうそう、途中で店の外をエルンストさんが通りかかったんだよね。窓側の席に居たから気づいてくれてさ
思わず嬉しくて、手ぇ振ったらちょっと振り返してくれてさ。いい人だよなエルンストさん
一緒にどうですかって誘ったんだけど、用があるからって。ちょっと残念だったよな
それで振り向いたら、何でだかるいさんが固まってた
「どうしたんですかー?」
って聞いたら
「どうしてくれんのよっ!エルンストさんに見られちゃったじゃないの!」
って
ああ、そっか。制服で喫茶店て事?一応禁止だもんな。るいさんて結構真面目なんだなあ
でも、エルンストさんって見かけは固そうだけど、結構柔軟だし
ウチの学校は建前は駄目って言ってるけどま、建前だから別に平気ですよ
って言ったらまた崩れ落ちてた。きっと安心したんだな

いやー今日はるいさんの新たな面を色々知って、有意義だったな
あ、本の続き早く読んじゃってれいちゃんに貸さなきゃ
二人とも可愛いよな。全く困るよ。あはは



日記番外編 SIDE:後輩れい

この前はチョーびっくりしたよ。
るいセンパイに見られちゃってさあ、ホントのワタシを。

センパイも人が悪いよねー。ワタシが気がつくまでじーっと見てるんだもん。
ゼーッタイ、あれは面白がってたよ。そういうヒトだよあのヒトって。

部活でもさ、ワタシが精一杯上品に振舞ってるってのにさ
センパイのあの視線がチクチク突き刺さるんだよね。
すんごい感じるんだよね。

「やってるやってる、ヒッヒッヒ」

ってさ、すっごい楽しそうでクヤシイ。

「センパイってのは後輩をかわいがるもんでショ?」って言ったら
「そのセンパイにそんな口を叩くとは百万年早いぞ」って、にっこり笑ったと思ったら、
頭ぐしゃぐしゃかき回してくるし。自慢のサラサラヘアなのに!

もー毎日そんなカンジ。
そういえば最近、るいセンパイと一緒にいること多いかも。
話すときに気を使わなくていいからネ。

でもなんとなくくやしいから、今日はエルンストセンパイといっぱい話しちゃった。
るいセンパイがエルンストセンパイを好きだってことは有名だからね。
知らないのはエルンストセンパイくらいじゃないかなあ。

ほら、センパイって真面目じゃない?
自分がモテるなんてちーっとも思ってないんだよね。
そこがまたクールでいいんだけどー。
ワタシの周りなんてチャラチャラしたのばっかりでさ
そーゆーのはおヨビじゃないっての!

で、るいセンパイったら、ワタシたちのこと見る目がもう
「気になるーっ」てカンジになっちゃって。
よし!もう一息!って思って、ちょっとイジワルしてエルンストセンパイの腕につかまってみたんだ。
だっていじめられてばっかりじゃヤだもんねー。

そして、ちらっとるいセンパイのこと見てみたんだけど
もうその時はセンパイはこっち見てなくって
あのウルサイRと話しててサ。
もう! つまんないったら! 後で自慢してやろうと思ったのに。


そういえばあいつ、R。
最近るいセンパイにまとわりついてるけど
あいつも知らないのかなあ、るいセンパイがエルンストセンパイ好きなコト。
どう見たってそうじゃん。普通わかるよ。
それがわかんないんだから、Rってほんっと変なヤツー。
(なのに、エルンストセンパイはけっこうRを気に入ってるみたい
ほんっとワカンナイ!!)

とにかく、今んとこ、ワタシの方がエルンストセンパイとは仲がいいと思うし。
(エルンストセンパイはワタシの気持ちに気がついていないみたいで
チョット手強い。でもそんなところが燃えるじゃない?)
自分でいうのもなんだけどお似合いでしょ? 美男美女で。

エンリョなんかしてて横からさらわれちゃ面白くないもん。
そんなのゼッタイ許さないんだから!
それがたとえ友達でもね、ワタシは手を抜かないよ。

がんばってダメだったら仕方ないケド・・・
まあ、るいセンパイと・・・なんて万が一にもありえないと思うケド・・・
でも、ちょーっと心配なんだよねー・・・


そうだ! ここはあのRにがんばってもらおうじゃないの。
あいつ、アタマはいいし(天才のワタシを差し置いて学年ナンバー1やってるぐらいだし)
カオも悪くないし(エルンストセンパイには全っ然負けるけど)
ちょっと性格に難ありなとこを除けば(原書を平気で薦めるなんてゼッタイ思考回路ショートしてる)
かなりお買い得だと思うな。うん! そうそう!!

さて、そうと決まれば、早速明日からRをそそのかすとするかな!
噂によると、るいセンパイ。眼鏡が好きらしいから
Rにプレゼントしてかけさせれば更に効果的!


やっぱワタシって天才だね!








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