阻む者
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我は神というものを信じていない
信じるものは 己の力のみ しかし どうだ 今 我の目の前にいる女は 誰だ 我は 運命に弄ばれるような男ではない エリスを失ってから 我は変わった 我にとって ここは死後の世界 エリス亡き後の まやかしの星 なにも 恐れることはない エリスと共に 何もかもをなくしているのだから この手にはなにも 残されていないのだから ならば 後は奪うだけ この世界から全てを奪い尽くす そのために 死に物狂いで 力をつけた 誰も我に逆らうことができぬよう 我の持つ魔道の力で 思いどおりの世界に変えてやる 力というものは 素晴らしい この手によって この星に息吹を なにごとも 我の思いどおりだ そして呼び戻すのだ エリスを 黄泉の国から なのに ここにいるこいつは この女は 我がかつて愛したあいつに瓜二つ 我の行く手を阻む 宇宙の女王だという娘 ……だから どうだというのだ 計画は実行する 決めたことを変えるつもりはない むしろ この娘の血を使えば エリスを完全な形で蘇らせることができる 我にとっては好都合ではないか しかし…… エリスを手にかけるようで 気が進まぬ このようなことを考えている時点で 我の中に迷いがあるのか こいつは我が何を企んでるかなど知らず お前を滅ぼそうとしている者に向かって のほほんとした笑顔をふりまいている はっきりいって拍子抜けだ 我は試されているのか 信じたくはないが 何か得体の知れないものに動かされている いろんな想いが交錯して 時折立ち止まってしまうことがある …………………… いや 迷うことはない 我の望みは エリスと共にあること そして 二度と離れぬよう 誰の思惑にも振り回されぬよう 我は この世界の頂点に君臨する それを成し遂げるためならば どんなことも厭わぬ これまで長い間 はやる気持ちを抑え この日を迎えるための準備を進めてきたのだ そう 我はこの娘が憎い この女の愛する宇宙とやらは けして美しいだけではないはずだ 恨み 嫉妬 虚飾 暴力 そういったものの 温床でもあるのだ ……いや 正確に言おう これから きっと 確実に そうなっていく 新宇宙であろうが なんであろうが この世界のように 汚辱にまみれるであろう 我はそういうものについては 幸か不幸か 知り抜いている 醜いものを その目で 正視できるか 女王よ 自らの子ともいえる その民達を その時になっても お前は そいつらを 愛していると言えるのか 我の行く先は決まっている 生か死か 望むものが得られれば 生き 得られなければ 消滅する それだけだ そこに妥協は許さぬ 我は皇帝 レヴィアス・ラグナ・アルヴィース じきに 全宇宙にこの名をとどろかせるであろう 女王アンジェリークよ 我はお前の敵だ 倒す相手を 長きにわたって仲間としている気分はどうだ 目的のためならば 人を欺くなど簡単なこと そのようにいともたやすく騙されるなど 頂点に立つ者として 失格なのではないか 我の素性が明らかになったとき お前はどのような顔を見せるのであろう 我は今 その時が楽しみでならぬ…… |