まえがき


レオナードは階段裏が大好きだそうです
これはベストシチュでしょう! これを聞いたらこれをやらずにいられないっしょ!

というわけで 会談うら捜索じゃなくて階段裏創作
私の妄想の雄叫びをどうぞご覧くださいませ





階段裏から始めよう

エンジュは宮殿の前で立ち止まった
目の前にあるのは 広い広い階段

聖地の建物はみな とてつもなく大きい
外界から来たばかりの頃は いちいち驚いていてばかりいた彼女も
近頃ではすっかり慣れて あらゆる建物に堂々と出はいりできるようになっていた


エンジュはたたずんだまま 階段のひとつところをじっと見つめた
いつもならばこの後 スタスタと登っていくはずのそこで 思案の色を浮かべる

数秒間そうしていた彼女は 思い切り息を吸い ふーっと一気に吐き出した
そして 階段の裏手へ向かってそっと歩き出した


「レオナード様」

声をかけられた聖獣の首座の守護聖は 一瞬 びくっと肩を跳ねさせた

「な、なんだよ、おめェかよ…」
「こんにちはv」
「こんにちはじゃねェよ、驚かせんな」

口調は常の通りの彼だが 薄暗がりの中 その大きな身体を縮こませているせいか いつもの尊大な態度と比べて今日はその全てがかわいらしく見える
エンジュは思わずくすりと笑った

「何笑ってんだ、あン? てめェ、ちっとこっち来いや。そこにいるとうるせェヤツらに見つかんだろ?」
「見つかってもかまいません。私、補佐のリチャードさんから頼まれて来たんです。レオナード様を探してくれって」
「あぁ、あいつか…ったく、ヒトの顔見りゃあれやれこれやれって、オレがそう簡単に言いなりになるかってんだよ。なぁ?」
「……レオナード様」

エンジュが軽く睨みつけると レオナードはひょいっと首をすくめた

「怖ェ、そんなに怒るとせっかくのチャーミングな顔がだいなしだぜェ?」
「いつもそんなこと言って…誤魔化されませんよ!」
「んだよ、ホントウのこと言ってやったのによ…ちぇ」
「え?」
「なんでもねェよ」

ふわああぁぁあ

そっぽを向くと 彼は口を押さえもせず盛大なアクビをした
見ているエンジュの方はため息が漏れる

彼は普段からいつもこんな調子で
彼女としてはこんな態度は見慣れたものの一部である

たまにやる気を出す時もあるが そんな時は自分も動くが周りも強引に動かし 言うことを聞かないと実力行使だとばかりに大きな身体を生かして脅迫までする始末

周囲を思うままぶんぶん振り回し それはまさに台風到来といったような仕事ぶりで 問題はきちんと解決に向かうものの 違う問題が浮上しかねないと 彼の人望はいったりきたりのシーソーゲームといった具合だった

それでも 常にやる気があればまだリーダーシップを発揮できるのに
通常はこのように執務をサボり気味で 一向に重い腰を上げようとしない

そんな時 彼を引っ張り出すのが 聖獣のエトワール エンジュである

守護聖として聖地に迎え入れる前の説得に 彼女が行って成功したことを皮切りに
いつの間にか 彼を意に反して動かす時は エンジュに頼めというのが聖地の常識になってしまった
彼女の言うことなら「多少は」聞いてやってもいいと彼が公言したからということもある

そのような理由で 今日も依頼を受けて任務を遂行しようとやってきた彼女は
ぷいっと横を向く前代未聞の困った光の守護聖に対して 子どもをあやすような口ぶりで説得を試みた

「レオナード様、執務室に戻りましょう?」
「イ・ヤ・ダ」

しかし残念ながらこれはまったく効果なく 彼は隅のほうに座り込んだまま 一向に動こうとしない
むしろ 両手を頭の後ろに組んで更なるリラックス体勢をとっている

それを見て どうしたものかと逡巡していたエンジュは
その時 遠くからかすかな話し声がするのに気が付いた

よく耳を澄ませてみると どうやらそれは頭上にある階段を降りてきているようだ
徐々に声が大きくなっていく
誰だろうかと上を見上げた

「ヤベェ!」

瞬間 レオナードが小さく叫んだ

「え?」

エンジュは何だろうと思ってレオナードを見た

「お前、こっちに来い!」

レオナードが必死に腕を振り回して手招きをしている
その形相に 上にいるのは彼の補佐官かと思ったが 直後 もっと彼にとって”ヤバい”人物だとわかった

わかった時には二の腕は掴まれて 身体が宙に浮いていた


気が付いたら エンジュの身体は抱きこまれていた
暖かい息が脳天にかかる
口は大きな手に塞がれて お腹には彼の太い腕が巻きついていた

どうしてこんなことになっているかわからず 疑問をぶつけようと身じろぎをしたら
頭上にあったレオナードの顎が動いた

「静かにしろ…」

エンジュの息は完全に止まった


間の悪いことに 階段上のその人は更に誰かに呼び止められたようだった
しかもどうやら 話の内容は聖獣の宇宙の発展具合を確かめるもの

自分たちが大きく関係しているその話の下で
自分たちときたら 傍で見たら盛大に誤解されそうなことになってしまっている

その頃には話の相手が誰か エンジュにもある程度予測がついた
しかしもう それどころではなかった

レオナードの身体がぴったりと密着している今
彼のこと以外 考える余裕を彼女は持ち合わせていなかった

身体が熱い 頬が熱い

彼の手のひらは依然 自身の口元を塞いでいる

エンジュは次第に息苦しくなった
鼓動はやたら早く打つし 鼻で息をするだけでは足りないし
自然に肩が上下し始めた

もうダメだ!

エンジュは プロレスラーがギブアップをする時みたいに 塞いでいる手首をパタパタ叩いた


「バカじゃねェの…?」

胸を押さえて 大きく息を吸って吐いてを繰り返すエンジュに向かって
レオナードは彼女の背後から言い放った
話し声の主達は 既にその場から去っていた

「息ができないってんなら早く言え。死にてェの?」

違います! とばかりに振り向いてキッと睨みつけたが
レオナードはニヤッと笑っておさげの頭にぽんと手を乗せ

その直後 急に真面目な顔をすると
ぐいっと顔を近づけた

「オレはお前の為なら死ねるぜ」

いつもなら そんな突拍子もないセリフは気にするまでもなくさらっと流すことができるはず
しかしエンジュはそうしなかった いや できなかった

冗談…にしてはあまりに真剣な眼差しだった
言った後も 笑い出す気配がなかった
真摯に答えを待つ瞳を前にして エンジュは何も言えずに ただ見つめ返した

いつもの軽い口説き文句とは違って これではいなすことができない
もし本気だったらと思った
本気だったら…

エンジュはお腹にぐっと力を込めた

「嫌です。私と一緒に生きてください!」
「それ、どーいう意味?」

そう返ってきた時にはもう いつものからかいの表情が目の前にあった

口をぱかっと開けて「騙された…!」という顔をしているエンジュに
レオナードは追いうちをかける

「なぁ、教えてくれない? エンジュちゃんよ。俺様、今プロポ〜ズされちゃったんじゃネェの?」
「ち、違います! 私は、一緒に聖獣の宇宙でがんばろうって…」

すると今度は レオナードの顔が険しいものに変化した
一瞬怯えるエンジュの顎を掴み 自分のほうへとぐいっと引き寄せる
その弾みで彼女は 持っていかれた身体を支えるべく
レオナードの肩に両手をついた

「嘘つくんじゃねェ。1年経ったら自分のお家に帰るんだろ。俺をこんなところに連れてきといてよ。私の役目は終わりました。さよーなら、か? ふざけんな! 責任取れよ」


レオナードのその言葉は理不尽としかいいようのないものだった
彼女には待っている家族がいる
彼は持ちえていないそれは だからといってどんなに大事なものか彼にわからないわけでもなかった
使命を終えたら帰りたいと思うのが 当たり前のことだと考えてはいた

しかも エトワールの使命が1年までと約束されていることは宇宙レベルの決まりであり 個人でどうこうできる類のものではないことは 彼にだって十分わかっていることだった

だからこそ まずは彼女の意志を確かめてからと
今までらしくもなく慎重にことを運んでいたというのに
それをここにきて思い切りストレートに口に出してしまった
今まで溜まっていた鬱憤が ふいをついて顔を出してしまった


やがて レオナードの腕は力なく下に垂れた

「すまねェ、柄にもなく興奮しちまった。忘れてくれや。頼む…」

うな垂れ 許しを乞う彼は いつも偉そうな態度をとるレオナードからは想像もつかない姿だった
エンジュの指先は 知らず彼の金色の髪をさらりとすいていた

「エンジュ…」

見上げてくる瞳から目をそらさず 何度も 何度も髪をすく
人差し指と中指を使って 何度も

そうしているうちに 彼はこう問いかけてきた

「俺が、好きか?」

そして 彼女はこう返した

「好きです」

見つめ合ったまま 更に彼はこう言った

「女王陛下に誓ってか?」

彼女の手は 再び彼の肩に置かれた

「誓って」


瞬間 またしてもレオナードはニヤッとした
かと思うとその表情を保っていられないかのようにそのまま破顔した

「やったぜ! やっとホンネを言いやがった! ったく、俺様を手こずらせるとは100万年早いっつの」
「ま、また騙し…」
「待てよ」

離れようとするエンジュをしっかりと抱きしめ 額と額をぴたりとつけた

「俺は本気だぜ。随分前から俺はお前に決めてたんだ。だから今日からお前は俺のオンナだ。わかったか? わかったら返事をしろ」
「え、だって」
「だってじゃねェよ。わかったか、わかんねェか、どっちだ? ちなみに万が一だ、わかんねェとか抜かしやがっても俺は諦めねェぜ。俺様が決めたからにはお前の運命は決まったも同然だ。そこんとこ、よっくこの頭に叩き込んでおけよ?」

そう言って レオナードはグリグリと額をエンジュに押し付けた

「ヤダ、やめてくださいー」
「ホラ、早く言えっての!」
「わかった、わかりましたから!」
「よし、上等だ」

やっと解放したその瞬間

ちゅっ

エンジュの唇を奪い取っていた

「あ…」
「誓いのキスってやつだ」

エンジュの反応は可笑しいほど予想通りの可愛らしいもので
今までうまくいかなかった分 レオナードはニヤニヤとその姿を楽しんだ

「まァそうムクれんなって。これでもちゃあんとお前とのこと考えてんだからよ」
「…どんな風にですか?」

そこで彼は軽く咳払いをした

「まず、女王陛下に俺たちがデキちゃったことを報告する」
「デキ…」
「以上」

そんな計画で…! とエンジュが抗議しかけると

「まァ仮に反対されたとするわな。お前、少なくとも1年はここにいられんだろ? とりあえずお前はエトワールの使命ってやつをがんばれ。その間に俺様がこの賢い脳みそでもって解決策を探り出すからよ。なんてったって俺様は首座だ。信じろ。
…一緒にこの聖獣の宇宙でがんばるんだろ?」

レオナードの手のひらがエンジュの左の頬を包む
こくっと頷いたのを見て 反対側の腕が彼女の腰を引き寄せた

「俺と一緒になるということはだ、エンジュ。わかってるだろうが、お前んちにはそうそう帰れねェかもしんねェ。……だがな」

ここで 抱く腕に力を込めるると
彼女は驚いたように瞳を見開いた

「お前の人生をまるごと貰うかわりに、俺様がお前をこれ以上ねェっつうくらい大事にしてやるぜ。ああ、俺は誓う。光の誇りにかけてな!」

それを聞いて エンジュは照れたように笑った

「わかりました。それから……期待してます。光の守護聖様!」
「おぅ、任せとけや」

くすくすっと二人 声に出して喜びを分かち合う
エンジュの瞳はレオナードを見上げ
レオナードは徐々にその距離を縮めた


額を近づけて軽く合わせると そのまま鼻先を擦り付ける
くすぐったくてエンジュが笑う
レオナードもつられて笑顔になる

もう一度鼻先を ちょん とくっつけると
次に唇に軽く ちゅっ と触れ たった今 想いが通じ合ったばかりの相手を見つめた

熱く感じる頬を撫でて 指先が耳たぶにかかった
親指と人差し指で軽くつまんで引っぱると またエンジュが笑う

そのまま すり合わせたり弾力を確かめたり
瞳は彼女の上におとしたままで
更に腰を引き寄せて自分の身体に密着させて

鼻先に ちゅっ と触れる
中指でそっと耳の後ろを撫でる
口角にキスして
顎にもう一度
見つめて
見つめて
手のひらが背中を抱き

下唇を食む


それまで こういうことは単にテクニックだと思っていたレオナードは
今 心底 エンジュとのキスを楽しんでいた

愛おしい彼女の反応を見ているだけで満足する自分を発見した
もっといろいろしてやりたくなる だが…

「階段裏じゃなァ…」

つぶやくと ほわん とした顔で見上げてくるエンジュ
レオナードは彼女の前髪を さらっと弾いた

「今日はこれくらいでカンベンしといてやるか。次に会った時、覚悟してろ。
こんな可愛いもんじゃねェからよ」

途端にぼわっと赤面したエンジュに余裕のウィンクをして
言った本人はすっきりしたとばかりに よっこらせ と立ち上がった

「行くぜ、こんなトコに二人でいんのが見つかったらツマんねェことになるからよ」

さっさと暗がりから出て行った相手を見て
エンジュはあっけにとられながらも後を追って明るい場所に出た

まったくいつも勝手なんだから…と頬を膨らませ
でも 彼の言う「可愛いもんじゃない」のってどんなのかなぁ?
と思うと 近い将来身に降りかかるであろう想像に また頬が熱くなるエンジュだった

その前に

「レオナード様! 執務室はそっちじゃありませーん! どこに行くつもりですか!」

大きな子どもの世話を確実にこの身に背負わされてしまったことを悟りつつ
聖獣のエトワールであるエンジュは 盛大にはためくマントの背中に向かって駆け出していった





あとがき


いかがでしたか
私の感想としては

「いやだあたしったら欲望丸出し!」

というところです でもこういう二次創作は自分が楽しむものだもの!
いいんだもん もんのもん

と勝手に自説を繰り広げて自分を納得させるの図

レオナードはほんとに私の好みです
今とっても俺様に飢えているわたくしに100束の光です

恐らく私には眼鏡時期と俺様時期が期間限定で訪れるのだと思います
だから今は俺様時期です カモン俺様 私に俺様を恵んでおくれ〜

あ あとコルダの火原っちに代表されるような プリティ元気時期もあります
これは今でも静かにくすぶっています けして枯れないプリティ元気時期
略してプリ元!(はぁ?)

ていうか好きになったらその人がタイプのけっこう可愛いわたくし…

あ もういいですか こんなトークは

というわけで 読んでくれた人 ありがとー
俺様万歳!





エル以外も万歳