Wings memory〜1章〜


〜T:転校生は顔見知り?〜

 う、ん・・・
・・・朝か・・・・・・・
何か、夢を見ていたような・・・
すっげー、気になる。
夢を見たのに覚えていない、めっちゃつらいよな〜

《そうそう、俺の名前はルシール・エル・スリード、一応この小説の主人公らしい。
 ・・・何言ってんだ俺?まあ良い、読者サービスだ!
 今はプロローグから11年後の時代ってやつだな。
 プロローグでの俺は6歳だったから今は17歳の学生だ!
 とりあえず、ここは学園寮の俺の部屋ね。
 ま、説明はこんなとこだな。じゃ、storyに戻りますか 》

「いまさら、ごちゃごちゃ言っても思い出せないしな」
「あ、そういや今日転校生が来るんだっけ。来るんなら、やっぱかわいい娘じゃないとね」
よっしゃ、なんか今日はやる気が出てきたぞ。
とりあえず、メシ食って学校へ行きますか。

 教室について黙って時を待つ俺・・・
そこへ、悪友たる朧(おぼろ)が近づいてきた。

《フルネームでは玄奘 朧(げんじょう おぼろ)という東洋から来た留学生
 成績は無茶苦茶良い。俺の最大のライバルだ!》

「ん?どした、朧?」
「いや、たいしたことあらへん。ちょいと、転校生について語りあわへんかと・・」
「やっぱおまえも気になるか・・・何か情報あるか?」
「わいを誰やと思ってるんや、ちゃんとチェック済みや」
「マジで!どんな人がくるんだ?」
「女の子や。めっちゃ美人でな、銀髪ロングの物静かそうな娘や」
「うっわ、すっげ楽しみだ!」
(何を隠そう、俺は銀髪ロングが大好きだ。くっ、ツボを押さえやがって)
「だろ、お、そろそろ来る頃やな、楽しみに待っとれや」
朧は、にやけながら席に戻っていった。
そうこうしているうちに、担任が教室に入ってきてHRが始まった。

「・・・・・と言うのが今日の連絡です」
担任が一通り連絡を終えた後、話を切りだした。
「みんなも知っている通り、今日このクラスに、転校生が来ます、入って来なさい」
・・・・・
「失礼します」
「うおー」
転校生が入ってきたとたん男子の8割方がざわめきたった。
もちろん、俺も生唾ゴクンッ!(笑)
(つ、ツボを押さえやがって・・・最高だ!)
「はいはい、静かにしなさい。彼女が困ってるでしょ」
担任の言うとうり、確かに彼女はオロオロしている。
(くっ、仕草がかわいいぜ!)
もはや、俺は撃沈だ。
そんな中、担任が生徒達を鎮め話を続けた。
「はい、まずはみんなに自己紹介をしなさい」
「あ、はい」
転校生は少し照れくさそうに話し始めた。
「みなさん、はじめまして、私はフィリエル・レノア・クライスといいます。
 えっと〜、この辺りはまだまだ不慣れなのでいろいろとわからないことも
 沢山あります。それでは、皆さん宜しくお願いします」
ぺこっ、と彼女→フィリエルは頭を下げた。
彼女は俺のツボをしっかりと押さえている。しかし、俺の中で何かが引っかかっていた。
(フィリエル?何か、聞き覚えが・・・)
そんな俺の思考を中断させるかのごとく、担任が俺に仕事を頼んだ。
「じゃ、ルシール君、彼女に学校内を案内してあげて」
「なぜ、俺が・・・」
「席、隣でしょ、文句言わない、返事は?」
「はい、わかりました」
まあ良い、悩んでいてもしょうがないしな。
本人に聞くのが一番だな。俺はそう考えHRの終了を待った・・・

 HRも無事終わり、俺は早速彼女を案内してあげるため行動を開始した。
「えっと、フィリエルさん、学校内の主なとこ案内しますんで
 ついてきて下さい」
「あ、ありがとルシール君」
 少し歩いたあと、彼女は俺に話しかけた
「やっと会えたね、ルシール君」
「はっ?何が?」
いきなり言われても俺にはさっぱりわからん。
彼女は、驚いて俺を見た
「えっ・・・・・私のこと覚えてないの?」


〜U:どたばたスクールライフ〜

「えっ?・・・前に会ったことありましたっけ?」
(こんだけの美人だったら絶対覚えているぞ?)
俺の答えに彼女は少し悲しそうな顔をした・・・
「あ、ごめんなさい。たぶん、人違いです・・・」
・・・沈黙が場を包む
そんな中、彼女が口を開いた
「あの、案内お願いします」
「あ、ああゴメン。じゃ、ついてきて」
なんか、釈然としないまま、もとい、気まずい状態のまま彼女の案内をした。
「と、まあこんな所だね」
「ありがと、ねえ、あなたは何の授業を受けているの?」
いつの間にやら、彼女は最初と同じように話しかけてきた。
「えっ、俺?兵法と政治あと、総合戦闘術だけど」

《説明しよう。ここは、普通の学校ではない。
 選択科目は「剣術」や「魔法系」などetcファンタジー要素
 たっぷりの王立総合ハイ・スクールである》

「ふーん、そうなんだ」
「私はね、高等白魔術と音楽あとは政治なんだよ」
「だから、政治の授業の時は一緒だね!」
 物静かそうな外見とは裏腹によく喋る人だな。
それにしても、何かさっきより嬉しそうな感じだ、良いことだ。
「へー、政治とってるんだ、だったら次の授業に行ってから話そ、次の授業、政治だし」
そう言った直後、無情にも鐘が鳴り響く・・・
   ーキーンコーンカーンコーンー
「やべ、始まる、ほら急ご」
 俺は自然に彼女の手を取って急いだ。
手を取った瞬間、俺は何か懐かしい感覚におちいった。
(昔、こんな事があったような気がする)が
今は、時が時だ、俺は思考を強制的に遮断してダッシュをした・・・・・

 ふう、間に合ったか。
「ぜはー、ぜはー」
さすがにきつい。息が乱れる。
「お、間におーたよーやな、お二人さん」
ん、朧か。だが、今はこいつの相手をしている余裕がない。
それは、もちろん隣のフィリエルも一緒だ。
「ル、ルシール君・・・・早すぎ」
フィリエルは、もはやグロッキー寸前だ!
既に平衡感覚を失っている。
ほっておいたら、絶対倒れる(断言)
「おい、大丈夫か?フィリエル?」
俺は、彼女を介抱して机にだれた。
「ふいー、疲れた」
 そんなこんなで、今日の授業も慌ただしく始まっていった。


〜V:学生寮の歓迎パーティー〜

 俺は、自分の部屋についた途端、ベットへ倒れ込んだ。
「うー、まぢで疲れたー」
ほんと、今日はいろいろあった。
「いやー、俺って働き者だねぇ」
さっきから独り言を言い続ける。周りから見たら不気味だ。
「あ、そういえばフィリエルって・・・・・やっぱ、会ったことあるのかな?」
「俺が忘れてるだけだったら・・・やっぱまずいよなぁ〜」
 数分後・・・・・
    トントン・・・トントン・・・
ん、ドアをたたく音か。
「はい、何ですか?」
「新寮生の歓迎会をするから広間へ来ーい」
ドアの向こうにいるのは、この寮の管理人のザインさんだ。
「はい、すぐに行きます」
返事をしたときには、既にザインさんは、ドアの向こうにはいなかった。
(ちっ、あいかわらず早えー人だ)
どれ、行きますか。
(そういや、フィリエルも寮に入るって言ってたっけ、
 てことは、フィリエルの歓迎会かな?)
ぶつくさ考えながら俺は広間に入った。
そこにいたのは・・・・・相変わらずのオールド寮生一同だった・・・・・
「なあ、朧。メインの新寮生は?」
とりあえず、近場に聞いてみる。
「おまえが、なかなか来ーへんから、呼ぶに呼べへんかったんや。」
「とりあえず、みんなそろーたよーやし。そろそろ呼んだほうええんちゃう?ザインはん」
「よし、それじゃ今から呼んでくるな」
そう言って、ザインが部屋から出ていった。


〜一方そのころ:フィリエル〜

 暗い部屋の中フィリエルはベットに腰掛けていた。
涙が頬を流れている。
「ルシールのバカ・・・・・
 忘れないって約束したのに」
また、涙がでてきた。
忘れられていることが悲しかった。
 ルシールとの出会いをフィリエルは思い出していた。
「あの時は、嬉しかったな」
   ファサッ・・・
「これを見せれば、思い出すのかな」
フィリエルは無言で自分の羽を撫でていた。
「やっぱり、見せられないよね。もう、あの頃とはちがうもんね」
   ファサッ・・・
まぶしい光と共に、彼女の背から羽が消えていた・・
    トントン・・トントン・・
「?」
「誰ですか?」
あわてて、涙を拭った。
「管理人のザインだが、歓迎会の準備が出来たから広間に来てくれないか」
「あ、はい。すいません、歓迎会まで開いていただいて」
「ん、気にするな、これも俺の楽しみの一つだ」
ザインさんは、笑いながら答えた。
「じゃ、用意ができたらすぐ来いよ」
「わかりました」
・・・・・
「歓迎会か・・・ルシールも来ているよね・・・」
フィリエルは迷いを振り切るようにベットから降りた。
「やっぱり、今まで通りいこ。それが、一番だよね」


   数分後・・・
「新寮生、登場〜」
  パチパチパチ、オールド軍団の拍手の嵐の中、新寮生が入ってきた。
予想どうり、新寮生はフィリエルだった。
彼女は俺に気付くと少し微笑んだ。
(くわっ、やっぱ可愛いわ、こいつ)
 互いの自己紹介も終えて、いざ宴もとい歓迎会がはじまった。

   1時間後・・・
「はははははっ、酒がたりへんぞー、次もってこいやー」
朧が出来上がっていた・・・・・

《一つ説明しておこう。この世界では
 酒は15歳から飲んでも良いのである》

「おいっ、朧。おまえ、ペース早すぎ」
さすがに危険と判断した俺は、朧を止めにはいった。
「なんや、ルシール。止めるちゅーことは・・・敵や」
  ビュ・・・
朧は俺に拳を繰り出した。
普段なら鋭く、止めるのが困難な攻撃だが、今のこいつは酔っぱらい。
ふらふら攻撃で俺にあてられる訳がない。
「酔っぱらいの攻撃になどあたるか」
  シュバ・・・
気合い一声、俺の手刀は見事に朧の首筋に決まった。
「ぐふっ!」
   バタッ
綺麗なモーションで倒れる朧。
「ふっ、俺の勝ちだ」
何故か誇らしげな俺。
「すいません。ザインさん、こいつ寝させてきます」
「またやったのか?ああ、言ってこい」
ザインさんは苦笑しつつ言った。

「よっと」
俺は朧を部屋まで連れていった・・・後、床に捨てた。
「面倒かけさせやがって。この程度ですんでありがたく思え」
床に突っ伏している朧に捨てゼリフを吐き、俺は広間に戻った。

「・・・・・・・・・」
広間に戻った俺が見たのは、フラフラと千鳥足のフィリエルだった。
「あ〜、るし〜る〜、遅いよ〜」
 ・・・・・
「誰だ?ここまで飲ませたの?」
俺は周りを見渡した。
ザインさんと目があった・・・・・
「がはははは」
あ、誤魔化す訳ね・・・
ぜってーこいつだ。俺は、そう確信した。
とりあえず、ザインさんの処分は後にして。
「フィリエル〜?無事か〜?」
「あ、私ならだいじょ〜ぶ〜」
「・・・・・」
ぜってー駄目だ!
そう確信した俺はとりあえず介抱することに決めた。
(俺は・・・衛生兵か?)
「フィリエル、酔い覚ましに外にでもいかないか?」
「うん、いいよ、いこ」
そう言って彼女は俺の腕に自分の腕を絡みつかせた。
離れる様子のないフィリエルをぶら下げたまま、俺は中庭へ向かった。


 中庭へついた
「フィリエル、そろそろ離れろ」
いまだに絡みついているフィリエルをとりあえず椅子に座らせた。
「ん〜、ごめんね、ルシール」
まだ酔いが醒めないまま、フィリエルが口を開いた。
「ねえ、やっぱり思い出してない?」
「・・・ごめん」
「ルシールのばか!
 なんで思い出してくれないのよ!ずっと、ずっと待ってたんだからね」
涙が頬を伝っている。
「ばか、ばかばかばかー」
俺の胸で泣いた後、疲れ切ってフィリエルは眠ってしまった。(酔ってもいたもんな)
「ふう、ごめんやっぱり思い出せないんだ」
俺はそう呟いて彼女を見た・・・
   ・・光が   ・・・・・
「つっ」
眩しい・・・なんだ?

光はおさまったか・・・
 目を開けた俺が見たモノは、一対の翼を生やして眠っているフィリエルだった。
「フィリ・・・エル?」
天使?ってことは、人間じゃねえ。
まてよ・・・確か昔・・・
俺は昔の記憶を思い出す。
「そういえば、確かに約束した『また、会う』って」
ってことは、フィリエルは、あの時の女の子か・・・
「そりゃ、怒ってるよな、俺、約束を忘れてたもんな」
 ごめん、フィリエル・・・
 これからは、離れないからな、約束は守る、絶対に」
そう眠っているフィリエルに言って、俺は黙って彼女を抱きしめた、二度と離れないように。


                                   【続く・・・】

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