古の四神〜玄武の章〜


?「やっぱり結界の力が弱まっている」
  深い森の中、一人の少女が古い社の前で立っている・・・
    ガサ ガサ
  何かが居る・・・
  少女は袂から数枚の符を取り出した。
  直後、左手の茂みから一つの影が現れた・・・
  体長八尺(一尺約30cm)もの人喰鬼である。
  鬼が動くよりも早く少女の手から符が飛んだ。
  符は空中で燃え上がり、火柱となり鬼を包み込み燃え上がり鬼を封じた。
  ・・・辺りに静寂が戻った。
?「早く塞がないと・・・」
  少女は呟くと、その場を離れた・・・
  ・・・・・辺りにはもう何も聞こえない・・・・・


   ーーーー翌日ーーーー

?「もう、まだ寝てるの・・・
  ほら、起きて」
俺「ん・・・なんだ、雅か・・・寝る・・・」
雅「あ、ちょっと起きたのに寝ないでよ
  ほら、純、起きて」
純(たく、眠〜のに・・・)
 「雅・・・メシ作ってくれ」
  雅がため息をつくのが聞こえた
雅「はあ・・・たまにはいっか・・・
  作ってあげるからちゃんと起きてね、純」
純「ああ・・・」
  パタン  ドアが閉まり部屋に静けさが戻ってきた
「チュン チュン チュン・・・」
  小鳥の囀りが聞こえる
  う〜ん、のどかだ
純「さてと、起きるか、メシも作ってもらってるしな」
  俺は布団を剥いで起き上がった。
純「えっと、制服はっと・・・」
  周りを見渡すと、制服は綺麗に畳まれ机の上に置いてあった。
純「あいかわらず、あいつ細かいなぁ〜」

 あいつ・・・日向 雅(ひゅうが みやび)
 幼稚園の頃から今(高校3年)までずっと同じクラスという
 究極の腐れ縁幼馴染である。
 家が神社で巫女さんをしている彼女・・・おまえら(誰?読者?)
 から見れば羨ましい限りだろ・・・と、まあそれは置いといて、
 家事全般を器用にこなす、という男から見れば文句のつけようのない女だ。

  ガチャ
雅「純〜、ちゃんと起き・・・・・」
純「・・・・・」
  ・・・俺は今、着替え中で生まれたままの姿なのだが・・・・・
  しかも、男特有の朝の生理現象が・・・
雅「ご、ごめん〜〜〜」
  雅は真っ赤になって部屋から出て行った。
純「・・・・・ま、まずはメシ食おう」
  俺は、さっきのは無かった事にして、さっさと着替えて
  メシを食べることにした。
  居間に入るとソファーに座って俯いている雅がいた。
  雅は俺に気づくと慌てて口を開いた。
雅「あ、あの、ご飯冷めないうちに食べてね」
純「あ、ああ、じゃ頂きます」
  献立は、ご飯に大根の味噌汁、そして焼き魚(紅鮭)だった。
純(なんて基本に忠実な朝飯なんだ、しかも美味い)
  味噌汁を啜りながらそう思った。
純「それにしても・・・」
雅「えっ?何・・・」
  慌てて雅が聞き返す。
純「お前が、覗きをするとはな」
  再び雅は真っ赤になり否定した。
雅「ちがうわよ。あれは、不可抗力なの。
  なんで、私が純の裸なんか見なくちゃいけないのよ」
純「なんかとは、失礼な、この俺の引き締まった体をなんかとは!」
雅「もう、そんな事より早く、ご飯を食べてよ!
  学校に遅れちゃうでしょ!」
  雅が怒ってしまった。
  少しからかいすぎたかな。
  ま、まずはメシを・・・マッハで食う!!!ドーン(効果音)×3ぐらい?!
純「よし、食った!!んじゃ、すぐ行くから外で待っててくれ」
雅「うん、わかった、早くしてね」
  よっしゃ学コの用意〜。鞄に・・多分入ってるな(今日の用意・・いいのか?ヲイッ)
  よし準備OK〜、鍵も持って、よし行くぞ。
純「待たせたな、雅」
雅「じゃあ、行こうか」

     そして今日も、いつも通りの学校生活を送ってゆく・・・

   zzZ zzZ
雅「起きて、起きてよ」
純「ん、何、雅」
雅「もう6限終わったわよ。
  毎日そんなで、よく学年20位以内に入ってるわね」
純「ふわぁ〜、何言ってんだ、お前なんか毎回ToPじゃん。
  それに、俺の順位がいいのはお前のおかげだろ」
雅「えっ!!」
  雅の頬に朱がさす。
純「ん、どうした、熱でもあるのか?」
雅「な、何でもないわよ」
純「そうか?んじゃ帰るか・・・
  今日は家まで送ってってやるよ、朝飯作ってもらったし」
雅「それじゃ、お言葉に甘えちゃおうかな」
   帰路、久々に卒業した先輩に会った。
純「神代先輩、お久しぶりです」
神代「あ、春日、春日か?久々だな、連れは彼女か?」
純「ち、違いますよ」 雅「え、えと〜」
  俺たちは同時に喋った・・・内容は全然違うけど。
神代「なんだ、違うのか、じゃあ何なんだ?」
純「あ、幼馴染の・・・・・」
雅「日向 雅です」
神代「雅ちゃんか、よろしく。俺は神代 秀也(かみしろ しゅうや)
   こいつの2つ年上で、今は駅前のとこの事務所にいる。
   まあ、【何でも屋】みたいなのやってんだけどね。
   何か困ったことがあったら来てみな」
  そう言うと先輩は胸ポケットから煙草を取り出して火をつけた。
  ちなみに銘柄はマ○ボロ ライトだった。
  一服し終えると先輩は俺たちに1枚ずつ名刺をくれて去っていった。
  俺は何気なく名刺を見てみた。

     (有)神代総○解決所
       ○長
        神代 秀也
      TEL(TFB)EZX−MQAS

純(・・・・・なぜ、名刺に伏字を使うんだ、あの人は
  さすがだ、さすが先輩だ・・・)
 「時間くっちまったな、帰るか、雅」
雅「うん、そうだね」
  それから、俺たちは他愛もない話をしながら歩いた。
純「あとは、この階段だな。相変わらず長げーなこれ」
雅「そう?慣れればどうって事ないけど・・・運動不足なんじゃない?」
  うぐっ!痛いとこつくな

      2分後ぐらい
純「よし、登りきった〜。はあ、はあ、着いたぞ雅の家」
雅「お疲れ、ちょっと待っててね〜」
  何だ?・・・まあいい待ってやる、どうせ疲れて動けん。
  俺は石段に腰をおろした。
純(まったく雅は毎日こんな階段上り下りしてんのかよ。
  俺も体力つけようかな。最近弱っているからなぁ〜)
雅「純〜、お待たせ!」
  振り向くと竹箒を2本持った巫女姿の雅が
純(う〜ん、巫女さんに竹箒、巫女マニアにはたまらんですな。
  ・・・箒が2本?・・・いやな予感が・・・)
雅「はい、それじゃ純はあっち半分お願いね、
  私はこっち半分やるから」
純(やっぱりこうきたか)
 「なぜ俺が掃除を手伝わにゃ〜いかんのじゃ」
雅「えっ、だって私1人だと大変でしょ?
  お願い、またご飯作ってあげるから」
純「ま、そこまで言うなら手伝ってあげっか」
雅「それじゃ、お願いね、早く終わらせましょ」
純「まかせろ【マッハ】で終わらせてやる」
  意気込んで掃除に取り掛かったものの(広すぎるぞここ)
  20分ぐらいかかって、やっと半分終わった所だった。
純「よし、あと半分、頑張ってこか〜」
      さらに22分後・・・
純「雅〜終わったぞ〜」
  俺が終わったとき、既に雅は掃除を終えていたようだった。
純(早え〜な、やっぱ慣れか・・・)
雅「お疲れ様、はい麦茶」
純「あ、サンキュ、ふ〜生き返った〜」
雅「まだ、8月だからね、ふ〜美味しい」
  俺は一気に麦茶を流し込みコップを差し出した
純「おかわり」
雅「もう、一気に飲むと頭痛くなるわよ」
  そう言いつつ雅は麦茶を注ぎ足してくれた。
純「久しぶりだな、お前とこんなのんびりとすごすのは」
  神社から見える夕日がとても懐かしく思える。
  隣を見ると雅の顔がほんのり赤らんで見えた。
  夕日のせいか何かはよく分からなかったが、それがとても可愛らしく見えて
  胸が高鳴った。
  それからしばらく2人で夕日を眺めて過ごした・・・
純「暗くなってきたし、そろそろ帰るな俺」
雅「今日はありがとね、また明日 バイバイ」
純「ああ、じゃあな」

  雅と別れて俺は家路についた。
  途中まで帰った時、俺は周囲に妖気が満ちてくるのを感じた。
純「最近多いな・・・」
  俺は呟き、すぐさま印を組み始めた
純「オン クロ ダ ナウ ム ジャク ム シッ チ」
  印を組み呪詛を唱え終わると目の前に霧が集まり一体の妖物が現れた。
?「よく・・・気づいたな・・・」
純「そりゃあ、あれだけ瘴気が満ちているんだ、
  気づいてくれ、と言っているようなもんだろ」
  そう言った直後再び俺は印を組み始めた。
?「慌てるな・・・今はまだ時が満ちていない、私は消えさせてもらおう」
  そう言うと妖物は霧となり四散し始めた・・・
?「我が名は霧月采(むげつさい)・・・また会おう・・・」
  言い終えると霧月采は完全に消え去った。
純「逃げられたか・・・いや、退いたのか・・・」
  俺は印を解き辺りに気を配った・・・
純「近くには居ないな・・・今夜辺りが勝負か・・・」
  俺はそっとその場を離れた・・・
  術師の生き残りとして戦うために・・・・・


      その夜・・

  深夜・・・午前一時半もまわった頃、純は1人で町の北にある山の中を歩いていた・・・
純「瘴気が濃くなってきてるな・・・結界が解かれたか・・・」
  この町は【四神相応の呪】が掛けられ妖物の進入が抑えられていた。
  その結界が解かれたということは四神相応のどれかの社が解かれた、という
  ことであろう。
  純は、近場である北の【玄武】の社に向かっていた・・・
純(瘴気が濃い・・・来る!)
  印を組んだと同時に三つの影が襲い掛かってきた・・・
  一つ目の攻撃を後ろへ飛んでかわし、二つ目・三つ目の
  攻撃を左右に体をそらし避けた・・・
純「容赦ねえな!・・次はこっちからいくぜ!
  剣印・・村雲!!!」
  すばやく【剣印】を組み右手に霊剣を作り出す・・
  それと同時に一人が突っ込んできた
純「甘えって!」
  すれ違いざまに袈裟切りに切り裂いた・・・
  返す刀でもう一人の首に突き刺す
?「ぐうぁ・・・」 ?「がはっ・・・」
純「残るは、お前だけだぜ!」
  直後、最後の一人も腕を振り上げ突撃してきた
純「死を選ぶか・・・哀れな・・・」
   ・・・斬・・・
  現れた妖物は死と同時に土に還った・・・
純「急がないと・・・」
  純は急いで社へ向かった・・・

      一方その頃・・玄武の社

  一人の巫女が社の前で十数体の妖物と対峙していた・・・
?「この数・・・やっぱりこの社で正解みたいね・・
  でも、このままじゃやられちゃう・・・何とかしないと」
  呟くと袂から符を取り出し辺りにばら撒いた・・・
?「我が命に答えよ・・・縛炎」
  命に答え符は、妖物を囲むように動き燃え上がった。
?「今一度・・・汝の在るべき場所へ・・・」
  詛を唱え終わると十数体いた妖物は炎と共に消え去った・・・
?「ふうっ・・・・・」
    グラッ・・・
?「っと・・・」
  力を使い果たしたのか巫女は、その場に手をついた。
  その時、その場に強すぎる瘴気が満ちてきた・・・
?「・・・これは・・
  だめ・・今の状態では勝てない・・・」
  彼女が死を覚悟している間にも瘴気は徐々に濃くなっていった
  やがて、彼女の眼前に一つの影が現れた
霧月采「我が使徒を一撃で倒すとは・・・なかなかの使い手だ」
  霧月采はもはや影ではなく、人の形をとっている
霧月采「だが、力を使い果たしているとは・・・
    後にお前は、私の脅威になるだろう・・・
    従って死んでもらう・・・・・」
  そう言うと、霧月采は何もない空間から巨大な刀を取り出した
霧月采「汝の霊力・・・私が頂こう」
  ゆっくりと、霧月采は彼女に近づいていった

      その頃・純

純「つっ・・・何だこの瘴気の濃さは・・・
  まてよ・・この瘴気は・・・霧月采!
  どうやら、玄武の社で当たりみたいだな」
  純は急いで社へ向かった・・・
  社へ着いて純が見たものは、刀を振り下ろす直前の
  霧月采と立つのもやっとの巫女の姿だった・・・
純(雅?・・・危ねえ!)
  すばやく玉印を組み呪詛を唱えた
純「ダラ クン ム ジャク・・
  玉印・・飛燕!!!」
  高速の霊気弾は狙いどうり霧月采の刀を弾き飛ばした
  間を置かず巫女のもとへ駆け寄り横抱きに飛んだ
  一瞬前に彼女がいた場所は霧月采の鋭いカギヅメが凪いでいた・・・
純「ぶねー・・まじかよ・・・」
雅「・・・純?」
純「無茶すんなよ、雅・・・」
  純は視線を霧月采から逸らさずに雅に話かけた・・
純「話は後だ・・・離れてろ・・・
  剣印・・村雲!!!」
  純は霊剣を作り出すと霧月采に向かった・・・
純「立ち会え、霧月采!」
  そう言うと霧月采は笑いながら応じた
霧月采「面白い・・・面白いぞ・・」
  答えるや霧月采の刀が翻り頭上から叩き下ろしてきた
  その、攻撃を受け流し返す刀で一文字に払った
  その攻撃は紙一重でかわされた
純「くそっ!」
  必殺の一撃をかわされ地団駄を踏む
純「喰らえ・・・四神縛呪斬・・」
  気合と共に必殺剣を叩き込む
  一撃目を薙ぎ、二撃目を払い三撃目を切り上げ
  最後に無数の突きを叩き込む技だ
  一撃目二撃目は防がれたものの、三撃、四撃目は確実に決まった
純「はあ、はあ、はあ・・・
  頼むから立つなよ・・・」
  願いも虚しく霧月采は立ち上がった
霧月采「ふふ・・・ははははは・・・
    なかなかいい攻撃だ・・・だが、私には効かん・・・」
純「まじかよ・・・」
霧月采「もう、終わりか?・・・
    では、私の番だな・・・」
      シュン・・・
  霧月采の姿が消えた?
      ドスッ
純「がっは・・・」
  血が滴る・・・
  霧月采の刀が純の腹部を貫いていた・・・
雅「純!!!」
  雅の悲痛な叫びが聞こえる・・・
純(死ぬな・・・俺・・)
  雅が駆け寄って純を抱きかかえた
雅「純、純死なないで!!!」
  雅は大粒の涙を流して、すがりついた
純「に、逃げろ・・・雅・・・・」
  しかし、雅は離れようとしない
  いつの間にか霧月采が目の前に来ていた
霧月采「・・・2人揃って死ぬがよい・・」
  カギヅメを振り下ろす刹那、社から一条の光が飛び出し
  霧月采を貫いた
霧月采「なに・・・ばかな・・私が・・・やられるだと・・・・・」
  霧月采の体が消滅しその場に一つの石が転がった
  社から飛び出した光は純と雅を包み込んだ
  光が収まると純の傷は治癒し、雅も体力が戻っていた
純「この光は?」
  雅が空を指差して言った
雅「純・・・あれ・・・」
  雅の指差す先には、一人の少女?の姿があった
純「飛んでる・・・
  翼が・・ある」
  空に浮かんでいる少女は微笑みながら2人の前に下りてきて話し始めた
?「私は玄武神の使いです・・・今この町の調和が崩れだしています。
  あなた方のような能力者の力が必要なのです・・・
  力を貸して頂けませんか?」
純「俺はさっきの奴にも勝てない・・・それでもいいのか?」
?「大丈夫です」
  そう言って彼女は微笑んだ
?「彼らとの戦い方は教えますから(^^」
  少し思案した後、2人はそれぞれ答えた
純「ああ、俺は構わないぜ・・・
  元から、俺の一族は妖物を討つ為にいるんだしな」
雅「私も、封印を守護する一族だから」
?「ありがとう、2人とも・・・
  あ、私の名前は玄夢 神那(げんむ かな)といいます。
  これから、よろしくお願いしますね」
純「こちらこそ」 雅「こちらこそ」
  2人は、ほぼ同時に答えた

     それが、第一の神の使いとの出会いだった


                                   【続く・・・】


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