誕生会で祝い尽くせ!
小粋なコックさんが血を吐いたと言う知らせを受けた私達は、急遽代わりに料理を作りました。
粋でいなせなコックさんは体が弱いのです。
その料理もとりあえず普通水準で終わりました。
で、その後片付けの真っ最中です。
「明日はわたいの誕生日!がーぴー」
食器洗いをしていると突然モッサリが叫びました。
ちなみに前回吹き飛んだ体は滞りなく直りました。
予備をはめただけですけどね。
「そうだったのか…このポンコツ何歳だ?」
たまたま後ろに居た変なノリで自分の名前すら変えた、執事で魔術師のランランさんが会話に参加します。
…ちなみに二人ともご主人様のネーミングセンスの被害者だったりします。
まぁ、それは置いておきましょう。
人差し指を頬に付けて考えます。
モッサリがガーピーいいながら屋敷に来たのは…
「あぁ、そう言えば…明日で一ヶ月ですね」
「へぇ………って、まだ一ヶ月かよ!」
驚愕の顔でランランさんはツッコミます。
「誕生『日』ですからね」
月ごとに誕生日やってたら一気に年を取ってしまいます。
…モッサリはロボットだからいいかもしれませんが。
「お姉さま誕生パーティーです!ケーキ投げあいましょう!がーぴー」
「そういうのじゃねぇよ!」
「うるせー、ちぃと間違えただけでぇ!…ガーピー」
モッサリとランランさんは良いコンビのようですね。
私は頷きながら二人を見ます。
…やっぱりモッサリの口調はおかしい気がしますが。
そんな事を思いながらも誕生会のことを考えます。
たまにはこう言うのも良いかもしれませんね。
「わかりました、ご主人様に頼んでみましょうか」
食器洗いも終わりましたしさっそく行きましょう。
「行きましょう行きましょう!…がーぴー」
後をランランさんに任せて私たちはご主人様のところへ行きました。
「と、言うわけなのです」
ご主人様の部屋に来てこれまでのことを話しました。
「うん、面白そうだからOK」
さすがご主人様、素早いご決断です。
「ナイス判断だぜ!…がーぴー」
銃を下ろし、モッサリは渋く言います。
「モッサリ、ご主人様を脅してはいけません」
「まぁ、それはともかく、明日に二階のホールでね」
さらりと流してご主人様はいいます。
「わかりました、早速準備しますね」
一日あれば何とかなりますね。
そう言ってご主人様の部屋から退室をしようとすると…
「お姉さまわたいも手伝います!…ガーピー」
そう言ってモッサリがついてきます。
「貴女の誕生会ですよ…」
そう言ってから考え直します。
…こういうことを手伝ってもらうのも何か得るものがあるかもしれません。
「いいです、行きましょう」
私達はご主人様にお辞儀をして部屋を後にしました。
「あらあら、メイドさん達、お勤めご苦労様です」
廊下を歩いていると先輩が車椅子に乗ってやってきました。
屋敷の見回り中なのでしょうけれど。
「あ、先輩、チーッス!…ごーぴー」
モッサリはそう言いながらお辞儀をします。
「いえ、お勤めは終わりました」
かくかくしかじかと、先輩にこれまでのことを話します。
「まあ、是非行かせて貰いますねぇ…あら、そろそろ行きませんと」
意外に時間が経ってしまったようです。
「では私たちも行きますね」
「是非来てくださいっす!…きーぱー」
モッサリは去る先輩に手を振っていました。
私達も移動を再開することにします。
と、言うわけで会場予定の二階のホールにたどり着きました。
「さて、時間もありません、早速準備しますよ」
私は持ってきた装飾グッズを床に降ろして言います。
「じゃあ、わたいは入り口に落とし穴掘りますね…がーぴー」
「はい、お願いします」
どうやって掘るんでしょう。
「掘るなよ!?」
ランランさんが部屋に入るなり突っ込みしました。
「ランラン何故ここが!?…がーがー」
「マスターに聞いたんだよ」
ランランさんはご主人様の事をマスターと呼びます。
「では、手伝ってくださいね、モッサリを」
モッサリを止める役としては適任です。
まぁ、私は余り止めようとしませんが。
「あぁ、まぁ、そのつもりだがよ…ポンコツをかよ」
その問いに頷き、私たちは作業に入ります。
「なあ…なんでモミの木があるんだ?」
「誕生日ツリー!…がーぴー」
「なんだよそれ!?」
もくもくと私は作業しています。
…もう終わりました。
「メイドさん早!?」
「さすがお姉さま!…がーぴー」
メイドさんですからね。
…実際、特にやることも少ないのです。
もともとこのホールそういうことやるための部屋ですし。
「後は、その誕生日ツリーにも電飾付けるだけです」
数十分後。
少し手間取りましたが、誕生日ツリーは電飾がついてピカピカしてます。
…電気代の節約のために切りました。
「後は明日、食べ物を用意するだけですね」
「んじゃあ、解散か?」
「はい、そうなります」
ついでに明日の予定を発表しました。
明日の予定、誕生会のみ。
そんなわけで今日は解散です。
皆、部屋に戻りました。
次の日、いつもの仕事を終わらせた私たちは昨日の続きをやるために厨房へ来ました。
小粋なコックさんは復活の儀式をしているそうです。
「そんなわけで、私はケーキ作りますので、ランランさんとモッサリは他のものお願いします」
「OK」
「わかりました!…がーぴー」
モッサリは教えたとはいえまだ料理できなそうですが…ランランさんに頑張ってもらいましょう。
早速二人は協力してサラダを作っています。
「おい、ポンコツ、そこの蟹缶取ってくれ」
「おらよ!…ガーピー」
「おう、さん…これはカル○ン!猫の餌だよ!?」
協力してくださいね。
まぁ、厨房での料理に特筆することは爆発が二、三度起きたぐらいですので省きましょう。
そんなわけでとうとう、誕生会の時間がやってきました。
「こほん、では、モッサリ誕生一ヶ月を祝って…かんぱーい」
ご主人様の号令で会は始まります。
「乾杯」
「かんぱーい!…ガガー」
「乾杯ー」
「おぉ、かんぱいっ」
皆でグラスをカキンと合わせました。
「ぶふっ!…なんだこりゃ!?」
グラスに口を付けたランランさんは突然吹き出しました。
何か変なものでも飲んだのでしょうか。
「…あらあら、それ私のですねぇ」
先輩はそういうと、ランランさんとグラスを交換しました。
「なんだか鉄の匂いがしたぞ…まあ、いいけど」
「先輩専用ですからね」
「細かいこと気にするな!…がーぴー」
珍しくモッサリがフォローしてます。
「みんな、食べないの?」
色々食べながらご主人様は首を傾げています。
「んじゃ、プレゼントの時間だね」
会も半ば、モッサリにプレゼントを贈る時間…のようです。
「では私もプレゼントです」
なので私のプレゼントで誤魔化しましょう。
「わぁ、ありがとうございますお姉さま!…ピピー」
モッサリは綺麗に包装された袋を破ります。
中身は…
「ゼンマイ…」
「ゼンマイ…ですねぇ」
「さすがメイドさん、カラフルでいいね」
「…あ、ありがとうございます!…がーぴー?」
何故そんなに微妙な反応なのでしょう。
「ほれ、俺からも」
ランランさんからは植木鉢です。
「…それ、前のだよね」
前回のモッサリの首置いたのですね。
「もう少しいいのないのかー!…がーぴー」
「昨日突然言っといて無茶言うな!」
それも一理あります。
「では、私からもですねぇ…えーと、安眠セット」
「先輩!わたいロボっす!…がーがー」
ご飯普通に食べといて睡眠はしないモッサリです。
しかも棺桶で寝るのなんて先輩ぐらいですよ。
「あらあら…まあ、大丈夫ー」
「よくわからないけどわかりましたっす!ありやーしたー!…がーぴー」
棺桶は違う時に役に立つかもしれませんからね。
最後にご主人様のプレゼントを渡す番です。
「はい、モッサリ、僕からのプレゼント」
「どうも!…がーぴー」
ご主人様は何かの箱を渡します。
「これはバントラの箱っていって、変なものが入ってるらしいよ」
「なんだよ、そのパンドラの箱のバッタモン…」
変なものってなんでしょうね。
「あけちゃ駄目だよ?」
無茶な要求をするご主人様です。
「えー、そんなものプレゼントするなぃ!…がーぴー」
箱をあけようとしながらモッサリは言います。
気持ちはわかりますが開けてはいけません。
「しかしたまにはこう大きくするのもいいもんだねぇ…」
ご主人様がしみじみ言います。
「じゃあ、また来月、私の誕生日で!…ぽーぴー」
「さすがに次のモッサリの誕生会は11ヶ月後ですけどね」
本当に毎月やるのは流石に面倒です。
「ちぇー…がーぴー」
モッサリは残念そうにバントラの箱を開けます。
「開けるなよ!?」
ランランさんの突っ込みは少しだけ遅いのでした。
数瞬後には変な化け物たちが屋敷を多い尽くしていたのでした…
「流石家宝、凄い威力だね!」
「んな事言ってる場合かよ!?」
これが世に言うバントラボックス事件でした…
おしまい