初日の出を拝め!


「あけましておめでとうございます」
 外で変な人が鐘を鳴らしていますが、まぁ、年越しです。
「おめでと」
「あめー…がぴー」
「おめでとうございますー」
「おめでとさん」
 四者四様の答えが返ってきます。
「とりあえず餅つきしましょう、お姉さま!…がーぴー」
 モッサリに杵を渡します。
「あらあら…もち米も渡しませんとねぇ」
 先輩がもち米を渡します。
「俺が臼を出すのか…」
 ランランさんが臼を魔法で作ります。
 彼の魔法は器魔法と言って器を作り出すそうです。
 …フライパンも作れそうですね、今度頼みましょう。
「美味しいお餅お願いね」
 ご主人様もエールを送ります。

「今年もよろしくね」
 ご主人様は、餅つきを完全にモッサリに任せたようです。
 後ろではモッサリが餅をついてます。
「はい、よろしくお願いします」
 ぺこりと、お辞儀をします。
 ぺったんぺったん音がします。
「今年はゆっくりしたいですね…」
 先輩は結構ゆっくりしてたような気がしますよ。
 ぺったんぺったん。
「俺、今年は平穏に過ごしたいな…」
 ランランさんは結構災難続きでしたからね。
 びょーんびょーん。
「さて、初詣行こうか?」
 ご主人様は椅子から立ち上がり武器を手にします。
 新年騒ぎの魑魅魍魎が跳梁跋扈してますからね。
 ぺったんうにょうにょ。
「日本って物騒だよな」
 この近辺だけです。
 …むしろモッサリのせいです。
 ぺ…シャギー!

「じゃあ、先輩、留守番お願いね」
「はい、いってらっしゃい」
 一番強い先輩に任せておけば屋敷も大丈夫です。
「ん…?おい、ポンコツがなんか変なのと戦ってるぞ!?」
 その言葉に、さっきまで餅をついていたモッサリを見ると…
 …確かに餅の化け物と戦ってます。
 お餅が大きくなってます。
「…モッサリ、なにしてるの?」
 ご主人様が代表して質問します。
「見てわかれー!餅と壮絶なバトルしてるんでぃ!…ぴーぴー」
 餅と取っ組み合いになりながら叫ぶモッサリ。
「だから何でだよ!」
 間髪いれずにランランさんが突っ込みます。
 本当に。
「まぁ、片付けたらモッサリも初詣行きましょう」
 お餅は諦めますか…
「わかりました、お姉さま!ちょっと待ってください!…がーがー」
 そういうとモッサリは腕をまくり、肘から火炎放射を放ちます。
 こんがりといい匂いが辺りを…
「お、おい!燃えてる!屋敷燃えてるぞ!?」
 いい匂いは屋敷の香りでした。

「ははは、新年早々大変だったね」
 こんがりとしたお餅を食べながらご主人様が笑います。
「すぐに消せてよかったですね」
 モッサリに火炎放射器付けたと、ご主人様から聞いたときから、こんなことになるのは予想できました。
「平穏は無理だな、こりゃ…ま、いいさ」
 ランランさんはその年にして悟りを開きました。
「ところで、出かけないんですか?」
 先輩がお餅を片付けながら聞いてきます。
「あ、そうですね、じゃあ、先輩、お任せしてよろしいですか?」
「ええ、もちろん構いませんよ」
 二つ返事で先輩はOKをくれました。
「じゃあ、メイドさんとモッサリ、行こうか。ランランさんはどうする?」
 お餅を十分に食べ、満足したご主人様です。
「んー、俺はもう寝る…片付けて」
 まだお餅はいっぱい飛び散ってます。
「そう?じゃあ、行こう」
「はい」
「うぃーむっしゅ!…ガーピー」
 そんなわけで私たちは屋敷を後にしました。

「…やっとつきましたね」
 それから一時間後、近くの神社つきました。
 弾も半分消費してしまいました。
「今回は凄かったね、魑魅魍魎跳梁跋扈現象」
 わんさか沸きましたもんね。
「無事に着いてよかったです」
 その割には結構人がいます、それなりの用意は皆しているようですね。
「本当に、じゃあ、早速お参りしようか」
 ご主人様の言葉に頷き、私たちは鳥居を…
「あれ…?メイドさん、モッサリは?」
 立ち止まり、周りを見回すご主人様。
「…そういえば先ほどから見当たりませんね」
 神社つく直前まではいたのですが。
 と、モッサリの声が聞こえてきました。
「自爆五秒前…がーぴー」
 …なぜでしょう。
「モッサリ一時停止ー」
 慌てず騒がず、ご主人様がモッサリを止めます。
「どうしたんだろ?」
 自爆装置を手動で外すご主人様。
「何でわざわざこんな物付けたんです?」
「いやぁ、浪漫って素晴らしいよね…」
 今外しましたけどね。
「まぁ、それはいいや、モッサリ起動ー」
 ガーガーピーピーいいながらモッサリが起きて来ます。
「おはようございますお姉さま!…ピーッペー」
 ガーピー言ってませんが、まぁ、いいでしょう。
「モッサリ、なんでまた突然自爆?」
 ご主人様が自爆装置をモッサリの中に戻しながら、問いかけます。
「なんとなく!」
 多分、迷子になったからですね。
 なんとなくで自爆もありえそうですが。
「まぁ、モッサリも見つかりましたし行きましょうか」
「うん、そうだね」
「おー!…ガーピー」
 私たちは境内に入っていきました。

 そんなわけで参拝はつつがなく終わりました。
「さて…帰ろうか」
「そうですね…」
「まって!…ガーピー」
 モッサリが私たちの眼前に立ちはだかります。
「どしたの?」
「初日の出も目撃したい!…がーぴー」
 右手を突き上げ、モッサリはそう宣言しました。 
「そういえばモッサリは初めてですよね、せっかくですから見ていきましょうか」
 餅と戦ったり、色々時間が掛かったせいでもうすぐ夜明けです。
「じゃあ、そうしようか」
 私たちはそのまま神社の裏に回り、夜明けを待つことにしました。
「って、もう上がりそうな時間だよ」
 時計を見ながらご主人様は歩を早めます。
 神社の裏に階段がある不思議空間です。
 普通、階段の上に神社ありますよね…
「急げ急げ!…がーぴー」
 まぁ、皆で頑張って上りました。
 結局30分待ちましたが。

 日が昇ります、今年初めての日の出です。
「あ、来た来た、アレが初日の出だよ、モッサリ」
「わぁー…成り上がり!成り上がり!成り上がり!…ガーピー」
 モッサリはお日様に向かって三回叫びました。
「そういうのじゃありませんよ」
 しかも成り上がってどうするんですか。
「…普通の日の出だッ!…がーぴー」
 怒りだしました。
「そういうものです」
 そうしてしばらく朝日を見つめ、私たちは帰りました。
 朝になるころには変なのも少なくなってました。
 では、今年もいい年でありますように。

おしまい