「諸君!聞きたまえ!」
朝、始業前に皆がだらだらしていたら、委員長が前に出てきて突然叫ぶ。
何故か妙に高いテンションである。
「で、なんだ?」
皆の疑問を書記が代弁する。
「とうとうこの学校名物の水泳大会の期日が迫っている!」
「何時学校名物になったんだ?」と、言う誰かの呟きは盛大に却下される。
「へぇ、いつだっけ?」
代わりにこちらの呟きが採用だ。
「君!良い質問だ!…聞いて驚くなよ?」
「もったいぶるなよ」
「明日だ」
…誰も知らなかった。
「ホントに名物かよ…」
皆が首をひねった。
「そんなわけで、昨日私が徹夜してくじを作った!」
どんっと、教卓のうえにくじを出す。
「そんなことで徹夜するなよ」
「じゃあ、その目のクマはそれか」
「…さすが委員長?」
皆勝手なことを言う。
「私への惜しみない賛辞は良いからくじを引きたまえ!」
とりあえず、一番近くにいた書記が引く。
…ベチャッ
「おい、委員長…」
「どうした書記?」
「ベチャッって言ったぞ?」
「気のせいだ」
「そっか」
…グチャッ…ネチャッ…ぽいっ。
書記は無言で窓を開けるとくじを窓から投げ捨てた。
「な…何をす…ふげっ!?」
ついでに委員長を殴っておく。
「お前らが何をするかは俺が決めておく!解散!」
解散も何もこのまま授業なのだが誰も何も言わない。
すでにさっきから来てる教科の先生は何か言った方がいいんじゃないのだろうか?
無言で先生は授業を始める、無言な先生だったようだ。
工業高校プール大会
そのころ隣のクラスでは…
「聞いたか?」
「あぁ、聞いた」
「B組に勝ちはないな…」
「ふっ、どうせ勝つのは俺たちA組さ」
「よし、だれが何泳ぐか決めておけ」
「うちらも決まってないのかよ!?」
「イエース!」
「お、帰国子女っぽい」
「ふふふ…」
A組も馬鹿だった。
次の日
「諸君!見事な快晴だ!」
「見りゃわかる」
委員長を軽くあしらいつつ
B組の面々は小細工をしまくっていた。
「ほら、見ろよ、ステルススクリュー!これがあれば一位だ!」
「それより見ろよ、河童仕入れたぜ、他の組の水泳部の奴ら沈めてもらう」
「魚雷も200入れたぜ」
「さすが工業高校、何でもあるな」
「水爆もばっちりだぜ?」
「それはしまっておけ!」
「魚雷はいいのにな…」
そんなこんなで、水泳大会は始まったのである。
「まずは校長挨拶か」
「飛ばそうぜ」
「だな」
…校長は来なかった。
「諸君!最初の種目は平泳ぎだ!」
「ふむ…河童は?」
「万全です」
B組の策士とその側近が悪巧みをしている。
「諸君!負けたら給食はなしだ!」
「うちの学校に給食なんてねぇよ」
平泳ぎに出る選手が続々と集まる。
その数500人。
「そのうちの何人が出れるかな…」
五分後。
12人になった選手たちは魚雷で全滅した。
「諸君!結局平泳ぎはなしになった」
「なんでプールは壊れねぇんだろうな?」
「超合金だからじゃない?」
「次の種目は?」
「水中宝探しです」
「…死者が出なければ良いが」
「万全です」
何が万全だかはわからないが、水中宝探しは始まってしまった。
この競技ではプールにボールを投げ、それを拾いまくる競技だ。
「おい!いくつ集めた!?」
「知らん!だがA組の奴らが多い!」
「A組を狙え!」
「OK!」
乱闘もOKだ。
「うらぁ!」
ボコッバキッ!
「きまったぁ!クロスカウンターだ!」
「金返せー!」
ボコバキッ!
「大変だ!町に怪獣がでたぞ!」
「何!?よし!工業ロボコウギョーンをだせ!」
ガガガーっと、プールが割れる。
そこから雄雄しくコウギョーンが出てくる。
数十人プールの底に消えていったことは誰も気にしない。
「頑張れよ!コウギョーン!」
「行け行け僕らのコウギョーン!」
水中宝探しは途中中止となった。
「諸君!とうとう最後の種目だ!」
委員長が叫ぶ。
「何故か今までの競技は全て中止になった、ので、最後のこの種目を制したものが王者だ」
策士が冷静に言う。
「万全です」
側近はいつも万全だ。
「負けられないな」
「あぁ、特にA組にはな」
「一丁いくか…」
その他大勢が言う。
「よし!てめぇら行くぞ!」
書記の気合がB組を突き動かす。
「それはそうと最後の競技は?」
「メドレー、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ、自由の順で泳ぐらしい」
「誰が出るんだ?」
「側近、策士、書記、委員長の順だった気がするな」
「じゃあ、俺たち他多数はどうするんだ?」
「応援と妨害じゃね?」
「あ、そうだな」
そのころA組では
「おい、聞いたか?」
「いや、今回は聞いてなかった」
「おいおい、まぁ、B組には負けるな!」
「負けないさ…小細工はこちらもしている」
「小細工って自分で言うなよ」
「じゃあ、大仕掛け」
「よし!」
「まぁ、行くぞー」
「おー」
競技は始まろうとしていた。
B組もA組もその他の組もスタートに立ち今か今かとスタートの合図を待つ。
「A組よ…自分の不運を恨むが良い」
最初の平泳ぎの側近はA組を揺さぶりにかかる。
「ふっ…所詮河童には負けぬ…この俺のロケットスタートを見ておくんだな、指をくわえて」
そういうとA組の泳者はロケットを背負う。
「ぬう!?それを仕入れるとは…A組は本気か!?」
「今回こそは負けるわけにはいかぬのだよ」
「くそぅ…だがこちらにもとんでもな…」
「よーい、どん」
パンッと、D組の泳者が撃たれる。
スタートの合図だ。
思いっきり出遅れた側近は慌てて飛び込む。
「出遅れた!?」
「しかしA組も出遅れたぜ!」
「まだ始まったばかりだ!」
A組の泳者は慌てず騒がず背中のロケットに火をつける。
…点火。
シュゴッ!ドガァァッン!
「なっ!?一瞬で端までいきやがった!」
「でもよ、超合金に頭突き刺さってるぜ?」
「…死んだか」
「…ああ」
それはともかく、側近の河童は他の参加者を全てプールの底へと飲み込み、A組とB組の優勝争いの幕が上がった。
だがもうA組と半分の差がついてしまっている。
「フハハハ!B組勝てるぞ!」
A組がドンちゃん騒ぎを始める。
二番目の泳者は優雅に紅茶を飲みながら背泳ぎをしている。
「策士の力を舐めてはいけない」
策士は薄く笑うと、側近からタッチを受けて泳ぎを始める。
「策士最終奥義・背泳直滑降心電図覇!!」
「な…なんだ!?策士の体が回転しだしたぞ!?」
説明しよう、策士最終奥義・背泳直滑降心電図覇とは、策士の全てのパワーを使い、体を回転し、泳ぐ泳法である。
「…すでに水泳じゃないな」
「最初からだろ!」
「泳いでるだけまだいいよな」
「A組の最初の泳者飛んでたしな」
そうこうしているうちに、策士は書記とタッチした。
「お、A組との差が少し縮まったぞ」
「紅茶飲んでたら普通にやっても追いつくよな」
「まぁ、次は普通に書記だ」
書記は普通にバタフライですすんでいる。
A組は普通にアジフライに捕まっている。
「アジフライが泳いでるのもシュールだよな」
「でも遅いよな」
「さすがB組のポイントゲッターの書記、普通に早いし」
「ここはもう大将決戦しかないよな」
その大将は
「諸君!私の力を見ていたまえ!」
「ふ…ユーがミーに勝てるかな!?」
「やってみればすぐにわかることさ!」
二人の間で火花が散る。
その間にも戦況は変わっている。
「アジフライとバタフライはバタフライの勝利だな」
「あぁ、こりゃ、ぎりぎり追いつくな」
「…本当に大将に任すしかないのか」
「不安だな」
「…あぁ」
「諸君!ひどいじゃないか!」
皆が委員長は無視していると、とうとう、二人の泳者が来た。
そして両者並んでタッチ。
「頼んだぞ委員長!」
委員長は飛び込まずにいそいそとプールに下りると泳ぎ始めた。
「…って、犬掻きかよ!?」
「負けたな…」
「いや、A組の泳者が馬鹿やればあるいは…」
A組の大将はクロールで進んでいる。
「…普通に泳いでやがる」
「一人称ミーなくせして生意気だな」
「しかも委員長滅茶苦茶遅いし」
「…負けたな」
「…あぁ」
「いや、諦めるのはまだ早いぜ?」
帰ってきた書記が言う。
「なんか策が?」
「策はないが…委員長には、奴には」
「―――能力がある」
委員長の姿がパッと消える。
かと思ったらゴールに手をついている。
「テレポートかよ!?」
「最初から使えよ!」
「…全くだ」
そんなわけでB組優勝である。
A組の大将は固まっていた。
「結果発表だな」
「一個しか競技やってねぇから集計もへったくれもねぇよな」
「まぁ、優勝はいいことだ」
「とりあえず、決まったらプールにでも飛び込むか」
「お、いいねぇ」
「喜びの表現だな」
「んじゃ、それで」
結構ノリノリなようだ。
隣のクラスでは
「聞いたか」
「あぁ、ばっちりだ」
「フフフ…B組に目に物を見せてやろう」
「くくっ…OK」
悪巧み完了。
「あーあー、それでは結果を発表します」
集計も一瞬で終わり、とうとう帰ってきた校長による結果発表である。
「10〜3位、他多数クラス、死者はなし」
ぱちぱちぱちぱち!
わぁー!イェー!生きてるぜー!
皆感無量である。
「第二位、二年A組!」
「今だ!飛び込め!」
「ヒョエー!」
「ダッヒャー!」
A組全員叫びながらプールに飛び込む、B組がやろうとしてたことだ。
「せ…せこい悪巧みだ」
「しかしどうする…?」
考える間もなく校長は叫ぶ。
「第一位は二年!B組!!」
ワァー!
何故か大歓声のプール。
「フハハハ!プールはA組がいただいているぞ!入ってくるなよ!」
A組と一緒に飛び込むわけにも行かない。
「A組よ!お前らがプールに飛び込むのならば…!!」
委員長が叫ぶ!
A組に屈するわけには行かない。
「私たちは…私たちは…!!」
「―――校長を肥溜めに叩き落す!」
「何故!?」
校長は叫ぶ!
B組全員が校長に押しかけ、肥溜めに突き落とす。
「な…!?…B組が校長を肥溜めに落とすのならば!」
A組代表が叫ぶ!
「俺たちは…俺たちは…!」
「―――教頭を濃硫酸に叩き込む!」
「死ぬ!?」
教頭が逃げる!
A組全員が教頭を濃硫酸に落とす。
「な…!なんだと!?…ならばこちらは…」
委員長は再び叫ぶ!
「私たちは…!!!」
「―――お前ら全員地獄に落ちろ!」
「あぁ!?書記がキレた!」
「総員撤退!死ぬぞ!」
その日、工業高校にキノコ雲が見えた。
次の日
「いやぁ、昨日は楽しかったな」
「教頭骨になっちまったもんな」
「あぁ、当分あのままだとさ」
「どこのアンデットだよなぁ」
「全くだぜ、あははは」
皆始業前の雑談をしている。
そこに委員長が飛び込んでくる。
「諸君!今日は体育大会だったらしいぞ!」
「行事二日連続かよ!」
完