[XXXX/Q]
3YVO - Imagination - 名称不設定1、乱入

3YVO - Imagination - 名称不設定1、乱入


 始めに、この話に出てくる俺以外は、全員架空(仮想含む)の人物で有る事を明記しておく。どんなに誰かに似ていても、公の人物とは一致しないので、変な解釈をしないように。



 俺が飛んでいった世界は、日本での某年四月上旬、某高校の入学式であった。
 学校と言えば、現在十三年目(注:この世界の年数ではない)の学生生活になるが、これまでで良い所が無いばかりか、悪い事ばかり思い出してしまう。……と言っても、過半数は自業自得だが。経験上、どーせ今回も何も起こらずに、年速が一、二、三ですぐ、卒業(又は進学)になるんだろうなと、入学の日に周りが祝いで明るい中、俺は一人暗い陰になっていた。

 そしてやっと長話から解放され、下校できるようになった時、俺は真っ先に桜の木に向かって走った。
 元々、蹴るためでもあったが、新年度の祝いの象徴でもあるモノを壊す事で、祝われない人達の存在を作りたかったかもしれない。そんな負の気持ちを込めて、バイクのオジサン並に桜の木の幹(人で言うところの腹)を蹴り飛ばした。
 桜の気が一瞬止まったかに見えたが、それは気のせいだった。損傷すら無いものの、衝撃によって花びらが全部、俺目がけて降ってきた。
 蹴りの行動によってしばらく動けない俺は花びらの雨を回避できずにもろに浴びてしまい、全身が埋もれてしまった。
 そんなみっともない状態の俺を、一体何人の人が笑いの種にしやがったのかは、俺は知ることもできなかった。

 四月ももう終わる頃、登下校時の(無駄、な)走り(=足掻き)は中々な具合になり、すこし面倒な道順でもすんなり通れる程になった。それに引き換え、桜たちは花の代わりに青々しい葉に飾り替えている。だが、例の桜はもう咲かないのか、それとも枯れてしまったのか、花はともかく、葉っぱ一枚すら出さなくなっていた。
  俺を含む構内関係者全員はその桜を登下校時にチラリと見るだけだったのだ。……ある一人の生徒を除いて。
 その生徒は二日目から数日間、眼見するくらいに凄まじい表情でそれを見ていた。木の幹をぐるりと周り、可笑しな形跡はないかとするように。それでいて長髪だった彼女を見た。
(なにやってんだ、あいつは。)
 俺は気にはかけたが、相変わらず走り去っていた。

 それから二週間後、その人は本来、しなくてもいいのに肥料と水をやり出した。それでも変化が無かったため、益々顔がキツくなっていった。学校の行き帰りに見かけるその子を、(良く懲りずに来るよなぁ……)と思いつつ、その顔をすっかり覚えていた。
 だが次の週。彼女は飽きたのかどうかわからないが、結局木の傍に来なくなった。
 頭の中で、その子を思い浮かべながら、誰なんだろうと考えていた五月の初め。俺はいつものように校門を曲がる。すると突然、少女(生徒)が現れ、激突。二人共地面に荷物を落としてしまった。
「痛たたたたた……。……大丈夫か?」
「……大丈夫。」
 ぶつかってしまったその女の子は少し小柄でか弱そうに見えなく…もなかった。
「気を付けろよー。あ、俺もだけどな。」
 その場を去ろうとした時。
 袖を掴まれて、こう言われた。
「待って。……知り合いにこれを渡すよう、頼まれた。」
 白い封筒を手渡された。……送り主は誰だろうか。未知の恋人からの代理告白か、それとも何かの勧誘だろうか。
 何気なく懐にしまおうとした時、
「今日中に見始めて。」
「あ、ああ……。」
 そこで考えた。
 女子の告白(恋文と言うのか?)は、友達に頼んでもらう場合がある。そのためにはまず、手紙を渡し、読んでもらわなければならない。
 勧誘の場合は、隠す必要がほとんどないので除外する。
 では恋文か? どちらにせよ、今までも無かった経験なのだから、何かが違うのだ。何だ? 何が違うのか? 俺は俺だろ……。
 シャツの内に入れてからそう思い、ふと前を向いた。
 だが、少し目を離した隙に少女の姿は消えていた。
「えっ……???」

 行き・帰りでの無駄な走りのせいで疲労感と発汗を感じつつ、俺は自宅に入った。その後、当たり前かもしれないが、風呂に入ろうとした。
 すると、スルリと封筒が落ちて、少し焦った。
 周囲に誰も居ない事を確認の上、扉の鍵を閉めてから封筒を開いた。手書きらしからぬ字体で綴られていた。とりあえず、表紙から読んでみる。
『あなたがこの文章を信じるかどうかは別であると予め記しておく。』
(……妙だな。告白状でも催促状でもない雰囲気だ。)
 そう思いながら、次へページを捲った時。
(……な、何だ、これは。)
『午前六時起床。七時登校、八時五分到着。午後〇時三分昼食(持込弁当)。伍時四十五分下校、六時三十二分夕食、……』
 読んでいく内に、段々と気味が悪くなっていった。旅のしおりなどによく書いてある、あの日程表と全く同じなのだ。三十枚程、表裏に似たように書いてある。中には、
『御腹を壊す・消しゴムを使い切る・転倒する・尾行される・追跡される・キスされる・……』……という、一般から有り得ない事まで書かれていた。
 最後のページには、雑誌とかでよく見る十択ぐらいの心理テストの小冊子があった。
 後に取っておこうととその冊子だけを別にして、自分の机の上にあるノートパソコン内部の保護布と入力装置の間に挟んで隠し、風呂の湯船に浸かった。
(……あの日程表はどう見ても俺のだよな。にしても、尾行やキスなんて生まれてこの方された覚えは無いぞ? う〜ん……)
 浴室から聞こえる唸り声は三十分程続き、のぼせ気味になって出て来た俺は、窓だけを開けて体を冷ました。

 程良い頃、さっきの表を細かく調べた。左下隅に小さく、『××××04××』と添えてあった。次のページも同様に、表全てのページに連番が振ってあった。が、三番目からは全く身に覚えのない事柄だった。
 表の解読を諦めて、心理テストに取り掛かった。表紙には通例の注意書き等があり、軽い実力テスト並みの厚さがあった。
 今更だが、何故こんな物が付属しているのか理解できなかったが、とにかく読んだ。
 文章には、『直感で』とか、『全て簡単』とも書かれ、そのテストの概要が記されていた。問題は『二十問の十択+α』らしい。αって何だっけ? まぁいいや。最後に、『この問題が正しく答えられない時、あなたは必ず苦労することになる。』と記されていた。
 その文で俺は意地でも解いてやる! と、ムキになって問題をひたすら解いた。
 だいたい、四十五分くらい経ったろうか。ようやく最後の問題に辿り着いた。そこに、『今までの答えを並び換えて出来る、問題の答えは何でしょうか。』と、記されていた。
(……ま、まだあるのかよ……。これで何も無かったら暇人決定だな。)
 ちなみに今までの答えは、『IN?K ATAR AWOS OTON UKEK』だ。……面倒くさい。
 様々な解読方法を考えて試したら、三十分程で解読できた。すると、ある文が浮かび上がった。
『___________________』
 ……どこでわかったんだ、一体。
 何で今になって俺なんだ。根拠は? 証拠は? 証明は? ……何れにしても、後で遭わなければならない。

 素っ気無しに休みが過ぎ、またいつもの楽しくない生活に逆戻り。外は初夏という時期のせいなのか、どこまでも雲のない真っ青のせいなのか、休みの方がマシという腐った気持ちのせいなのか、ハッキリしない。ただ、まだ現実に戻れていない事を知ったのは、今の学校の制服と所在、そして上履きの間に置いてあった「紙」だった。
 それはまたしても、この前と同じ字体のものだった。一応、誰からだろうと差出人名を探すが、『すぐ開封するように』としか書かれていない。中には、『今日の放課後に***で待つ』と記されていた。……? 何だろう、行ってみるか。
 その日の昼休み。下見って事も兼ねて指定の部屋に行って見た。そこには誰も居なく、物自体無いに等しい。場所自体、俺が普段立ち入らない寂れた通路でもある。

 遂に放課後になり、再度指定の部屋へ行った。
 空っぽに等しい部屋で、片付け忘れたようなパイプ椅子の上に、この前校門周辺で遭った少女が座っていた。ホームで、電車を待ったように、本を閉じて俺を見た。
 俺はしばらくしてから、あの最後の質問を投げかけた。
「……ところで、桜木を殴った奴を知らないか?」
「知らない。」
 それでも少女は俺を見続けている。
「……じゃあ、……蹴ったのは?」
「あなた。」
 これでは下駄箱の紙の主が八割方、この少女という事になる。そう思った時。
「あなたをここに呼び出したのは、あたし。」
「それで、その用事とは?」
「あなたの正体を明かす。」
(……やれるものならやってみろ。)
 外見は焦りを感じつつも笑って誤魔化す。
「おいおい俺は化け物扱いか?」
「あなたはこの世界の人間ではない。だから、」
 そして少女は、こう言い切った。
「あなたは異世界人。」
 もちろん肯定させる訳にはいかない。だが
「もし、俺が異世界人として。改めて用事は何だっけ?」
「あなたと××××の事。」




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