[2013/09/24/10:29]
3YVO - Imagination - 名称不設定2、逆走

3YVO - Imagination - 名称不設定2、逆走


 その話かい。始めっから気にしていたが。
「××××があなたを探している。」
「その異世界人として、か。」
「そう。あなたは本来、この世界に居てはいけない存在。あなたが××××に深く関われば、大規模な変化が生じる。」
 後々の話のネタか。確かに有り得る話だ。
(……これじゃあ、×××三世宛らだな。)
「×××三世って誰?」
「……へ?」
 さらにじ〜っと見る少女。つーか今、俺は何も言ってないぞ?!
「……えっ…と。猿顔の泥棒の話。」
 無言の空間に息詰まる俺。少女にとってはどうでもいいんだろうね、そんな話。他に何か言わなければ……。それから数分後。
「あなたがこの世界から解放されるのは、約四週間後。それまでに帰る準備をする事。」
(……はいはい、学校から帰る支度ね。……って違うぞ。)
 一人でボケ・ツッコミをしてる間に、嫌な考えが浮かんだ。
「(最悪な場合、)もし捕まったら?」
 返答に応じて、気持ちを決さなくては。
「あなたの存在そのものを消去する。」
(え゛ーーーーっ。)
 ショックで数十秒位白く石化していた。相手は内心、クスリと笑ってたかもしれない。外見は変化無しだが。

 数日経った後、昼食(御握り三種)を食べた俺の視界は薄暗く、水臭かった。だが喜ぶべきだったかもしれない。……嬉しくも無いが。
 そう、ここは男子用トイレだ。常識的に考えても、済ます真っ最中の俺の姿を見たい者は一人もいないだろう。
 それに……、お腹が痛い、チクチクする……。体育(四限目)の最後で水をガブ飲みするんじゃなかった……。
「おい、聞いたか? あいつが変な集まりを作ったそうだぜ。」
「えっ、それってどんな集まりなの?」
「初日や数週間の事を聞いたか? その発展系らしいぞ。」
「ふ〜ん。楽しいの、そこ?」
「お……、入るつもりなのか?」
「いんや、話の種くらいに。で?」
「周りの話じゃあ、頑固なヤツが他の人を無理矢理まとめてるんだ。」
「辛いよね、それは。」
「酷い話だよ、全く。」
 しばらくして、二つの足音が外へ出て行った。
 午後の授業中には、普段と同じように話を少なめに聞きながら板書し、それと同時に昨日とさっきの話を繋げていた。
(あいつが動き出したって事は、そろそろ俺に邪魔が入るって事だよな。警戒も必要になるし、ワンパターン行動の危険も考慮しなくては……。)
 他の生徒は、午後だからなのか、それとも元々なのか。四分の一程、遊んだり眠ったりしていた。

本日も、何気ない学生生活を送っていた。……って、俺はこの世界の人間じゃないんだぞ? のんびり過ごしてイイのか? あっ、待てよ。生徒として容易く馴染んでるって事は、平凡な一般生徒と言う訳か……。
 トホホ。何所に行こうとも、突然消えてしまっても、誰も気にしないんだろうね。どーせ俺の存在価値なんて、見えるけれども見たくない者なのだろうか。
 そんな暗い考えを持ちながら、休み時間に何となく、ホントに何の根拠も無しにクラスの出席簿を見た。
 出席簿は確かに出席簿だった。……だったが、予め印字されている生徒番号(行番号)の右に名前がズラリと並ん……でいない。一箇所だけ、真っ白の空欄が有るのだ。
 変だ。取り消し線で消されても、出席番号と出席簿がズレてもいない。増してや四月の段階で可笑しければ、クラス担任が気付くはず。
 事の真相を聞くために、あの子に会いに行こうか? ひょっとしたら、俺の理解できない特性に何か手掛かりがあるかもしれない。……いや、駄目だ。そうすれば、事のついでに俺まで引き摺り込まれない。
 様子を見るしかないか。
 出席簿を必ず使うクラス担任や、科目担当の教師達は、違和感に気付くと言う俺の予想を、さも当然のように破った。但し、教師達が内心疑問に思っているかは、俺には分からないが。

昨日、出席簿が変だったのに教師達が気付かなかった。本当は自分の目が節穴だったのかどうか確認するために、また出席簿を見た。
「あっ!」
 昨日に続きまた一人、名簿から消えて空欄になっていた。
 一人ならともかく、二人以上は明らかに異常だ。クラス担任に尋ねたが、入学式から居なかったと言っている。入学式の段階で、学年全体はともかく、クラスの人数くらいは俺でも覚えている。
 何処からか圧力が掛けられているのか、それとも俺には考えようの無い力が働いているのか。それで久しぶりに警備員張りで校舎を散策した。……と言っても、賭けられる時間は昼休みと放課後しかないが。
 移動時間節約のために走り回っていると、背後に何者かの視線を感じた。振り向くと……誰も居ない。
 気になって三回程、急に引き返して相手を見ようとしたが、まだ見えない。
 少し頭を使いながら部屋に入り、中を進んだかのように見せかけるため、入ってしばらく進んだ。当然、扉は閉める。そして、外側から見えないようにスライドドアをパッと開いた。
「あっ!」
 尾行(ストーカー?)していたその生徒は驚いた表情をしていた。だが数秒経つと、落ち着いたのか決心したのか。俺にじりじりと近付いて来る。
「手前、誰だ?」
 いいながら後ずさり、距離を取る俺。
 当然だ。この尾行者(?)の顔も知らないし、名前・所属クラスも知らない。それまでの行動からして、何かの訳有りで俺を追い駆けてた事になる。訳無しでそいつが追い駆けてたら、そいつが変な奴だが。
「ちょっと部屋まで来てもらおうかしら。」
(……はぁ!? 部屋!?)
 俺は、運動は下手だし、文化としても、学校では大した事を一つもやっていない、……多分。
それに少し前、「あいつに捕まるな」と、あの少女に言われたのだ。顔と名前が一致しない時点で、迂闊に誰かに捕まるとヤバい。
 ……いや、待てよ? 捕まると言うのは、逮捕や捕縛と言った、逃亡を阻止するためのものだよな。と、言う事は、予め逃亡条件を外しておけば、捕まる必要は無い。
 考え事をしてニヤリとした俺を不気味に思ったのか、顔が少しキツくなった。
「っほら、行くわよ!」
「へいへ〜い。」
 左腕を強く引っ張られて先導される。同行の言い訳を考えないと、消(殺?)されるんだろうな、あの子に。




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