[2013/09/24/10:30]
3YVO - Imagination - 名称不設定3、強行

3YVO - Imagination - 名称不設定3、強行


 左腕を強く引っ張られて先導される。同行の言い訳を考えないと、消(殺?)されるんだろうな、あの子に。
 先導されて着いたのは、以前に呼び出しを喰らった、あの部屋だった。
 ……何で分かるかって?
 一度呼び出されもしたが、なにより決定的なのは、この前一緒に話をした子が、(てめぇ、後で消してやろうか?)と言わんばかりの眼見をしていたからだ。……顔には出ないが。
 ああそうそう、あと二人程居た。会議用長机付パイプ椅子に座っている、呆れ顔の男性と、裏が有りそうな美の女神っぽい女性が居た。
「また連れて来たわよ〜!」
「(はぁ……)で、今度は何処から捕まえて来たんだ?」
 ォィォィ。こいつ前科者だったのか?……じゃなくってッ!
「捕まったんじゃないっつ〜の!」
「そうよ、今回も任意同行なのよ!」
「任意……まぁいいや。で?」
 男はまるで飽きたかのように言う。と同時に、少女は眼見を止めた。
 ふ〜、危ねぇ。(恐らく)もう少しで消されるところだった。
「こいつ最近、校舎をウロチョロしてるのよね。だから校内の監視役をやってもらうわ。」
(……えっ、監視役?)
「学校に警備員が居るじゃないか。彼らに任せればいいだろう。」
「そんなん駄目。肝心なモノを見逃しちゃうじゃないの。」
 ……肝心なモノ? と、そいつにリアクションする俺。
「当たり前じゃない! 不思議な事、面白い事よ!」
 当然のように話すこいつ。大事な部分がおざなりと言うか、抜けていると言うか……。
「とりあえず、日時と場所と条件は?」
 こう言えば、シモテな人でもダイブ的を絞れるはずだ。
「明日の放課後から毎日、放課後に校舎の巡回。あたしが面白いと思えるような事を探しなさい。」
「……は?」
 しばし止まり、またもや『?』を出す俺。
「もう、何で分からないのよ! あたしが面白いと思えるような事を探しなさい!」
「××、もっと他の人に理解できる範囲で言ってくれ。(目標が)アヤフヤになるだろうが。」
(……一応、仮にも俺は初対面だぞ? 詳しく言ってくれないと、分からないって。)
「じゃあ、どうすればいいのよ!」
「そうだな……。手っ取り早いのは、実例を挙げる事なんじゃないのか? 例えば、階段が一段増えているとか、閉めたのに鍵が開いているとか、いつの間にか物が消えて無くなっているとか。」
「そんなの普通過ぎるじゃないの!」
「そー言うなら言ってみろよ。この際、俺たちにも分かるように、その面白いと不思議の概念とやらを。」
「うっ……。」
 どうやら、今の言葉が効いたらしい。そいつは苦い顔をして少し俯いた。
(……まぁ、俺はモアイさんやフーフォーなんか捜す気は全く無いし、そんな事になったらスグに辞めてやるが。)
 気不味い雰囲気が流れる。その源泉を止めるべく、俺はボソボソと言い出した。
「え……と…、つまり。いつもと違う状況を客観的に見て、興味を持てる事なら伝えてくれって事か?」
「そ、そうよ。それが言いたかったの!」
(絶対、嘘だ。……どーせ自分が良ければ、後はどーでもいいと思っている癖に。)
「……何よ。」
 話が終わったらしいので、俺は退出する。
「……別に。」

 外は日没寸前なのか、本日最後の夕日が一際強く輝いていた。一応もう一度校舎を見回り、帰り間際に職員室へ寄った。
 そこには、教室の鍵や書類棚、学級日誌などが沢山有った。
 勿論、目的はただ一つ。他の出席簿にも名前の無い、空欄な箇所が途中に有るかどうか調べる為だ。
 ……だが、十三×三の、計三十九冊有るので、まず同学年での十三冊を見る。
 欠落、欠落、普通、普通、普通(伍組は此処)、普通、欠落、普通、普通、欠落(拾組は此処)、欠落、普通、欠落。
 なんと、学年では約半数の学級が、二、三人消えていた。……にも関わらず、現在の職員室を初め、校内で騒がれていない。最初に尋ねた頃と全く同じだった。
 これではもう、退学や除籍の話ではない。人数が多過ぎる。それに、どの本にも小細工(編集)の痕跡が無い。接着剤でくっつけた形も無し、修正液等の上書きも無し。
 そして下校。薄暗い帰り道を極力走った。だが時々、何者かが付けて来るような気がした。……だからと言って、いつも(無駄に)走っているから、その日は只疲れただけだろうと気にしなかった。




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