「終わったぁ〜」
霊界バージョンのあの小さな体でコエンマは手足をぐーっとのばす。
「ふー・・・・。ジョルジュ〜。ワシはやったぞ〜。総数2000枚、全部ちゃんと目を通して判子押したぞ〜。」
「はいはい、大変でしたねぇ。偉かったですねぇ。」
まるで幼稚園児でもなだめるかのようにジョルジュがコエンマの頭をなでる。
「こらっ!馬鹿にしとるのかっ。」
コエンマがジョルジュの手をぎゅむーっとつねる。
「いいえぇ;;」
「じゃ、あとはこの書類をぼたんに持って行け。たしかここの地域担当はぼたんだろう。」
「はい。あ、でも今日はぼたんさんお休みですよ。」
「なに?・・・しかし今日は休日ではないぞ。!!風邪でも引いたのか?」
「さぁ・・・でも大丈夫ですよぉ。いざというときは幽助さんだって蔵馬さんだってご近所に住んでらっしゃいますからね。」
その言葉にコエンマの眉がぴくりと動く。
「なにぃ!?幽助達が近くに住んどるのか?・・・!そうかそういえばぼたんのやつ探偵助手をやり始めて以来向こうにも家を借りたとか言っていたな・・・」
「ええ、その方が互いに連絡も取りやすいでしょう。」
「ならぬ。」
「は?」
「考えてもみろ!!!あぁんなオオカミどもにぼたんをまかせられるか!!・・・−っつーかむしろ奴らが一番危険なのじゃ!!」
だんっ!!大きな音を立ててコエンマは椅子の上に立ち上がる。ジョルジュは思わず逃げ腰になりながら反論してみた。
「そ・・・そぉですかぁ??」
「そうだっ!!!よし!今から見舞いがてらちと偵察に行って来る!!」
「えっ!?で、でもぉ〜お仕事まだありますよぉ」
「かまわん!適当にやっとけ。」
ジョルジュにそう言い放つとコエンマは大きな椅子からぴょいと飛び降りてとことこと音を立てながらドアの外へと消えていき、ひろーい部屋の中にジョルジュの叫びが虚しくも良く響いた。
「閻魔大王様に叱られても知りませんよ〜・・」


その数時間後・・・・・
ここは人間界。ちょうど幽助の家とと蔵馬の家の中間に位置するぼたんの家の玄関。(マンションやアパートあたりのモノを想像してくださいv)
人間界バージョンになったコエンマが玄関の前でうろうろしている。
「うーむ・・・。何と言って入ればよいのやら。
いきなり来るのはやはりまずかったか・・・?むぅぅ〜」
ドアの前で自問するコエンマに後ろから声がかけられる。
「コエンマ・・・様?」
聞き慣れたその声に振り向くとそこには・・・・・
「ぼたん〜!!」
思わず笑みがこぼれる。
「どうなさったんです?いきなりいらっしゃるなんて・・・・」
「あ、いや、お前今日休んでいただろう。それで風邪でも引いてるのかと思ってな・・・。」
「!あぁ、大丈夫ですよ、風邪なんて引いてませんから。」
「じゃあどうして突然休み・・・・・・」
「ちょっと蔵馬と・・・・」
“蔵馬”という部分にコエンマが激しく反応する。
「くらまー・・・・・?」
「俺がどうかしました?」
ぼたんの背後から蔵馬がひょこっと顔を出した。
「!!!いっ・・いきなり現れるなっ!!」
「さっきからいましたよ。」
「(気付かんかった;;)ぼたん;;なーんで蔵馬がお前と一緒にいるのだ」
「いえ、今日一緒に出かけてたんですよ。」
「でかけてたぁ〜!!!???」
「はい・・・。ちょいと植物園まで。」
「植物園〜!!!???
しょ・・植物園といったらヤツの武器の宝庫でわないかっ!!!そんなところにぼたんを連れ込んでなーにするつもりだったのだぁ!!??」
「なにもしませんよ」
蔵馬が冷静に返す。が、その言葉とは裏腹になにかものすごーい妖気を感じたぼたんはとっさに二人の間に割り込んだ。
「コ、コエンマ様、いくらなんでも失礼ですよぉ!!
ほらほら、立ち話も何ですから、部屋、入りましょっね?」


・・・そしてまぁぼたんの部屋に入った・・・・というよりむしろ詰め込まれたのだが;;
しかしなんともどよめいた空気が3人を包んでいた。
リビングの真ん中にあるテーブルを挟んで向かい合うのは・・・・コエンマと蔵馬。
ぼたんはキッチンでお茶の用意をしているのだが・・・・心の中で呟いた。
(しまった・・・・座らせる位置間違えた・・・。なんか怖いよぉ;;)
何故二人がこんなにもいがみ合っているのかも分からないまま半分泣きそうになりながらぼたんは濃い空気の立ちこめるテーブルにお茶を置き、自分も椅子に座った。
最初に口を開いたのはコエンマだった。
「で?二人はどーゆーつきあいを?」
直球すぎる単刀直入な問いだった。つめたーい瞳で蔵馬をみる。
「コ・・コエンマ様?別に私たちは・・・。」
「なにもないですよ。今のところはねv」
ぼたんの言葉を遮るように特に後ろの方を強調した言い方で蔵馬は最高の笑顔をコエンマにおくる。
「ほーお。今のところは・・・ね。」
腕組みをしたコエンマの腕が今にも蔵馬の顔面に向かって飛んでいきそうだ。
蔵馬ならそれくらい避けられるであろうが最悪の事態だけは避けたいぼたんはなんとかしようとその辺をきょろきょろと見渡した。
「ええっと、ええーっとぉ・・・・(何かないかなぁ;;)あっ!!」
「なんだ?」
「何?」
二人は一斉にぼたんの方を見る。
「コエンマ様、その大きな鞄、何が入ってらっしゃるんですか?」
「・・・これか?」
「はい!随分重そうですよね〜。良かったら中身、教えていただけます?」
ぼたんがにっこりと微笑むとコエンマもつられるように笑顔になり機嫌も少しは回復したようだ。
「そうそう。これをお前に・・・と思ってな。」
嬉しそうに鞄をあけながらコエンマが出したモノは・・・
「まむし酒〜!!」ぱぱぱぱっぱぱーん♪
「(なんだ今のファンファーレ;;)お酒〜!?しかもまむし酒って・・・・コエンマ・・・あなたも一体なにするつもりだったんですかっι!!??」
蔵馬が椅子から立ち上がりくってかかる。
「風邪には酒が良いと聞いたぞ。」
コエンマがぷうとほっぺを膨らます。
「コエンマ様、それってたまご酒の方が・・・・。」
「なに!?そうなのか!?;」
「あっでもいいんじゃないですか?まむしでも!!せっかくだから飲んじゃいましょうよ、それっ!」
「そうじゃろ!風邪の予防にはまむし酒♪」
「初耳ですね。」
極上スマイルで蔵馬がつっこむ。コエンマが一瞬反応するも、ぼたんに
「はい、どうぞv」
とお酌されなんとか誤魔化せた。
「せっかくだから蔵馬もお飲みよ。」
ぼたんが蔵馬にグラスを渡す。
「あ、いや、俺は・・・・。」
と・・・・
「なんだ。お前ワシの酒が飲めんのか。」
「へ?」
思わず二人そろって声が裏返る。蔵馬とぼたん、・・・その目線の先にはたったいっぱい(っていうか一口(?)のお酒ですでに真っ赤なお顔のコエンマがとろーんとした半眼で二人を見ていた。
「あっらー・・・コエンマ様、お酒弱かったんですか??」
恐る恐るぼたんが尋ねるとコエンマはいきなりテーブルにつっぷして泣き出した。
「酔ってなんかないわーい!!なんでそんなにワシを責めるのだぁぁ」
「・・・・そーとーいっちゃってるよ」
蔵馬があきれ顔で呟く。
「コエンマ様・・・;;。」
「ぼたん・・・。」
ふいに泣くのを止め、コエンマが顔を上げる。まだ涙の残る目でぼたんをみつめ、腕を掴んだ。
「コエンマ様?」
「・・・・・まだ・・ワシの側にいていいんだからな。まだ・・ずっと・・・・。」
段々声が小さくなり・・・・かくん・・・と、コエンマは再びテーブルに顔を埋めた。
「コエンマ様・・・・あ、あの・・・?」
返事はない。小さく静かに寝息が聞こえる。
「・・・コエンマは・・・寝てしまったようだね。」
蔵馬がため息混じりに椅子から立ち上がる。
「とりあえずしばらく寝かせてあげますか。きっと疲れてるんでしょう。」
「そうだね・・・。」
ぼたんはコエンマに掴まれた腕をじっと見つめたまま呟いた。
「ぼたん?」
「ううん・・・、なんか嬉しくってさ。なんだかコエンマ様って不思議。子どもみたいでお父さんみたいで・・・・なんか変なの。」
優しく微笑みながらぼたんはそっとコエンマの腕を放した。
「随分手のかかる子どもで随分過保護な父親だな。」
「まあね。」
「ぼたん、もしよければ今度は家に来ないか?こんな過保護なおとーサマがいらっしゃるんじゃ落ち着いて話も出来ないし。」
少し照れながら誘う蔵馬の耳に向かってぼたんは少し背伸びをして唇を近づけるとイタズラっぽく笑いながら囁いた。
「パパの許可がでたらねv」



あとがき
キリリクは「蔵馬→ぼたんで花嫁の父(?)風でコエンマもでてくるお話」だったのですが・・・
これって殆どコエンマメインじゃん(爆)しかも蔵馬は極悪だしコエンマ様情けないしぼたんは必要以上にお馬鹿。キャラがまた破綻してるよ〜(泣)ごめんなさい;;
しかも後半展開早すぎ!!コエンマ一口で酔いすぎ!!ボロボロです・・。
でも頑張って書いたので受け取ってくださいv

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