よかった。あなたとであえてよかったね。
幻海さんのお墓参りの後、みんなで海に寄った。
例の『女神発言』のおかげで俺達は海に一泊して帰ることに。
静流さんの言っていたとおり、シーズンオフなだけあって、急な団体にもかかわらず宿はあっさりと確保できた。海辺の老舗旅館。団体割引とやらで随分安く泊まれた。
海に入ったことでかすっかりハイテンションになってしまった幽助達は夜は飲み会をし始めた。男子部屋でいわゆるどんちゃん騒ぎ。気にするような客もいなかったので(・・・というか元々遠慮する様なガラでもなかったが)これでもかと言わんばかりにはしゃいでいた。
俺もあながち例外ではなく、幽助や桑原君と他愛もない話しをする。
宴会も中盤にさしかかり、酒も底をついてきた。
「なんだよ。酒ねえじゃん。おい、けーこ、買ってこい」
「なによお!!その言い方!」
海で仲良くなったと思いきや幽助と蛍子ちゃんの間に早速いつものケンカが始まる。
いつもの風景。日常であるべきな図。俺も酔いが回ったのか、止めにも入らずただ適当に笑いながらぼうっと眺めていた。
「はいはい、ケンカはなし〜!」
言い合う二人の間にぼたんが割り込む。
「ぼたんさん!いいのよ、幽助にはね、こういう時にいっとかないとっ!!」
蛍子ちゃんは酔ってるせいかいつもより愚痴っぽくなって幽助にくどくどと人生の教えとやらを説き始めた。
「るせーなー」
幽助は面倒臭そうに蛍子ちゃんを払いのけながらぼたんに耳打ちした。
「悪りぃ。買ってきてくれねえか?」
「もぉ〜。最初っから蛍子ちゃんにも素直にそお言えばいいのにっ。罰としてあんたは説教きてやんなよ」
そう言ってぼたんはしぶしぶ立ち上がった。俺も慌てて立ち上がる。
「あ、じゃあ俺も付いて行きますよ。コンビニっていったって夜遅いし。」
「さすが蔵馬v優しいねぇ」
ぼたんは嬉しそうに微笑んで俺の側にたった。
「じゃ、悪いけど付いてきとくれ。」
お酒やジュースの瓶、缶などが散乱する部屋を酔いのせいかおぼつかない足取りでぼたんと俺ははフラフラと外にでた。
「ふぃ〜。すっきり。やっぱ外は涼しいねぇ。中暑くってさ。」
ぼたんが手で顔を仰ぎながら言う。
「なんだ。ぼたんも結構酔ってるんですね。」
「そうかい?ま、いいさね。行こう。」
旅館の外に出ると空には満天の星が輝いていた。
「わー・・・・すごーい。蔵馬見て!星きれー・・・・」
ぼたんは空を見上げて呟いた。
「街じゃこんなに綺麗には見えませんよね。少し見てから行きましょうか。」
「そうだね。」
夜空の下、近くに波音を聞きながら、俺達はベンチに座った。ふと、ぼたんが口を開く。
「なんかさー・・・。一段落っていうかさ、良い意味で元に戻った感じしないかい?」
「というと?」
「うーん・・・・良くわかんないけど、・・・とりあえず一段落。色々あったねえ」
「そうですねー。暗黒武術会、魔界の扉、魔界にまで行ったし・・・・・」
と、ここまでのことを思い出してみると、
「なんか、戦ってばっかですね;;」
「うん。・・・ね、蔵馬、あたしに初めて会ったときのこと憶えてるかい?」
「ああ、飛影と幽助が戦ってて・・・・」
「そうそう。いやーあん時はびっくりしたよー。お腹に剣刺さったまんま歩いてくるんだもん。」
ぼたんがクスクスと笑う。
「・・・ホント、出会いから衝撃的でしたね。その後会ったのはぼたんが寄生虫に操られてる人たちに襲われて怪我してるとこだったし・・・・。その次に会ったときは暗黒武術会。」
「そーいや蔵馬とは平和〜な時には会ったことないいやね。」
ぼたんの一言がふと気になった。確かに俺はいつもぼたんと出会うたびにぼたんを危険にさらしている気がして・・・・・・・。薄々感づいてはいた。・・・・・・・・・・・
「・・・・ごめん。」
思わずでた言葉。
「なんで蔵馬があやまるのさ。」
ぼたんは驚いた顔で疑問を投げかけてきた。
「ぼたん・・ってさ、いっつも危険な目にばっかあって・・・・。」
「え?そう?んー・・・・そーいえばそんな気もするけど・・・あたし、そんなこと気にしてないさね。
それになんで・・・・。蔵馬・・・・・?」
「ぼたんはいつも強いな。」
思わず苦笑い。
「んな事ないよぉ。」
「いつも俺達の側で、危険ギリギリでさ」
「蔵馬・・・・・。」
不意に自分が情けなくなった。何故今まで守ってやれなかったのか・・・。
・・・と、ぼたんが俺の肩に手を置いてめずらしく真剣に言う。
「確かに蔵馬と会ってからは危険な目いっぱい合ったかもしれない。でもね、
あたし蔵馬からそれ以上の幸せをいっぱい貰ってるんだよ。」
「しあわせ?俺から?」
「うん。大きいモノや小さいモノ。気づかずにいた様なモノもあっただろうね。崖っぷちに追いつめられてもおダメーって思ったこともあったけど・・・」
「けど?」
「蔵馬がいて良かったって思ってる。」
その瞬間、体がふわって・・・・体?・・・いやむしろ心とか魂みたいなモノがふわって・・・軽くなった気がした。
ぼたんはそれに気づいているのかいないのか、空を見上げながら続けた。
「でもね、蔵馬、人間持ちつ持たれつなんだよ。」
「・・・・・・・・・・・。」
「蔵馬いっつも頑張ってるじゃないか、それはいいことだけどね、けどね・・・・」
ぼたんが俺の方に体ごと向き合う。
「もしも、悲しいことあったら・・・あたしの側で泣いてもいいんだよ。
蔵馬ってなんか一人で頑張っちゃうところあるからさ、・・・・男の子は泣いちゃダメなんて事ないんだよ。」
思わず顔が赤くなる。分かってる。ぼたんはそう言う意味で言ったんじゃないって事くらい。でも何だか変にくすぐったくて気持ちよくて。
「大丈夫。俺もいっぱい幸せ貰ってますから」
「ほんと?」
「はい。」
「なら、よし!これからもいっぱいもらえると良いね。」
つられて俺も満面の笑顔になる。不思議だね。本当に小さな言葉、小さなモノでも
こんなに幸せになれる。
「ぼたん」
「ん?」
「これからもよろしく」
「もちろん」
ようやく俺達は歩き出した。コンビニまでは徒歩5分もない。
「あれ?蔵馬、そっち道違うよ」
「ちょっと、海見ていきません?」
もっと一緒にいたいから。あなたと会えて本当に良かったから・・・・・。
あなたと初めて出会ってからどれくらいの幸せを貰っただろうね。
大きいモノや小さいモノ気づかずにいたようなモノもあっただろうね。
二人の道はけして平らではなかったけれど
あ〜よかったなあなたがいて あ〜良かったなあなたといて
あ〜よかったな二人でいて
もしもの話がきらいなあなたに少しだけさせて欲しいお話
「もしも俯いて倒れかけたら泣き虫なあたしの側で泣いていいよ」
あ〜よかったなあなたがいて あ〜良かったなあなたといて
あ〜よかったな二人でいて

あとがき
うっわー;;最強に恥ずかしいぃ〜///
初めて書きましたよ。蔵ぼ小説。あら?でもなんだか蔵馬押され気味;;
えっとですねーもうお分かりと思いますが「花*花」の「あ〜よかった」
を勝手にベースにさせていただきました。私にとってこの唄は蔵ぼソングなんです。
でも歌詞めっちゃうろ覚え。しかも特に好きな歌詞のみを抜粋しております;;
間違ってたらごめんなさい。(ってか絶対間違ってる;;)
ちなみにこれ、原作版最終回のその後ってことにしてください。
この二人は↑の時はつき合ってもいなきゃどちらかの片思いってわけでも
ありません。これからなのです。これから!
・・・・・・・・ではさよおなら〜(逃亡)
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