第一章
恐怖
「くそっ!今はそんな事より村が心配だ。」
ヂドリは黒い煙の上がっている村へと走った。
案の定、村は焼けていた。真っ赤な炎を上げて。それだけでは無い。
村の人が殺されていた。ヂドリは村人のもとへ駆け寄り、呼びかけるが
返事はない。完全に死んでいる。見渡す限り沢山の仲間が死んでいた。
当然ヂドリは家族の身が気になった。発狂しかけている自分を抑えながら
自宅の方へ走っていく。せめて家族だけでも無事でいて欲しかった。
なんと家は焼けていなかった。しかし、両親は倒れ、妹がカラス達と
なにやらもめているようだ。
「オラ!さっさと来い!それとも両親みたいに殺されたいか?」
「殺せばいいじゃない!あんた達なんかお兄ちゃんがやっつけてくれるわ!」
「その通りだ!」
ヂドリはカラス達から妹を放し、カラス達に向かって言い放った。
「村を襲ったのはお前らだな!」
「見りゃ分かるだろうがボケ!それがどうした!」
「皆の仇だ!」
すざましいスピードでヂドリはカラス達を突ついた!
残酷なまでに穴だらけになったカラス達。しかしその背後から、
馬にまたがった一人のカラスが現れた。
「ほぅ…少しは出来るようだな。部下への弔いだ。私が相手をしよう。」
全身に悪寒が走った。ヂドリは本能で悟ったのだ。この男には勝てないと。
まずは妹だけでも逃がさなければ…敵をとりたい気持ちもあるが、
そんな次元ではどうにもならない漠然とした力の差を感じたのだった。
(つづく)
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