「つきましたよ。・・・ふふ、まだ固まったままなんですね」
可愛いらしいですね、なんてあまり似合わなさそうな台詞とともにシノブさんとオスカーさんは、
これまた見たこともないようなビルへと私をつれていった。
これ、たしか、政府の敷地だったよね・・・。
あああ、ますます謎だよう〜(涙)
っていうか車からおりた今なら、逃げられるかしら。
えいっ!
「・・・何をしている」
「きゃっ!?」
はりきって車の外に飛び出し、走りかけた私の後ろから、
ものすごーく冷静な声が聞こえてきたかと思うと。
「車から急に降りて走り出すのは危険だ」
ひょいっと音がして、
・・・また、宙に浮いてる・・・(笑)
そんなに体重軽くないはずなのに、目の前の細身のおにーさんは
私を軽々と持ち上げてて、ちょっとびっくり。
「ああ、泰明。いいところに来てくれたな」
ぜんぜんいいところじゃないよー!おかげで逃げるチャンスが!
「泰明さん、今朝言っていた航行システムについては」
「・・・問題ない。整備の者達が処理したらしい。ついでに余計なものは
祓っておいた」
は、はらうって??なんだか最新鋭の宇宙船に似合わない言葉を聞いたような・・・
「あ、あのう・・・もう走らないので、おろしてもらえませんか?」
「・・・」
緑の髪を頭の上のほうで束ねた、泰明さんというひとが
ちらり、と私のほうを向いた。
く、口数少なそうなひとだなあ・・・コミュニケーション取れるかしら。
たぶん、心配そうな顔をしていた私に。
一瞬だけ、少しだけ、ふっと微笑んだ泰明さんは、
静かにその手を動かした。
次の瞬間、ふいに、ふわりと足に地面の感覚が戻ってくると、
にっこり笑ったシノブさんに促されて、結局私はこの荘厳であやしそうな建物に
入ることになってしまったのだった。
地下におりるエレベーターの中で、半ばあきらめて
おとなしくなった私のシノブさんは説明を続ける。
だってねえ・・・オスカーさんと、以外に力持ちな泰明さんが後ろに控えてるんだもん。
これはもう、おとなしくしてるしか今は方法がないよね。
一回ちゃんと話を聞いたほうが、どうにかなるかもしれないし。
・・・まあ、滅多にあえないような美形のみなさんだし、なんて思ってしまったのは
後から後悔するかもしれないんだけどね・・・(笑)
「一週間後の航行に必要なものは全て揃えてあります。
整備がまだ少し残っていますが、時間の問題ですね。
今日は顔みせということで、現在宇宙船にいるクルーにもご紹介がてら、
貴女の宇宙船を説明します」
「まあ、俺以上にいい男はいないがな」
うー。またウインクなんかしちゃって、カンペキに反応を楽しまれてしまってる気がする。
顔がまた赤くなっていないか心配でうつむくと、エレベーターのドアが開いた。
目の前に広がったのは、薄青くて広い、地下の独特の香りのする空間だった。
「宇宙船って・・・」
そこにあるのは、いくつもの機材と機械とコードに囲まれているけれど、
とても存在感のある、あったかい感じのする船だった。
よくツアーの宣伝にでてる宇宙船みたいに優美とか豪華とか、そんなんじゃなくって、
樹でできたベッドみたいな、そんな懐かしい雰囲気の・・・
一瞬。
ほんの一瞬だけ、心の中が揺れたような気が、した。
「・・・声もでねーか」
「はい」
「ねえねえ、これ、やっぱりすごいよねっ♪」
「はい・・・なんだか、すごく懐かしい感じがします」
「そう判断してくれるなら、審美眼もなかなか期待できるねえ☆」
「えっ、そんな・・・え??」
ま、また人がふえてる・・・
いきなり目の前に立っていたのは、3人。
1人は銀髪に燃えるような色の瞳が印象的な、ちょっとぶっきらぼうな感じの男の子。
もう1人は、驚くくらいにきらびやかな・・・お、おねーさん、かな?わかんないよ〜(笑)
それから残るは、明るくて元気そうで、いたずらっぽい表情の泣きぼくろがある
男の子で、まさに少年って感じの子。
もう・・・どうして、みんなこんなに美人とハンサムなの(///)
「この人が船長?」
「そうだ、セージ」
「ふーん・・・んだよ。どう見てもぼけーっとしたただのねーちゃんだろ。
船のことなんてわかんのかよ」
「ゼフェル!」
「るせーなオスカー!」
「やめな、ゼフェル。その話は後からだよ」
「そうだよ、オリヴィエさんのいうとおりだよ。まずは何といっても、自己紹介から、だよね!
よろしく、可愛い俺の船長さん♪
俺、セージ・フジシロっていいます。
えっと、整備担当補佐・・・だったっけな。つまり、メカニックってこと。よろしくね」
「う、うん」
泣きぼくろが可愛らしい、笑顔の素敵な短髪の男の子がにっこりと笑う。
「今さら確認すんな!」
「ごめんごめん。というわけなんだけど、船長の名前は?」
「さん、だよね。シノブの声聞こえてたんだ。
私はオリヴィエ。こう見えても、航行士のチーフなんだよ。
ふふ、やっぱり働くなら可愛い女の子の下がいいよねえ☆
これから、ヨロシクね」
・・すごい、美人・・・と思ったら、男の人だったんだ。迷ってよかった(笑)。
服装がなんともいえないくらい派手なんだけど、
それをきこなせてること自体、すごいよね・・・
「は、はい・・・」
「ゼフェルの番!」
「・・・わかったよ。俺は、ゼフェル。整備担当チーフ」
「それだけ?」
「他に言うことあんのかよ」
「あ、ゼフェル!」
銀色の髪に紅い瞳が印象的な男の子は、ぷいっと向こうをむいていっちゃった。
・・・もしかしなくても私、嫌われてるのかな?
今あったばっかりなのに、どうして・・・?
「気にしないでくれ、お嬢ちゃん。あいつはちょっと素直じゃないところがあってな」
「そうそう、オスカーのいうとおりだよ」
私が気落ちしてると思ってか、オスカーさんとオリヴィエさんが慰めてくれる。
・・・でも、違うのよね。
だって、不思議じゃない?
乗り込むはずのクルーの人があの態度。ということはこの船は以前から
とっても大事に作られてきたことを意味するはず。
なのに、船長が抽選?
きっと何か、秘密が、ある。
・・・よーし。
なんだか、おもしろくなってきたじゃない?
「そうだよー、さん。そんな顔しないで、ね?」
「ありがと、セージくん。大丈夫、気にしてないよ」
「うわーさんやさしー!!可愛いだけじゃなくって、優しいんだねっ」
「きゃ、きゃっ」
いつの間にかひしっと抱きつかれてる。
セージくん・・・可愛い犬みたいな子だわ(笑)
「はい、そこまで。・・・セージ、船長と呼べと言っておいただろう?」
「は、はいっ、シノブさん!」
こわーい声が聞こえてきた・・・今のって、もしかしてさっきまでそこで
優しそうに説明してくれてた、シノブさんの声?
うわー、最初に思ったとおりやっぱりこわいひとだったのね(笑)
「さて、と。顔みせするまでもなく、みなさん出てきてくれたようですから、
今日はここまでにして、別室で船の説明をします」
「あ、はい」
「それじゃ、またね」
「一週間後にまた逢えるのを、楽しみにしてるからね☆」
「はい!」
・・・あれ。なんで私、こんなに元気に返事してるのかな。
なんて不思議に思いつつも、そのまま私はシノブさんたちの説明を聞いて、ようやく帰路についた。
「うーん・・・なんだかすごい一日だったわ」
ベッドの中に入って、今日一日を思い出してみる。
朝は普通に会社にいって、それから帰ってきてごはんを食べかけてるところに
チャイムが鳴って。
それからはもう、予想もしてないことの連続。
えっと、たくさんかっこいい人にあいすぎて、名前も誰が誰だか・・・・(笑)
でも、ホントに私、あの宇宙船の船長さんになるのかな。
だって仕事とかもあるし、家族とか友だちにも連絡しなきゃだし。
何より私の心構えがあるし、うーん・・・
はっ。
私ったら、なんだか行く方向で考えはじめてない?
ちょ、ちょっと落ちつこう。普通に考えたら、考えられないことなんだから。
・・・でも、落ちついたって何もいいアイディアが浮かばないのも確かよね・・・
いーや、今日はもう寝ちゃおうっと。
明日になったらこれが夢だったかどうかもわかるし。
おやすみなさい・・・・
その日みた夢は、不思議な夢だった。
見たこともないような不思議な霧の塊に包まれる夢。
そのなかでふわりふわりとゆられてる私は、とってもしあわせだった。
そんな私に、ある一人の男の人が手を差し伸べてくれて、
私は笑顔でその手をとった。
もう少しで霧がはれて、その人の顔が見えるところで、
目は覚めちゃったんだけど・・・
くうっ、おしかったわ(笑)。
- あとがき
- 第2編、顔みせの続きのようなものですがようやく半分くらい登場してもらっちゃいました。
- 掲示板で朱さんが指摘してくれたように、私の趣味が入った
- 人選になってしまってますね(笑)。でもやはり
- パラレルものではアンジェの方々強し、です。
- 後登場予定なのは、ええと(数えてる最中だったりします・笑)・・・
- 5人以上なことは確かです。予想してみてもらえると嬉しいです♪
- それにしても連載なんて久しぶりに書いてみてますが、
- なかなかお話が進まなくて、すみません・・・(涙)
- 次こそ出発してもらえるよう、がんばります!
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