それからの一週間は、ホントにあっという間にすぎていった。
家族と友だちに連絡して、会社のひきつぎをして、
荷物をつめていろんな準備をして・・・
その間あの宇宙船に行くことはできなかったけど、でも。
なんだか最初みたいにどうしよう、とか、困ったって気持ちは
自分でも不思議なくらいに消えてた。
一度決心したら、すっきりしたのかな?
とにかく今は、楽しみって感じ。

さて。
冒険の旅に、出発することにしますか!

そうして迎えた当日の今、私は宇宙船のメインデッキで
出発式に臨んでるところだったりする。
なんだか知らないような人たちが外に繋いであるモニターで
挨拶してるけど・・・あんな背広きてるし、きっと偉い人たちなんだろうなー。
あはは、もうこの際気にしないようにしよう・・・(笑)。

「船長、ご挨拶を」
「は、はいっ!」

いけない、私の挨拶でしめだって忘れてた!!
えっと、えーっと。一言で、いいんだよね。

「・・・はっきりいってこの場所に立つまで、
驚きの連続で、未だに自分が船長だなんて、信じられない気持ちもあります。
これまで宇宙旅行もしたことのない私ですから、知識も技術もありません。
でも!
これだけは言えます。
・・・船長としてがんばろうと思っている、ということは。
クルーの皆さんには不慣れなためご迷惑をおかけすると思いますが、
どうかよろしくおねがいします」

よかった、昨日これ考えてて眠れなかったのよね、あー終わってよかった!(笑)

「素晴らしいご挨拶を、ありがとうございました。
それでは船長」
「はい。・・・最後になりましたが、発表します。
この宇宙船を、アルカディアと名付けます」

これも考えてたこと。名前をつけてほしいなんていきなり言われて
びっくりしたけど、確かに名前があったほうがよびやすくっていいもんね。

「それでは、出発!」

モニターの画面が切れて、地下室の屋上が開いた。
ふわりと宙に浮く感覚がして、一瞬のうちに宇宙船は、空を越えて
宇宙空間へと、たどり着いた。

うわあ・・・!!
目の前に広がっていたのは、ずっと憧れた星の世界。
本当に、来たんだ。

夢じゃ、ないんだ。

「それでは船長、クルーの紹介をさせていただきたいのですが、
よろしいでしょうか」
「は、はい!」
「私の名は、ジュリアス。副船長を務めさせていただきます」

デッキにずらりと並んだ人たちを目の前に、
隣にいたジュリアスさんが、一歩前に進み出て言った。

・・・というか。
この人のほうが、ぜったい、ぜーったい船長に向いてるよー!!
威厳あるし、説得力あるし。
でもそんな事いったら、やる気がないってしかられそうだけど(笑)
うん。
でも。

「頼りになりそうな副船長で私は幸せです。よろしくお願いします」
「・・・有り難う御座います」

あれ、なんだか驚いた顔してる。私、何か変なこといったかな?

「そしてこちらが副船長補佐の、シノブ・テヅカです。
以前船長をお迎えにあがるときに遣わしました」
「よろしくお願いします」

にっこりと笑う。
この人はそんなに偉かったんだね。
でも、わかる気がする。
まっすぐそうなジュリアスさんに、策士な補佐は必要だよね(笑)、きっと。

「さて・・・オスカー、すまぬがそなたから順に始めてはくれまいか」
「わかりましたジュリアス様、仰せの通りに。
お嬢ちゃ・・・いや、船長。私はオスカー、この船の
警備を担当させていただきます」
相変わらずのウインク。気、気をつけとこっとこの人には(笑)
「同じく警備担当の、カツロウ・シブサワと言います。
後ほど説明すると思いますが、この船は対海賊用に様々な装備を
保持しています。そちらの操作と合わせて、船内警備も行います。
どうかよろしくお願いします」

真面目で落ちついた雰囲気のお兄さんが、ふわりと頭を下げた。
わあ、なんだかしっかりしてそうな人だー。

「警備担当の、阿部泰明という。以後よろしく頼む」
あ、この間の人だ!
「先日はご迷惑をおかけしました」
「・・・いや、造作もないことだ」

うーん、相変わらずポーカーフェイスな人だ。
・・・でも、きっととっても優しい人なんだよね。ふふ。

「そして私は、航行士チーフのオリヴィエ。よろしくね☆」

空の星に負けないくらいにきらびやかなおにーさんが、ひらひらと手をふった。
ごほんってジュリアスさんに咳払いされてるけど、気にしてる様子はぜんぜん
ないみたい。うーん、楽しそう。

「航行士補佐の、リュミエールと申します」

うわあ・・・!!こ、この人・・・この声からすると、男の人、だよね?
「何かお困りのことがありましたら、何でも言ってやってくださいね?」
「は、はい、ありがとうございます」

すごい綺麗な人だー!微笑んだ顔が、すごく優しげな雰囲気を醸し出してて。
こんなこと言ったら怒られそうだけど、お母さんかお姉さんみたい(笑)

「うわー、やっと俺の番だー!
俺は、セージ・フジシロって言います。
えっと、担当は」
「こないだ言っただろーが」
「い、いてっ!ひどいっす、ゼフェルさん〜」
「うるせえ。おめーの自己紹介なんてどうせ長くて
聞いてられねーんだよっ。
俺はゼフェル。担当は前に言った。それだけだ」
「あ、あのねさん。もう1人整備担当がいるんだけど、
今作業中だから、後で紹介するねー!」
「うん、ありがとう」

ゼフェルさんは相変わらずぶっきらぼうだけど、仕事ができそうな人。
セージくんは・・・こっちも、別の意味で相変わらず、可愛い。
おねーさん、困ってしまうわ。
っていけないいけない!私、船長なんだから一応!(笑)

「ここにいる全員は終了したな・・・うむ。
それでは船長、残りのクルーは既に業務についておりますので、
船内を案内がてら、ご紹介します。
案内は、そうだな・・・シブサワ、頼む」
「承知しました」
「えー、ジュリアス副船長!俺も案内したいです」
「・・・しょうがないな。許可しよう」
「ありがとうございます!」
「あの、ジュリアス様。私も一緒に」
「オスカーさんには、私が頼みたい仕事がありますから」
「これは奇遇ですね、私もなのですよ」
「うっ・・・シノブにリュミエール、お前らな〜」
『何か?』
「・・・何でもない・・・」

というわけで私は、セージくんにシブサワくんと一緒に
船内を見て回ることになったのだった。

「俺ねっ、今日の出発をすっごく楽しみにしてたんです!」
「・・・ありがと。その顔見たら、わかるよ」
「え、なんで?」
「おいセージ。言葉をつつしめ、船長に対して」
「あ、いいのいいの。シブサワくん
後でね、皆さんにも言おうと思ってたんだけど、
私はこんな状況で船長になったわけだし、ある程度はしょうがないにしても、
敬語は最低限でいいし、肩書きじゃなくて名前で呼んでもらおうって、
そう思ってたの。
だからセージくんみたいに接してもらえると、嬉しいの」
船長」
「だから、それはだーめ。さん」
「・・・はい、わかりましたさん」
「よろしい!シブサワくんは大変素直です。
あ、なんてごめんなさい。私の方こそ、年上の人にむかって言うことじゃないよね」
「ぶっ!!」
セージくんが、飲み歩いてたジュースを吹き出した。
「ど、どうしたのセージくん?」
「あのね、さん。キャプ・・・いえあの、カツロウさん、
これでも俺より1つ上なだけなんすよ。
つまり、さんより年下」
「えーっ!!うそ!」
「・・・すみません、うそじゃなくて・・・」
「ごめんね、そんなつもりじゃなくて、その、
落ちついてみえたから、私てっきり」
「・・・いえ、慣れてますから・・・」

少ししょげたようなシブサワくん。

「わー、ごめん!ホントにごめん!」
「・・・それじゃ俺のお願い1つ、聞いてもらえますか?」
「うん、もちろんだよ。何でも聞くから、許して」
「俺のことも、名前で呼んで下さい」
「え、そんなんでいいの?」
「はい」
「わかりました。えっと・・・カツロウくん」
「はい」

あ・・・ひょっとして、最初からこれがねらいだったりする・・?(笑)
みかけによらず、確信犯な人かも。
これから少し、気をつけよっと(笑)

Continue....

あとがき

ようやく出発しました、クルー紹介第一弾です。
本当なら他のみなさんも登場させる予定が、弟の夜食を
つくったせいで、時間が・・・(涙)くうっ。
というわけで、明日には全員に登場してもらおうと思っています。
朱さん、ごめんね、例のひとまただせなかったよ。明日こそ!