「ねぇ、チャン・・・いいよね・・・?」

綺麗で危なげな表情が、私の視界を覆ってる。
むー、このままじゃ完全にやばい気がする・・・(笑)

「い、いいって何がいいんですか!まだお願いの内容も
聞いてないのに、うなずけませんっ」
「何って、そんなの決まってるジャン」
「え?」
「わかんない?
この体勢。二人きり。
そしてキミとオレ。
さ・・・ここまで言ったらわかるよね?
罠の意味を・・・ねぇ」

くすくすくす。
ひじょーに楽しそうに笑う、チヒロさん。
硬直する私の頬を撫でて、にんまりとしてる。

「か、からかわないで下さい!」
「ひどいなー、俺はいつでも本気だよ?」

・・・もう、私にどうしろっていうのよう〜!!(泣)

と、抵抗をあきらめかけたそのとき。
鍵が閉まっていたはずのドアが、ぱたりと開いた。
よかった、もう誰でもいいから助けにきて!!

「・・・そろそろおいたの時間は終りだろう、チヒロ?」
「ちぇっ。よりによってその組み合わせで来る?普通」
「いえいえ、両方とも自分の意思できただけですよ。
そろそろ夕食の時間ですし、お誘いにあがりました。
・・・さ、静かに言ってあげてる間に、手を離してくださいね?」

そこに立っていたのは。
シノブさんとリュミエールさん(彼は実は怖いとセージくんから聞いてびっくりしたばっかり)の
お二人だった。
・・・ある意味、できれば別のヒトに来て欲しかったかもしれない(笑)・・・

「フザけてなんてないんだけどねー、ま、しょうがないか。
楽しみは後回しにするタイプなんだよね、俺。
今日はここまでってことで、ごめんねチャン」
「いえあの、気にしないでください!!」
っていうかこれ以上があることを忘れててほしいんだけどな・・・(笑)
「まあそう言わずさ。・・・じゃ、バイバイ♪」
「チヒロ。・・・わかっているな?」
「ああ、あれね。ちゃんとしといたから」

よくわけのわからない会話をシノブさんとかわして、
拍子抜けするくらいに大人しく、チヒロさんはお部屋を出ていった。

「・・・驚かせてしまいましたね、すみません」
「いえ、そんなことないです」
リュミエールさんがにっこりと微笑んで、ベッドに座ったままの私に手を差し伸べて
くれた。
さっきチヒロさんに向けてた笑顔と違うような気がするのは、気のせいかしら。

「そろそろ夕食の時間です。先ほどセージ達が案内したカフェになるのですが、
行きましょう」
「あ、はい」
さん!!」
「セージくん」
「無事だったんだね、よかった・・・って!」
「セージ。あれほどきちんと案内しろと言ったのに守れなかったお前が抱きつく権利はない」
つめたーく言い放つシノブさん。表情、かわってません(笑)
「え、だってキャプテンは!」
「カツロウはこうしてドアを体当たりで開けてしかも俺にちゃんと報告済みだ。
他に何か言うことはあるか?」
「・・・ないっす。キャプテンのぬけがけ・・・」
「何か言ったか?」
にっこり、と笑うカツロウくん。
うーん、こうなったらセージくんがちょっとかわいそうになってきたかも。
「そんなの、私が油断したからなんです。セージくんが悪いんじゃありません」
さん・・・!!(感涙)」
「だから一緒にカフェにいこう。ね?
みなさんも、いいですよね」
さーん!!・・・い、いってー!」

例のごとく私に飛びつきかかったセージくんをクリーンヒットして、
シノブさんが私の手をとって歩きはじめた。
ああセージくん、無事でいて・・・(笑)

そうして私は、ようやくさっきのカフェにたどり着いた。
なんだかいろんなことがありすぎて緊張して、お腹すいちゃった。

「さてと。ナイト役はそろそろ交代してもらいましょうか?」
「ドクター!」
「あ、私もまぜてー☆」
「オリヴィエさん」

カフェの入り口から中をのぞくと、まだ誰も席についている人はいなかった。
と思ったのに・・・いきなり素敵な声が両わきから聞こえてきたよ。
もう私、心臓もたないかもしれない・・・(笑)

「はいはい、リュミちゃんもシノブもみんな仕事の時間終わってないでしょ?」
「・・・私は終わった」
「ぎゃ!!ちょ、ちょっと泰明、アンタいきなり出てくるのやめてくんない」
そこに泰明さんも登場。お、お腹すいたのかな・・・?
「挨拶はちゃんとしたつもりだが」
「・・・いいけどさ・・・さ、後は私たちにまかせて、退散退散」
「しょうがありませんね」
「頼みましたよ、オリヴィエさん」
「えー、俺も一緒に食べたいー!」
「こら、これから何度となくチャンスがあるだろう。後からがいいんだ、こういうものは」

なんて、4人らしい(笑)挨拶の後、みなさんはカフェから出ていっちゃった。
「あ、ちょっと待って下さい!」
「どうかしましたか?」

振り返ったリュミエールさんに向かって、深呼吸。
お礼は思ったときにいわなきゃ、だもん。
「お忙しいのに案内していただいて、ありがとうございました!
お仕事、がんばってきてくださいね」

『・・・』

なんだかみなさんは無言になっちゃってうなずくと、そのまま前を向いて
歩いていっちゃった。
うーん、私、何かおかしなことをいったかなあ・・・?

「さすがですね、私たちの船長は」
「明智の言う通りかもしれん」
「私も賛成、かな」

「・・・え?」

「きゃはは、言った本人わかってないわ!いいねー、可愛くて♪」
「え、あの、一体何の話ですか?」
「まあまあいいから、早く食べよう」

ここの人たち、いい人達なんだけど。
なんだか、私にわからない会話ばっかりするのはなんで〜?(涙)

はいはーい、お話はそこまで〜♪」

あ、どこからかアヤシゲな三味線の音!(笑)
これは、ひょっとして。

「・・・ひふみさん?」
だいせいかーい♪」
「俺もいるぜ」
「トウゴさん」

席についた私たちの目の前に現れたのは、白いコックの制服を着た先ほどの
お二人。
手にはトレイ、そしてメニューがのってて。
私は、それを見ただけで。

ぐうーっ。

・・・お腹が、鳴ってしまった・・・(涙)

あああ、ど、どうしようー!!

「・・・は、はははっ!!!すげー、おもしれー!!」
こら、トウゴちゃん。その笑いじょうご、ダメだよ〜。くっくっく・・・」
「そんなことを言って、ひふみも笑っているではないか」
「泰明。人のこといえてんの?鉄面皮のアンタの今の顔、みんなに見せてあげたいよ」

うっうっ・・・恥ずかしい以外のなにものでもないわよ・・・
船長としての威厳、どうしよう・・・始めからあんまりないけど・・・(笑)

「お腹が空くのはよいことです。健康な証拠ですから。
さ、可愛いさんに微笑んでばかりいないで、飲み物のメニューをいただけませんか?」
「明智さん・・・」

明智さん。なんて、なんて優しくてフォローが上手な人なの!!(感涙)

「悪い悪い。あんまり可愛いもんだから、嬉しくなってさ。
ごめんな」
「いえ、その・・・自分でもおかしかったですから、いいです」
トウゴさんの声で謝られたら・・・なんて、私、現金すぎるよ我ながら。
おわびに、がんばって作るね〜?待ってて、ちゃん♪」

そうして私はなんとかオーダーを終えて、今日のディナーとして
出されたおいしーいお料理の数々をあっという間に食べ終えちゃったのだった。

あとがき
ようやく一日目のゆうごはんだなんて、進みがおそくてすみません(涙)
なんとかチヒロさん(彼は、遥かが連載されているlalaの人気作品、
「おまけの小林クン」に出てくる、小林千尋くんです♪)の手を逃れてよかったんですが、
微笑みが怖い3人が揃ってしまいました。これからが
思いやられますねー(笑)