抜き書き言葉集

あらゆる書物や映画その他から、自分の心に残った言葉を集めてみました。

 

真実でさえ、時と方法を選ばずに用いられてよいということはない。

モンテーニュ「エセー」




万の咎は、馴れたるさまに上手めき、所得たる気色して、人をないがしろにするにあり。

兼好法師「徒然草」


子曰く、書は言を尽くさず、言は意を尽くさずと。

「易経」


人の恩は深くてもむくいず、恨みは浅くてもむくいる。

悪い評判は不確かでも信じ、よいのは確かでも信じない。

まことに因業な、不人情な話だ。

洪自誠「菜根譚」


考える人間にとっては、世の中は喜劇であり、感ずる人間にとっては悲劇である。

H・ウォルポール




すべての階級を通じて一段と気高い人はだれか。どんな長所を持っていても、常に心の平衡を失わぬ人。

ゲーテ


兵ってもんはいったん動かしゃあ意味がなくても人は死ぬんじゃねぇのかい?

劉備玄徳「蒼天航路」


誇るに足る敗北は 卑しい勝利にまさる

Mrヤマダ

「オフィス北極星」


戦闘には必ず明確な目的を与えるのだ! そうすれば艦長のあらゆる操鑑が敵には人間離れした神業のごとく映る!

海江田艦長

「沈黙の艦隊」


ただ、返す返す、初心を忘るべからず

世阿弥「風姿花伝」


すべての組織と同様、軍は目的を定めた後に行動する。そしてまたすべての組織と同様、定めた目的に縛り取られる。

結果として生じるのは恐るべき想像力の欠如であった。自軍の目的達成を重視するあまり、敵軍の目的について考えることを忘れてしまう。全知全能を傾けた努力も、実のところ、自分たちで勝手に設定した問題の中でしか意味を持たない。

こんな莫迦な話はなかった。しかしそれは現実に生じる。天下に独善に陥って恥じない者が多いことを思えば、納得はいかなくても認めざるをえなくなる。

「皇国の守護者5 英雄たるの代価」


怒りは常に愚行に始まり悔恨に終わる。

ピタゴラス


論争するには耳を傾けよ。だが、論争の仲間入りをするな。いかなる些細なことばの中にも、怒りや激情を吹き込むことを警戒せよ。


その人の学歴、経歴など過去の既成概念にとらわれ、能力を想定してしまわないように、私は極力努力した。あくまで現時点、将来にわたってその人がどういう能力を発揮しうるか、という観点のみから人を見るように心がけてきました。

本田宗一郎


悪いマナーは理性も正義もぶち壊してしまう。洗練されたマナーは、嫌なこともよく見せる。

グラシアン


私は一つの痛切な願いをもっている。それは私がこの世に住んだゆえに、少しだけ世の中がよくなったということが確かめられるまで生きたいということだ。

リンカーン


世の中はいつも変わっているから 頑固者だけが悲しい思いをする

変わらないものを何かにたとえて その度崩れちゃそいつのせいにする

シュプレヒコールの波通り過ぎてゆく 変わらない夢を流れに求めて

時の流れを止めて変わらない夢を 見たがる者たちと戦うため

中島みゆき「世情」の歌詞より


悲しみばかり見えるから この目をつぶすナイフがほしい

そしたら闇の中から 明日が見えるだろうか

限り知れない痛みの中で 友情だけが見えるだろうか

企みばかり響くから この耳ふさぐ海へ帰るよ

言葉を忘れた魚たち 笑えよ私の言葉を

終わり知れない寒さの中で 友情さえも失っている

この世見据えて笑うほど 冷たい悟りもまだ持てず

この世望んで走るほど 心の荷物は軽くない

救われない魂は 傷ついた自分のことじゃなく

救われない魂は 傷つけ返そうとしている自分だ

中島みゆき「友情」歌詞


だれも悪くはないのに 悲しいことならいつもある

願い事が叶わなかったり 願い事が叶いすぎたり

だれも悪くはないのに 悲しいことはいつもある

中島みゆき「悲しいことはいつもある」歌詞


西には西だけの正しさがあるという 東には東の正しさがあるという

なにも知らないのはさすらう者ばかり 日ごと夜ごと変わる風向きにまどうだけ

風に追われて消えかける歌を僕は聞く 風をくぐって僕は応える

あの日々は消えてもまだ夢は消えない 君よ歌ってくれ僕に歌ってくれ

忘れない忘れないものも ここにあるよと

あの愛は消えてもまだ夢は消えない 君よ歌ってくれ僕に歌ってくれ

忘れない忘れないものも ここにあるよと

中島みゆき「旅人の歌」歌詞より


人間の定義を言うと、ほかに何もない。ただ入らざることを捏造して自ら苦しんでいるものだと言えば、それで充分だ。

夏目漱石「吾輩は猫である」


天が私にあと十年の時を、いや、五年の命を与えてくれるなら、本当の絵描きになって見せるものを。

葛飾北斎


人間は本来統率されることを好まない。しかし、すばらしく統一されると、奮起し、納得し、陶酔する。

大橋武夫


ひとこと足りなかったばかりに、仲間に迷惑をかけた人がおりました。ひとこと多いのが嫌われて、仲間から敬遠された友達がおりました。ひとごとではないと思いました。

長崎抜天


少年の時は当に老成の工夫を著すべし、老成のときは当に少年の志気を存すべし。

佐藤一斎


秀吉の知恵は、妄想に近いものであった。ところが、彼はこれを執拗にいじりまわして必ず活かす、天与の才を持っていた。

山岡壮八


情報が多ければ、判断が楽だ、というものではない。

クラウゼウィッツ


計画は巧妙でないほうがよい。凡案を非凡に実行せよ。

大橋武夫

 


 

えーと、たとえば何か問題が起こったとする。それはやがて解決するのだが、その中でだいたいこういうことを言い出す奴がいる。「しかし、気持ちの問題はどうなるんだ」とかなんとか言って、せっかく解決したはずの問題を蒸し返すのである。あるいはそのことを逆手にとっていつまでもぐしゃぐしゃ言い続けるとか。そのことに正当性がある場合(本当は解決してないとか)なら別だが、そうでない場合、そいつ以外の人間は「いったい何が問題なんだ」とそいつの「気持ち」とやらがさっぱり理解できない。「もう終わってるじゃないか」「そんなにゴネるならあのときにちゃんと言っとけばよかったのに」などなどである。そいつの「気持ち」というのはいったい何だろうか。実は別のことに原因があって、ただそのわかりやすい問題にかこつけて不満をぶちまけているだけなんじゃねーの? などと勘ぐられたりして。そして、多分それは正しい。我が身を振り返ってもたいてい何かに怒鳴ったりしているときは、そのことには実はそんなに怒ってなくて、他のどうしようもない事への怒りの代わりにしていることがほとんどだと後で冷静に考えるとわかる。ゲームが途中で詰まり「ざけんじゃねぇ!」とか喚いてリセットボタンを押すのは、実はゲームが憎いわけではないのだ。・・・・・・たぶん。

「気持ち」というのは厄介なものである。仕事を進める上で何か障害が生じたときに「しかし気持ちというものがあるだろう」とか言われて、なんだかそれが正当な理由みたいにされると「じゃあこっちの気持ちはどうなるんだよ」とか逆ギレしたりしてしまう。その対立は結局、なんにもならない。不毛である。「気持ちをわかってくれよ」とか言われても、その前にこっちの気持ちを理解してもらわないことには向こうを理解しようって気も起きねーだろーが・・・・・・などとますます感情的になって、話がまったく進まない。不毛である。大抵どっちかが「あなたの気持ちは大変よくわかります」などと思ってもいないことを言ってなんとかするだけで問題はそのままなのである。実はこれはすごいスケールのでかいことを喩えて言っているのだが、同時にそこら辺の日常のことでもあるのだった。

人が何かをするとき、そこには必ずある種の「心」を残していくと思う。「これには心がこもってないよ」とか言われるようなものでも、それは「どーでもいーよこんなの」という心が残っているのである。機械だけでされることに「これには心がない」とかいう人もいるが、あれにもその機械を作った人やらなにやらの「心」はちゃんと残っているのである。心のないことなど、人に関連したすべてには存在しないと思う。その前提に基づけば、あることが素晴らしいことだけのように見えても、その途中にあった「心」にはあんまし気持ちのよくないこともあって、それが人をして「しかし、気持ちの問題が――」などと口走らせるのではないだろうか、とか思う。だが、その場合の問題というのはその「気持ち」にはやっぱりなくて、やはり大元になっている「心」の中にあるのではないかと思う。人の気持ちなんて物は移ろいやすく、別のことへの憤りを転嫁したりするようなアテにならないものである。自分で自分の気持ちすら把握することも難しい。でも、人から気持ちをなくすこともおそらくは絶対にできない。だったらその気持ちの積み重ねである「心」ぐらいはしっかりと把握しておかなくてはならないのではないか。自分にはどんな「心」があるのか、そしてそれは人とは違うもので、他の人にはどんな心があるのか、それを掴むことは決して不可能ではない、と思う。さまざまな問題を解決するためには、実はそれしかないのかも知れない、と思うのだ。―しかしひるがえって我が身を見ると、やっぱり「俺の気持ちはどーしてくれるのか」とか喚いて問題ばかり起こしてるよーな気もしてしまうのだが――うー。

(気持ちってのは本当、厄介だよな・・・・・・)

(ヒトなんだから、まぁいいじゃん)

上遠野浩平「ハートレス・レッド」後書き




二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい

立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい

そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい

吉野弘「祝婚歌」



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