「南雲、本庁」と書かれたホワイトボードを見て、後藤は本日何度目かとも分からぬ溜め息をついた。
しのぶの静かな横顔を思い出していた。
彼女の現在の苦しさは、後藤もよく承知しているつもりだ。
そして自分はそれに対してどうすることも出来ないであろうことも。
自分が動くことはかえって彼女の負担になるだけではないか、という弱気もあった。
しかしその一方、この状況をただ続けることに苛立ちも感じていた。
その隣りでシゲが枠だけになっていた隊長室の窓にガラスを入れている。
「はい、できましたよ。これで木枯らしが吹き込むこともなくなって、よかったッスね」
「ご苦労さん」
…心はさみーんだわ、なんてな。
「へ?後藤さん、なんか言いました?」
「いんや、なんにも」
…疲れた。
多忙の日々に対して、ではなく精神的に。
ふと右手を見つめた。
指に絡まった柘植の体温が、まだ感じ取れる気がした。
過去に切り捨て損ねた痛みに三年の年月を経て再び出会い、
今ようやく決着をつけたという悲哀を伴う解放感。
その結果には納得していた(むしろ早くそうなることを望んでいた感もある)。
が、受け入れることはまだ到底できそうにない。
これから先もできるかどうか、はっきり言って分からなかった。
「――オレ、待ってるから」
彼の気持ちは、とうに気づいていた。
そしてそれへの答えも、…多分。
ただ、それをハッキリさせてしまうのが怖かったのだ。
不確かであいまいな関係に浸かって、十分幸せだった。
そのぬるま湯を甘んじていた。
半端なまま放置していた過去と現在が今になって不意に自分に向き直り、自分を絡めとって、先に進むことを拒んでいる。
この混沌とした気持ち。
すべては私のいい加減さが招いた…のだと思う。
2001/07/22
後藤さんとしのぶさん
(絵柄は黒田硫黄さんのマネだったりする)
くわ〜〜〜っ!いきなりの世迷言スンマセン!!!
使用した文章は、私がかつて勝手に書いて
勝手に挫折した『P2』その後fanfictionからの抜粋です。
話としてはですねー…
柘植逮捕ってことでお咎めナシに元のさやに戻った特車二課なんだけど
後藤さんとしのぶさんの関係にわだかまりが残ってる、てな具合。
『P2』のラストシーンの解釈は色々とあるだろうけど
私は、しのぶさんは柘植との関係にけじめをつけた、と読んでます。
都合が良すぎてスミマセン。でも本気。