別れと約束と (1)

 「これで、ティトともしばらくお別れか・・・」
緑が生い茂る林の片隅で、クレインが寂しそうにつぶやいた。
その隣には、ティトがどこか恥ずかしげに座っている。
最後の戦いも終わり、現在ロイたちはそれぞれの帰るべき場所への帰途についている。

もちろん、クレインとティトも例外ではない。
 「不謹慎だけど、ティトと離れるくらいなら、戦争が続いていたほうがいいとさえ思えてくるよ・・・」
クレインの言葉に、ティトは俯くしかなかった。
姉のユーノや妹のシャニーは、このままクレインについて行ってもいいと言っている。

ティト自身も、本心では、このままクレインについて行ってしまいたい・・・。
このまま、ずーと一緒にいたい・・・。

しかし、戦争で荒れ果てたイリアを見捨て、エトルリア行くことなど、ティトには出来なかった。
つまり、彼女はクレインではなく、イリアを選んだのだ。
 (私のような堅物な女が、クレインさまを待たせてしまっていいのだろうか・・・)

ティトは、このことが引け目になっていた。
ティトがイリアへ帰ると言ったとき、クレインは、それが分かっていたかのように指輪を差し出した。
この指輪を自分だと思って大事にしてくれと・・・。
イリアに帰っても、僕のことを忘れないでくれと・・・。
その時、ティトはしばらく事の意味がわからなかった。
しかし、今になって冷静に考えてみれば、それは求婚の申し込みだとも取れるのだ。
最後になって、受け身な自分にプロポーズしてくれたクレイン。
そのことに気づきさえしないバカな自分を、いつまでも待っていると言ってくれたクレイン。
クレインの優しさに対し、自分は何か応えることが出来たのだろうか・・・。

いや、応えることが出来るのだろうか。
ここ数日、ティトはそんなことばかり考えていた。
 (私は今まで、クレインさまの優しさにあまえてばかりだった・・・)
明日、ついにクレインと別れなければならない。
ティトは、その前になんとかしてクレインの優しさにむくいたかった。
 「ティト?」
クレインが少し驚いた顔で、ティトを見つめた。
ティトは、恥ずかしそうに俯いてしまっているが、なんと、その手はしっかりと、クレインの手を握り締めていたのだ。
 「ク・・・クレインさま・・・、わ・・・私は・・・その・・・」
クレインの手を握り締めたまま、、ティトが何かを言おうとする。
しかし、顔は俯いたままだ。
そして、その頬は、この上ないほど上気していた。
 (私って、ほんと臆病者・・・)
ティトは、たった2文字の思いを伝えるために、こんなにも恥ずかしがり、自分の本心を伝えることさえ出来ない自分が情けなかった。
しかし、そんなティトを見て、クレインは微笑む。
 (ティト!可愛いすぎるよ!!)
そして・・・
 「わ・・・私は・・・、クレイン・・・さまのこ・・・きゃッ」
ティトが突然の衝撃に、小さな悲鳴をあげる。
なんと、クレインがティトを押し倒したのだ。
 「ティト大好きだよ!」
クレインが、ティトをおもいっきり抱きしめながら言った。
ティトは、一瞬何が起きたのか、理解することさえ出来なかった。
しかし、肌を通して伝わってくるクレインの温もりが、ティトを覚醒させた。
 「ク・・・ク・・・クレインさま!!」
 「しばらく、こうさせていてくれないか」
クレインがティトの耳元でささやく。
クレインの吐息が、ティトの耳元にかかる。
 「!!」
ティトには、もう何もすることが出来なかった。
まるで、金縛りにでもあったかのように、ティトの体は硬直してしまっていたのだ。
 「ティトの体・・・温かい」
そんなティトのことなどお構いなしに、クレインはさらに強くティトを抱きしめた。
 (忘れるものか!この温もり・・・絶対に!)
クレインは、ティトの温もりが自分の体に焼きつくまで、その体を離さなかった。


コメント;読んで頂き、本当にありがとうございます!
     そして、下手くそでごめんなさい。

     いちおう、クレイン×ティトの妄想小説です(爆)
     戦いが終わり、別れる直前のお話。
     途中、指輪が云々という文がありますが、あれはオリジナルS会話のほうのエピソードを元にしてます。
     まだお読みでなかったら、そちらのほうも読んでやってください。
     (1)となっていますが、きちんと続きがあります。
     下手くそなので、たいしたものにはならないと思いますが、少しでも皆様の妄想の手助けになりましたら、幸いです(爆)

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