グランプリ神戸ジャッジ記録本戦編 By Yusuke

前編から激しく日数が過ぎてしまいましたが……


 

◎グランプリ大サイン会本戦
 昨日の受付が終わった時点で、受付に来た人数はおよそ1500人。スタッフに用意されたホテルから会場に向かったのだが、朝の8時の時点ですでに200人ぐらいは会場の前で開場を待ち構えていた。参加者は楽しみに待っているのでしょうがスタッフ側からすれば今回の参加者の多さは悪夢以外の何物でもないのだが……。

 普通のトーナメントレポートならラウンド1から始まるんだろうけどジャッジのレポートなので始まるのはさしずめラウンド0から。
 で、ラウンド0に何をしていたかというと当然打ち合わせ。1000人を越えるプレイヤーの誘導やデッキリストの回収、そして実際のトーナメント中の仕事の分担。私が割り振られた役目は、ずーーっとフロアジャッジというわかりやすいことこの上ない役。
 ちなみに今回参加者に比例してジャッジの人数も多いので役割分担も相当尖った形で行われている。懸念していたデッキリストチェックも、3回戦が始まるまでに終わらせるというビジョンのもと、確か8人ほどが動員され、「延々と足し算(注1)する係」「問題のあったリストを再チェックし別のカゴに入れる係」、そして極め付けは「問題のあるリストの入ったカゴと会場を往復してペナルティを出す係」といういわゆる首切り役。この役に就任した(させられた?)某氏はきっと1日で最も多くの警告を出したジャッジとなったことだろう
 ……リストの不備でペナルティを貰ってしまった皆様、次回はリスト記入の際は気をつけましょうね。

 初日の全9回戦、私は先ほど書いたように4回戦でフィーチャリングマッチのテーブルジャッジをした以外は ひたすらフロアを廻っていたわけだが、予想していたよりも感覚として早く終了したように感じた。というのも、通常の草の根トーナメントに比べてやることが非常に多いのである。
「ジャッジ〜〜」
「はーい!」
「終わりました!サインお願いします!」
「はいはい、2-1で○○さんの勝ちで間違いないですね?」
「はい。」
「じゃ、サインしますね……」
「(横から)ジャッジ〜〜」
「はーい、待って下さ〜い!」

サイン方程式
1500(参加人数)÷2(1テーブル2人なので)×9(ラウンド数)÷20(ジャッジのおおよその人数)=約340回………

 実際は途中ドロップやバイ持ちの人がいるのでもうちょっと少なかっただろうが、私を含んだジャッジの面々がサイン技能を上げたことは間違いない
 と言うか、ゲームの進行を見張ったりする暇が全然無かった。いいのか?本当に初日はひたすらサイン漬けだった。有名人の疑似体験である。

 初日が無事終わった後は、用意されたホテルに戻りすぐに寝て2日目に備える………べきであるのだが、なぜかドラフトを始めるジャッジ団。参加費500円にひかれて参加。要注意プレイヤーである、チーム宗男のレベル2ジャッジである菅谷氏を下家に迎え、うまく下をコントロールしながら上が不慣れなのか多数流れてくる強いカードを取ってかなり強めの緑白少し青タッチ黒を完成させた。ゲームは菅谷氏が爆死する中きっちり2連勝するも、対面がゴッドカードやかなり強いカードがひしめくゴッドデッキを作っており粉砕される。菅谷氏と2人で「対面の周りは何やっとったんじゃあ!」とキレる。が、私はヤヴィマヤの沿岸を手に入れたので良しとする。
 ドラフトの全行程が終了した時点で時刻は午前4時。2日目はみんなちゃんと仕事できるのだろうか?

◎決戦の2日目
 2日目のスタッフの集合時間は午前7時半。コンビニで調達した朝飯をかきこみながらミーティングをするのだがジャッジ全員が昨日に比べ妙に元気である。ハイになっているのか?
 2日目はプロツアー予選やグランプリ静岡トライアルなどの大きなサイドイベントが開かれるため本戦のジャッジは9人。128人しかプレイヤーがいないことを考えるとこれは相当多いと言っていい。私の担当は本戦である。気合いを入れ直し本戦7回戦に挑んだ。
 2日目はジャッジ1人当たりのプレイヤー数が少ないので、その分プレイの監視が容易である。その分テーブル上の状況やプレイヤーのシャッフル法といった細かいところまで見ることが求められる。普段は見ないようなところまで見なければならないのだ。
 見ていた感想としては、流石に初日で7勝している人間の群れだけあって見ていてだるい勝負がほとんどないので、フロアを廻る疲れがさほど気にならなかったということだろうか。これは睡眠不足でハイになっていいただけかもしれないが。
 寝不足で時折薄れそうな意識を必死に保ちつつも、7ラウンドすべてを見守り、そして準決勝のテーブルジャッジの任務を終えた時点で私の任務はほぼ終了。私の初GPジャッジ体験はこれで終わったのである。
 2日目のレポートが短いのは………睡眠不足で記憶が欠落しているせいです。

 しかし、振り返ってみると、色々と細かいことはあったものの、今回はイカサマが発覚することもなく無事に終わったと言える。ひょっとすると我々がうまく騙されていただけなのかもしれないが……
 また、失格者が2名出たのは残念なことだが、ルールとマナーとスポーツマンシップすべてを遵守する人間にこそ勝利が与えられるべきであるマジックの大会であるためには仕方がない。
 今後もマジックが健全に発展して今回のような楽しい大会がうまく運営される事を祈ろう。

以下、大会で起こった色々なこと。

○私、バイ持ってないんですけど………
 大混雑の会場内で貼り出されたラウンド1の組み合わせ表。トーナメント初参加の人も多いため、「私の名前が見つからない」などといったことが多くジャッジに伝えられる中、一人の紳士が私に声をかけた。
「あのー、私大会初参加なのにBYE(注2)になってるんですけど………」
 大会初参加の人間にバイがあろうはずがない。名前を聞いて組み合わせ表を見ると、そこには確かにBYEの文字。しかし他のいわゆるバイ持ちの人の所に印刷されている文字は[Awarded Bye]。そう、つまり……
「あのですね、1回戦に出る人数が奇数なので、余った人は不戦勝になるわけですよ。それがあなたなんです。」
「はあ………」
 1000人以上がひしめく中で史上最弱のプレイヤーであるBYEさんに当たるというおよそ1300分の1の幸運(?)をつかみ取った紳士。彼のその後の戦績は定かではない。
(参考)
 プロツアー東京において途中でBYEに当たった人が、「Oooh! My opponent is B・Y・E!」と嘆いていたことがあった。BYEさんは世界的に有名なのである。

○カード落としちゃった!
 仮にプレイヤー名をAさんとBさんということにしよう。Bさんがドローする際にドローしたカードの下のカードをテーブルの下に落としてしまった。そしてBさんがそのカードを拾ってライブラリーの一番上に置いたのだが、これはどうなるのかという質問をAさんから受けた。話を聞くと、Bさんがカードを拾う際にそのカードの表を見たのかどうかも分からないし、さらにまずいことにカードを拾いにいく際に手札を持ったままテーブルの下に下げてしまったらしい。見物人に話を聞いても何も分からなかったので、私はチームリーダーを呼んだ。
 結論から言うと、チームリーダーは彼が過剰にカードを引いたものとみなしてそのゲームの不戦敗の裁定を下した。正直これは私の予想よりも厳しい裁定である。しかしチームリーダーはこの一連の動作によって余分のカードをライブラリーから移動して手札と一緒にしたとみなしたのである。確かにこの説明は納得がいく。おそらくこれはこのような状況で一般的に用いられている裁定であると思われる。
 みなさんもカードを対戦相手から見えない場所に落とした時はお気を付けて。


(注1)ジャッジは提出されたリストが適正であるかをチェックするためにまずデッキの総数を計算している。
(注2)不戦勝。詳しくは文中の通り。

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