よく続くよなぁ、私も。そんなこんなで第4話。不自然なところとかはもう星の数ほどあるでしょうが、
そんなときはメールで文句をお願いします。
1/2/3/4/5/6/7(現在書いてます)/戻る
その4〜わたし日記〜
ポテッ。
やたらと可愛い音を立てて、小さな影(立派な大人だけど)−リピートが倒れた。
「どうしたっ!?」「大丈夫か」口々にそんなことを言いながら、みんながリピートの回りに集まった。
わたし?わたしはミファ・ボンヌ。魔術師&盗賊よ・・・って、違う?ああ、リピートの回りに集まったか、ってことね。
勿論、遠巻きに見てたわ。わたしより、シドやテノールの方がよっぽどこういうことに慣れてるもの。
わたしは、さっきも言ったようにソーサラー・シーフだから、ね。
「あー、たぶんー、私がいることに感激して倒れちゃったのね?」
・・・毎回々々、この間延びした声の主−ピアノさん−には、困らせられる。
「どこをどうすりゃ、そういう答えになるんスか・・・」
テノールだ。どことなく、声が暗い。
ピアノさんは、私達(達、とはリピートのこと)よりも扱いにくいから、このパワー馬鹿とは合わないのだろう。実際、扱いにくいし。
見た目は子供なのにねぇ。
そんなことをしている間に、ピリートは復活したようだ。
「うん、大丈夫・・・。ちょっと目眩が人為的に引き起こされただけ」
「目眩はー、人為的に起こるものじゃあないと思うんだけどー」
皮肉たっぷりの言葉も、軽く流す。この辺り、神経質な『人間』には為せる技じゃあない。
・・・あまり自慢にならないのが悲しいところだが。
「我は早くに行くべきと思う」
そんな和やか−どちらかと言えば、変−な(?)ドタバタした空気を切り裂いたのは、ドワーフ−シドのこの一言。
「・・・そうだったな」
苦笑しながら、テノール。
「ピアノさんに衛視に通報されないか不安なところかと」
全く心配のなさそうな声で、全く感情のこもってない顔で、エルフ−テンポ、が言う。
「問題ないでしょ。どうせ一緒に行くんだし・・・。ね?」
最後の言葉は(今更という気もするが)、無論ピアノさんに向けた言葉だ。
「そうね・・・」
まだ気分が優れないのか、ピリートが力の入っていない声で言う。
「まぁ、チクらないでおいてあげるわー。しっかりフォロー頼むわよー」
いつもの間延びした(しすぎた)声。何故かピアノさんが話の主導権を握っている、ような気も・・・って、
フォロー!!?
「当たり前でしょ。そういう人だもの」
あれ?いつの間にか、口に出てたか。まぁそれはそれとして、全く動じてないリピートもすごいと思ったりもするね。わたしは。
それにしても、『チクらない』、って・・・。ハァ。
何か違うような気もしないでもないが、それは置いといて。
わたしがそんなことを考えている間に、みんな(と言うか、ピアノさん)はもうドアの鍵開けにかかっていた。
ジミシャ−ここの住人だ−は、そんな遺跡や、魔法使いの家など噂で聞くような偏屈な人とは違い、それなりに市民と交流は持っていたようだ。
故に、ドアに鍵を−南京錠と鎖であんなに大っぴらには−かけたりしない。
要は、衛視が進入禁止のつもりでかけたのだろう、が−
あの人にかかれば、30秒もかからないのよねぇ・・・。などと思いつつ、ピアノさんの方を向く。そして、次のピアノさんの言葉に、場は凍り付いた。・・・リピート以外。
「開いた開いた。楽ねぇ、この鍵。ギルドマスターの部屋の鍵の方がよっぽど複雑よー」
イマイチ例えになっていない。つまり、ギルドマスターの鍵と衛視がいい加減にかけた鍵を比べるなどと言うのは、はっきり言って失礼だということ。
しかし、そんなものは関係ない。・・・彼女曰く、『ギルドマスターの部屋の鍵の方がよっぽど複雑』、だそうだ。
ギルドマスターとは、詰まる必要もないほどきっぱりとマスターである。ピアノさんの場合は、盗賊ギルドだろう。
そんなお方のお部屋の鍵を、開けた−もしくは、開けようとした−と言っているのである。
あたしは思った。みんなもそう思っているだろう・・・
何なの、この人・・・。
今までにも散々思い知らされてきたが、今日ほどはっきりとしたものは今までにない。
そして。
私達−リピートとその母親以外−は、もう少しで二人に置いて行かれそうになっていたりもするのだった。
詳しく聞きたいような、聞いてはいけないような、奇妙な感覚におそわれながら−
詰まるところ、それはお屋敷だった。流石に埃は積もっているが、家具などは、綺麗に片づけられている。
「でー?あなたたち、ここで何をすることが目的だったっけー?」
言う義理は全くないような気もするその質問は、私達がようやく追いついたその瞬間に発せられたものだった。
「知らないならついてこなくていいってばぁ・・・」
リピートが消え入りそうな声で言う。もう殆ど半泣きになっている印象を受けた。
「お、おい、だいじょうぶか・・・」
テノールが心配そうに声をかける。流石にそこらへんは“まともな”男の子だ。
だって、他の二人は感情が死滅してるのと一人称がコロコロ変わる奴なのよ?
「?」
ピアノさんが、何でそんなことになっているか、理解できないと言う顔をした、その時。
ごがんっ!!!
すさまじい音と共に、ピアノさんの顔がぶれる。二重−いや、四重ほどまでぶれて、ゆっくりと崩れ落ちる。
「ふう・・・。僕の独断と偏見で勝手に気絶させてしまったが、どうする?」
「帰りに持って帰ろう」
殴ったのはシド(無論手加減をして、だ)、答えたのはテンポだ。
今度は『僕』なのね・・。酷く合わないような気もした。
テンポは、相変わらず怖いことをさらりと言ってみせる。
その後、小声で「生命の精霊が彼女の体から抜け出ているようだが・・・」とかって、微かに聞こえたが、その後は聞き取れなかった。
「何で殴ったの?」
台詞から感情は読み取りづらいが、皆さんお察しの通り、声は喜々晴々、要するに喜びに満ちていた。ちなみに、彼女が聞いているのは、理由ではなく、道具だ。当然だけど。念の為。
リピートはシドの手元を覗き込み、凍り付く。
このドワーフの手の中に握られていたもの。
「ああ、これかい?これがどうかした?」彼は一人称と共に、口調も変わっていく。今は(恐らくこれからも)関係ないが。
とにかく、そういって握っているものを見せる。それは−
「ただの植木鉢じゃあないか。そんなにすごいのか?」
テノールが、少なからず呆れた声で呟く。
そう。それは、植木鉢だった。ただ、そこに植えられていたものが問題だった。
「「魔薬・・・」」
狙ったわけでもなく、リピートとわたしの声は揃っていた。
魔薬。
麻薬、ではない。魔薬、だ。
麻薬には色々種類はあるが、魔薬はその白くほっそりとした若木それ自体を指す。
無論、麻薬の一種だ。致死量は普通の麻薬に比べて3倍も多いが、禁断症状の出るペースは変わらないため、死ぬまでにかなりの量を消費する。
加えて、一回使用しただけでも禁断症状は凄まじいため、この薬を止められた者は未だかつていないという。
【魔薬の使用方法:指二本で摘んだものをなめる。尚、木の芽を少し囓っても使用可能です】
とは言うものの、この薬が発見されたのは、二、三十年前だから、遠くない未来には、止められる者も出るかもしてない。
ついでに言うと、発見されたのは、遺跡の中である。
「麻薬だと?何でそんなモンがここに?」
「麻薬じゃないわ。悪魔の薬、それで魔薬よ」
テノールの疑問を、訂正する。「物騒な名前だな・・」と、彼は呟いた。
みんなの顔を見回すと、テノール以外はみんな知っているようだった。つーか、普通知ってるもの。これ知らないなんてテノール、アンタ学なさすぎ・・・。
「実際に見るのは初めてだけど・・・」シドだ。
「「「異常だな。この白さは」」」
テノールとテンポの呟きとハモる。こんなに器用な真似、私達(リピートとわたしのことだよ)くらいにしか出来ない。ほんとーに気の合うというか、何というか・・。
本人達は、認めないだろうけど。
とにかく、今は何故こんな所にこんな物騒なものがあるかどうか、だ。
その時、私達のいる部屋の向こうで、確かに何かの動く気配があった。