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まだ肌寒い夜明け……ルーンの兵士達は陣形を整え配置に付く。ミッドガルの軍隊は深淵の森からまだ抜けてきていないようだった。 「……ミッドガルの兵士がまだ森から出てきてない……いったい何故?」 予定ではもうミッドガルの軍は出てきていいはずだった。そのことにアールは少し焦りを見せていた。 その時…… 「アール様!森からミッドガルの軍勢が現れました!」 「よし!俺達が出来るだけ多くの兵士を倒すんだ。そうすれば後の兄貴とフォルシス達が楽になる。龍族の力あいつらにたっぷりと見せてやるぞ!」 「おーっ!」 約5万の軍勢に立ち向かおうとする7百人にも満たない龍族の男達が力一杯雄叫びをあげる。 「さーて、久々の戦だ戦だ、お前もうずうずしてんだろ?ウイルド」 深紅の鎧に身を包み長い髪を後ろで束ねた男が横にいる男に言った。 「……必要なときだけ剣を抜けばいい……むやみな殺し合いは好きじゃないんだ。ジークお前は何か大切なことを忘れている、誰かが死ねば誰かが悲しむ……違うか?」 「そんなことはわかっている、けど今お前は戦わなきゃならない、そうしなきゃお前の妹が殺される……知らないわけじゃないだろ?」 ウイルドは知らず知らずの間に拳に力が入りその手には真っ赤な血がにじんでいた。 「今の王は狂ってる……けど、俺達が戦わなきゃきっとあの国の人々は殺される。そんなの嫌なんだ……自分が生まれ育った所、俺はそれを守りたい……守るためなら何でもするさ」 「敵襲!ウイルド様、ジーク様空からドラゴンの群がっ!数は……七百はいるかと思われます」 兵士の言葉に皆が反応し空を見上げそして言葉を失った。実際に現れるドラゴンの数は多くても十匹か十五匹くらいそれ以上を見た者は確実に生きて帰ることが出来ないからだ……ドラゴンは人間が束になってかかってもなかなか倒すことが出来ない。そのドラゴンが空の上を七百近くも飛んでいるのだから言葉をなくすのは無理ないだろう。ウイルド、ジークは眉一つ動かすことなく冷静に状況を判断し兵達の陣形を整えた。 「第一部隊は前戦に出て波状攻撃の陣だ!俺も前に出る。いくぞー!」 ウイルドが剣を掲げると第一部隊の兵達が一斉に鬨の声をあげる。 「さーて、俺らも仕事するか!俺らはまずこのうっとうしいドラゴンの野郎どもをかたづける、出来るだけ森に引き寄せて戦うんだ奴らの戦力を分散させろ。第一部隊には手を出させるな、いくぜ!」 ジークの部隊がドラゴン達と戦闘に入った。双方引けをとらない士気で静かな森も一瞬で雰囲気が変わった。 「俺達龍族の力みせてやるぜ!くらいな、疾風の力」 アールの前に立っていた数十名の兵士達の間を風が通り抜けその後ろにはいつの間にかアールの姿があった。アールが振り返るとさっきまで武器を構えたっていた兵士達が全て倒れていた 「俺に勝とうなんて百万年はえぇよ」 アールが毒づく。 少し離れた森の中ではジークもドラゴンを相手に戦っていた。ジークについていた兵士達は力尽き立っているのはジークだけだった。 「……俺の仲間達をよくもやってくれたな。高くつくぜ、代金はお前の命だ!」 ドラゴン兵はジークに向かって突っ込んでいく。 「爆炎を司る魔剣、フェレッシュブレードよ……俺に力を貸せ!」 魔剣が赤く燃える 「くらえ!火炎斬術壱の太刀、煉獄斬」 振り下ろした剣から灼熱の炎が巻き起こる、それに飲み込まれたドラゴンは跡形もなく燃え尽きた。 戦いは数十分程度だったが戦っている者達にはこれほど長い時間はなかっただろう。双方とも互いにぼろぼろの状態だったなのに戦っている。それはお互いそれなりに引けない理由があったからだ。兵士ももう六千人程度ドラゴン達ももう百数十匹しか残っていない。 その時だった。 「おい……お互いもうぼろぼろだ……ここは、俺とお前の一騎打ちで決めるってのはどうだ?」 兵士達が何を言ってるんだという顔でジークを見た。 「き、危険すぎます、ジーク様。我々の方が数は上一騎打ちなどとそのような危険なまねは!」 一人の兵士がジークを止めに入る。それに続き次々と兵士がジークに思いとどまるよう止めに入る。 「……いい、仲間達だな……」 アールが言った。 「だから守ってやりたいのさ……アールとか言ったな。どうだ、勝負を受けるか?」 ジークがアールに剣を向ける 「ああ、やってやるさ。俺も守りたいからな、仲間を……みんな城に帰ってろ。後は俺一人で十分だ」 「危険だ!こいつらは帝国だぞ、ウソに決まってる」 龍達がアールの言葉にもう反対をした。 「大丈夫、こいつはそんな卑怯なまねする奴じゃねえよ。だから、な」 その言葉を信じ龍達は城へと戻っていった。最後に一言『ちゃんと戻ってこい』と言い残して。 「じゃあ、俺も一人でいいや。お前らは先に森を抜けろ、これは隊長命令だ」 帝国の兵達も次々と森を後にする。やがて双方の兵達が深い森から姿を消し残っているのはアールとジークの二人だけだった。 「本気でやろうぜ。お前みたいに骨のある奴は久しぶりだからな」 アールが構えをとる。攻撃防御ともに完璧なほどの構え。 「……この構えを使うのは久々だからな、楽しませてくれよ」 「それはこっちのセリフだぜ」 ジークも腰のフェレッシュブレードを抜き構えをとった 小説トップへ 次の話へ |