第5話 アリアハン脱出、なるか


 盗賊のカギ、そして魔法の玉をゲットした勇者ほだか一行は、いよいよこのアリアハン大陸脱出のために「いざないの泉」へとやってきました。


ほだか(以下、ほだ)「この泉のどこに、旅の扉への道が封印されているんだろうか?」
ひでかず(以下、ひで)「魔法の玉、投げてみる?」
ともき(以下、とも)「……違うと思うな」

 前回の後半で、せっかくの名推理を「みんな知ってる」と一蹴された武闘家まさはるは、1人離れて熱心に泉の周りを調べていますよ……

まさはる(以下、まさ)「お、おいみんな、こっち見ろよ!下に降りる階段があるぜ!」

 積極的に話に参加しようという姿勢はとても良いですね。皆が階段を降りるとそこは明らかに人工の建築物の内部でした。ここがきっと、という雰囲気がぷんぷん漂ってきます。


とも「ずいぶんとまた年代物の建物だな……こりゃ築百年じゃきかないぜ」
ほだ「おっ、コウモリがいる!」
ひで「なんかじめじめしてるね。泉の地下だから仕方ないか……」
まさ「ふっふっふ、私の灰色の脳細胞が冴えてるぜ!ここだッ、ここが謎の核心だッ!」

 めいめい勝手なことを言いながら進んでいくと、学校の教室ほどのがらんとしたスペースにでくわしました。そして、そこにはなにやらブツブツと瞑想にふける老人がいます。


とも「あの、旅の扉にはどうやって行けばいいんですか?」

まさ「ははーん、その壁をブチ壊すのに魔法の玉が必要だっていうんですねご老人!……おおっと、返答はご無用!」

 どうせまた同じことしか言わないであろう、とまさはるは事前に察知しました。まぁ何回もやるギャグじゃないですしね。

とも「よし、あそこの壁だけが妙に真新しい。あそこだ、あそこに魔法の玉を!」
ほだ「頑張れよ、僕らはここで見てるから」
まさ「行け、アリアハンの誇り!」

ひで「……僕がやるの?」

 ほだかたちは、戦士ひでかずの後ろに隠れました。

ほだ「そのために、皮の盾があるんじゃないか!」
まさ「そうそう。俺なんか、防具はないも同然だしな。キッチリしたいい鎧、着てるじゃないか」
とも「俺は体力、ないから……」

 うらめしそうに仲間を見つめ、もう仕方ないなぁとため息をついた後、ひでかずは魔法の玉を壁にセットして、導火線に火をつけました。玉は赤と青の点滅を始めましたよ……

ほだ「おおう、カラータイマーみたいだ」
まさ「大爆発するぞ、みんな逃げろ!」


 しかし、ひでかずは足がすくんで逃げられません。そして巻き起こる大爆発……


ひで「うわわわっ!!痛てて、石が飛んでくる!」



 爆発が収まり、壁は木っ端微塵に吹き飛びました。ひでかずは……顔は煤で真っ黒ですが、大丈夫生きています。

ひで「ひどいよみんな、逃げるなんて……」
とも「悪い悪い」
ほだ「いいじゃないか、生きてたんだから。それに見ろ、道ができた!」
まさ「俺、一番乗り!」

 なんて薄情な奴らだ、と戦士ひでかずは心の中で思いました。壁の向こうにあった宝箱に、みんなは次の瞬間飛びついたからです。

まさ「なんだ、中身は地図か……」
とも「まぁいいじゃないか、これは世界地図らしいし」
ほだ「そんな昔の地図、当てにできるのかねぇ」

 ひでかずは一つため息をついて、まさはるが広げている地図を覗き込みました。

ひで「ずいぶん古いね」
ほだ「だろ?」
とも「でもまぁ、地形なんてそう簡単に変わるもんじゃないし、一応参考にはなるんじゃないかな」
ほだ「でもさ、東京湾の地形なんかここ数十年でもの凄く変わったんだぜ?」
まさ「???なんだ、トーキョーワンって」
ほだ「あ、なんでもない……」

 いきなり現実ベースのギャグはいけませんね。あくまで、みんなは元気で明るいアリアハンっ子、海外旅行なんかしたことないんですから。

とも「階段、か……これを降りたら、旅の扉があるんだろうか?」


 一行は、出来る限り真剣な顔をして階段を降りました。すると、階段の下は大回廊だったのです!初めての迷宮……ざっと広さはアリアハンの街ほどでしょうか、地面には地震によるものなのかあちこち地割れが走っています。
 水がしみ出し、壁面や天井に不気味な模様を描いています。滴がしたたる音が響きます。


ほだ「う〜ん……ちょっとおっかないねぇ」
まさ「俺は平気だぜ。ほらほら、走っちゃうよ〜ん……うぎゃ!」

 間抜けな叫びを残して、武闘家まさはるが突如皆の視界から消えました!

ひで「え、どうしたの、どこに行ったの?」
とも「き、消えた?そんな馬鹿な……」
まさ「助けてくれ〜い」
ほだ「何か聞こえたぞ」
まさ「助けてくれ〜い
とも「本当だ。まさはるの声?」
まさ「助けてくれ〜い」
ひで「あ、この地割れから聞こえる!ここに落っこちたんだ!」

 ……間抜けですね。
 とにかく、武闘家まさはるを地割れから引っぱり出し、迷宮をうろうろしていると下に降りる階段がありました。これが、旅の扉へと続く階段なんでしょうか?


とも「降りて、みようか」
ほだ「なんかハズレ臭いけど」

 階段を降りかけた一行は、その下で待ち受ける大量の巨大アリクイを目撃、そのままUターンしました。意気地がないんですね。

まさ「いや、これは戦略的撤退だ。この下が正解とも限らないし」


 言い訳はいいわけよ(シャレ)。そうこうしているうちに、さっきとはずいぶん離れた場所に降りる階段を見つけました。

ほだ「ここを降りたら、紫のウサギが大量発生してるとかそういうオチはないだろうね」
ひで「しかし、降りるしかないでしょ。他に道はないんだし」
とも「あっ、聖なるナイフ見っけた!さっそく使わせて貰うぜ」
まさ「あぁ、いーなぁ。俺には武器、ないんか?」
とも「男は拳で勝負するんだろ?こんぼう装備して攻撃力下がるのはお前ぐらいだけど」

 なんと奇跡的にも、これまで敵と遭遇は幾度もしたものの、ダメージらしいダメージは受けていないんですね、ナジミの塔に向かった時と一緒で。だから、大量に買い込んだ薬草と毒消し草は未だ出番がありません。喜んでいいのやら、悲しむべきなのか……

とも「さ、降りようぜ」



 一行はそろそろと階段を降りました。降りた先では、通路が三つに別れています。雰囲気から言って、このフロアに「旅の扉」があってもいいような気がするのですが……

ひで「どっちかな?」
ほだ「右、かな?いや、真ん中だろう」
まさ「俺は左だと見たね」
とも「真ん中だと思うけど」
ひで「……僕は左だと思う」
ほだ「おいおい、誰も右だとは思わないの?」
まさ「とにかく、どこかには違いないんだから、片っ端から当たるのがいいと思うぜ」

 では結果から言いますと、正解は右でした。ゲーム画面から言うと左なんですが、主人公たちの進行方向から考えると「右」になるんですね。まず左に向かった一行は、アルミラージなる紫のウサギに眠らされて死にかけました。ようやく敵を倒して体力を回復し、真ん中の通路へ向かうと、そこにはお化けアリクイという名前の灰色巨大アリクイの群れに出くわしてしまいました。
 このお化けアリクイは、敵の一体を集中攻撃するという習性を持っており、そのおかげで戦士のひでかずは残りHPが9ポイントというギリギリまで傷を受ける結果となりました。


まさ「誰だよ真ん中なんて言った奴は」
ほだ「左を主張した君に言って欲しくないね」

 ちょっと、ギスギスしてますね……

とも「これでまたハズレだったら泣くよ……」
ひで「さっきの、アリクイの部屋が正解だったりして」

 空気が一瞬固まりました。こういうことって、タイミングですよね。
 しばらく歩くと、通路は二回ほど折れ曲がり、そして視界が開けました。


ほだ「あ……あれが、旅の扉?」


 感激に浸るヒマもなく、襲い来るお化けアリクイ!ちょっとは場面を考えてくれよ、と思いますがモンスターは勇者を襲ってナンボの存在ですからねぇ。文句を言いつつも、勇者ほだか一行は慣れた手つきでアリクイを退治しました。



まさ「……ったく、こんな時に出てくるなっつーの!」
ほだ「じゃ、やり直しやり直し。……あ、あれが旅の扉?」
とも「そのようだね……もの凄い魔力が渦巻いている……」
ひで「それより、僕はこのガイコツの置物が気になるなぁ」
まさ「……で、どうするんだい?」
ほだ「無論、この渦に飛び込むんだろうな……さて、帰ろうか?」
とも「は?」
ほだ「いや、もう観光も済んだだろうから」
ひで「いいもの見たねぇ。末代までの語りぐさになるよ」
まさ「んだんだ、オラもうびっくらこいただよ。早ぐ帰って婆さまに聞がせてやんべ」

 せっかくここまできて怖じ気づいたのか〜?


とも「じゃあ、俺が最初に行こう」

 しびれを切らした魔法使いともきが一歩、足を踏み出しました。その姿は、みるみるうちに薄れ揺らいでて、そしてついには消えてしまいました……


ほだ「……行くしかないな」
まさ「そのようだ」
ひで「仕方ないよね。このために来たんだし、今さら帰る余力も残ってないし」
ほだ「ちょっと待てよ?この向こう側も、同じようなダンヂョンだったらどうするんだ?」

 イヤーンな予想が彼らの頭の中をよぎります。でも……

ほだ「ともきはもう行っちまったし、どっちにしろ無事には戻れないからな」

 3人は次々に旅の扉に吸い込まれていきました。視界が次第に揺らぎ、薄れ、そして……








 さて、いよいよ勇者たちはアリアハンの国を離れて、新たなる世界へと向かいました……って、もう判りきってることなんですけどね。しらけずにお付き合いくださいませませ。さてさて、これからどうなりますやら。


 では、次のお話でお会いしましょう。
 世界がこのまま平和でありますように……









次回予告


 新大陸に到達した勇者たち。そこには重税を強いる王と貧困にあえぐ民衆の姿があった。しかし、民衆に不自然な姿を見た勇者は、その圧政が魔王の侵略から国を守るための芝居だと見破った。だが、その真実を知った使い魔が今、魔王の元へ飛び立とうとしていた……


??「ケケケ、聞いたぞ聞いたぞ、全て聞いたぞ!大魔王様にお知らせだァ!」
ひで「あっ、お前はベビーサタン!しまった、全部聞かれたか!?」


まさ「やめろ、この人が何をしたっていうんだ?」
??「よそ者は口出ししないで貰おう。税を納められないものは、こうやって見せしめに鞭打たれるのが我がロマリア国の掟!」
とも「掟だかなんだか知らないが、そんな理不尽は黙って見過ごせないぜ!」


??「是非、この国に残っては頂けませんか、ほだかさま……」
ほだ「エリス姫、お申し出は有り難いのですが……私にはバラモス征伐という目的があるのです。それを果たさぬうちは……」


 人と人とは離れていても、判り合えると信じる……その信頼こそが愛であり、それ故に魔王は人を憎み滅ぼそうとするのか。希望の灯を心に抱き、勇者たちは地平を駈ける。

 次回、ドラゴンクエストIII「王国の危機」、ご期待ください!
 (内容及びサブタイトルは変更になる場合があります。ご了承ください)







第6話へ

「DQ3-Replay」トップに戻る