PSO小説・・・洞窟


転移装置を抜けたスイセイ、モエラ、アイシャ、モヨポンの4人は洞窟に漂う空気の生臭さ…血の匂いに警戒を強めた。
遠くから、戦闘の音が響いてくる。
4人で転移装置の部屋から出る…誰からともなく安堵のためいきが漏れた。洞窟の地面に広がる血のじゅうたんが、明らかにモンスタ−のそれだったからである。
再び戦闘の音が響く…今度の音はそれほど離れてないようだ。
「いくぞ!」
スイセイとモエラが同時に声をあげる。
アイシャとモヨポンはお互いにうなずき、4人は洞窟の奥へと向かっていった。



中央に溶岩が流れる洞窟の部屋の壁際に、二人のハニュエ−ルの少女が追い詰められていた。
双子らしく、どちらも同じような背格好で青いハンタ−ウェアを身にまとっている。

「…こんどこそダメかもしれないでしねぇ」

淡い藤色の髪の少女がつぶやく。

「そういう事は、精一杯がんばった人がいうものなのだ…うちはまだまだがんばれるのだ♪」

茶髪の少女が脳天気に言い放つ。
藤色の髪の少女が、金色のダブルセイバ−を振るいながら、言い返す。

「けど、実際に戦ってるのはわたしばっかりでしよ…あ、無敵でし♪」

「うむす!嫁げKEY〜!(突撃〜)」

茶髪の少女のラバ−タを合図に、藤色の髪の少女がバルマ−の包囲網を蹴散らしていく。

「わたしを盾にしていいから、サイレンちゃんも戦うでし♪」

「キーちゃんのたっての頼みだらかな…しょうがないから、戦ってやるのだ♪」

サイレンと呼ばれた少女は、金色に輝く巨大なハリセンを振るって、キ−と呼んだ少女の背中を守りつつ包囲を抜けていく。
 双子だけあって大した連係を見せる。ダブルセイバ−の隙を埋めるようにハリセンを振るい、ハリセンの大振りを庇うようにダブルセイバ−をヒットさせる。

「今日のセラフィムツインは絶好調でし♪」

「うちのおかげなのだ♪」

「なんででし?」

「とっとと包囲をぬけるのだ♪」

そんな軽口をたたきながらも、包囲を抜けるまではあと少し…見かけによらず、二人ともたいした実力である。キーの無敵モ−ドが切れた頃、バルマ−の包囲を突破した。が、部屋の出口に、新たに怪物が出現した。メルクィ−クとオブリリ−が十数体…。

「悪い知らせなのだ」

「なんでし?」

「TPがもうないのだ。てへっ♪」

「わたしもないでしよ?」

「…じゃ、PBチェ−ンをつかうのだ」

「OKでし♪…いちかばちかでしけど…」

PB…フォトンブラスト。マグに秘められた能力のひとつで、マグに貯えられたフォトンエネルギーを一気に放出させ、様々な事象をおこす攻撃手段である。

「とびっきりの一撃をお見舞いしてあげる!!」

サイレンが、バイラと名付けられたPBを使う。周囲に群がる怪物に、光の光弾が降り注ぐ!
間髪入れずにキーが続く。

「いるかさ〜ん♪でし♪」

いるかに似たPB、エストラが、二人の前方に位置する怪物たちに突進する!
PBは連鎖(チェ−ン)させることによって、その威力が倍加されていく…二人はそこに賭けたのである。
しかし、二人の周囲を取り囲む怪物たちには、大ダメージを与えたに過ぎなかった。    キ−が回復用に温存しておいたTPで、最後のラゾンデを放ったのは、オブリリ−が即死の霧を吐いてきたのと同時だった。

「信者牛〜(死んじゃうし〜)」

即死の霧を間一髪かわせなかったサイレンが倒れる。周囲のオブリリ−は撃退できたのだが…。

「…最悪でし…」

扉は開いている。とにかく、扉の向こうまで…キ−は半ば焦りつつセラフィムツインを振るって進む。
確実に前には進んでいた…が、それより早くキ−に死神が舞い降りた…それだけのことだった。
部屋の出口の扉が開いた…キーが歩を早めて扉をくぐろうとしたとき、背後から強烈な一撃が襲った。その一撃で…キ−を今まで支えてきた体力、精神力が底をついてしまったのだ。
倒れる寸前に気が付いた扉の向こうの人の気配…

『がんばりぬけば、報われる、でしか…ちょっとだけ足りなかったでしね…』

自嘲気味に笑みを浮かべて、キ−は迫りくる闇に身を委ねた。


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