PSO小説・・・森


潰された鎧、折れた武器の残骸、成長途中で破壊されたマグたち…。たどりついたチェックルームは、他の建物よりもひどいありさまだった。

「…ご丁寧に(苦笑)」

思わず皮肉がもれる。

それでも、一通りチェックル−ムの瓦礫をあさってみる。奇跡的に残っていたのは、半壊した赤のハンドガンが二丁と、まだ若いマドゥ。

「造りが粗いのが幸いしたな…これなら組んで使える ニッ(^^」

背後から近づいてくる足音に、とっさに身構える。向こうもこちらに気付いたらしく、物陰に隠れたらしい。
お互いに様子を伺うこと数分、相手の対アンドロイド用ライフルを確認し、迂括に動けなかったモエラの懐のギルドカードにメールが入ってきた。

[瓦靂の山に隠れてる青いヒューマーは、モエラさんですか?]

差出人はタック、モエラの少し後輩のレイキャストだ。

[OK!合流して事情をきかせてくれ]

返信して間もなく、タックが姿を現した。再会を喜び合うのもそこそこに、お互いの今までの経緯を交換する。

「…つまり、森で隠密射撃練習をしていたら、街のほうからリコ率いるハンタ−ズが来て、見たこともないゲ−トを開いてモンスタ−共々入っていったと、そういうことだな?」


「は、はい。それと…その…」

「何だ?何でもいいから話してみ。今はとにかく情報がほしい」

「実はですね…リコと一緒にいたハンタ−ズの中に、知りあいもいて…グルグスにまたがってたモアちゃんとか…」

「!!!」

「あと、サイレンさんとかキ−さんも…」

「…勝てないかも…」

現在の戦力差は圧倒的に不利だ…キ−さんがいたのならサトさんも一緒だろう…
モア、サトといった高レベルフォースの存在は、非常に脅威だ…逆に言えば、彼女たちを正気に戻せば、形勢が一気に逆転する可能性すらあるのだが…。
深刻なモエラの表情をよそに、タックが続ける。

「あ、それから、わたしが街の異変に気付いて戻ろうとしたときに、赤いヒュ−キャストとすれちがいました…結構な重装備でしたが…」

「それがスイセイだろう…彼はどうした?」

「さあ…リコたちの通ったゲートは閉じてますから…森の奥しかないでしょう」

「よし、まずはスイセイさんと合流しよう…?どうした?」

動こうとしないタックに声をかける。

「わたしたちは…どうなるんでしょうか…この街にはわたしたちしか残ってないんでしょうか…」

「…わからない…ただ、ラグオルに着いている街は他にもあるし、他にも無事な仲間もいるはずだ。今はとにかくできることをやろう」


…タタタン、タタタン…


「!!!」

「う?!」

銃声…森のほうからだ。
二人が顔を見合わせる。

「行こう!!」

「OK!」

互いにうなずくと、森の方角へと走りだした。




「くっ…ここで膝をつくわけにはいかないんだが…」

5匹のヒルデルトを相手にしながら、ちらりと上空を旋回しているドラゴンに目をやる。さすがのスイセイも今の現状には、絶望を感じてしまう。

「…賭けてみるか…」

う呟くと、赤いヒューキャストはヒルデルトに向かって突進する。

「フリ−ズ設置、戦闘開始!」

最後のフリーズトラップが、周囲のヒルデルト全てを捕らえた。

『いけるっ!』

そう思った矢先、新たにモンスターが出現した。スイセイを取り囲むように現れたのは…

「オブリリ−!?」

通常なら森には生息しない、即死の霧を吐くやっかいな花である。

「…これまでか…」

凍らせているとはいえ、ヒルデルトはあと2匹、さらにオブリリー4匹に囲まれている状況…絶体絶命である
突然、オブリリーの2匹の動きが鈍った。続いて、他のもう1匹に銃撃がそそがれる。
残った1匹のメギドを間一髪かわして、スイセイが肉迫する。

「そこかっ!」

駆けつけたモエラがノダチを振るう。
包囲のほぼ中央まで走りこんだタックが、フリーズトラップを発動させる。
完全に形勢は逆転した。ラグオル探索組の中でも上位に位置する者が3人も集まれば、この程度の包囲はわけなく突破できる。

上空を旋回していたドラゴンは、厄介なエモノが増えたからか、いななきを一つ残して飛び去っていった…セントラルド−ム方向へ。


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