第23話
その正体




朝日が眩しく目に染みる。
その窪んだ荒野には、先日の巨大マホロバが悠然と存在していた。
朝日の光を浴びて、存分に輝いている。
「さ、準備は良いか?奈っちゃん。」
太一が、自分の後ろを歩く奈津に話し掛ける。
「うん、私は大丈夫。」
奈津も、笑顔でそれに答える。
「ところでエリクスン。どうやって、その腹の目とやらをこっちに向けさせるんだ?」
椎名が、エリックにそう尋ねる。
「それなんですが・・・。やはり、先日と同じ方法を使うしかないかと・・・。」
「熱線を撃たせるって事?・・・って、それは奈っちゃんが危ないんじゃ・・・。」
琴奈がそう指摘すると、エリックは。
「奈津にはここで待機してもらいます。その間、皆様には、熱線の発射方向を反らしてもらいましょう。」
「・・・・。それって・・?」
琴奈がエリックに恐る恐るそう聞き返す。
「えっと・・・・まぁ・・、とにかく、走り回ってください。」
隊員達は、一瞬にして沈黙した。
それからエリックが装備を置いてある場所に行き、耐熱スーツとゴーグルを2組持ってきた。
「かく乱するには、それなりの速さも必要です。あなた達がこの役目にあたった方が良いでしょう。」
そう言ってエリックは、琴奈と橘の前に装備を放り投げた。
「はぁ・・うそぉ・・。」
「ホンマかぃ・・」
2人は渋々と装備を着用し始める。
「ねぇ!!この耐熱スーツ大きい!!!」
「なぁ、エリック!この耐熱スーツ小さすぎへん?」
2人が一斉にそう叫ぶと、エリックは。
「・・・・あなた達、逆・・・。」
そう言うと2人は何も無かったかのように、再び耐熱スーツを交換し始める。
「なあ、エリクスン。本当にこいつらで大丈夫か?」
椎名がそう尋ねるが、エリックは苦笑するしかなかった。



浅原琴奈、橘祐宇、そして、天城奈津の準備が整った。
琴奈と橘は崖の先端にしゃがみこみ、奈津はその後ろで狙撃銃を構えている。
「じゃ、いくよ?」
「走るで、浅原ぁ!」
そう声を掛け合うと、2人は一斉に巨大マホロバのいる場所へ向かって、崖を下っていく。
「わぁぁぁぁぁ、怖いーーー!」
思ったより崖が急だったのか、琴奈はマホロバに近付く前にとりあえず驚いている。
しばらく下ると、マホロバもこちらが接近してくるのに気付いたらしい。
方向転換して、少しずつこちらを向こうとしているのが解る。
「浅原、ダッシュや!」
「了解っ!!」
2人は掛け声と共に左右に散り、マホロバの周囲を回るように走り始めた。
「お・・・おい!回っててもダメだ!そいつをこっち方向に起き上がらせるのが目的なんだからな!」
下で繰り広げられる光景に、たまらず太一が大声で合図する。
が、合図したのも少し遅かったようだ。
マホロバは、熱線の力を補充するために起き上がった・・・。狙撃銃を構える奈津とは反対の方向に。
「さぁ、奈っちゃん!撃つんや!」
橘が自信満々にそう言い放つ。
「え・・、え・・・?」
マホロバの背中の巨大な甲羅しか見えていない奈津は、混乱するしかない。
「祐宇さーん!こっちに来なきゃ!!」
「お、そやな!」
馬鹿らしい会話を続ける琴奈と橘に向かって、マホロバは熱線の力を溜めつづけている。
そして、2人に向けて激しい熱線を撃ち放った。
「うわ!!」「うぉ!」
2人は瞬時に左右に飛び退き、なんとかそれを避ける。
「2人共!早くこっちに!」
エリックがそう声を賭けると同時に、2人はこちらの方向へ走る。
マホロバは、再び2人に狙いをつけ、熱線を撃つ準備を始めていた・・・。



2人は、とりあえず熱線が撃てるようになるまで、待機をしている。
どうやら、熱線を撃たない限り、向こうから攻撃を仕掛けはしないらしい。
「見た感じ、もうそろそろ熱線を撃ちますよ!2人共、避ける準備を。奈津も、きちんと狙いをつけて!」
「おっけー!」「あいよ!」「うん・・。」
3人は同時に返事をする。
その直後。マホロバは、熱を発しながら、その体を起こそうとしていた。
「・・・・奈津!!!」
マホロバは、その全身を、こちらへ向けて起こし終えた。
そこには、本当に目のような物を、確認する事が出来た。
「奈っちゃん!撃て!」
太一がそう叫ぶと、奈津は小さく肯いて、狙いを定め、引き金を・・・、引いた。
奈津の狙撃銃から撃ちだされた「ニードル」は、マホロバの「目」へと、一直線に飛んでいった。
弾丸はマホロバの「目」を貫き、マホロバは熱を溜めるのを中断させ、その場に倒れ込んだ。
「当たった!?」

「・・・やった・・!?」
太一がそう言った。
「おぉ、やったで!!」
橘が、一足先に、そのマホロバへと近付く。
無防備に倒れている今のマホロバなら、容易にその「目」を確認する事が出来る。
「凄い、ド真ん中撃ち抜いてるよ・・。」
後から追いつき、その「目」に残った弾痕を見た琴奈は、そう言う。
と、その時、椎名が。
「・・・!!離れろ!」
その叫び声が聞こえるのとほぼ同時に・・。「目」の弾痕から銃弾が勢いよく飛び出してきた。
「な・・・・なんやて!?」
銃弾は橘の左眼をかすると、そのまま上空へと飛び去って行く。
その姿を見ていた、崖上の隊員達は、すぐに崖下へと飛び出す。
銃弾をはじき出したマホロバの巨大な甲羅にはヒビが入り、今にも割れそうであった。
「祐宇さんっ!」
琴奈が、傷ついた橘に駆け寄る。
「浅原・・!武器を取れ!」
その言葉にハッとした琴奈は、自らの背中に装備していた『双薙刀』を、両手に構え、マホロバに向ける。
振り向いたその時!マホロバが身に纏っていたその固い甲羅は、粉々に砕け散った!
その砕けた甲羅の破片は、周囲に飛び散り、琴奈の全身に無数に降り注いだ。
「浅原!!!!」
椎名が崖下に到着し、琴奈へと駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「ん、大丈夫、かすり傷だから。」
そう言って琴奈は、ゆっくりと起き上がった。
「みんな!何か居るぞ!気をつけるんだ!」
太一が、砕けた甲羅の破片の山を指差してそう叫んだ。
破片の山から、ガラガラと音を立てて這い出てきたそれは、人間と同じくらいの大きさであった。
が、その容姿を見るだけでも、マホロバと一目でわかる。
前へかがんだような体勢の「それ」は、こちらをじっと見つめている。すると突然!
「それ」が大きく口を開けたかと思うと、先ほどのマホロバと同じような熱線を撃ち放った!
太一はそれを間一髪横に交わしたのだが、すぐに追い討ちをくらう。
「それ」は太一が避けた方向に向かって、的確に熱線を撃ち放っていたのだった・・。
「つぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
耐熱スーツを着ていない太一にとっては、まさに地獄であった。
熱さに苦しみ、転がり回る太一に、奈津が急いで駆けより、ハンドボトルから水をぶちまける。
冷水は太一の体を冷やし、熱を取り去った。
「散れ!!!!!!」
叫んだのは椎名であった。
そこに立つマホロバは敵だと判断したのか、武器はマホロバに向けている。
「浅原、走れ!」
椎名が、琴奈に向かって手を差し伸べる。
が、琴奈はそれを振り払い、一人で走り出した。
「私の心配はいらないよ!とにかくあのマホロバの『捕殺』に集中して!」
隊員達は、マホロバを取り囲む。
そして、椎名はマホロバに向かって『熱線』を撃ち放つ。
その銃声は、神の獣との、連戦の開始の合図となった・・。



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