終章
「珍しいじゃん。みー君が食事に誘ってくれるなんてさぁ。」
「良いだろ別に。」
琴奈と椎名は都のファーストフード店に足を運んでいた。
「ひょっとして惚れたかー!?」
琴奈がそう言うと椎名が思わず食べている物を吹き出しそうになる。
「な・・・何を言っている!誰が琴奈なんかに・・・。」
「・・・・。」
琴奈が一時沈黙する。
「・・・・なんだよ。」
「ねぇねぇ、いつ私の事『琴奈』って呼ぶようになったか知ってる?」
「え?」
椎名は、いつの間にか琴奈の事を名字ではなく名前で呼ぶようになっていた。
「忘れたよ、そんな事・・。」
「えっとね、中央塔で、私をかばってくれた時。その時初めて『琴奈』って呼んだんだよ」
「・・・・お前、何でそんな事覚えてるんだよ・・。」
「嬉しかったから!」
琴奈がはっきりそう言うと、椎名が恥かしそうに顔を伏せる。
「そ・・・そろそろだ」
「え?何がぁ?」
椎名が腕時計に視線を移し、そう言うと琴奈はそれに疑問で返した。
「ほら、外を見てみろよ。」
椎名に連れられて、外に視線を移す琴奈。
時間は大体夕方6時ごろ。
闇に染まったその空の所々に、明るい光が瞬いている。
「うわぁ・・・っ!何これー!綺麗!」
「『冬蛍』。『良いマホロバ』の最初の一匹らしいな。」
「え、これマホロバなの!?」
「華秦も言っていただろう?『マホロバを作り変えただけ』だって。」
「これが・・・マホロバの本当の姿なのかなぁ・・」
琴奈はしばしその淡い光に目を奪われる。
マホロバ・・・。
その言葉の意味は『素晴らしい』。
この大地に、正に本当の意味でのマホロバが息づいて来た。
人間が居て、マホロバが居る世界。
マホロバが居て人間が居る世界。
それこそが、私達が望んでいる世界。
琴奈が望む物は椎名と共に歩む明日。
明日の先にある未来。
私達は、この世界に生きている。

〜MONSTER GIRL〜 ・完・