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秘密



今日、彼と会ったとき、目があった。
目があう、なんて別に大したことではないのだけれど、この二人、の場合そうでもない。
二人、目があって、にっこりと微笑んで。
そしてその後、小さく頷く。
それが、二人の合図。
それはとても小さな合図で、周囲の者は誰も気付いてはいない。
いや、そういうことに敏感な、橘 友雅くらいは気付いているかもしれない。
でも聡明な彼は、気付いても、きっと何も言わない。
自分の中で一人納得して、二人の成行きを愉しむくらいだろう。


今日は久しぶりに八葉が全員出揃った。
別に誰かが集まれ、と言ったわけではない。
なんとなく、藤姫と龍神の神子・・・あかね、の居る土御門邸に集まり、最近の怨霊の様子や、鬼のことや、自分自身のことを語り合って行った。
怨霊の封印も順調で、皆、心が落ち着いているのだろう。
誰もが穏やかな表情で、全員の信頼の深さを確認したのだった。


そんな中で、心を寄せ合った二人。
龍神の神子である、あかねと、八葉の一人である、藤原鷹通。


最近、二人は想いを確認し合い、時々二人で逢瀬を重ねているなんて、誰が知るだろう。
二人のことは、二人だけが知る「秘密」であった。


そんな二人の合図。
目と目があったとき、微笑んで頷く。
(今夜、伺います)という鷹通の合図。
(はい)というあかねの合図。
あかねはその瞬間が、とても好きだった。
ドキドキして、今夜のことを思うと、もう居ても立ってもいられないほどの高揚感。
それは、彼、鷹通も同じであった。
夕刻、「それでは、また。」と言いながら皆と一緒に一旦は帰宅し、夜を待つ。



そして、思ったより夜は、早くやってきた。
草木も眠る、深夜。
こうこうと光る、黄みを帯びた月の光を背にして、彼、はそっとあかねの部屋の前に立った。
「神子殿・・・・。」
「あっ、はい。お入り下さい。」


小さく会話を交わし、鷹通は神子の部屋の御簾を上げて入ってきた。
「今日も、いい夜ですね。」
鷹通は穏やかな表情で、あかねの顔を見据えた。
「そうですね。月の光が綺麗・・・・」
そう言いながら、床に腰を下ろす二人。
いくら逢瀬、といえども、いきなり『始め』ないのが、初々しい二人らしい。
「今日の合図、すぐ分かりましたか。」
鷹通が問う。
「はい。分かりましたよ。・・・・でも、」
「でも?」
「私たちがこんなことしてるなんて、みんな知らないんでしょうね。」
「それは・・・・・。知られたら、困ります。」
「ふふっ。そうですね。」
「そうですよ。こんなこと、なんて・・・・・・・」
鷹通はそう言うと、あかねの手を取り甲に口付けた。
そして、ゆるゆるとあかねの体を自分の方に引き寄せる。
あかねは抵抗することもなく、すっぽりと鷹通の胸に納まった。
「鷹、通さ・・・・ん。」
あかねの心臓は、爆発寸前である。
ドキドキと、鼓動が早くなる。
これから自分の身に起きること、を想像してしまう自分。
その想像は、案外外れてもいない。
それが分かっているからこそ、体が、熱くなる。


鷹通は、普段の姿からも想像できないほど、意外に積極的で強引。
若さゆえもあるけれど、あかねは誰も知らない、本当の彼の姿がとても愛おしかった。
「神子殿・・・・」
鷹通は、あかねの頬に手をあてると、ぐい、と自分の方に近づけた。
はじめは、やさしいキス。
お互いの息が頬にあたり、鷹通の唇はしなやかな動きを見せ始める。
抵抗するわけでもなく、ゆるやかに開かれる、あかねの唇。
桜色をした、小さめのあかねの唇は、鷹通の欲情を無意識に誘う。
自分の舌を割り込ませ、あかねの舌を見つけては、苦しいほどに吸い上げる。
「ん・・・・っく・・」
あかねは息苦しさから解放されようとするが、それを鷹通は許さない。
再び唇を重ねては、あかねの口腔を掻き回す。
舌の奥の方から沸きあがってくる唾液を、鷹通はあかねに流し込む。
あかねがそれを、ごくん、と飲み込んだのを確認して、鷹通はやっとあかねを解放した。
「鷹通さん、なんかちょっと強引、だよ。」
息を吐きながら、あかねが言う。
それでも天の白虎は怯まない。
「仕方ないじゃありませんか。あなたは、こんなにも可愛らしい・・・・」
そう言うが早いか、鷹通はあかねの背に手を回し、水干を脱がしにかかる。
「や・・っ・・・」
あかねは一応抵抗の姿勢を見せるが、嫌、なんていう本心はなく、鷹通の首に両腕を巻きつけ、されるがままになっている。
鷹通は、いつのまにか自分の着物を脱ぎ捨て、単衣だけになっていた。
けれども、眼鏡と、髪飾りは外さない。
いや、自分では外さない、といった方が正しいかもしれない。
眼鏡を外す行為。
その行為は、あかねのお気に入りであった。
いつしか着物をすべて脱がされ、露わになった体を隠しもせず、あかねは鷹通の眼鏡に手を伸ばす。
眼鏡を静かに外すと、あかねはじっと彼の顔を眺めた。
「鷹通さんて、いつ見ても綺麗・・・・・」
「あなたほどではありませんよ。」
鷹通はそう言うと、あかねの乳房を両手でふっくらと包んだ。
それと同時に、あかねも鷹通の髪飾りを外す。
ぱらぱらと、流れ落ちてくる鷹通の髪。
それが自分の肩や背にかかり、ざわざわとあかねの体を震わせた。
乳房をやさしく包んでいた手は、次第に激しく揉みしだく行為に移っている。
丁度、向かい合わせで座っている格好なので、真正面から鷹通に見つめられ、あかねはどうにかなりそうだった。
「鷹、通さ・・・ん・・・。あんまり、見ないで。」
「何をおっしゃいます。あなたのこの、表情を見るのが・・・・・・」
(好きなんです)
その言葉は、鷹通が胸の頂きに唇を寄せた所為で、はかなく消えた。
「あ、っ・・・」
あかねの固くなった蕾に、舌を這わせる。
ここを刺激すると、あかねは無意識に腰を動かすことを鷹通は知っていた。


舌の動きに合わせ、あかねの腰がくねくねと舞う。
蕾に軽く歯を当てると、その動きはさらに大きくなった。
「あ・・んっ・・鷹、通さ、ん・・・・・」
「神子殿・・・・・。もっと乱れて下さい。」
鷹通は、そう言うと、胸の蕾を唇と舌で刺激しながら、あかねの秘所へと右手指を割り込ませた。
そこは、もうとろとろと熱い密が零れていた。
その密が、もうぐっしょりと寝具を濡らしている。
「もう、こんなになってますよ。」
鷹通は、わざとぐちゅぐちゅと音をたてて掻き回す。
あまりの刺激・・・・快感に、あかねは少し大きめの声を上げた。
「あ、ああっ・・・!や、あ・・・・・っ!」
「あなたが、いけないのです。こんなに、可愛らしいから・・・」
鷹通は乳房の頂きを解放すると、唇をあかねの秘所・・・・花芽に近づけた。
その部分はすでに大きく膨らみ、つん、とピンクの芽を尖らせ、鷹通の唇を誘っていた。
そして唇を寄せ、ちゅうう、っと吸い上げる。
「あっ、やっ・・!ああんっ・・・!」
あかねの体がびくん、と跳ねる。
どうしようもない快感。
打ち寄せる波に、あかねはどうにかなりそうだった。
それでも鷹通はその行為を果てしなく続けた。
上唇と、下唇とで花芽を軽く挟み、舌を使ってちろちろと舐め上げる。
時にはやさしく、時には激しく吸い上げる。
「あっ・・・あんっ・・・はう、う・・っ・・・」
あかねは腰をくねらせながら、下腹部に蹲っている鷹通の頭を抱きしめる。
もう、どうしようもない。
溶けて、なくなりそうな自分。
あかねはもう限界に達しようとしていた。
「鷹通さんっ・・・・あたし、もうダメ・・・」
あかねの苦しみながらの声がけに、鷹通はゆっくりと顔を上げた。
鷹通の唇から、あかねの密がつうう、と糸を引く。
「だめですよ、神子殿。まだこれからです。達しては・・・なりませんよ。」
「えっ・・・?」
鷹通は仰向けになった状態のあかねの両足を、ゆっくりと開いた。
あかねの秘所の花びらは、もう完全に開ききっていて、とろとろと、熱い塊の侵入を待ちかねているか、のようであった。
「挿れ、ますよ。」
鷹通は一言そういうと、その熱く膨れあがった己れ自身を、あかねの秘所に滑り込ませていった。
それは、案外きつくもなく、ゆるやかに鷹通を招きいれた。
「あ、ああっ・・・・・!」
何回か繰り返してきた行為とはいえ、あかねにとっては慣れるまで、少しの時間が必要だった。
「神子、殿・・・の中は、なんて・・・・・」
鷹通はことばを発しようと思ったが、あまりの快感に声が震え、それ以上話せなくなってしまった。
あかねの肉壁のひだの、ひとつひとつが、きゅうう、っと鷹通自身を締めつける。
はじめゆるやかに招き入れてくれた筈のあかねの秘所は、そこからの動きを妨げた。
それでも、静かに、ゆっくりと鷹通はその出し入れを繰り返し始める。
「んっ・・・・は、っ・・・た、鷹通、さ・・・んっ・・」
「神子殿・・・・・。」
あかねの両腕は鷹通の背中に回り、きつく、抱きしめる。
そして、知らず知らずのうちに、その背中に爪をたてた。
鷹通の体は、決して筋骨隆々の逞しい体とはいえないが、骨太の、意外とがっしりとした造りで、あかねは鷹通の体を触れることに酔っていた。
そうしているうちに、鷹通の腰は、動きを増す。
月光が差し込む、薄明かりの部屋の中は、二人の秘所が擦れ合う音が響いていた。
ぐちゅ、ぐちゅ、とした卑猥な音が、二人の耳に届き、益々体を熱く火照らせる。
「ああ、もう・・・・・たまらない・・・。神子殿・・・。」
「あんっ・・・・ああっ、あたし、もうダメです・・・っ・・・・!」
二人はもう限界に達しようとしていた。
「神子殿、出し、ていいですか?・・・あなたの、中に。」
「は、い・・・・。きて、下さい・・っ。」
腰の動きを激しくする鷹通。
それに合わせて、あかねの啼き声が虚ろに響く。


「ああ・・っ・・・鷹、通さ・・・・・!!」
「・・・っ、く・・っ・・・!」
そして。
二人はお互いの中に、全てを放出した。
いや、ただ放出、したのではない。
放出しながらも、お互いを、お互いの全てを与え合ったのだった。



そして少しの時間が過ぎ、あかねは鷹通の胸に抱き寄せられていた。
まだ、はあはあ、と少し息が残っている。
あかねの耳には、規則正しく、そして素早くリズムを刻む、鷹通の心臓の音が響いていた。
その鷹通は、というと、あかねを抱きしめながら真っ直ぐに宙を見つめていた。
「鷹通さん?・・・何を考えてるんですか?」
無言の状態の鷹通を、怪訝そうにあかねが問う。
「ああ、・・・・そうですね。あんな状態の、あんなに乱れるあなたを、誰も知らないのだなあ、となんとなく考えてました。」
「えっ・・・?そんな、困ります・・。」
あかねは急に恥ずかしくなって、鷹通の胸に頬を押しあてた。
鷹通は、あかねの髪を撫でながら、ことばを続けた。
「私も、困ります・・・というか、絶対にあなたのあの姿を、誰にも見せたくありません。」
「鷹通さん・・・・。」
「そう、誰にも。」
(あなたは、渡しません・・・・・)
鷹通は心の中でそう呟くと、あかねを抱く腕にそっと力を込めた。


部屋に差し込む月光は、二人の秘密を包むかのように、やさしく照らし続けていた。


FIN


NORIKOさまの素敵サイト  『AfterSchool』




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