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クララ川流域−最近、ごく川岸にあることが判明したフォラン宅の前庭に、一つの舞台が設えられていた。
”舞台”とは言っても急造で、余った木箱の上に何本か板を渡しただけの簡単なもの。
仕切用の幕などあるはずもなく、照明は天然光を採用。おまけに観客席は主人が手入れを怠っているために、伸び放題の雑草の上に腰掛けねばならない始末だ。
それでも、何人かは客と思われる人々が集まっている。相当ヒマなのだろう(笑)
私は相棒の緊張をほぐすために軽く背中を撫でてやった。こっちも十分に緊張しているが、今回ばかりは私が彼をリードする必要がある…さてさて、どうなる事やら。
胸に真紅のリボンを付けたワールと、同じく真紅のローブ(彼の流派では正装らしい)を身に付け、手に特大ハリセンを持ったフォランがそれぞれ左右の舞台端から勢い良く登場。
一応、バックからは出囃子らしい軽快な音楽が流れている。楽士でも雇ったのだろうか。
フ「(軽く手拍子しながら)どうも、こんにちは〜!こんな、味も素っ気もない場所によくぞおいで下さいました〜!私が本日の司会進行&ツッコミ役を担当させていただきます、フォランです♪どうぞお見知り置きをっ!」
ワ「(不機嫌そうに舞台端で寝そべりながら)…ワールだ」
フ「…いきなりだね。せめて最初の挨拶ぐらい愛想良くすればいいのに」
ワ「わたしのキャラじゃないからな…(と言いつつそっぽを向く)」
フ「(ムッとしつつも)…まあいい、さっさと始めよう」
ワ「そうだ、司会進行を名乗った以上さっさと仕切ってくれ。わたしもヒマじゃないのでな」
フ「…なんか、今日、性格変わってない?」
ワ「相棒こそ何だ?その格好は?…フンッ…まあ服装は論外として、手持ちの武器に関しては説明を乞いたいのだが…」
フ「(論外…)…これかい?これについてはあ〜だこ〜だ説明するより、実際使った方が君も身にしみて理解できると思うよ?」
ワ「(半ばふんぞり返って)ほう、ではやってもらおうか…」
フ「…(ぐぐぐ…)…い、いや、そうやって構えられても困るんだけど…」
ワ「…どうせ、かすりもしないだろうがな(ボソッ)」
フ「(ムカッ)…何でやね
カプッ♪
フ「…(大量失血中)…わ、ワール君???」
ワ「(寝そべって毛繕いしながら)空しいものだ…またやってしまったか…」
【しばらくお待ち下さい】←立て札
フ「(包帯を押さえながら)…あからさまに殺意があったよね…」
ワ「いや、あの程度ならかわせると思ったのだ(爽)…買いかぶっていたようだが」
フ「…じゃあ、続けるよ」
ワ「そもそも始まっていたのか?」
フ「(無視して)…昔から疑問だったんだけど、ワール君って性別はどっちなの?」
ワ「フンッ…答える価値もない低俗な質問(キッパリ)だな…しかし、他ならぬ相棒の頼み…どうしたものか(悩)」
フ「…どうせ二者択一なんだし、悩むほどのことでもないと思うけど」
ワ「やれやれ…これだからデリカシーのない人間は困る…わたしのプライベートにも関わる重要な問題だぞ?これは」
フ「(…何処でそんな横文字を憶えて来るんだろう?)…単なる知的興味だよ。気楽に答えてくれればいい」
ワ「(何事か思案中)…では、これも単なる知的興味なんだが…先日、わたしが秘蔵していた特製の”青カビチーズ”が紛失したようなのだ…行方を知らないかね?(微笑)」
フ「!…そ、それとこれとは何の」
ワ「交換条件だ…」
フ「…(どうしよう…まさか、”撒き餌に使ったんですぅ♪”なんて言えないし…)」
ワ「…(一瞬たりとも眼をそらすまいとしている)」
フ「…あ、あれね…いやぁ、なんだかカビみたいなものが生えてるし腐
ガブッ♪←さっきよりちょっと深め
ワ「ほぅ…今回は粘るな…」
フ「(必死に脇腹を押さえながら)…フッ…これでも治療術の心得があるからね…」
ワ「では、このまま続けるとしようか…(微笑)」
フ「望むところだ…(微笑)…(汗)」
ワ「(白々しく)…で、どういう質問だったかな?」
フ「…そ、それはもういいから、次へ行こう…」
ワ「一応段取りがあったんだな…感動したぞ」
フ「…ねぇ、せめて一回でいいから突っ込ませてくれない?」
ワ「何故だ?わたしには何の落ち度もなかっただろう?」
フ「落ち度がどうこうとかそういうのじゃなくて…”マンザイ”ってそういうものだと思うんだけど…」
ワ「初耳だ…またもや感動したぞ…(微笑)」
フ「(我慢強く)…君が”ボケ”て私が”ツッコ”む…そう言わなかったっけ?」
ワ「それは確かに聞いた…しかし、残念ながら、無抵抗で殴られるのはわたしのボリシーに反するのだ。諦めてくれ(爽)」
フ「…(血圧上昇中)…我々は一度、ゆっくり腰を据えて話し合う必要があるみたいだね…」
ワ「おお、ようやく自省の境地に達したようだな…今日のわたしは感動させられっぱなしだ…ありがとう、相棒よ(微笑)」
フ「…(血圧さらに上昇→流血再開)…ちょ、ちょっと舞台裏に行こうか?(壮絶微笑)」
ワ「もう限界か?…仕方ないな…」
両者、勝手に退出し舞台裏の木陰に向かう。
なぜかバックからは登場の時と同じく軽快な音楽が流れる…楽士達はすでに結末を予想していたのだろうか?(笑)
そして…
ズシャッ!ガブブ♪…ドサッ…
・・・
シ〜ン・・・←(ぉぃ)
ワ「(木陰から涼しい顔で現れて)…どうやら相棒は体調が”若干”優れないようだ。皆には悪いが、今日はここでお開きにしよう…では、さらばだ(悠然と去る)」
突っ込む間も何もありはしない。
後に残されたのは無人の舞台と、木陰の物言わぬ主催者…呆気にとられた観客の傍を爽やかな春風が通り過ぎていった…。
これ以後しばらく、フォランの姿を見ることはなかったという…一説にはリターンマッチを企画しているとかいないとか…(笑)
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