奇跡  ∵不死∵(イモータリティ)


 不死たる肉体を持ち、老いることも病にかかることもなく、超然と世界を見つめ続けるフィニスは、ブレイド・オブ・アルカナ発売以来の安定した人気を持つアルカナである。
 しかしその人気とは裏腹に、フィニスはさほど使い勝手の良いアルカナとは言えない点が多い。その最大は、クレアータと同じく「不死」と言うキャラクター性の強さから、様々な「不死のキャラクター」を構築できるようになっているからだ。
 一口に「不死」とは言え、そのバリエーションは広い。人外の魔であったり、吸血鬼であったり、単に死なないだけの精神的には普通の人間なのか、その永劫の生によって常人には考えもつかない人生を送ってきた練達の徒であるのか……。フィニスを構築する際には、やはりそのキャラクターがどのような「不死」の人物であるのかを、しっかりと考えておくべきだろう。
 また、他のアルカナのキャラクターは死亡しても「転生」のルールによって再度のゲーム復帰が可能だが、フィニスはそう言う訳には行かない。死ぬことを前提にゲームをプレイすることはある意味で敗北主義的と言えるかも知れないが、フィニスの「1度までは死んでも何とかなる」と言う特性は余り信頼できる物ではないことも、心に留めておく必要があるだろう。
 間違えてはいけない。フィニスは「死なない」のではなく、「死ににくい」代わりに永遠の死を約束されたアルカナでもあるのだ。
 フィニスの特技は、どれも長年の経験を経てきた「不死者」に相応しい物である。だが、やはり他のアルカナのそれと比較すると、今一歩の所で決め手に欠けるきらいがあると言わざるを得ない。
 それでも、他の決め手を持つアルカナを組み合わせた場合、その決め手を完全に一撃必殺のものと出来るという点で、フィニスの使い勝手はクレアータのそれとは異なっていると言えよう。また、割り切り方次第ではどのような戦闘スタイルのアルカナとも組み合わせが利くし、「過去」でフィニスを持つならマーテルやファンタスマとの組み合わせもかなり有効だ。
 他方、こうした特性は殺戮者(マローダー)の場合にはあまり制約にならなくなる。どう足掻いてもフィニス単体で勝負するには厳しいと言わざるを得ないが、それでもPCの場合と比較して考えると、遥かに楽だと言えよう。
 その原因は、《吸精》《闇の闘氣》《鷹の目》フィニス三大特技にある。この3種類はフィニスの特技の中でも群を抜いて有効性が高く、組み合わせの基本とすれば必ず決め手となってくれる強力な特技であるのだが、いかんせん代償が大きいため、PCとしては気楽に使いがたい特技なのだ。しかし、殺戮者(マローダー)であればそれらの代償を気にする必要はほとんどない。
 −−これらとアクアの《手刀》などを組み合わせた殺戮者(マローダー)は、必ずやPCの脅威となって猛威を振るうだろう。
 いずれにせよ、「不死」と言う特性は強烈なキャラクター性である。その永劫にも等しい年月の重みと言う物、そして老いという恐怖の帳から解放された肉体は、共に羨望と恐怖を喚起する。そうしたファクターを、フィニスをプレイするときには是非とも忘れないで欲しい。


 さて、そうしたフィニスの奇跡∵不死∵(イモータリティ)は、例え死しても完全にHPを回復した上で状態を復帰させる、究極の自己回復手段である。非常に魅力的に奇跡であるが、特技性能の低さと引き替えに出来るほどの強力さかと言うと、実はいささか頼りないと言わざるを得ない。
 極論だけするなら、フィニス∵不死∵(イモータリティ)はディアボルスの∵魔器∵(アーティファクト)同様に、奇跡スロットを1つ塞いでしまうお荷物的な奇跡とも言える。完全に防御主体でありながら、その効果は自己にしか影響しないのだ。その能力を考えると、あまりパーティーに貢献することのない、脆弱な奇跡であると言い切ることさえ可能である。
 そんな∵不死∵(イモータリティ)を有効に使うためには、特技でHPに代償を求める類の物を多く獲得しておくと言う手段がある。代償としてHPを支払い続けても、∵不死∵(イモータリティ)の存在があれば、HPが2倍あるような物だ。かなりの余裕を持ってHP代償特技を用いることが出来るだろう。
 他にも、∵戦鬼∵(アクセラレーション)を死に切るまで使用してから用いたり、∵拡大∵(アンプリフィケイション)で、効果をエンゲージ全体に拡大して、満身創痍であったパーティーを一気に回復するという手もある−−接敵している敵も復帰させてしまう欠点はあるが。
 上記で語ったアクアとの組み合わせは、∵因果応報∵(サクリファイス)とのコンボという点でも有効だ。なかなか使いがたい∵因果応報∵(サクリファイス)を活用する手段としては、最上の物かも知れない。
 また、死亡状態でも奇跡は使用できると言う点を活かして、アルドールの《憤怒》を組み込んだ∵絶対攻撃∵(フェイタル・ブロウ)と言う手段もある。死亡状態である訳だから、減少したHP分をダメージに上乗せする《憤怒》は、恐ろしい威力を発揮するだろう−−もっとも、それに《吸精》を組み合わせれば、∵不死∵(イモータリティ)の要無く復活してくるかも知れないが……。
 手段は様々に存在するが、∵不死∵(イモータリティ)の使い勝手が余り良くないことを把握した上で、「気楽に1度は死ねる」と言う特性を活かした使用法を捻るべきだ。
 決して∵不死∵(イモータリティ)は、軽々しく「これを取っておけばゲームから脱落する危険性も少ないだろう」と取るべき奇跡ではない。より積極的に、どのようにして使うかを考えた上で獲得すべき奇跡なのだ。
 さて一方、∵不死∵(イモータリティ)はほぼほとんどの殺戮者(マローダー)が備えていると言っても過言ではない、大人気の奇跡である。大抵はフィニスの聖痕を持っていないため、他の聖痕者を殺して奪った物の筈なのだが、一体何処にそれだけの人数のフィニスが居たのかと、小生などはかなり疑問である。
 その疑問は置いておくとしても、大抵のGMは何の疑念もなく、殺戮者(マローダー)∵不死∵(イモータリティ)を持たせているのが普通のようであり、最も大安売りされている奇跡なのは間違いない。
 実際、それが悪いと言う訳ではないのだが、逆に言えばこれは、より∵不死∵(イモータリティ)の演出が難しくなっていると言うことも意味している。この点に注目して欲しい。  BoAが最初に発売された当初は、ただ∵不死∵(イモータリティ)を使うだけでPC達の闘志を燃え上がらせることが出来た。しかし今では、「殺戮者(マローダー)と言えば、∵不死∵(イモータリティ)を使うもの」と言う不文律めいた物がある。多くのPLが、殺戮者(マローダー)が最低でも1度は∵不死∵(イモータリティ)を使うことを前提にしていることだろう。
 ∵不死∵(イモータリティ)は今や、殺戮者(マローダー)の使う奇跡としては何の意外性もない、手垢のついた物となり果ててしまっているのだ。  だからこそ、余計に∵不死∵(イモータリティ)はその使い方に気を付けるべき奇跡かも知れない。プレイをより盛り上げ、PC達に強い印象を与える用法を模索すべきだろう。
 2、3例を挙げるとするなら、まずはHPを20から30前後としておいて、10くらい∵不死∵(イモータリティ)を持たせておく手がある。そこそこの能力を持つPCなら、一撃か二撃で倒せるにも関わらず、幾らでも蘇ってくるのだ−−もっとも、PLをダレさせないためには、攻撃力は激烈と言えるほどにあった方が良いだろう。
 他にはやはり、上記の他の奇跡との組み合わせだ。あくまでも奇跡のコンビネーションを組み立てる一環として∵不死∵(イモータリティ)を扱うのである。魔印の「爆散の印」との組み合わせも良い。
 最後にお勧めは、コロナのトループ集団との組み合わせである。やっとの思いで倒したトループと殺戮者(マローダー)が、∵不死∵(イモータリティ)∵拡大∵(アンプリフィケイション)によって瞬時に蘇ってくるのだ。これはかなりのインパクトをPCに与えられることだろう。




 推奨コンボ&特技


 吸精+弱点看破+鷹の目
 技能:格闘 判定:−7 代償:R タイミング:メジャーアクション
 対象:単体 距離:至近

 判定にクリティカル+3。相手の防御行動にクリティカル−2。ダメージ・ロールに+3した上で、相手に与えた実ダメージ分だけ自らのHPを回復する。

 相手に与えたダメージ分、自分のHPを回復するドレイン・コンボ。R代償がきついため、どちらかと言うと殺戮者(マローダー)向きである。クレアータやアクア、フルキフェルなどの素手の攻撃力を増強する特技と組み合わせるとさらに効果的。



 弱点看破+鷹の目+無拍子+闇の闘氣
 技能:軽武器 判定:−8 代償:HxR2F タイミング:インタラプト
 対象:単体 距離:至近

 相手の行動に割り込んでの攻撃。判定にクリティカル+3。相手の防御行動にクリティカル−2。ダメージ種別をRに変更した上で、任意の点数だけHPを消費し、「消費したHP−2点」をダメージに加えることが出来る。ただし、この結果として、HPを0以下にすることは出来ない。

 不死者の練達を示すコンボ。相手の攻撃に合わせて、“後の先”を取る。∵不死∵(イモータリティ)を持つフィニスならではの、派手なHP代償コンボであるが、R2である事を考えるとやはり殺戮者(マローダー)向きと言える。



 弱点看破+無拍子
 技能:軽武器/重武器 判定:−5 代償:F
 タイミング:メジャーアクション 対象:単体 距離:至近

 相手の行動に割り込んでの攻撃。判定にクリティカル+3。ダメージ・ロールに+3。

 フィニスの基本的な攻撃用コンボ。グラディウスでもアルドールにでも転用可能な、柔軟性の高いコンボである。



 心眼+世界の目+遠き瞳(未来)
 技能:知覚 判定:−10 代償:なし タイミング:リアクション
 対象:自身 距離:−

 防御行動の[避け]を、〈知覚〉で行うことができ、判定の際にダイスボーナス+1、クリティカル+5。

 フィニスの基本的防御コンボ。〈知覚〉が3Lvなら、確率論上はほぼクリティカルで攻撃を防御することが出来る。フィニス〈知覚〉で判定する特技が多いため、らしさを出すために備えておくと幅が出やすいだろう。



 因果の果て+心眼+世界の目+見通す瞳
 技能:知覚 判定:−12 代償:なし タイミング:メジャーアクション
 対象:単体 距離:視界

 判定の際にダイスボーナス+1、クリティカル+5。対象の過去、現在、未来のアルカナと因果律を知ることが出来る。ただし、アルカナについて対象は〈隠密〉でリアクションが可能。因果律が設定されていない場合は、「設定されていない」と知ることが出来る。

フィニスの超然たる眼差しと洞察力を表現したコンボ。どちらかと言うとPC向きで、助言者や技量に長けた先達などのイメージを出したい者用である。



   心眼+世界の目+物語り
 技能:知覚 判定:−11 代償:なし タイミング:メジャーアクション
 対象:単体 距離:視界

 判定の際にダイスボーナス+1、クリティカル+5。物品に残るその持ち主の外見やイメージ、その周囲で起きた出来事の朧気な残滓を感じ取ることが出来る。

 上記同様に、フィニスの超然たる眼差しと洞察力を表現したコンボ。平たく言うとサイコメトリーである。これもPC向きで、調査的な能力に長けた物静かな実力者を演出する際に有効である。



 久遠の叡智(過去)+練達の業
 技能:祈念/言霊 判定:−4 代償:D タイミング:−
 対象:− 距離:−

 〈祈念〉〈言霊〉の判定の際、ダイスボーナス+1、クリティカル+1。

 これ単体では成立しない、コンボの基礎となる物。マーテルやファンタスマのアルカナを持つならば備えておきたい。



 久遠の叡智(過去)+真言
 技能:交渉 判定:−7 代償:なし タイミング:−
 対象:単体 距離:視界

 判定にダイスボーナス+1。交渉や会話の終了後に判定し、その対象の言葉に嘘がなかったか否かを判別する。対象は〈自我〉でリアクション可能。

 相対する相手の言葉に潜む虚偽を見抜くコンボ。世故長けた長生者を演じたいなら、是非とも持っておきたい。



 久遠の叡智(過去)+真なる道
 技能:事情通 判定:−10 代償:なし タイミング:−
 対象:− 距離:−

 判定にダイスボーナス+1。〈事情通〉で登場判定を行うことが出来る。

長年の経験で、あらゆる道の繋がりを看破するコンボ。【希望】が低かったり、因縁を持つ相手が登場していないシーンに登場したい時に有効である。特に、【希望】を下げて【共感】を上昇させている、マーテル系やファンタスマ系のキャラクターならば、時にはこちらの方が有利と言える。



   久遠の叡智(過去)+手ほどき
 技能:共感 判定:−7 代償:R タイミング:メジャーアクション
 対象:単体 距離:至近

 判定にダイスボーナス+1。アクト終了時まで、対象の技能1つのレベルを、一時的に1レベル上昇させることができる。ただし、この方法で上昇するのは、3レベルまでであり、一人につき1アクト中1回までしか効果がない。

 フィニスが長年の経験から学び取った、特定の技能に関するコツを伝授するコンボ。あくまでコツに過ぎないため、裏付けとなる反復的な訓練無しには一時的な効果しかない。師匠役のキャラクターを演じたい時に、イメージ的な補強となるだろう。



 千年の孤独(現在)+予知夢
 技能:自我 判定:−4 代償:D タイミング:メジャーアクション
 対象:− 距離:−

 〈判定にダイスボーナス+1。1シーンに1回まで、Yes/No形式の質問をGMに行うことが出来る。。

 フィニスの洞察力を意味するコンボ。事態に関する洞察力や鋭敏な直感を演出し、さらにPLの推理をGMに直接、検証して貰うことが出来る有益さも持つ。このコンボを会得したなら、このコンボを使えるだけ使って、アクトを円滑に進めるべきである。



《悟り》
推奨特技その1。物理リアクションを大きく強化できる特技。何か戦闘系のアルカナを持つなら、取得して置いて損はないと言える。



 《裏読み》
 推奨特技その2。登場判定の際にダイスボーナスを得ることが出来るため、確実にシーンに登場することが出来る。余裕があるなら取っておくべきだ。



 《苦痛耐性》
 推奨特技その3。HPが高いほど、∵不死∵(イモータリティ)の効果もまた高くなると言える。その意味で、【体格】をある程度以上に伸ばしたなら、こちらを取得するようにすべきだろう。







 フィニス・マローダーに持たせるべき奇跡/魔印

 死を超越したる者、フィニスの基本的な姿は殺戮者(マローダー)となろうとも大きく変動する物ではない。言うなれば、この世の理の外にいるという点で、既に彼らは殺戮者(マローダー)と変わらないくらい、日々の生活を送る市井の人々からはかけ離れた存在なのだ。
 よく言えば浮世離れした、悪く言えば化け物の類と言えよう。
 クレアータとも、フルキフェルとも違う、人間と同じ姿をしていながら「人間とは違う生き物」であると言うのが、フィニスの特性である。
 だからこそ彼らには、大仰なまでの非人間性は必要ない。見た目だけで怪物と分かるような、さもなくばあまりにも破壊的な存在であってはならないのだ。フィニス・マローダーとは、“人間と全く同じ姿をしている、すぐ隣にいるかも知れない”バケモノなのだから。
 そんな彼らに相応しいのはやはり、∵戦鬼∵(アクセラレーション)∵因果応報∵(サクリファイス)である。見た目の派手さこそそこまでではないが、真実の戦慄をこそPC達に与えるこれらの奇跡こそが、闇の鎖に捕らわれたるフィニスに格好の奇跡だと言えよう。
 また、イメージ重視で行くのならば、∵神移∵(ワール・ウィンド)∵不可知∵(インコグニション)も良い。特に∵神移∵(ワール・ウィンド)は、∵天真∵(イノセンス)を使うよりもらしいと言える−−同様に∵絶対攻撃∵(フェイタル・ブロウ)よりは∵不可知∵(インコグニション)と言う訳だ。
 吸血鬼的なイメージを追究したいと思うなら、∵呪縛(バインド)∵もお勧めだろう。
魔印では、やはり「闇痛の印」「魔汁の印」を推奨したい。特に「闇痛の印」は複数を獲得しておくと、よりその人外さが演出できるだろう。「魔汁の印」は∵不死(イモータリティ)∵の効果を高めてくれるが、精々1つか2つに留めておいた方が良い。余りに防御過剰では、PLをダレさせてしまう危険も大きいからだ。





魂を分かち合う半身たるファミリアを従える魔獣使い、エルスのガイドです。


BLADE of ARCANAのTOPへ





BLADEofARCANA

有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ及び

有限会社ゲーム・フィールドの著作物です。


このページのボタンは、
Asha's Graphics Garden
のフリー素材を使用しております。是非、お立ち寄りを。

また、同様にこのページのタイトルとボタンは、
壁紙工房 Giggurat
のフリー素材を使用しております。是非、お立ち寄りを。