その時目に止まったのは、青い鈴・・・。
心深く惹かれる、青い鈴。
私、この青い鈴知ってる。昔見たことがある。
そんな気がする。
どこで見たんだっけ?思い出そうと神経を集中させる。
けど、思い出せない・・・。胸にモヤモヤした想いだけが残る。
どこで見たんだっけ?どこで・・・。


 「エレナ。それ気に入ったの?」
その言葉でエレナの意識は現実に引き戻された。
ハッと顔を上げると目の前にはトニオが居た。
 「あ、トニオさん〜。ごめんなさい、ちょっとボーッとしてました〜。」
エレナはそう言うと照れ笑いを浮かべながらトニオの方に体を向けた。
トニオはそんなエレナを見て笑いながら「ま、エレナがボーッとしてるのはいつものことだけどね。」と言った。
エレナはトニオにいつものぽや〜っとした笑顔を返し、そしてまた吸いつけられる様に青い鈴を見つめた。
 「それ気に入ったの?」
そんなエレナの様子を見て、トニオはまた聞いた。
 「気に入った、って言うより・・・懐かしい感じがするんです。」
視線は青い鈴から離さずにエレナは答えた。
トニオはエレナの言葉に首を傾げ、自分も青い鈴に目をやった。
見たところそれは何の変哲も無いただの鈴だ。
青い鈴なんてどこにでもある。
トニオがその鈴を仕入れたのはつい先日だった。
マーカムから安値で買ったのだ。
なんでも遠い異国でかなり昔に作られた鈴らしく、寂びれていてもう売り物にならないそうだ。
かなり安値で買ったのだが、かといって特にたいした想い入れは無かったし、ちょっと店に飾るつもりで買ったのだ。
 「エレナ、良かったらそれあげようか?」
あまりにもエレナが熱心に見つめているからトニオは苦笑しつつ言った。
エレナはその言葉を聞いた途端、「え!!」と声を上げ、喜びでその表情を満たしていく。
 「い、良いんですか〜?あ、でもお金は払います〜!!」
 「良いよ。良いよ。元々売り物じゃなかったし。そんなに気に入ってもらえたら鈴も本望だろう。」
トニオはそう言うと「はははっ。」と笑い、青い鈴をエレナに手渡した。
エレナは自分の手の平に乗せられた青い鈴を優しく握り締めた。
 「ありがとうございます〜♪大事にしますね〜♪♪♪」
頬を紅くして、エレナはお礼を言った。
 「その鈴、かなり遠い国で作られたものなんだってさ。」
 「へ〜、そーなんですか。じゃあこの鈴はず〜っと長い旅をしていたんですね〜♪」
 「旅?・・・まあ、そういう考え方もあるかな。」
エレナはもう一度お礼を言うと、トニオの店を後にした。

チリン、チ・・・リン・・・ッ。
エレナが歩く度に鈴が鳴る。
古い鈴だけど音は普通に鳴る。
綺麗な音、とエレナは思った。
遠い遠い所から来た鈴。
どこか懐かしい感じのする鈴。
 「思い出せないなぁ・・・。」
家のドアの前でエレナは軽く首を傾げる。
が、やはり思い出せないのでそのままドアを開け家に帰った。
 「あら、おかえりなさい。」
ちょうど夕飯の支度をしていたミラがエレナに気付いた。
 「ただいま。お母さん。」
エレナは台所に目をやり、ミラに言った。
エレナが自分の部屋に戻ろうとすると、
 「あ、そうだ。さっきルウくんから手紙が届いたのよ。エレナの机の上に置いておいたから。」
とミラが言った。
エレナはその言葉に頬を高揚させて、嬉しそうな顔をして自分の部屋に駆け込んだ。
そんな微笑ましい娘の姿を見ながらミラは夕飯の支度に戻った。

ルウの手紙の内容はいつもあまり変わらない。
大抵は自分の近況について書いてある。
今回もそうだった。
でもエレナはルウの手紙を読む度に幸せな気持ちになれた。
手紙を読み終わり幸せな気持ちで、そっと窓の外を見る。
もう辺りは暗くて、空には月が浮かんでいる。
エレナは机の上に置いてあるあの青い鈴を見た。
そして指で軽くはじいてみる。
チリン・・・ッ。
鈴が鳴る。
エレナは思い出した。
どうして自分がこの鈴を懐かしいと思ったのか。
この鈴はルウに似ていたから。
だから懐かしかったのだと。
ルウもこの鈴も同じように遠い所から、ずっと旅をしてきてここに辿り着いた。
ルウと同じ青。
エレナはこの鈴をずっと大事に持っていよう、と思った。
ルウの最後に帰る場所はエレナの傍ではなかったけれど、だったらせめてこの鈴の最後にあるべき場所は自分でありたいから。

 「エレナー。ご飯よー。」
ミラの声がエレナの部屋に響いた。
エレナはその声に笑って答えた。
 「は〜い♪今行きます〜♪」




おしまい。
2年くらい前に書いていた話です。でも途中で書くの止めてたので、完結させました。
最初の方の文章を読むと、「ああ、昔の方が文章上手かったな」、と思わざるを得ません。
感受性の問題なのかしら。年を取ったってこと・・・?
うわあ。老いを感じるってこーゆーこと!?(多分違う。)
それとも国語能力の問題・・・?
うあわあ。最近文章書けません・・・。だうあう。

エレナはルウのこと絶対好きだと思うんですよ。
でもルウは他の人が好き。ルウ編はクレア?ミント編でのルウはミントのことが好きっぽいなあ。