死ぬことと見つけたり
隆慶一郎
時代は、戦国時代が終焉し、太平の世になった江戸初期
戦国後期の生き残りが、まだまだ残っており、
まだ風俗に、戦国の荒々しさが、辛うじて在った時代が舞台。
佐賀鍋島藩士 斎藤杢之助の物語。
隆慶一郎の小説らしく、破天荒で強い男が主人公。
これだけなら、「花の慶二」の前田慶二と変わらないが、
この主人公、朝、目が覚めたら6時間近く寝床の中で
自分の死に様を事細かに空想し、死に備えるといった「死人」振り、
戦国時代を考えれば、これは武士の作法と言えなくも無いが、
太平になった時代には、些か不穏な男だ。
毎朝、彼が死んでいるからといって
世捨て人で、躍動感の無い人物を思い浮かべるかもしれないが、
爽やかで躍動感にあふれる、非常に魅力的な人物に描かれている。
脇を固める準主役達も魅力的だ。
没落した中野家の長男で、自家の再興を期す 中野求馬。
小猿を従えた巨漢、牛島萬右衛門。
等々、心映えの爽やかな人物が出てくるので、
なんとも、嬉しくなってくる。
惜しむらくは、物語の完結前に作者が亡くなっている事だ、
続きが読めないのが本当に惜しい作品だ。