時は家庭用アンドロイドが実用化されている近未来、たまたま冷やかしで立ち寄ってみたショールームで主人公がアンドロイドメイドに魅せられてしまった所からゲームは始まる。それから3年間、血を吐く努力をしてお金を貯めた主人公は、ついに念願のアンドロイドメイドを購入したのだが・・・。
なんか、椎名高志さんの漫画『(有)椎名高志百貨店』収録の『電化製品(アンドロイド)に乾杯!』にクリソツな導入だ。しかし、ヒロインの見た目は『トップをねらえ2』の主人公ノノに眼鏡をかけさせた感じだ(作品自体は見てないので詳しくは分からないけど)。
それにしても、アンドロイドに眼鏡? そう疑問に思われた方もいるかもしれない。さらに、眼鏡を装着する時に、このアンドロイドは「めがねーめがねー、かけたよーめがねー」なんて変な歌を歌ってくれるのだ。まあ、この辺りは購入時の設定(つまり主人公の趣味)かもしれないと思うかもしれないが、実際に、このアンドロイドの視力は取説によると0.05しかない。だが、このアンドロイド、こんな視力で1/24,000秒の差を目で認識できるのだ。
なんか変だ。もしかして、これ壊れているのではないかと思った方は鋭い。このアンドロイドメイド、実際にバグっている。最初のシステムチェックで、エラーが発生するのだ。主記憶装置の一部と言語野とR領域に異常があるそうだ。まあ、どんな感じになっているのか分かり易いように、パッケにある彼女自身の説明の一部を引用しよう、「なのに、どーしてそんなにエラーが出まくりやがりますか? も、もしやわたしってば忌むべき生産工学の敵、数字のマジック、悪名高い初期不良品というヤツなのでは・・・」、大体全編通じでこんな感じだ。
かなりボケだが、これはこれでOKだ。実際にゲーム中に完璧なアンドロイドが出てこないので比較が出来ないのだが、事務的なマシンよりはいいだろう。
ただ、彼女の最大の問題点は、内部バッテリーが壊れていて電源コードを外せないことだ。おかげで行動半径が5mに制限されてしまっている。内部のプログラムの異常は人に害をなさない程度ならば許せるけど、流石にハード面の問題はいかんともしがたい。主人公もそう思って交換を主張するが、アンドロイドメイドに初期不良品は分解されて再利用されてしまうと泣きつかれて、情にほだされて無料交換期間の2週間様子を見ることになる(しかしえらい期間が短いな、この家電は)。
こうやってゲームはスタートするのだが、このアンドロイドメイドが口調はアレだが実に性格がよく、またかいがいしい。なにせ、苦手な料理(味覚センサーが未発達なので味見ができない)でも、右手と左手で別な作業を同時進行し手早く確実に調理してくれる。また色々気をきかして自発的に家事をしてくれるし、これで夜のお世話もしてくれるので、主人公が魅かれていくのも当然だろう。
因みに、このアンドロイドメイド、当然主人公が名前を付けるのだが(プレイヤーに選択権はない)、彼はモモと名付けた。単純に彼女の正式名がMM06R2型アンドロイドメイドだからMoMoという訳だ。しかし、MM06R2型、しかも製作会社がシオニックエレクトロニクスって、その型番はジョニー・ライデン少佐が搭乗していた高機動型ザクのパクリだね。
高機動型ザク:MS06R2、製作はザクとゲルググを生み出したジオニック社製モビルスーツ。
この世界に「機動戦士ガンダム」が放映されていたのかは不明だが、まあ近未来だから放映さていたとしても問題はないし、オタクな技術者(もしかしたら社長)が昔見たアニメの名前を使った可能性もあるだろう。
こんな開発陣の製作したマシーンのためか、モモは料理の作り方は知らなくても、オタ知識に関しては無駄に精通している。他にも、主人公がモモと初Hを決意して「やってやるぜ!」と叫べば「断空我道拳!」と返す始末だ。
全体的に、こんなバカっぽい感じで展開していく。そもそも、主題歌からして電波ソングでなかなか笑える。だが、このゲームの登場人物は少ないながらも全員、主人公を含めて、いい人間ばかりだし、最後にはありがちだが泣けてくるエンディングが待っている。粗筋に関しては十分合格だ。
ただ、フルモーションアニメーションゲームなので話は短い。しかも選択肢も一度もない。加えて、フルモーションアニメと言っても、殆どのシーンはモモがクラゲのように非人間的にふらふら体を揺らしているだけだ。さらに、アニメの質も今一感がある(特にエロさに欠ける)。
一方、システムに関しては、問題はない。ただ、スキップも既読のみ・強制も選べるのだが、そもそも1本道アドベンチャーにあまり必要性もないし、セーブポイントも30も用意されても回想シーンもばっちり搭載されているので、そんなに使う必要性がない。まあ、システムに関しては過ぎたるは及ばざるが如しなんて諺は通用せず、使いやすければ機能が多いに越したことはないので、これはこれでOKだ。
まあ、総合するなら、短い話でも良ければ、結構安く出回っているので買いだろう。特に、椎名高志さんの漫画『(有)椎名高志百貨店』収録の『電化製品(アンドロイド)に乾杯!』が好きなら物は試しに見てみるといいと思う。
余談:
このゲーム、なぜかソフ倫のHPでの内容紹介が全然違うものになっている。引用してみると、
ある日あなたの元へ、遠い親戚の女の子が家出をしてきました。母親と大げんかをして、とるものもとらず、あなたにあいにきたのでした。突然始まったあなたと小さな女の子との生活。顔も知らないあなたを「想い」だけで慕ってきたかわいい女の子。こんな健気な女の子をあなたはほおっておけますか?今ならあなたの言うことは何でも聞いてくれるかもしれませんよ?
こんな感じで、アンドロイドなんて欠片も出てこない(しかし、ひらがなが多い紹介だ)。これはこの会社が違う説明でソフトの審査を通ったのが訂正されていないのか、それともソフ倫で入力ミスをしたのか、定かではない。でも、前にも説明がおかしなソフトがあったので、少なくともソフ倫の仕事が結構いい加減なことは確かだと思う。
(タコマロ)
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