この題名の「あゆみちゃん」とは、このゲーム『あゆみちゃんLABO』を創った天津堂のデビュー作である『マーシャルエイジ』の人気キャラクターの名前である。
このゲームの話をする前に、『マーシャルエイジ』について触れておかないと分からない点があるので簡単に説明する。『マーシャルエイジ』の舞台は、島1つが巨大な女子校という「優愛女子総合学園」。その学園に男性ながら特待生として入学を許された主人公、嵩科雅人。魁堂流体術の使い手である彼は、生徒会選挙を発端としたクラブ対抗の騒動に巻き込まれ、最後には、この世ならざる存在である魔物まで倒し、学園の騒動を見事解決するというストーリーなのである。因みに、「はっとりあゆみちゃん」は優愛女子総合学園の生物化学部員である。
このゲームには続編が存在し、その名を『マーシャルエイジ2 悪鬼咆哮』という。無論、「はっとりあゆみ」ちゃんも前作に続いて登場する。それで話の方は、前作から3年後が舞台。謎の挑戦状で再度優愛女子総合学園の地を踏む事になった主人公、嵩科雅人。今回の敵は、謎の存在であるマスターに率いられた9体の魔物。そして主人公は、何が起こっているかも分からないまま、女性に取り憑いた魔物達をその気脈を突く事で追い出しては、次々と倒していく。(無論、女性の方は、Hすることで失われた気力を回復させるというエロゲーらしいアフターケアーもばっちりである。) そして、最後の9体目の魔物を倒した時に話は急展開を迎える!
ネタバレを承知で書くと、何と、主人公がマスターに不意打ちをくらい串刺しにされてしまうのだ。さらに、これまで倒された魔物は魔神復活のための生贄なのだと真相を聞かされた所で、唐突にゲームは終わる。
念の為に書いておくが、別にバットエンディングを特に選んで書いている訳ではない。基本的に1本道アドベンチャーで流れにのって最後まで行くと、漏れなく、このエンディングを迎えるのだ。
一応、発売後に天津堂が『マーシャルエイジ3』で完結する旨を発表したしらしいし、ゲームの最後にもそう出てくる。とりあえず前編だけでも伏線が残りながらも一応は完成品になっているなら兎も角、明らかに尺が足りずに終わる作品を事前に何の発表も無く発売するのはアンフェア以外の何物でもない。この時、エンディングを迎えた自分は『マーシャルエイジ3』を終わらせるまで、決して天津堂の作品は、ワゴンと中古を除いて買わないことを心に誓ったのである。
まあ、それから何年にも経つが、未だに天津堂の作品を買う必要がなかった。いや、正しく言えば、まだソフトハウス自体が存続していた事の方が驚きだったのだが、ある時、急に気に天津堂のある新作が発表された。それが、この『あゆみちゃんLABO』である。
そのゲームの、魅道流体術の使い手ある主人公「嵩科牙雄」が、私立虎の子学園にはびこる魔物を退治するというストーリー紹介に、少し気が惹かれてしまったのだ。それでも、最悪でも中古で買うという堅い意思だけは守る事にした。そうして様子を見ていると、中古価格は順調に下がり続け、買うのに適当な値段まで達したのである。
色々と前置きが長かったが、そろそろゲーム本編に入るとしよう。いきなり学園の危機を救う為に転校して来た事になっているが、これはもう主人公がヒーローなのだから問題は無い。しかし、いきなり、「微かだが・・・くせぇ魔物の臭いがする」って言い出して、『マーシャルエイジ』を知らない人間を置いてぼりにする展開はどうよ? しかも、魔物が憑いている相手と少々話しただけで戦闘シーンに突入してしまう。なんか、もう少し話というか説明する気はないのか、このメーカー様は?
これが単なるADVならば大問題だ。だか、このゲームのジャンルは「スーパーバトルADV」、つまりシナリオ付きカードゲームみたいなものなので、話なんて刺身のツマみたいなものでもOKと言えるだろう。ただ、刺身たるカードゲームが面白ければ問題ないのだが、これがつまらないことこの上ないのだ。
ルールを簡単に紹介すると、ゲームの目的は、自分のHPがゼロになる前に敵のHPをゼロにすることである。まあ、コンピューターRPGの攻撃がカードになったものだと思っていただけると分かりやすい。
ゲームの流れは、自分の番に手札の中から好きなカードを基本的に1枚使い攻撃カードで相手のHPを減らすか、回復カードで自分のHPを回復するかのどちらかをする。そして、カードは使った分、山札から補充される。攻撃カードには1〜10までの数値が、回復カードには3と5が存在し、この数値だけ相手のHPを減らしたり、自分のHPを回復できたりする。このゲームのダメな点の1つが、カードの価値が数値に比例すること、つまり低い数値のカードが単なる下位互換である点にある。手札に低い価値のカードが貯まったらほぼ勝つことができない、つかり運任せなのだ。
さらに、このゲームの運任せを、さらに強化する要素として、特殊カードの存在がある。例えば、コンボカードという特殊カードがあって、これはコンボカードの数値と同じカードの枚数を1度に出す事ができるのだ。基本的には2か3なのだが、ゲームが進むと4なんて凄いものが出てくる。少し考えると分かるが、このカードは敵の数倍の行動を可能にしているのと同じだ。そして、さらに手札は常に行動の後に最大数まで回復するので、多くのカードを使えばより多くのカードが引ける。つまり次のコンボカードを引く可能性が高まるわけで、これが最初の手札にあるかないかは勝率に大きな影響を与えてしまう。
と、ここまで説明してきたが、このカードゲーム、最初に設定を変えることができる。これにより大きくゲーム自体が変わってしまう。一番の違いは体力が完全回復する特殊カードを使用するか、使用しないかの設定で、これをアリにすると勝負は泥沼状態に、ナシにすると攻撃力過多の手札勝負ゲームになってしまう。アリにすると、敵のHPが低くなると全回復を使う可能性が高くなるので、コンボカードと強力なカードを使って敵のHPを一瞬で削ることが可能になるまで待つとか戦術の幅は広がる。だが如何せん、倒されない、倒せないという状態になりがちで、時間がかかった挙げ句に負けた時のショックは言葉では言い表せない。
それに引き換え、全回復がナシだと戦術も少なく、今ある最強のリソースを何も考えずに投入することが勝利への早道になる。さらに開始HPを一番低く設定すれば開始1ターンで勝利するのも夢ではない。
どうせ運任せなら、勝負が早くついた方が楽なので、最低のHP50、全回復ナシのサドンデスモード、勝負は1回戦がお勧めだ。因みに、CGを全部埋めるためには、ゲームを6周する必要があるので、これを全部逆に設定すれば、超大作ゲーム並のプレイ時間を過ごすことができると思う。(この短いモードでも1プレイ2〜3時間はかかった。長いモードでは戦闘時間は10倍弱にはなるので、1プレイで12時間はかかると思う・・・)
それで、戦いに勝てばエロゲーのお約束のHシーンとなる。だが、「嵩科牙雄は、女の子に取り憑いた魔物と闘うと、どうしても余分なエネルギーが股間に集中してしまうんだ」という頭が痛くなる設定なので、魔物が落ちて混乱している状態の相手を襲って即H。でも相手も最初は嫌がっているけど、最後にはノリノリになってしまう。それ所か、選択肢で選べば、次の女の子の所まで付いてきて、ノリノリに3P、4Pと話は大きくなるばかり。Hシーンに情緒とか求める人にはお勧めできないエロシーンだ。
全編こんな感じなのでストーリーは本当にない。舞台が「清く、小さく、つつましやかであれ」をモットーに、身長150cm以下の女性を集めた私立虎の子学園という面白い舞台も、全然生かされていない。しかも、この学校、教師すら身長150cm以下なのだ! 因みに、最初に公表されているキャラの中で一番小さい娘は、身長111cm、体重20kg。 因みに文部科学省の平成15年度学校保健調査速報によると、5歳児(女子)の平均身長が110cm、中学校1年生の女子の平均身長が152.1cmだったりする。
しかも、このゲーム、1名を除いて天津堂の他のゲームから小さいキャラを選りすぐっているので、既にキャラ設定は完成されている。だから、それを元に話を膨らませるのは簡単だと思うのだが、このゲームでは全然個性が無い。単なるHキャラとなってしまっている。
こんな状態で、天津堂のマスコットキャラの「やんやん」こと「天堂やえ」と、古くから人気のキャラ「はっとりあゆみ」を投入して、これまで色々なゲームに出ていながら本番がなかった二人の本番シーンまで入れている天津堂の頭の中が全然理解できない。ある意味、凄い豪気とも言えるが、単なる馬鹿としか思えなかったりする。
まあ私に言わせれば、自分の所の看板キャラを使うなら、せめてメッセージスピードの調節機能と、取説にキャラの説明ぐらいは付けろと言いたい。でも、オープニングの調子の外れた歌とあのノリは必見なのでまだ見たことのない人はぜひ天津堂のHPで確認して欲しい。
(タコマロ)
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