あの『LadyLady God−damn Night』の続編が、この『ブラッディロマンス』だ。しかも、前作の発売から僅かに3ヶ月で続編が発売という、ジオン脅威の科学力! ぜひ、この開発力をアージュも見習って欲しいものだ。
そんな訳なので、システム面に関してはいつものHYPERSPACE(以下、超空間)レベルである。当然、SAVE・LOADするためには「Esc」キーを押すことが必要なのも、主人公の名前も選べるのは「ひらがな」だけなのも前作の通りだ。そんな恐るべき太古技術に包まれながらも、実際にゲームの導入部に入ると、一転して引き込まれる展開になる。
なにせ、中国の天山山脈からゴビ砂漠にかけての所を震源とした核爆発らしい振動をアメリカ海軍がキャッチする所から物語は始まるのだ。しかも現在の世界情勢では中国が秘密実験をする可能性はなく、肝心な振動も核爆発させるだけなら兎も角、兵器の実験としてはお粗末な限り。この正体不明な状況を前にして、CIA長官が名指しである人物を呼びつける。
組織がCIAという違いがあるが、もう007シリーズの導入だとしても違和感のない展開だ。しかし、残念な事に、この腕利きの潜入工作員であるマイケル・チャンは主人公ではないのだ。
ストーリーに戻ると、そんな大事件の事は露とも知らず、二人の女性が上海蟹をたらふく食べるために、上海に降り立つ。ただ単なる観光客と違うのは、この女性の一人が、中国で巨大プロジェクトも実施している世界に冠たる天見財閥のご令嬢にして、有名な私立探偵ということだ。そして、彼女は上海到着後すぐに学生のデモに巻き込まれ、不当に拘束されているウイグル自治区の姫であるシャンを開放するための証拠を集めることを依頼される。
この才色兼備にしてエスタブリッシュメントな天見一夜嬢も、あなたの扱う主人公ではない。そして、上海に降り立ったもう1人の女性である、一夜嬢の大学時代の同級生である明石未知嬢も、かなり一般人に近く主人公に打って付けの人材なのだが、彼女も主人公ではない。無論、依頼主である、上海大学の学生でデモ隊のリーダーである中華風の美女リーファンも違う。
では、誰が最初にひらがなで名前を入力した主人公なのかと言うと、はっきり言ってしまうと、彼は最後までゲーム本編には登場しないのだ。言っていることが超空間なので、よく分からないと思うので分かるように引用すると、「バットエンドになった場合、「一夜」と「未知」は疲れてやる気をなくしています。そこであなたのセックスの登場です。あなたが、上手に彼女らを扱ってセックスに成功すれば、元のストーリーにもどることができます」ってことだ。
要するに、主人公は復帰ルートにしか出現しないって訳だ。つまり、常に正しい選択肢を選んでいれば主人公が登場することはゲームクリアまで一度もないことになる。まあ、このゲームの場合、選択肢を一度選び間違えただけで即バットエンドに送り込まれる太古技術が使われているので、心配しなくても簡単にHルート(復帰ルート)に突入すると思う。
ただ、復帰すると言っても、話の流れを無視して、その章の最初に戻されるだけなので、ゲームクリアに関しての実用性は全然ない。これで、メッセージのスキップ、いやメッセージ速度の調整だけでもあれば、Hシーンぐらいは見てやろうかとも思うかもしれない。だが実際は、ピロピロとスローペースでメッセージが表示されるので、正直言って、再度章の最初からリスタートなんて苦行は、普通の精神なら耐えられたものじゃない。当然、選択肢を選ぶ前にセーブするので、ろくにHシーンを見ることはなかった。
多分、これがゲームジャンルの「インタラクティブ・ドラマ アドベンチャータイプのシミュレーションゲーム」って奴なのだろう、よく分からんけど。(実際は、単なる三人称形式のアドベンチャーゲームに過ぎない)
それでストーリーの方だが、シャン姫の無実を晴らすためと、核実験の真相を暴くために、中央アジアに向かう一行。だが、彼らの前には「行方不明の大学生」「双子の姫」「立ちはだかる麻薬王」「シルクロードの怪物」「悪魔の花ブラッディ・ロマンス」「対になる玉澗(ギョクカン)の絵」「核実験」「イラクの武装ヘリコプター」「ウイグル王国独立宣言」って感じで、あまりにも多くの事が待ちすぎている。これに、お茶等の中国・中央アジアの文化に関する薀蓄やバラの花の説明が大量に投入されているので、皆さんが予想できるように、もうお話がかなりグダグダになってしまっている。もう大風呂敷広げまくって収集がつかなくなった感じだ。
これで、まだ状況の説明に役立つCGがしっかりしていれば臨場感も出るのだろうが、なにせイベントCGらしいCGなんてエロシーン以外ほぼなし。つまり、本編では見られない訳だ。流石に3ヶ月の突貫工事で造られた作品だけあって、背景+立ちグラで全てを済ましてしまっている。しかも、その背景CGも、殆どがわざとぼかしたデジカメ画像。新規のCGなんて、本当に他の手段がない時に、最終兵器として書かれたものしかないのだ。
そんな造りでも、天見一夜様の天野財閥の凄さは、明らかに突き抜けていて見ていて楽しめた。なにせ、「この天見財閥の中国への投資が止まると中国の近代化は30年遅れるといわれている」ってくらいだ。他にも、飛行機が故障して田舎空港で立ち往生すれば、携帯衛星電話で「もしもし、あたし。飛行機の故障で困っているのよ。場所は衛星でわかるわよね。ええ、ええ、じゃあ、待ってるわ。よろしくね」って言うだけで、軍用機を回して貰える始末。オレオレ詐欺なんてレベルじゃね〜。しかも、ここ、あの竹のカーテンとも言われる中国領だ(流石の中国も天見財閥に楯突いて国際社会で孤立したくないのだろう)。最後には核兵器開発工場に、中国政府と共同で作戦部隊を投入するありさまだ。まあ、これくらい豪快だと見ていて気持ちがいい。
これで、もう少し整理して見て楽しめるCGをつけてくれたら、普通の作品レベルにはなったと思う。(ストーリー自体を比べるなら、007の作品の中でもかなりアレな作品もあるしね)
ただ、このゲームで一番驚いたことは、エンディングで、「第3話もよろしくね」って出たことかな。まあ、残念ながら実現しなかったみたいだけどね。
(タコマロ)
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