主人公の東雲武士は私立探偵、そんな彼はある仕事の最中、街である女子高生を助ける。その女の子は、偶然にも高校時代の同級生の妹であった。そして、その同級生に頼まれた浮気調査。平凡なはずの調査であったが、これが重大な事件へと繋がって行くのであった。
最初に感想を書いてしまうと、まあまあの作品であった。無論、バカゲーでも、金返せゲーでも、お勧めゲーでもない。はっきり言って、HPのネタにするゲームではないのだが、現在強化月間中につき掲載となった幸運なゲームである。それでもストーリーの導入部と感想が一言だけでは悪いので、もう少し詳しい所を見て行きたい。
パッケージによると『ZyXが満を持して放つハードボイルド・サスペンス!』となっている。しかし、このゲームの主人公の東雲探偵は、あまりハードボイルドに徹しきれてない。確かに、暑そうなコートと帽子、煙草をマッチで火をつけ、バーボンを飲み、ヨタハチことトヨタスポーツ800という三十年前の車に乗る。そして渋い外見。見た目は完璧であるが、如何せん言動が伴っていない。全部のHシーンで女性に主導権を取られているし、結構微笑ましい行動をとっている。それで、シティーハンターの冴羽ちゃんの様に二枚目半という訳でもない。強いて言うと、渋い良い人なんだと思う。まあ、ハードボイルドという看板とは少し違うが、逆にこの方が万人受けすると思うから、私は許すけど。
今度はサスペンスについてだが、火曜サスペンスのレベルには十分に達している。しかし、話が盛り上がるまでに時間がかかり過ぎ。最初の浮気調査と身辺調査の時間はもう少し短くした方が良かった思う。確かに後の伏線なのだが、最後まで話を見ると少し食い違っている位だから強調することもないだろう。短い話ならともかく、プレイ時間10時間というのは、かなり話の勢いを削ぐ。それもコマンド総当たりのフラグ立て推理物なら許すが、事実上の一本道AVGには長すぎ。おかげで盛り上がる頃には、少々疲れてしまった。
それでも、個々の出来事(輪)が鎖になる様に合わさっていく過程はかなり面白かった。そして、どんなタイプの人物か簡単に分かるように表現されていたのも誉められる。その為か、大人の女性陣が完璧すぎるのは少々気に障ったけど。
話についてこれ以上書くとネタばらしになるので、今度はシステムについて見よう。フルスクリーン・ウィンドウズに切り替え可能、既読スキップも可能、CGモード及びHシーンの回想可能と必要な物は一式取り揃えてある。しかし、気に喰わない所が2点だけあり。1つは既読文の再表示機能があるのだが、これが1画面分の文章しか再表示されないこと。会話の途中で最初に聞いたことが気になることもあるので、せめてそのシーンの文章は巻き戻せるようにして欲しかった。もう1点は、ゲーム起動時に絶対にオープニングアニメーションが始まること。起動する度にクリック連打して中止する身になって欲しい。でも基本的には問題ないシステムである。
次はCGを見よう。塗りはかなり良い。それとアニメーションもするのだが、基本的には単純な繰り返しがHシーンに少し挿入されるぐらいである。とてもパッケージの『戦慄のアニメーション』というレベルには達していない。私に言わせるなら、Hシーンはいいから他のシーンを盛り上げるのにアニメーションを使って欲しかった。特にクライマックス、庇って死んだあの人があまりに可哀相だ。自業自得だけど、もう少し考えて欲しい。
それとストーリー上で気になる点あり。それは拳銃のことなのだが、主人公はしっかりパイソンを不法所持している。さらに美人助手すらデリンジャーを太腿に隠し持っている始末。ハードボイルドとしては欠かせないアイテムなのかもしれないが、警察が登場する所で拳銃を撃って御咎めなしはないだろう? それに相手がガンガン撃ってくるなら許すが、最後のシーン以外は撃ち合いはなし。本当に実用性は低いアイテムだ。
どうせ出すならもう少し拳銃に出番をあげるとか、チンピラを締め上げるシーンとか入れて、途中をもう少し盛り上げて欲しかった。一本道シナリオでダラダラ情報収集ばかりしているのは、どうも性に合わん。でも、こんな感じが好きなら、やって見てもいいと思う。
(たこまろ)
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