『はじめてのおるすばん』(以下、『はじるす』)、2001年の末に発売されたこのゲームは爆発的なヒット作になった。これ以降、「活動的・内気の二人の女の子を揃える」、「このゲームの登場人物は18歳以上という注意書きさえつければ何をしてもOK」、「ストーリーよりもシチュエーション(Hシーン)重視」、「どう見ても幼女なキャラとラブラブ展開」というこのゲームの真髄を素早く理解した各メーカーは、幾多の類似ゲームを送り出したのであった。
(余談だが、このタイプのゲームは『すぃーとじぇみに〜僕の妹〜』とか『はじるす』以前にも存在していた。ただ、あれほど、突き抜けていなかったのが、注目を浴びなかった理由だと思う。)
さて、そんな業界の流れに、あの「HYPERSPACE」(以下、超空間)も参入してきたのである。そして、その作品が、この『お兄ちゃん受信中』だ。ただ、そんなのぶっちゃけありえない幼女とラブラブなゲームを好む『はじるす』の客層に売り込むつもりだと思うのに、題名に受信中なんて文字通り電波な単語を使ってしまうのは、超空間の超空間らしい所だろう。本人はこれでマジなのか、それとも素人でも地雷と分かり易いように地雷原の回りを柵で囲んでいるつもりなのかは分らないが、一度聞いたら忘れなれないインパクトがあることは確かだろう。
それで、実際にこのゲームを始めてみると、開始早々で後悔することなる。最初、「VEGA」のメーカーのロゴが現れて、「べぇーがー」と音声が入り、次にゲームの題名が表示されて「おにいちゃんじゅしんちゅー」と音声が入る。
まあ、今時、どのメーカーでもある演出だが、問題はこの時の声の酷さ。はっきり言って下手。どこで、こんな鳴き声を出すクリーチャーを見つけてきたのかと思うほどだ。きっと、どこぞのオタク学校で声優を募集した方が、ずっとマシな人材を見つけることが出来るだろう。兎も角、ゲーム本編でもこの調子で、ズブの素人が演技とかアクセントとか無視して何とか全力で幼い声を出そうと無理している感じがありありで、聞いていて痛々しい。ただ、設定でボイスをOFFにできる機能があるので、下手なボイスが苦手な人でも安心してプレイできる。これに関しては生まれて初めて超空間のシステムに感謝した。
それで、ゲーム本編だが、開始早々主人公とその先輩が車で飛ばしている所から始まる。ここで、このゲームの主人公は先輩が結婚はおろか娘がいることを知って大ショックを受ける。しかし、この娘は設定では18歳以上なのに、その親である先輩が結婚していることにショックを受けることはないだろうに。
まあ、これは些細な点なので無視して話を進めるが、主人公達がカーブに差し掛かった時、前方から「ねこちゅう」のおもちゃ(?)が飛んでくる。それで、スピードを出し過ぎていたこともあって、車は事故。運転していた先輩はシートベルトをしていなかったこともあってフロントガラスに頭を突っ込んで血まみれの重傷。主人公の方はシートベルトもしていたこともあって外傷にはならずにすんだ。
ただ、それでも主人公より先輩の方が幸運だったかもしれない。なぜなら、これ以降、主人公は頭の中に変な声が響いてきて、それに従ってしまうようになるのである。それから、電波による導きで主人公は、先輩の娘とその従姉妹を昼間預かることになるのだ。
ここから、もうラジオに電池を入れなくても平気に番組を聞けるくらい電波に満ち溢れた展開になる。まず主人公は、メイド服と体操着を購入。さらに、縄とか大人のおもちゃとかも購入し、箱に詰めて「お兄ちゃんBOX」と命名。本当に、電波ゆんゆんな感じがよくでている。
これで電波に操られた主人公が鬼畜な行為をするかと思うかもしれないがそんな事はない。主人公がするのは、電波な行動とHなイタズラだけなのだ。例えば、女の子を紐で縛ってクローゼットに吊るして放置したり、歯が痛いという相手に主人公のアレに氷を被せて相手に舐めさせたり、カルピスに主人公のアレを混ぜてのませたり、ラーメンのダシを取るといって女の子の涙を集めたりする。これでどれだけの人間が楽しめるか疑問に思える代物ばかりで構成されているのだ。ただ、これだけ無茶をして、本番に関しては、グッドエンディングでも一切しないのは非常に不思議に思う。
まあ、主人公の方もアレだが、肝心の女の子の方もアレなのがこのゲームのスゴイところだ。二人がバカなことは、ロリ系のゲームファンには、その手のキャラが好きな人が多いかもしれないので置いておこう。それより問題は、二人の性格がいまいち書き分けられていないことだ。はっきり言って、これらならば1体でも良かったと思う程だ。でも一番の問題は性格だろう。ゲーム中にデレビの特別番組で銀行強盗の立て篭もりが流れるのだが、ここで犯人のピストルで人質の頭が撃ち抜かれてしまう(CGはないけどね)。これを二人も見ているのだが嫌がる所か大喜び、殺人シーンで盛り上がるヒロインは他のゲームではそう見られないだろう。
これで、このゲームが如何に電波なのかが分ったと思うが、実はエンディングに突入すると、さらに電波の強度が増してくるのだから驚きだ。いくつか挙げると、主人公が相手に無理矢理迫るシーンがあるのだが、ここで相手に「爆破するよー」と脅される。普通ならば、そんな事が起こる訳はないのだが、流石は『受信中』、ピコって擬音一言で爆破されてしまう。その後に、VEGAのロゴが出て、「この世界は無に帰った」と表示されるのだ。初めてこれを見た時は、本当に呆れたものだ。
でも、電波エンディングはこれ以上の物が存在するのだ。完全なネタバレなので、自分の目で確認して、その電波に驚きたい方は、この先を読むのはやめて欲しい。
主人公が、公園でするイタズラで水飲み場の蛇口の上に女の子のアソコを乗せて水を出すシーンがある。ここで水量をマックスにすると、何と女の子がロケットのようにポーンと空高く打ち上げられ近くの山まで運ばれてしまうのだ。多分、エロゲのエンディングの中でも、これ程斬新なものは他にはないだろう。
では、ハッピーデンディングの方がマシかと言うとそうではないのが超空間の凄い所だ。当然、ハッピーな展開になるためには主人公の電波をどうにかする必要がある。だが、その方法が凄い。なにせ、女の子が主人公の事を心配して、裏にアルミホイルを貼った帽子をプレゼントしてくれるのだ。これを主人公が被ると電波に悩まされることなく、女子達とエンディングを迎えることが出来る。きっと、これは科学の勝利でなく、主人公を心配する女の子の愛の勝利なのだと思う。まあ、相手が超空間だけあって安心はできないが。
総括すると、このゲームは超空間にしてはシナリオ以外の所はよく出来ている。システム面では、既読・未読の判定はないがスキップはあるし、文字ウィンドウを消すこともできるし、音声の調節もある。他のメーカーならば当然のレベルだが、ここにしてはマシな方だ。CGも塗りは相変わらず酷いし、パースが狂っているものが多いが、原画はかなり萌えるものだし、背景以外はこのゲームの書き下ろしみたいだ。
ただ、せっかくの新作を揃えたせいで資金が尽きたのか、噂では原画家とは賃金不払いで揉めたらしいけれど。
兎も角、簡単に電波を受信したい人には、これ程のゲームはないと思う。
(タコマロ)
|