まずストーリーについて説明しよう。ある学園に通う主人公が、コンビニに買出しに出かけることから、話は始まる。偶然にも主人公は、宇宙から落ちてきたエネルギー体と衝突・融合してしまい、体が三体に分裂してしまったのだ。そして、エネルギーを地球に落としてしまった宇宙人三人組、主人公(その分裂体)を予言に記された邪神であると判断した巫女姉妹、地域の平和を守る変身ヒーローの勇者革命トライガーンが、主人公を巡って三つ巴の争いを起こす。
これで歌が串田アキラ大先生というからには、熱いストーリーが展開されると期待しても無理はない。だって、串田アキラ先生と言えば、(私的には)『疾風ザブングル』、〜ここは地の果て流されて俺〜だよ。しかし、実際のゲームは、涙も枯れた代物だったさ。
まず最大の問題点は、このゲームの表現法にある。一応、このゲーム、主人公の視点で進んで行く。しかし、実際は、テキストは会話と効果音だけで占領されているのだ。
それがどれ程情けない物か、実例を引用してみよう。宇宙人チームのマルグレーテが、主人公と最初に出会って攻撃をしかけるシーンだと思って、読んで欲しい。
マルグレーテ「喰らえ! ミサイル君!」
ミサイル君1号「行きますです!」
ばしゅ!
主人公「ミサ……?」
ドゴーーーーーン!!!
主人公「な、なんだぁ!?」
シナリオライター、小学生? それとも、玩具を持って一人遊びしている幼児の独り言の克明な記録? 何だ、この頭の悪い低レベルの表現は。
まあ小説ではなくゲームなのだから、文字で状況を表現しなくても、絵で表現できれば問題はない。しかし、その肝心なCGが少ないのだ。
大体、此処までに見たCGが、主人公の自室、コンビニへの道、公園の背景の3枚に、立ちグラとフェイスウィンドウだけ。フェイスウィンドウは、画面内を色々と動き回るし、表情も多い、しかし、この場面では、ミサイルの爆発のCGが欲しい。いや、描写する気がないなら、必須だろう。これなら、冨樫の下手糞な線だけの連載漫画の方が少しは完成度が高いね。製作者、ゲームを舐めてない?
まあ、単にフェイスウィンドウが動くという今時珍しくない仕様に、DDI(Dramatic Dynamic Icon)とか名前を付けて、画期的なシステムと深夜のテレビショッピング並みの紹介をしている奴には、これがお似合いか。それとも、画期的という言葉の意味も知らない程の馬鹿者なのか。いや、エロゲー界の『里見の謎』を目指したとも考えられる。何であれ、DDI程度では、一枚のCGの持つ説明力には勝てはしない。
実際の話では、さらにここに宇宙人二人に、加えて巫女姉妹、最後には変身ヒーローまで乱入してくる。この時点で、画面を前にした私は、完全に置いてけぼり状態。まるで、今流れている映画の映像よりも夕刊の紙面の方が気になる「木曜洋画劇場」という気分。(木曜洋画劇場とは『バトルランナー』等の普通は深夜枠の安いB級を9時に放映するテレビ東京の洋画番組)
それでも、暴走した主人公の片割れから、三組あるチームから1つを庇った時点で、序章は終わる。ここで、串田アキラ大先生が歌うオープニングが始まって、嫌な気分は一掃されるはず……。しかし、肝心な歌は流れるが、画面の方はホワイトアウト! 私の心も吹雪の中!
実は、一部のビデオカード(噂によると大多数)では、フルスクリーン時に動画の再生をすると、画面が白くなるらしい。修正ファイルも現在、原因を解明中で存在しないので、仕方なくウィンドウで以後プレイをする。
なんか調子が狂ってばかりだが、以後の展開も悪い。まず、このゲーム、少々重い。特に重いのが、戦闘シーンのカードバトル。これが非常にたるい上に面白くない。
そのシステムを要約すると、つまりジャンケン。まあ多少のアレンジが加えてあり、手札の5枚から3枚を選んで出して出す所が違う。少し考えて見れば分かるが、このシステムだと戦略も戦術もなく運だけで勝負が決まる。つまり、大凶殺でもなければ、勝率は二分の一になってしまう。それだと問題だと思ったのか(普通は思う)、配られる手札が明らかにこちらが有利にしてある。毎回新規に配られた手札を出すだけで、ほぼ勝ててしまうのだ。
それなら、無くても同じだと普通なら思う。それを見事に、このゲームでは実行している。驚くべき事に、最初から戦闘シーンをスキップ可能だ。しかし、安易にスッキプすると、ご褒美のHシーンが見られない時もあり、その後の話の整合性が取れないこともあるのだ。それなら漢らしく、遅い上に苦痛なカードバトル自体を除去した方が良かっただろう。
大体このゲーム、全体として動作が遅い。パッチをあてると少し速くなるが、それでも少々もったり感がある。無論、話のテンポは悪くなる。そして、これで6人もクリアするのだから、最初から気分も重くなる。しかも、スキップ機能、見当たらないし。まあ、取説にも書かれてないが、後で「Ctrl」キーでスキップ可能なこと知って、何とか全員をクリアできたけど。でも、この様な繰り返しプレイが多くなるゲームでは、既読スキップ機能ぐらい付けるのが常識だろう。
さらにこのゲームにかかると、串田アキラ大先生の歌ですらテンポを悪くする要素になってしまうのだ。大体1プレイ2時間程度の序章+6話構成程度のゲームで、各話の終わりと最初に歌が入るのだ。しかも、スキップ不能。この長さでフルコーラス×2を何度も何度も聞かされるのは、はっきり言って苦痛である。私の場合、繰り返しプレイでは、各話が終わる度に本や漫画を読み始めてしまい、やる気を失せさせる大きな要因になった。本当にこのゲーム、発売前にテストプレイした?
まあ、今まで散々貶して来たが、私はこのゲームを金返せゲーとは思っていない。むしろ、下手なプログラム、要領の悪いシナリオに足を引っ張られた残念な作品だと思う。説明の悪いシナリオも、何回かクリアして設定やキャラの特徴を掴んでくると、結構面白くなる。
登場人物も個性的な面々が揃っているし。特に私のお気に入りは、巫女姉妹の祖母の天羽双葉さん。かつては帝都の平和を、ある時は巴里の平和を守った時もある巫女さんだ。そんな戦いの中で、ハーレム状態の爺さんをゲットしたらしいが、それって「さ○ら大戦」? まあ、この婆の馬鹿話はかなり面白い。
そんな訳で、このゲーム、もう少し発売を延ばして造りこめば、皆の評価ももう少し違ったろうと思うと残念でならない。
(タコマロ)
|