主人公「乙丸このは」が、海外出張から戻った親代わりの兄の家に引っ越して、新しい学校に転校する朝から、このゲームは始まる。薄い胸を期待と不安に一杯にさせていた「このは」であるが、衝撃の事実を兄から告げられる。
何と、兄の正体はマッド錬金術師、そして「このは」は兄の造ったホムンクスルだったのである! 本物の「このは」は六年前に亡くなっており、その記憶を移し変えたのが、今の「このは」。しかも、その身体を維持するには、定期的にHする必要があるのだ。
そんな凄い設定の中、「このは」は本当に個性的な人々とイベントを起こしながら、夜は独りHに励むことなる。
粗筋を説明すると上の様な物だが、実際の中身は、非常にキャラが立っていて、ギャグのセンスも良い。ドタバタ学園ギャグ物として成功している。なにせ、初日から「このは」はお馬鹿な替え歌を披露してくれるのだ。
「着替えー(着替えー)わたしの着替えは嵐とか呼ぶぜー(マジっすか!)気象庁も大慌てー(きゃー!)避難警報渦巻く夜更け(逃げろー!)」(歌・乙丸このは:景気づけ着替えソング『酒と涙と着替えと女』)
また「このは」を始めとする声優陣も上手で、その掛け合いを聞いているだけで楽しめる。本当に、なぜ男には声がないのかと残念に思う程なのだ。
こんな感じに演出という戦術面では大成功しているこの作品であるが問題はある。戦術的勝利が必ずしも戦略的勝利を意味する訳ではない。つまり、全体の話の構成がダメなのだ。なにせマルチエンディングなのに選択肢が「どこかに行こうかな」・「たまには大人しく」なのは如何なものか。しかも昼間のADVモードの選択肢は全部こんな感じなのだ。こんな適当な選択に見えて、寄り道していると特定キャラのエンディングは迎えられない無茶な難易度。絶対に何か間違っている。
しかも特定キャラの話も、最後の最後に近くなって急にテンポが上がるのもバランスが悪い。実際、多くのシーンでは単にキャラ間でギャグを応酬しているだけなのに、最終回近いので急にシリアス入るのはどうよ? しかも最悪なのは、話が盛り上がって来たのに選択が悪くて、尺が足らずにノーマルエンディングに突入した日には、まさに最終回のアニメを撮り逃した様な悪い気分を味わえる。
まあ、それでもシステムはおよそ必要な物は取り揃えてあるし、CGも悪くない。漫画的な何でも有りの学園ギャグ物と思えば、十二分に笑える代物である。このジャンルが好きなら、ぜひプレイして欲しい。
まあ、一般的な批評は簡潔に終わりとして、個人的に言いたい事を書こうと思う。実は自分はこのゲーム、ギャグだけでなく、ある人物を目的に買ったのだ。その子の名前は「千尋」、その時点では、ツインテールの実に萌なキャラに見えた。選択肢の問題で出現が遅くなって、やっと出たと喜ぶのは束の間、次に出現で大きな問題が発生。
「・・・どうして、学生服着ているの?」(このは)
「ええと・・・男の子が学生服を着るのは当たり前だと思います」(千尋)
え〜〜、千尋ちゃん、まさか男? 一番可愛いキャラなのに男? そんな馬鹿な話があるか。
しかし、ここで自分は閃いた。そしてパッケを取り出して再確認。そこには小さく「女性のみフルボイス」の文字が。無論、これまで千尋ちゃんには声が付いている、うむ、問題なし。いや、一時はどうなるかと思ったぜ。
だが、「このは」がホムンクルスのHパワーが暴走して、自分の千尋ちゃんを体育用具室に連れ込んだ時に、なんと千尋ちゃんに尖がった部分が装備されているのを発見。
お〜、マイ・ゴッデス。
まさに夢破れて山河ありだ。
しかも、千尋ちゃん、フタナリですらない純粋な男。既に嫌な予感はしていたのだが、直面する冷たい現実。
この時は、せっかく雑誌を買っているのなら購入予定のゲームぐらいは隅々まで読むことを心に誓ったものである。しかし、せっかくマッド錬金術師がいるのなら性別ぐらい何とかなんかと少しでも思った自分は危ないかもしれん。
(タコマロ)
|