『きゅんきゅん堂』、このゲームに出会ったのは、とある中古屋だった。しかも、売られていたのは、それは2本で1000円という大バーゲンセール品、いわゆる損切りな品物だった。お店としては、何が何でも、このゲームを処分したかったらしい。
まあ、この『きゅんきゅん堂』という正気とは思えない題名からして、普通の人間は買わないだろう。こんなアレな名前をつけるのは、あの伝説的メーカーHYPERSPACE(超空間)くらいのものだ。だから、その手のゲームが好きなアレな人しか、このゲームを買う奴はいない。だから、これを特価品にした、この店の判断は正しかったと思う。ただ、当然ながら、この手のブツを見るとプレイしたくなる自分が、この『きゅんきゅん堂』を購入してみたのは言うまでもない。
そして、実際にインストールを終わらせて、ゲームを開始してみると、いきなりポニョーンと怪音が響き、ラブチェリーというソフトメーカー名が飛び出て来る。さらに、「あーんど、うたまろソフト」という声が続く。エロゲーメーカーなので、アレな名前も分らないでもないが、こんなストレートな名前をつけないで、もう少し捻って欲しいものだ。
ただ、そんなもの、このゲームのオープニングに比べるならば、単なるひよっ子だ。何せ、この『きゅんきゅん堂』のOPで表示されるのは、まず典型的日本家屋の六畳間、さらに表示されるのは、昭和の臭いが漂ってくるような台所、次は診察室、さらに待合室、最後に鍼灸院の外装だ。これだけでOPが終わり。そう、これらは全部、実際にゲームで使われる背景で、それを順番に表示しただけの代物なのだ。
こんな調子なので、無論、歌はおろか、OPには女性のCGすら表示されない。今時ここまでOPが貧しいゲームも珍しい。特別な素材を用意できないまでも、せめて、ゲームのCGを上手に表示させるくらいのセンスはあって欲しかったものだ。さらに、ここにトドメとして、異常なまでに甲高い声で『きゅんきゅん堂 大人のためのお医者さんごっこ』と題名が読まれる。この時点で、マジにゲームのウィンドウを閉めたくなった。
ただ、それでは始まらないので、気を取り直して、進めることにした。そして、実際にゲーム本編を進めてみて分ることだが、この「きゅんきゅん堂」というのは、主人公が院長(&唯一の従業員)の鍼灸医院の屋号で、それも三代続いた由緒正しいものらしい。しかし、「灸灸堂」なら分るのだが、三代続いて「きゅんきゅん堂」という店名はどうよって所だ。それに、由緒正しいとか言っておいて、この「きゅんきゅん堂」の真の姿は、「皇帝陰悶」という秘術を使って女性の性に関する問題を解決することなので、あまり由緒正しい鍼灸医院とは思えない。兎も角、最初から突っ込み所満載なゲームだ。
話を戻すと、そんな怪しい鍼灸医院に、中国から劉白蘭という娘が来る所から動き出す。彼女は、主人公と同じ「皇帝陰悶」の技を、主人公と同じく一子相伝で継承しているのだ。主人公が「皇帝陰悶」を使うと噂で聞き付けて、それを確かめに来たのだ。それで、患者のふりをして主人公を試したのだが、その実力に驚き、また自分の持つ「皇帝陰悶」と微妙に違う技に興味を持ち、無理矢理に住み込みで働くことする。それからの話は、基本的に、昼行灯な主人公が、しっかり者だけど一部抜けている白蘭とやり取りしながら、性の悩みを持つ患者さんを治療していくことになる。
その治療法だが、回数制限内にクリッカブル方式で女性の体の秘孔をついて相手をイカせるというものになっている。この手のゲームとあまり変化はない、まあ、相違点と言えば、針とか御灸とかが選択肢に入っているくらいぐらいのものだ。
この治療シーンが主体のゲームで通常のアドベンチャーシーンは少ない、はっきり言ってとっても短いゲームだ。だが、面白くないかと言うと、そんなに悪くはない。キャラも結構立っているし、攻略キャラによっては結構良いストーリーになっている。ただ、何度もプレイを繰り返すとなると、治療シーンがクリッカブル方式なのでスキップ機能がほとんど機能しないのが弱点になって、面倒なゲームになってしまっているのが残念なことだ。
おまけとして、このゲームで笑った所を紹介しておこう。まずは、白蘭が頼む中国の宅配便だが、これが窓を破って品物を宅配する。だから判子いらずなのは良いのだが、その代わり、宅配される所を見ると寿命が100日縮むのは勘弁してもらいたい。
それと、主人公が白蘭のご機嫌を治すためにアイスクリームを買ってくると約束するシーンが、思わず微笑んでしまった。
「バニラと抹茶、どっちがいい?」
「バニラ! バニラがいいデス!! 抹茶など邪道、あれはダークサイドに落ちた輩が食べる物デス」
落ち込んでいた白蘭が、いきなり元気100%になる、このやり取り、これが実に白蘭らしくて良かった。
(タコマロ)
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