りこりす

Lycoris Radiata


 

仕様 評価
対応機種 WIN システム

10点

ブランド名 Terios シナリオ

4点

ジャンル AVG 萌え萌え

8点

    せつなさ

4点

    素薔薇さ

6点

 





 まず最初に、このゲームのパッケージのストーリー解説を見て欲しい。

 考古学を研究する主人公『中津野燈和(なかつみとうわ)』は大学の夏休みを利用してヨットでの列島一周に挑戦していた。
 友人からは、無謀だの阿呆だとなんやかんや言われたが、歴史的テーマを追求するべく、旅を強行し、航海は順調に行われていた・・・ハズだった。
 突然の高波にさらわれ、意識を失いながらたどり着いたその島で燈和は洋館に住む美しい三人のメイド達と出会うのであった。


 今回、このゲームを扱うことになったのは、編集長が「ヨットでの列島一周がなぜ歴史的テーマになるか調べて欲しい」と要請してきたのが原因だ。まあ、こちらとしてはTeriosのゲームでもあり、この指令を受けることには異論が無かった。

 そして、その回答を先に言っておくと、それは「古代人は、帆舟で海を渡ったか」を確かめるためだったのだ。そりゃ、当時の技術で製作できる舟でなければ意味がないと思う。南米とポリネシアとの文化の交流を証明するために、ヘイエルダールがコン・チキ号でやったように、実際に昔にも造られたバルサの筏舟で太平洋を渡ってみせたようなことが必要だろう。しかし、いきなりそんな超難易度に素人が挑戦してもまさに無謀。おそらく、このヨットで列島一周はその練習にあたるものだと思う。

 それで、この練習航海で異常気象に襲われた主人公は気がついてみると怪しい島に流れ着いている。この島ときたら、GPSは反応せず、携帯電話は通じない。そして、主人公は太陽の位置から場所を割り出そうとするのだ。そのくだりが凄い。

 太陽はどう見ても南天、つまり真上にのぼっている。(中略)頭上に太陽があるって事は、つまりここは赤道・・・・・・直下?
 「スゲー!! これってスゲーよ!!」
 「だって大発見じゃね? つまり古代人は列島一周どころか船で赤道まで渡ってたんだ!!」
 「へへへ、俺のことを無謀だとか教授に騙されているって言ってた奴等! この事実を聞いたらビックリだろうな」
 「良し! 早速あいつらに電話を・・・・・」

 主人公、色々な意味で頭が悪すぎ。南天は南の空、正確に頭上ならば天頂だし、夏(夏至)に太陽が垂直に照らすのは赤道上でなく回帰線上だし、電話は通じないし。流石は、旅の真の目的が自分探しだけのことはある。しかし、何であろうが、この主人公の馬鹿さ加減は色々と楽しめると思ったのだが、結論から先に言えば、このゲームはいたって普通だった。

 主人公が流れ着いた島には3人のメイドと現在は不在のお館様が住む立派な洋館があるだけ。この島には町はおろか港すらない。そこで、この洋館にお世話になりながら、主人公は船の修理を進めていくことになる。しかも、期限付きで。この期限なのだが、この島の沖合にある深い霧が晴れるのが、ちょうど12日後なのだ(一応、ストーリー展開によって変動あり)。

 この見るからに怪しい期限に加えて、この島は夏にもかかわらず涼しく、さらに小鳥の鳴き声もしなければ、昆虫一匹みあたらない。さらに、この島のメイド達は主人公がここに現れたことに対して、非常に驚きをもって受け入れたことも含めて、さっさと、この島が普通の世界に存在しないことを理解すべきだと思うのだが、古風な主人公が気づくことはない。

 ゲームのストーリーは、主人公が館のメイドの一人と仲良くなり、愛を確かめ合い、そしてその立場の違いをやっと主人公が知り、悩んで解決されるという実に基本に忠実に展開される。しかも、隠しキャラ(?)を除くメイド3人は全員同じ展開だ。

 しかも、ストーリー全体が短い。なにせ最初の選択肢2回で既にルートが決定される。はっきり言うと、最初に出会った女性が貴方の今回の攻略対象だ 。攻略対象に文句があるならタイトルに戻って、最初から始めることをお勧めする。ただ、この話の短さはストーリーの凡庸さを考えると、実に適切だったと思う。共通イベントがないのもお手軽に楽しむのには良かったと言える。

 システム面も通常必要とされる機能は完備され、さらに前の選択肢に戻るとか、キーボード/ジョイスティックモードまで完備されており言うことがない。そして、CGの方は、みなさんご存知の横田守先生だ。好きな人は買っているだろうし、嫌いな人は買わないだろう。そして、塗りの方も何時ものTerios塗りだ。この書き込みが多くさらにテカテカとした光沢が好きな人は買うだろうし、嫌いな人は買わないだろう。

 ただ惜しむらくは、定価が高いってことだろう。でも中古価格では適正だと思うので、Terios好きでお手軽なゲームが好きな人は買ったほうがいいだろう。個人的には、ロリメイドの玖来の爆発加減が良かった。あまりに馬鹿っぽくて。




 ネタバレ兼薀蓄

 このゲームの副題、Lycoris Radiataとは、ヒガンバナの学名だ。花好きな人なら、この属名のLycorisがヒガンバナの仲間を意味することは知っているだろう。完全に薀蓄だが、このLycoris (リコリス)とはギリシャ神話の海の女神から来ている。だから、あの世とこの世の境にある島を舞台とするこのゲームの題名は『りこりす』なのだ。因みに、RadiataはRadiationと同じく放射状ということ。ヒガンバナの花を見れば分るだろう。

 そして、ここに住む三姉妹を名乗るメイド達の名前は、結依(ゆい)、続璃(つづり)、玖来(くくる)。つまり、結う・綴る・括ると糸をまとめる名前で統一されている。これはきっと、人の魂を選別する仕事を補佐している彼女達の主人であるお館様が運命の糸の紡ぎ手である三姉妹のクロト(クローソー)であることを意味しているのだろう。でも、クロトで幼女なのはどうなのだろう。

(タコマロ)

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